ラオスからの手紙 ―――――― by 桜ちゃんのパパ
☆ 映画「サバイディー・ルアンパバン」 ―――――― 2008/06/25

6月5日午後2時半、ラオ・アイテックの映画館へ行く。映画鑑賞である。

今日は、ラオス人のカムリーちゃん(女優)が主演する「サバイディー・ルアン
パバン」の公開初日。ラオスでの最初の映画上映である。

淑珍と近所の友達テンちゃんと一緒に見に行く。

カムリーは女優といっても新人、今回の「サバイディー・ルアンパバン」のカ
メラ・テストに応募して合格したとか。「サバイディー・ルアンパバン」の製
作は、タイのテレビ局チャンネル7が資金を出している。

カムリーちゃんの相手のタイ人男優は、アナンダーというハーフの映画俳優で
ある。タイの芸能界はハーフが多い。アナンダーはお父さんがオーストラリア
で、お母さんがラオス人、ということでこの映画の役にはまさにピッタリであ
る。

このカムリーちゃん、我が家の近所の娘さんである。

つい最近、お母さんが引っ越してきた。桜ちゃんのパパは華僑学校の傍の長屋
に住んでいる。カムリーちゃんのお母さんのワンさんはこの長屋のワンブロッ
クを借りている。ただしカムリーちゃんは中国に留学中なので、実際には住ん
でいないのだが。

カムリーという名前、ちょっとラオス人としては珍しい名前である。お母さん
のワンさんから淑珍が借りてきたタイの雑誌インタビューによると、カムはラ
オス人の名前によくあるカムで、意味は「金」である。

リーは実は中国語で「美しい」という意味、つまりラオス語と中国語をあわせ
てつけた名前である。お父さんが中国人、お母さんがラオス人ということでこ
ういう名前を両親がつけたらしい。

お父さんが中国人なので、寮都学校=ラオスの中華学校)に通っていた。高等
部を卒業して現在は中国に留学中。つまり桜ちゃんの先輩になる。

彼女は06年の「ミス・ラックス」でも2位になった。この時は淑珍と一緒に
わたしもテレビで見ていた。同じ寮都ということなので家族で応援したことを
覚えている。

映画のストーリーは、

アナンダーが演じる、バンコクで仕事をしているカメラマンが取材でラオスに
来る。パクセに来て観光ガイドのカムリーちゃんと一緒にチャンパサックの観
光地をまわる。

映画の中でも、シーパンドーン、リーピーの滝や、フランス統治時代に作られ
た機関車、世界遺産のワット・プー、ボロヴェン高原など、ラオスの観光地と
自然が紹介される。

シーパンドーンを旅行中に、カムリーちゃんの失敗で道に迷い、帰りの船に間
に合わなく、田舎のラオス人の家にホーム・スティする場面も出てくる。

ラオス人家族と一緒にラオス料理を食べ、家族と交流、ラオス文化の紹介にも
なっている。このホーム・スティの時に、アナンダーは宿泊費としてドルを渡
そうとする。それをカムリーちゃんはとめる。

いぶかしがるアナンダーにカムリーちゃんは「好意で家に泊めてくれたのだか
ら、それに対してお金を払うのは失礼よ。こういった時は、お皿を洗ったり、
御飯を蒸すのを手伝ったり、家のお手伝いをしてお返しするの」というように
ラオスの習慣を説明している。

その後またトラブルが起きて、パクセからヴィエンチャンに行く長距離バス=
キアン・カイ)に乗れなく、仕方がなく飛行機(ラオス航空)でヴィエンチャン
へ行く。

アナンダーはお父さんの親戚を尋ねてパクサンに、ここでバーシーをしてもら
い、お父さんがオーストラリアに行く前に恋人だった女性にも会う。映画のな
かでは、アナンダーのお父さんはラオス人で、留学でオーストラリアへ行って
そこでオーストラリア人のお母さんと結婚するという設定になっている。

実際はこの逆で、彼のお父さんはオ−ストラリア人で、お母さんがラオス人で
ある。
┌--------
タイチャンネル7の番組、「サバーイディー・ルアンパバンの舞台裏」のなか
で、アナンダーがラオスのお母さんの実家を訪ね、お母さんの親戚やお母さん
に会うシーンがあった。お母さんの実家は、たしかメコン川に面したところに
あった。お母さんが使っていた昔の部屋も紹介される。

