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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
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☆ 何故トリウムを開発しないのか? ―――――――― 2009/02/04
エネルギー問題、地球温暖化問題に端を発し、クリーン・エネルギーとしての
原発が脚光を浴びている。ーーー不況脱却の為の経済政策=大型公共事業とし
て、巨額な資金と多量の建設資材を必要とする原発は格好のプロジェクトにな
る。
今、世界が注目しているのがインドである。
昨年「印米原子力協力協定」が締結され、原子力供給グループ(NSG)が本協
定を承認して以来、各国の官民合同・原発関連ミッションがインドを頻繁に訪
れている。
インドは、2011年から「原発開発計画第3段階」に入る。
既にロシアが2基受注、フランス・アレバ社が2基ほぼ受注(2月に調印予定)
アメリカのウェスティング・ハウス社とGE社が交渉中、昨日はカザフスタン
と原発燃料用ウラン購入で覚書を取り交わした。
イギリスは原発関連機器・資材の売り込み、カナダやオーストラリアはウラン
を売り込もうとしている。インドの民間企業リライアンスも原発建設を検討し
ている。
原発建設ブームはインドばかりではない。
東芝がアメリカの原発2基受注、湾岸諸国・エジプトなども検討中である。当
然中国もロシアも、天然ガス供給不安を抱える欧州も検討している筈である。
チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故を忘れた訳ではあるまい。
「平和利用」といっても「事故が絶対起きない」という確証はない。「事故は
絶対起こる」と思ったほうが正しいだろう。10年20年という単位の問題で
はない。
50年後100年後200年後どうなるかという視点で真剣に考えるべきだろ
う。プラントの老朽化の問題がある。放射性物質廃棄物処理の問題がある。テ
ロリストの格好の攻撃対象にもなる。
人的災害も怖いが、自然災害の可能性はもっと怖い。あまり報道されなかった
が、スマトラ沖津波の時、チェンナイの原発はかなり危うかった。津波に襲わ
れた直後、インド政府関係者が原発に駆けつけ、安全を確認し胸をなでおろし
ていた。
ウラン資源の問題もある。
現在のウラン埋蔵量はオーストラリア25%とカザフスタン17%と、2ヶ国
で42%と偏っている。その他の埋蔵国は、カナダ、アメリカ、南ア、ナミビ
ア、ブラジル、ニジェール、ロシア…、
大消費国になるだろうインド・中国にはウランがない。石油や天然ガス以上に
埋蔵国が偏在しており、しかも埋蔵量も限られている。原発燃料としての低濃
縮ウランは、天然ウラン埋蔵国同様、ウラン濃縮・ウラン再利用が可能な国も
偏っている。
ウラン濃縮技術があれば、核兵器への転用が可能となる。核不拡散の観点より
「原発用核燃料の開発を放棄した国に、見返りとして核燃料を適正価格で供給
する」という「核物質管理構想」がある。
日本は、非核兵器保有国の中で、唯一例外としてウラン濃縮と再処理が認めら
れているが、国際的批判もある。中国などは批判国の急先鋒である。
このまま原発建設が進めば、2015年頃には核燃料不足の問題が発生する。
その頃は日本は核燃料輸出国になる可能性もある。それが「核物質管理構想」
であり、日本政府も水面下で検討中の筈である。
インドはNPT非加盟国であるが、NSGは例外として印米原子力協力協定を
認めた。核兵器保有国だけが認められてきた「核燃料開発特権」体制が徐々に
崩れかけている。
イランの主張が認められないのは、「イランが‘ならず者国家’故に認められ
ない」「‘イランは信じられない’ので認められない」というアメリカ流の感
情論が浮き立ってしまっている。国際法では一国の感情論など認められないだ
ろう。
インドはイランの核保有には反対しているが、イランの心情には理解を示して
いる。矛盾しているように見えるが、インドは核廃絶を訴えている国の代表格
でもある。パワー・バランス上、核保有を決めた経緯がある。
矛盾だらけになってしまった世界、
地球温暖化問題を考えるばかりに原発建設を急げば、その延長線上に様々な危
険が待ち受けている――――。以前にも書いたが、何故にウラン代替であるト
リウムを平和利用しようとしないのか?
トリウム活用の研究開発を真剣にやっているのは、唯一インドだけである。
インドの原発開発第3段階の最終目標は「トリウムサイクル」の実現である。
トリウムは「ウランの代わりとなる核燃料であるが、核分裂性核種を含んでい
ないので核兵器用には不向き、放射性廃棄物排出量も極めて少なくて済む。埋
蔵量もウランと比べれば格段と大きい。採掘も精錬も容易である」という事が
実証されている。理論的な事はよく判らないが…
「核兵器に不向きなのでトリウム活用を放棄した」というのが歴史的事実であ
る。大国のエゴだろう。トリウム原発は、1970年代にアメリカで試運転さ
れ成功している技術である。
インドにとっては喉から手が出るほど欲しい技術だろう。
今、世界の転換期、
22世紀のエネルギーといわれている「トリウムサイクル」の開発に数兆ドル
使っても良いのではなかろうか…。そうしないと核のリスクが世界中に広がっ
てしまう――――。
世界には様々な国があり、様々なイデオロギー・宗教があり、様々な人間がい
る。管理できない事も多い。テロリストの根絶も不可能だろう。人間には不可
抗力に近い大自然、
ーーーウランを燃料とする原発を増設・拡散する事のリスクは大きい。
= この稿おわり =
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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