☆ 原油高騰は‘世界の農業’を見直す良い契機 ――― 2008/05/28
by はぐれ雲さん
原油価格高騰により「原油価格と穀物価格が連動するメカニズム」が定着して
しまった。バイオエタノール用穀物の耕地面積の増減は、他の穀物の耕地面積
減増となり、結果として様々な穀物の生産量に影響するメカニズム、昨今の原
油価格高騰は食糧用穀物の供給不安感を強めている。
更に、急激な穀物価格上昇は投機家の格好の標的となり、穀物価格上昇に拍車
を掛けている。穀物価格上昇は、穀物を素材とする全ての食品の価格上昇を招
き、インフレを加速させる。
「便乗値上げもつきもの」である。特に国際流通量の小さいコメの国際価格上
昇は、コメを主食とするアジア・アフリカ諸国、特にコメ輸入依存国では大き
な社会問題に発展している。暴動も発生しかねない緊迫した状況にある。
他方、原油高騰=燃料高騰は、コストの大半を燃料が占める漁業にも大打撃と
なっている。水産物の値上げも必至である。家畜・家禽の食肉類に加え、水産
物まで値上げされれば、一般庶民の家計に与える影響は多大である。
アメリカ政府は未だにバイオエタノール生産を奨励している。
ブッシュ大統領は「食糧価格の高騰は、中国やインドの消費増加によるもので
バイオエタノール増産には無関係」と居直っており、アメリカ国内のバイオエ
タノール生産を規制する兆しは全くない。
そればかりか、先日、米上院で農業法案が圧倒的多数で可決された。農業補助
金の総額は2890億ドル≒30兆円)、大統領選挙前の人気取り法案である
事は明白、農業経営者に純益となる多くの補助金が含まれる‘ばら撒き’法案
である。
従来の農業補助金は、農家の所得保障という面と、アメリカ農産物の国際競争
力強化=輸出拡大を資金的に支援するという面がある。農産物価格が異常に上
昇している現状では、両面ともその意味合いは薄れている。
アメリカ国内では、つい先日まで農業補助金の削減まで議論されていたが、上
院での決議は全く逆である。補助金は多分、より利益の大きいバイオエタノー
ル生産拡大の為の設備投資資金に使われる可能性が大きい。
バイオエタノールでは最大の競合国ブラジルは怒っているだろう。富裕者階層
の多いアメリカの農業経営者を、更に手厚く保護する法案である。他方、小作
人・雇われ農民(殆ど移民である)には農業補助金は殆ど回らない。奴隷状態に
なっている者も多く、その数は最近急増しているという報告もある。
原油高騰でぼろ儲けするアメリカ農業経営者、ここにも「風吹けば桶屋が儲か
る」桶屋がいる――――。
投機家は食糧不足の危機感を徒[いたずら]に煽る。一方、農家は生産コストを
価格転嫁できるか否かが死活問題になっている。今までは、人件費=生活費を
削りコスト・アップ分をカバーし耐え抜いていた。原油価格は生活費削減でコ
ストカバーできる限界点を超えてしまったようだ。
見方を変えれば、農産物値上げの絶好の機会でもある。値上げの理由も明白で
ある。ーーー全世界が食品価格値上げに走っている。
日本の場合は、今まで農産物価格が安過ぎた事も値上げの背景にある。生活コ
ストの安い中国や東南アジアの農産物や、大型であり機械化された米・豪の生
産コストは圧倒的に安い。中国や、米・豪などの農産物価格に合わせようとす
れば、日本の殆ど全ての農産物価格はコスト以下にせざるを得ないのが実態で
ある。
更に、流通業者が強制的に価格を引き下げさせていた背景もある。酪農品・乳
製品も同じだろう。「戦後の商品の優等生」と言われている「鶏卵」、視点を
変えれば「最劣等生」とも言える。長期に亘り生産コスト上昇を価格に転嫁で
きなかった代表だからである。
コストを無視して決定されてきた農産物市場価格、今後の為にも価格メカニズ
ムを見直す、絶好の機会である。長期的展望を持った望ましい価格メカニズム
を、是非検討してもらいたいものである。
世界中で食品価格が高騰、貧困者の多い地域では暴動に発展し始めている。特
に国際的流通量が小さいコメの価格上昇は急激である。買占めも多い筈だ。だ
が、本当に不足なのかは疑わしい。
コメに関して言えば、今年は確かに地域的に不足するかもしれないが、来年は
生産過剰になる可能性がある。価格が上がれば、生産意欲が沸き、更に、休耕
田を復活させれば生産量が増える。
コメ価格上昇はコメ農家にとっては天の恵みである。生産量確保は問題無い筈
だ。被害者は農民以外の一般庶民。問題は価格である。どの程度が適正価格な
のか、国によって異なる。
「原油価格と穀物価格が連動するメカニズム」を根本的に見直さなければ、否
応無く食品価格は高騰する。この数年間、‘投機家に好き放題やらせたツケ’
が、今、全世界で「値上げの嵐」として吹き荒れ始めている。
毎日100億ドル以上純益を上げている小数の産油国・メジャー、それを65
億人で負担している人類、正に「地球規模の貧富格差問題」である。政治力で
しか解決の道はないようだ。
日本は、外米を買った時の値段をベースに輸出すれば良いだろうに…、所詮、
在庫されている外米の国内の行き先は、飼料用しかない。もったいない話であ
る。
現状の国際価格からすれば充分余裕がある筈。買った時の値段をベースにその
後のコストを積み上げても、倍以上に高騰している今の国際価格よりは安くな
るに違いない。ーーー在庫処理と食糧支援、一石二鳥だろう。
= おわり =
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この記事は、ブログ「さまよえる団塊世代」より転載させて頂きました。
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