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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
☆ インド人にヤクルト!どれだけ売れるか? ―――― 2009/09/25
5年程前ニューデリーに駐在していた頃、ヤクルトの担当者が「インドでヤク
ルトの製造・販売を検討しているので協力して欲しい」と訪ねてきた。

色々インドの実情を説明し、種々アドバイスした事がある。

インド人、食に関しては極めて保守的である。新食品・飲料を売るのは至難の
技であり、市場開拓は極めて難しく、しかも10年、20年という単位の時間
がかかる。

ピザやハンバーガーは、チャレンジ開始しから既に25年以上かかっている。

しかも国民の大半が貧困者、知的レベルも低い。だが裕福な人も多い。10%
でも1億人を超す。潜在的市場は大きい。

販売戦略・戦術をどのように設定するか、特に‘インディアンタイム’に経営
者がどこまで我慢できるかが一番大きな問題と感じた。あれから5年、インド
は着々と変わってきている。味の素も醤油もインド食生活に入り始めている。

当時、ヤクルト社は海外25ヶ国で事業展開、一日で約2500万本のヤクル
トを販売していた。残された最後の(将来的)大市場であるインドに挑戦する決
意を固めたが、ある程度の困難は覚悟の上だったようだ。

販売システムは全世界共通のヤクルト流、ヤクルトレディーによる宅配販売と
店頭売り、価格は一本約20円、1セット5本入り100円で設定してFSを
行った。

1〜2年はインドネシアの工場から輸入して販売促進する計画であったが、イ
ンドネシアからインドまでの航海日数、インドの悪評高い通関、インド国内陸
輸送日数等を考慮すると、賞味期限の兼ね合いでリスクが大きいとアドバイス
した結果、

ヤクルト社は早めに現地生産体制を確立し製造・販売する計画に切り替えた。

ヤクルト社は、2995年にフランス・ダノン社と折半出資で現地法人を設立
将来的(5年先の2010年)販売目標は一日50万本、総投資額は34億円と
発表した。

2007年末に工場完成、2008年初頭から販売開始、バイクに乗ったヤク
ルトレディーはニューデリーで話題になった。販売開始時はヤクルトレディー
を150人ほどにし、1000店舗で販売する計画であった。

2008年度は一日平均販売数を5万本に設定した。値段は、5本入り50ル
ピー≒100円、計画通りである。2008年度の結果は一日1万本が最高販
売数だったらしい。ヤクルトレディーも現在は40人程度と、計画よりかなり
少なくなっている。投資額もそれなりに減っているだろう。

「苦戦しているのでは」と思ったが、数日前、ニューデリーに続き、ムンバイ
で販売開始するというニュースが飛び込んだ。売り方はニューデリーと同じで
ムンバイ地区の当面の販売目標は一日3500本としている。

当初の目標値50万本から見れば大幅な縮小である。採算が合うのだろうか?
数年先には売れるという確信があるのだろうか? それとも他に何か野望があ
るのだろうか?

インドには、ラッシーというヤクルトの味に似た飲料がある。味に関しては問
題はない。むしろインド人好みの味である。

インドの糖尿病患者数は世界一、糖尿病対策・予防策を考えているインド人は
多い。一本85mlのヤクルト、一気に飲み干せる量で20円、高いと思うイン
ド人は多いだろうが、20円程度の物なら値段など関係ない、むしろ「効用の
ほうが大事」と思うインド人も多い。

スーパーやショッピングモールが急増しているインド、宣伝の仕方で急変する
かも知れない。映画スターやクリケットのスターを活用し、大々的にテレビコ
マーシャルをやったり、ハイレベルの病院が認定し活用してもらい宣伝すると
か、拡販のやり方は幾らでもある。

「嗜好品販売はPR次第」である。商品として認知されれば、「50万」とい
う数字はインドではそう大きな数字ではない。頭を使えば何とかなる数字だろ
う。糖尿病患者は数千万人いる。メタボも多い。糖尿病予備軍は数億人いる。

ムンバイ地区で一日3500本売っても、売り上げは7万円、一ヶ月で210
万円、当初、総投資額は5年間で34億円相当と計画していたが、販売計画に
沿って縮小されているだろう。

それにしても採算に合うとは思えない。プロジェクトの真意は、他のところに
あるような気がする。10年、20年先のことを考えているのかもしれない。

余裕だろうか…。インドは実験場でもある。赤字額も、ヤクルト全体にとって
大した金額ではないだろう。パートナーであるダノンも資金力がある。ダノン
にとってインドは、裁判沙汰でもめている中国より面白い市場だろう。

ヤクルトはプロバイオティクス(有用微生物)の世界のリーダーになる事を基本
戦略として謳っていた。一方、今後インドで必ず注目されるのは「発酵技術」

ヤクルト社は起死回生の秘策を練っている事だろう。聞いてみたいものだ。

                        = この稿おわり =
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