青島海軍航空隊の終戦 ―――――――― by 爺さん
☆ 青島海軍航空隊の終戦 ――――――――――――― 2003/10/17

――――ある青島特務隊隊員の回顧談。

青島海軍航空隊は昭和20年には飛行機もなくなり、隊員も他の航空隊とか、
さらに回天・震洋などの水上・水中特攻艇などへの分散移動がありました。

7月半ば頃特務隊員募集があり、同期生から30名、隊長に中尉1名、分隊士
1名、陸戦担当下士官2名 中国語教育担当1名と中国人10名からなる45
名で編成組織され特別教育を受ける事になりました。

任務は敵軍のスパイを取り締まる、或いはゲリラ活動をするために中国語を学
び、便衣を着て敵の内部に潜入し戦うというものでした。国内の基地では、夜
陰に紛れ侵入してくるアメリカのスパイを取締る任務を受けた同期生もいるよ
うですが、特務隊は青島だけだったようです。

この隊員募集は秘密裏に行われ、どういうふうに募集があり、どういうふうに
選抜されたのか、すぐ身近の者が志願して行っていたにも関らず、殆どの隊員
は戦後になってから事実を知るという状態でした。

訓練期間は8月1日から14日までの二週間。
青島市と滄口=航空隊のあったところ)の中間の"四方"の煉瓦造りの建物で行
われ、中国語は1人の中国人に3人づつのほぼマンツーマン、体臭もそれらし
くするため生のニンニクを食べるなど、中国人としての生活習慣を実践。

陸戦訓練は、近くのドイツ遺産の砲台を目標に、暑い真夏に散々しぼられまし
た。8月14日に訓練を終え、15日に中国人と別れて本隊へ戻り航空隊隊員
全員とともに司令部の前に集合、終戦の詔勅を聞きました。

この時点では「特務隊」はまだ解散になっていませんでした。

しばらくして特務隊員はある農村のクリークを廻らせた建物の中に駐屯。
その後中国政府から青島市内の警備を要請され、市内の海岸を見渡せる二階建
ての家屋に移動。
市内の警備は「中国保安官」「中国海軍」「日本陸軍憲兵」と「青島特務隊」
の4者で行われました。

9月末米海軍艦隊が青島港に入港、特務隊は解散、それぞれの原隊に復帰。

余談ですが、その後市街地に移動したが、ビール会社からは毎晩生ビール一樽
づつが届けられてきました。

復員する時に中国語担当から中国に残って暮らそうと薦められましたが、隊長
から日本に帰って祖国の復興に努力しようと説得され、皆で相談し帰国するこ
とにしました。

中国人について、彼らと三ヶ月起居をともにして大陸的な心の広さと包容力の
大きさに人間的な温かみを感じました。

それと、歴史的背景からか時代の変わり目に敏感に反応することには感心させ
られました。中国軍の兵士であっても、中国語を教えてくれた=終戦前まで敵
である我々日本軍に協力してくれた)人がいたのを見ての感じですが、しかし
これは我が国でも、終戦後の有識者にはたくさんいましたね。

――――私(爺=青島海軍航空隊員)の終戦当時の回顧。

私も8月15日に司令部前で詔勅を聞かされましたが、雑音が酷くてサッパリ
意味がわからなかったけれど、あとで「ポッダム宣言受諾」と教えられ、気が
抜けたようになりました。泣き喚いている隊員もいました。

そこで私たちは日本政府の降伏には応じないと決め、青島(青島海軍航空隊)か
らロウザン=山=山の名前)に移動、要塞らしきものを、クーリーを使って
こしらへ入山しました。其の時にたくさんクーリー=中国人労働者)や商売人
(‥‥になりすました八路軍密偵)が入り込み、我々を一本釣りにかけ、応じて
行った者もいました。

当時、訓練された命知らずの我々は、国民党軍、八路軍の双方ともに手に入れ
たかったのでしょう。

その後、日本政府高官(皇族?)が飛んでこられて「抵抗はよせ」と説得され、
折れてローザンから下山、青島市街の一角で(日本)陸軍と同居した時、国民軍
の要請で日本陸軍兵士が警戒か鎮圧かに駈りだされて出かけていくのを「戦争
が終っているのに気の毒に」と思いながら見送りましたが、

彼らが帰ってきての話では、相手(八路軍)の作戦要領が我々と全く似ているな
ど、あれは八路軍の「小林兵団」など日本の指揮官が引率する軍団ではないか
との噂がしきりでした。
勿論高官ではなく尉官(中・大尉)クラスの士官ではなかったかとの話でした。

このような実話はアジア戦線各地であります。インドネシア国民軍に参加し、
退役後そのまま現地に根をおろした人たちにも、戦後よく出会いました。

復員は我々と特務隊員(だったとは知らずに)共々一緒に帰国しました。

                           = おわり =
「戦後の(元)航空兵たちの活動」の記事を見る
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