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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
☆ インド版靴投げ事件・インド的冗談!皆大笑い ―― 2009/04/10
7日、インドのチダンバラム内務大臣(テロ担当)の記者会見の場で、質問した
シーク教徒の記者が大臣に向けて「靴」を投げる事件があった。

記者の質問内容は、1984年に起こった「シーク教徒弾圧事件」に関してで
あった。記者は「当時与党であった国民会議派の治安担当者の責任をCBI=
インド中央捜査局が真剣に捜査せずうやむやにしてしまった事に対する抗議」
を意図していた。

多くのシーク教徒は「当時の内務大臣がCBIに圧力をかけた為」と思い込ん
でいる。

インド政府は、CBIの捜査結果に基づき、事件には「国民会議派は関与して
いない」と結論付けたが、未だ納得していないシーク教徒も多い。それが、同
じ年に発生したインディラ・ガンジー暗殺事件にまで発展してしまった。

今回も、チダンバラム内務大臣は従来と変わらず同じ返答をしたので、記者は
怒り心頭興奮し、大臣めがけ自分の靴を投げてしまった。ーーー今のマンモハ
ン・シン首相も国民会議派のシークなのだが…、インドは不思議な国である。

「靴投げ」行為は、バグダッドでのブッシュ前大統領に対する「靴投げ」が起
源、大物政治家に対する「靴投げ」は、ケンブリッジ大学での温家宝首相、ス
トックホルム大学での駐スウェーデン・イスラエル大使、その他「靴投げ」デ
モンストレーションは世界各地で行われている。

当然、インドでも有名なデモンストレーション行為である。

チダンバラム内務大臣は、即座に「Take him away!」.……「Please, take
him gently, gently」=「記者を部屋の外に出せ!」と言ったが警備員が荒々
しく扱いそうだったので、慌てて「手荒に扱わず、優しく、優しく…」と言っ
て、その後スピーチを続けた。

「私は彼を許そう。感情の高ぶった一人の行為で記者会見の場をハイジャック
されてはならない。私は彼の質問には最善の答えをした。記者の皆さんがご覧
になった通り…」

部屋の外に出された記者は警察に引き渡され、警察は短時間尋問してから放免
された。

記者は「馬鹿なことをやってしまったかもしれない。遺憾である」「しかし、
25年間も無視され続けた積年の怒りを晴らす為には、こうするしか方法がな
かった」と‘悪びれず’に答えたそうだ。

警察は「被害当事者が大事にしたくないと望み、今回の事件を単に感情的爆発
と捉え、彼の行為を許し、無視しているので罪は問えない」とコメントした。

この種の事件の場合、インドでは母親や奥さんのコメントが出ることが多い。
母親も嫁さんも「馬鹿だね〜。あんな馬鹿な行為はやるべきじゃない…。大臣
の寛容な心と優しい扱いに感謝します」と…。

シーク教徒の女性は太っ腹な女性が多い。似たもの夫婦…?シーク全体の特徴
だろう。

記者の勤務する新聞社は「懲戒免職を検討」と発表した。

一方、シーク政党「アカリ ダル」は記者の行為を「COURAGE and BRAVERY」
と称賛し、20万ルピー≒38万円)の現金を報奨金として彼に与えると発表
した。

バクダッドのブッシュ靴投げ記者は「禁固3年」の判決が出たが、先日「禁固
1年」に減刑された。禁固3年は、政府が「公式に招いた国賓」に対する無礼
な行為故、それ相当の刑は免れ得ないとしたのが判決理由だった。

その後、イラク国民の60%以上は彼の無罪をアピールしており、それを考慮
した減刑だろう。ーーー多分、初めから決めていたのだろうが…。

シーク教徒=ターバン、インドのシンボルの一つであるが、人口の約1.5%
1700万人しかいない。インドではマイノリティーである。名前は100%
シン(Singh=獅子)。体型は大柄で女性は美人が多い。

男性の顔の輪郭はハッキリしており、ターバンのせいで目が釣り上がって見え
る。目は大きい。鼻も大きい。髭は刃物で切ってはならない戒律。従い、風貌
は如何にも‘獰猛’に見える。

他方、普段の性格は至って優しいが「単純」「熱しやすく熱すると直ぐ行動に
でる」「頭の中は空っぽ」と揶揄され、インドのブラック・ジョークの90%
以上はシーク教徒をからかったジョークと言われる。

シーク教徒もそう思われている事を熟知しており、自らシーク教徒をからかう
ジョークを言って楽しんでいる。真に単純で愉快な連中である。

今回の事件、またブラック・ジョークのネタが一つ増えたようだ。

「靴投げができるのは記者の特権」「一度、実際に靴投げ遊びをやってみたい
ものだ」「今回は絶好のチャンス、シナリオを寝ずに考えたのだろう」「シー
クの考えそうな事だ」「本当にやってしまった」「シークじゃ仕方がない、許
してやろう」と。

インドの「靴投げ」事件の対処の仕方、「大らかさ」の中に「笑い」がある。

ーーー日本にはない文化かも知れない。

                        = この稿おわり =
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