「遥かなり台湾」 ――――― 主宰者KISOU3さん
☆ 台湾の歴史教科書「認識台湾」 ―――――――――― 2003/06/20

皆さんは、台湾の年配者にどうしてそんなに日本語の達者な人がいるのかと、
疑問に思ったことはありませんか。ぼくは、ある時、知り合ったばかりのおば
あさんにその事を聞いてみたのです。でも答えを聞いて「あ〜あ。こんなこと
聞かなければよかったなあ。」とあとで後悔したのです。どうしてかって?

それは、こういう答えだったからです。
「わたしたち戦前の人は、悲しい事に日本語しか話せないのよ。」
ああ、このような人たちがいることを、果たしてどれだけの日本人が知ってい
るのでしょうか。

そして、そのおばあさんに「日本はどうして台湾を見捨てのですか。」と聞か
れ返答に窮したのです。彼女たちは、国籍欄に日本と記載されていないだけで
紛れもなく日本人なのです。もしあなたが彼女のような立場だったら今の日本
をどう思うでしょうか?

●前回42号でもふれましたが、現在台湾では、中学生の歴史の授業に「認識
台湾(歴史編)」という教科書が使われています。この教科書を見て感じる事
は「日本統治時代」のことを客観的な尺度をもって評価しているのに驚かされ
る日本人が多いのではないでしょうか。

「戦前の日本は、軍国主義の下で韓国や台湾を武力侵略し植民地にした。現地
の人を差別し、皇民化政策の一環として日本名に改姓させた。云々。」と教え
られてきた戦後の日本人の一人として(この教科書は日本語版もでていますの
で、)是非取り寄せて、台湾における日本統治時代を再認識してもらいたいと
思っています。
┏━┓
┃1┃895年、当時の清の国から台湾を割譲した日本政府は、台湾で現地の
┗━┛人と直接接触する機会の多い日本人(警官、教師など)のために台湾語
大辞典を編纂、「台湾語」を勉強するよう奨励し、台湾人には日本語教育を施
したのです。日本統治時代が終わる頃には、日本語のわかる人が75%にまで
達していたのです。

当時の台湾人にとって、日本語は生活手段の言語だけなく現代知識を吸収する
言語となり台湾社会の文明化に大きな役割を果たしたのです。(認識台湾 P72)
では戦前の台湾の文明化をどのように進めたのか、を知る手掛かりが、上記の
教科書の中に記述されていますので紹介してみましょう。
┏━┓
┃時┃の日本政府が最初にやったことは、当時台湾社会に蔓延していた悪習(
┗━┛纏足、辮髪、アヘン)を徐々と禁止していったことです。それと共に、
次の三つの観念を徹底的に植え付けていったことにより、社会が、従来と大き
く変遷したのです。

(1)時間の観念

総督府は、週制度と標準時間制度を台湾に導入し、官庁、学校、工場なども就
業と休息の規定を制定し、職員や工員、学生に規律を守るように厳しく要求し
たのです。

たとえば勝手な遅刻早退を許さず、出勤、退勤時間を守らせ、汽車やバスの時
刻表を定め乗客の便を図ったのです。1921年からは、日本国内に合わせて
毎年6月10日を「時の記念日」と定め、官庁や団体などを通じて講演会やパ
レード、或いは音楽会を行い、ポスターを貼り、ビラを配るなどして時間の重
要性を宣伝し、時間に正確であり、時間を守り、時間を惜しむ精神の養成を期
し、民衆に日常生活における時間の標準化と時間厳守の啓蒙に努めたのです。

(2)順法精神の確立

総督府は警察力を強化し、犯罪防止と治安維持を厳密に行い、民衆が射幸心で
法律を犯さないようにしたのです。同時に、学校や社会教育を通じて近代法治
観念と知識を植付け、法律や秩序の重要性を学ばせ、それに加えて司法は公正
と正義を維持する事で民衆の信頼を獲得したのです。この影響で、民衆は秩序
を重んじ、規律を守るなどの習慣を養い、遵法精神を確立したのです。

(3)衛生観念の確立

総督府は日本植民地統治の当初、水道を敷設して都市住民にきれいな飲料水を
供給し、都市の地下排水工事を行い、各家庭の玄関にはゴミ箱を備えるよう定
め、規定通りに廃棄物を処理させ、保甲組織を動員して定期的に地域環境の清
掃活動を実地し、さらに予防注射、隔離消毒、ネズミ捕り、強制採血、そして
薬の供給といった防疫事業を実施するなどの、近代的な公衆衛生と医療制度の
確立を積極的に行ったのです。

これによりペスト、マラリア、コレラ、腸チフスなどの伝染病の退治に努め、
かつ台湾人の公衆衛生と医療衛生に対する観念と習慣が改められたのです。

●このような観念や習慣を植え付けられことは、戦後、台湾で支配階級だった
外省人(戦後中国大陸からやってきた人たち)に対する台湾人の近代文明人と
しての最低限の証であり、密かな優越感をもたらすものだったのです。
┏━┓
┃こ┃の教科書は発行当初、主に外省人から「親日」「媚日」「植民地美化」
┗━┛といった罵声を浴びせられました。でも従来の教科書は、この時代につ
いて「日本の残暴統治50年」といったひと言で片付け、その実情については
あたかも存在しなかったように何もとりあげてこなかったので、戦後生まれの
多くはこの時代について全く知識がないのです。

本書ではこれを初めて取り上げ、全体の4分の1と多くのページを割いていま
す。しかも記述は公正にして的確で、どこかの国のように、反日政策に基づく
歴史の書き換えは見られないのが特徴です。(蔡易達氏) 

● 参考:台湾国民中学歴史教科書《台湾を知る》
     発行所―株式会社雄山閣
     定 価―1500円(税別)

――以上の記事は、メルマガ「遥かなり台湾」より転載させて頂きました。

                           = おわり =
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◆メールマガジン「遥かなり台湾」http://www.mag2.com/m/0000094177.htm
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◇台湾には戦前(1945年以前)多くの日本人が住んでいました。この人たち
にとって台湾は永遠に心の故郷なのです。その故郷の台湾が、当時どんな様子
だったのか興味があって本を自費出版するほどのめりこんでしまいました。
戦前のだけでなく、今の台湾も体験談を交えてどんどん紹介していきますよ。

◆「遥かなり台湾」ホームページ http://members.goo.ne.jp/home/kisou3/
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◇台湾に住んで10余年になります。台湾は日本人の知らない事がいっぱい。
これまで台湾に関する本を出したけど、台湾で出版したので日本の方にはほと
んど知られていません。多くの人たちに、もっともっと今と昔の台湾のことを
知ってもらえたらいいなあ。

◆台中会のホームページ:
 http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Cassiopeia/5904/

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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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