おそらくアナンダーのお母さんは、75年以降に難民としてラオスを出て、そ
の後バンコクに住み、オーストラリア人と結婚したのであろう。
└--------
この番組のなかでもはっきりと自分はラオス人だと語っている。

このあたりから、2人の間にほのかな愛が芽生えはじめてきた。

ヴィエンチャンで、アナンダーはカムリーちゃんとラオス人の結婚式に行く。
そこで彼はラオス・ビールを飲みすぎ、二日酔いになり携帯電話を忘れてしま
う。カムリーちゃんが預かって次の日の夕方にデートの約束をして会うことに
なる。

ちょうど灯篭流しの日の夜、メコン川の川岸のレストランでカムリーちゃんを
待っていたアナンダーである。いくら待ってもカムリーちゃんは来ない。彼女
が預かっていた携帯電話にアナンダーの恋人から電話があって、それがショッ
クで会いに行かなかったのだ。

ということで結末はどうなるか、は実際に映画を見てください。

ラオスでの上映ということでアナンダーの声はラオス語に吹き替えてあった。
わたしは最初、彼はお母さんがラオス人ゆえ頑張ってラオス語を練習して上手
にしゃべれるのだと誤解した。

実際はラオス人の声優の声で、少しおじさんぽかった。これはラオスで上映す
るゆえのラオス語版らしい。やはりいくらお母さんがラオス人とはいえ、ラオ
スに住んだことがないタイ人にとって、上手にタイ語を喋るのは不可能であろ
う。

しゃべったとしても、関東人が大阪に来て、関東訛りの怪しげな関西弁を喋る
みたいでかえって不自然だろう。

アナンダーの声をラオス人の吹き替えにしたのは正解である。去年の3−4月
にタイのチャンネル7で放映された、アレクサンドラーちゃん出演のTVドラ
マ「リム・ファン・コーン」でもサンドラーのお母さん役(つまりラオス人役)
の台詞はおかしかった。

ラオス人役のくせに、発音はタイ語訛り、単語もタイ語が混じっていた。多分
バンコクで生まれ育った人なので、きちんとしたラオス語は無理なのだろう。
タイ人にとって問題ないかもしれないが、ラオス人からすれば文句をつけたく
なる点であろう。

ちなみにタイ語版は、ラオス語の台詞には字幕がついている。バンコクの人が
聞いたら分かりにくいからだろう。

カムリーちゃんのお母さんによると、映画の最初で流れるラオスの有名な革命
家「ドウアンサム・コーイ」。これもタイ語版では別のタイの歌らしい。タイ
の映画館で見るとまた違いもわかるだろう。

ラオスでの公開の前にバンコクでも上映がおこなわれた。この上映には寮都学
校のOBやOGがたくさん来ていたらしい。日本やフランス、アメリカ、オー
ストラリアでも上映される予定とか。

したがって、日本のみなさんも見るチャンスがあるだろう。ラオスを宣伝する
いい機会である。寮都学校のOBやOGは全世界にいる。もしフランスでも日
本でも映画館で放映されたら、きっとたくさんの同窓生が見に行くだろう。

わたしの感想。

ひと言で、いい映画だと思う。ラオスの自然も美しいし、ラオスにもカムリー
ちゃんのような清楚で聡明な美人がいると知ってくれたら、ラオスに住んでい
る日本人としても嬉しい。これを見たタイ人も、ラオスのことを見直してくれ
るかもしれない。

映画でいえば、過去にタイの会社がラオスのサッカー・チームのことを馬鹿に
した映画を作って、結局は上映できなくなった事件がある。

06年5月18日より公開予定だったサッカーのラオス代表チーム=コーチは
タイ人を題材にしたコメディー映画「マークテ ロークタルン(Lucky Loser)」
に対し、ラオス政府が不快感を表明、急遽公開が中止になったようです。

ストーリーは、タイとラオスの代表チームがW杯出場を掛けて競い、ラオスが
勝ってW杯に出場するという内容。ラオスの国旗マークが入ったユニフォーム
を着たラオス人選手が、日本のサッカー選手のように髪を金髪にカラーリング
したり、市場でスイカをボール代わりに練習したり、寒さに慣れるのに冷凍コ
ンテナに入ったり等のシーンが問題になっているようです。

また、過去にはタイ人歌手のラオス人女性に対する問題発言もあったから、こ
ういった問題を洗い流してくれるだろう。一昔前の日本人の韓国人・朝鮮人に
対する差別・偏見も「ヨン様」の出現で改善されたと思う。

