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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
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☆ インド‘パブ文化’の是非を巡り激論 ―――――― 2009/02/13
外資と共に海外の異文化がインドに流入、ヒンズー文化に影響を与え始めてい
る。ーーー異文化の経営手法、特にサービス部門では、ヒンズー文化と衝突す
る事もある。
先月、南インド・カルナタカ州のマンガロールという街で‘パブ’が襲撃され
る事件が発生した。襲撃したのはヒンズー教至上主義者の極右翼組織メンバー
「パブなどの風俗店はヒンズー文化を汚す」「パブ文化の繁茂・繁栄を許さな
い」と主張しての襲撃で、組織メンバー32人が拘束された。
基本的にヒンズー教徒はアルコールを飲まないし、女性蔑視的な慣習がある。
今ではかなりの数のヒンズー教徒がアルコールを飲むようになってきている。
「アルコールを飲むまでは許容範囲」だが、「パブで若い男女がアルコールを
飲みいちゃいちゃしている」ーーーそれがヒンズー文化を極度に重んじる至上
主義者には我慢できなかったのだろう。
カルナタカ州の議会では、パブ文化を巡って激論を交わしている。
国民会議派はパブ文化に寛容な立場、インド人民党はパブ文化の浸透に反対の
立場を表明している。
カルナタカ州の州都バンガロールには、既に多数のパブがある。ビジネスで訪
れる外人も多い。今更、パブを規制する事はできないだろう。風紀が乱れると
して「女性客立ち入り禁止」にしたり、店内での「女性従業員活用禁止」にす
れば、それこそ男女差別になり大騒ぎとなる。
毎年2月に入ると、インドで必ず話題になるのが、バレンタインデーの是非を
巡る議論である。「バレンタインデーは西洋の卑俗な文化・慣習で、ヒンズー
文化にはそぐわない」という意見が主流である。
インドでは、結婚相手は親が選び、親が決めるのが慣習であり、常識である。
男女を問わず、殆どのインド人は今でもそう思っている。
最近、恋愛結婚や異教徒間結婚、国際結婚も増えているようだが、インド全体
で見れば稀なケース、例外である。そんなインドで、「女性が男性に愛を打ち
明ける」などという行為はとんでもない事なのだろう。
インドではレイプ事件が多発する。ーーー被害者は「男性を挑発するような衣
装を着てるケース」や「襲われる可能性のある危険な場所での事件」が多い。
一般的意見は「挑発的な衣装を着て歩いているほうが悪い」「そんな衣装を着
る事を許した親が悪い」「危険な場所に行くほうが悪い」「襲って下さい、と
いっているようなものだ」…。ーーー男女を問わず、こうした「被害者を責め
る意見」が圧倒的である。結局、加害者は滅多に捕まらない。
欧米文化がビジネスとして流入し、欧米風の施設も増えている。
ラジャスタン州首相は「ショッピング・モールなどで、公衆の面前で男女が手
を繋いでウロツクような文化を排斥したい」「男女がパブなどのような場所で
同席すること自体が下品な行為」「パブ文化廃止は州の為」と主張している。
また、インドでは、グジャラート州のように「禁酒の州」もある。
マンガロールのヒンズー教至上主義の指導者は「襲撃行為は間違いであり、陳
謝する。だが、パブ文化排斥の行為自体は、女性を守る活動である事を理解し
て欲しい。我々は女性を尊重し、母の地位に敬意を表している」と理解を求め
ている。
とかく「女性蔑視」と「階級差別」が混同され批判されるヒンズー社会。確か
に様々な差別が慣習として残っている。「ダウリ」や「サティー」などは典型
的差別慣習だろう。
だが、女性の社会進出はかなり進んでいる。政界や経済・実業界で活躍してい
る女性も多い。ある既婚のインド男性に「来世はどんな人間に生まれ変わりた
いか?」と聞くと、「裕福な家庭の女の子に生まれ変わりたい」と答えた。
ーーー「一生、楽しく遊んで暮らせるからだ」
実際、一見「女性蔑視」に見えるが、家庭に入ると立場は逆転、母権が強い。
食事選択権などは母親が完全に握っている。家庭の重要事に関する発言権も強
い。ベジタリアンかノン・ベジタリアンかは、母親がどちらかで決まる。
金銭的に夫に完全保護されている女性も多い。当然18歳以上は男女・カース
トを問わず選挙権が与えられている。政治的主張も行動も自由である。
パブの是非を巡る論議、風紀に関する考え方、男女に関する考え方、日本の戦
前の考え方に似ている点も多い。戦前の日本、男女共学の場もないし、公共の
場では夫婦ですら手をつないで歩かなかっただろう。ましてや赤提灯で男女が
飲みあう事もなかっただろう。
女性のファッションや化粧も天地の差がある。当然、バレンタインデーなど知
らない時代である。乱れ過ぎた現在社会を見ると、どちらが良かったか、判断
に迷う。どちらも良い点もあり、悪い点もあるのは判るが――――。
インドには様々な顔がある。
既に大都市では欧米文化がかなり浸透し、インド政府は許容している。だが、
許容しない州もあり、許容しない宗教家も政治家もいる。これからも延々と議
論され続けていくのだろう。
どちらが良いかはインド人が決める事、今までのヒンズー文化に満足している
インド女性も多いが、悲劇に遭遇している女性も多い。多様な文化、全て寛容
・許容することは難しい。ーーー議論し続ける、これがインド的なのだろう。
= この稿おわり =
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