ということでこの映画は両国の相互理解に貢献する本当にいい映画だと思う。

やはりどこの国にも、きれいな人、ハンサムでカッコイイ人、頭がいい人、性
格のいい人、こういった素晴らしい人はいる。これが分かれば、世界はきっと
平和になるだろう。

日本の皆さんにも是非見て欲しい映画である。ちなみにカムリーちゃんのお母
さん、「日本人のいい男性がいたら是非、娘を紹介して」とのこと――――。

                        = この稿おわり =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ お寄せいただきましたご意見や感想 ┗━┛
┌──────────「ラオスに住む者さん」20代@男性@会社員@海外 主演俳優の二人が、国籍は違えどラオスの親を持つ点など、興味深い記事だっ たので楽しく拝見しました。 基本的にはラオスとタイとの間の話で記事が終われば良かったのですが、下記 の件は必要ないかと思います。 ┌-------- 一昔前の日本人の韓国人・朝鮮人に対する差別・偏見も「ヨン様」の出現で改 善されたと思う。 └-------- メディアがブームとして作った韓流において、その中心的な役割を担った彼ら が、実際日本で何をしているのか? 彼らが何を思い、自分の国で何をしてい るのか? 取り繕った日韓友好では解決しない、根本的な問題が潜在していることを頭に 入れたほうがいいと思います。
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
桜ちゃんのパパからご返事がありましたら、ここに載せますね〜♪ └────────── ┌──────────「エド・スポックさん」40代@男性@会社員@関東 ラオス映画「サバイディー・ルアンパバン」をYouTube で鑑賞しました。タイ 語もラオ語も分からない私ですが(ついでに英語も怪しい)、非常に佳作な作品 といえます。 昔、教育テレビでアジア映画劇場という番組があり、中国、韓国、香港、台湾 ベトナム、カンボジア、その他諸々の国の作品を上映しておりました。ラオス 映画は「レッドロータス」を見逃したのは痛恨事でした。 そのレッドロータスを検索していて行き着いたのがこの映画でした。 ラオスと聞いてイメージするのは、子どもの頃のラオス内戦。右派、左派、中 立派と三つ巴の内戦に、アメリカや周辺諸国が絡み泥沼状態、ビエンチャンは 東洋の隠花植物と言われる程でした。 そんな知識しかない私でも、ラオ語もサバイディーとコープチャイしか知らな い私でも心が洗われる思いでした。日本でも字幕付きDVDださないかなぁ。 最後に質問。寮都⇒漢字でビエンチャンの意味ですか?
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
さて、ラオスはネット接続状況が良好ではないらしくて、桜ちゃんのパパさん とはなかなか連絡が取れないので OJIN が分かる範囲でお答えいたします。 ラオスの首都ビエンチャンは中国語では「万象」です。ラオスの華僑は客家が 多いようなので、寮都学校の寮都は客家語での何かの意味になるんじゃないで しょうか?「寮都学校のレベル:ビエンチャン華僑学校
└────────── ┌──────────「エド・スポックさん」40代@男性@会社員@関東
OJIN さんコープチャイ! 客家語が由来かもというお説はこれまた興味を引きますね。ラオス在住華僑と 一口にいってもいろいろな出身地がありますからね。 会社でもサバイディー・ルアンパバーンを色んな人に勧めちゃいました。 特に、ビエンチャン空港の支援をしている社員に一押ししときました。 http://www.jalux.com/recruit/2011/syoukon/vientiane.html 皆様にオススメの本があります。 「ラオスに捧げたわが青春―元日本兵の記録(ハードカバー)」著者の山根良人 さんは戦後ラオスに残り、王国軍の大佐にまで累進した方です。 一応アマゾンのサイトをご紹介しておきますね。 http://chinachips.fc2web.com/tiny/091026.html ではではまた
└────────── ┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」
外国に住んでおりますと、なにが不便といって、読みたい本を自由に手に入れ ることができない!ーーーなのでございます。(-ε- ) 引越しの時は大変ですけれど OJIN はかなりの蔵書がありますので、読んでか らしばらく経ったものを2度読み3度読みして飢えを凌いでおります〜〜〜 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ ┌-------- │ LAOS(ラオス)の情報 ・・です!! │ http://members.tripod.co.jp/kengchang/ └-------- ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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