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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
☆ ムンバイ・テロ事件 ―――――――――――――― 2008/12/03

ーーームンバイの人口は4種類?(11/28記)
世界のマスコミが報道したムンバイ・テロ事件。ムンバイ市の人口を紹介して
いるが、担当者は大分困ったようだ。4種類の数字を使っている。1200万
人、1400万人、約1700万人、約2000万人…。どれも正しく、どれ
も正しくない。
私見だが、注釈つきの推定1700万人が一番妥当な数字だと思う。

1200万人の根拠は、2001年に行われた国勢調査の数字の1千百91万
4千3百98人、公式数字である。公式な数字はこれしかない。

1400万人は、2005年に発表されたマハラシュトラ州政府が発表した推
定数字1406万人、あくまで推定であり、インド政府は公認していない。
1700万人は、1400万人+αに、予想増加率を加味し推定した今日現在
の数字、約2000万人は、ムンバイの実態を見て大雑把に推定した数字であ
る。

1200万人も1400万人も、責任感を重んじる立場の報道機関にとっては
一応根拠のある数字なので採用したのだろう。だが、今のムンバイを紹介する
適切な数字とはいえない。公式な数字は、2011年の国勢調査で出る予定で
ある。

2001年の国勢調査の1千1百91万4千3百98人という数字自体が疑わ
しい。どうやって調べたのか? 係官が全ての家庭を廻って調査した訳ではあ
るまい。字の読み書きができない者が圧倒的に多い。住民登録などしていない
者も多い。

ムンバイ市の至る所にあるスラム街・バングラデシュ難民部落、他州から流れ
込んで来る貧民…人口増加の50%以上はこのような貧民である。彼等の人口
増加率=出生率はかなり高い。

インドでは、婚姻届を義務化していない州も多い。宗教的・慣習的な問題もあ
り、法制度に無知な人も多く、結婚しても届け出ない。彼等の子供は人口調査
の数字に入らないケースも多いだろう。

工事現場で生まれる子供も多い。工事現場の近くの仮宿舎(テント)や路上生活
者も多い。兎に角、どこに行っても子供の数がやたらに多い。

最近、国連人口基金が発表したインドの人口は11億8620万人、5年間で
1億2070万人増加しており、特に都市人口の増加を指摘している。この1
年で2500万人も増えた計算になる。

この数字の根拠も良く判らない。現在の推定人口は、CIAによると約11億
5千万人、国連の推定数字とは約3600万人の差がある。3000〜400
0万人は誤差の範囲内なのだろう。

2007年のムンバイ市の人口密度は、1平方キロ当たり29650人で世界
1位という数字もある。この数字もどうやって出したのか――――。

ムンバイにどうして人口が集中するか、

様々な理由がある。一年中気温は20〜33度。一年中寒くならず衣服に困ら
ない。着たきり雀で暮らせる。建設工事も多く、工事現場の職に就けるチャン
スが多い。マハラシュトラの人間は優しく慈悲深い。慈善家も多い。飢え死に
する事はない。

歴史的に商業・金融の中心地、超富裕者が集まっている都市である。慈善事業
もインドでは最大の都市だろう。経済急成長で、かなりの人間が近隣の州から
流れ込んでおり、中国ほどではないが、社会問題になり始めている。

ムンバイの人口約1700万人が一番妥当な数字かも知れないが、約2000
万人も決してありえない数字ではない。数百万人の誤差、インドでは大した問
題ではない。

世界に余り知られていない=問題にもされていないインドの実態である。

今回のテロ事件で600人近い死傷者が出た。だが、数字の問題でもなく、被
害者の国籍、加害者の国籍の問題でもない。ーーー何が世界的な問題なのか、
解決する為にはどうしたら良いのか…。

世界・時代の変わり目の時、世界的規模で、共通した視点・次元で、同じ人間
という土俵に立ち、解決の道を模索してもらいたいものである――――。

ーーー自白で徐々に真相が…(11/29記)

発表された犠牲者の数は、死者195名、負傷者295名、計490名。

逮捕されたテロリストの尋問から、今回のテロリストの実態が徐々に判明して
きた。メンバーの名前も自白しているようだ。自白内容は、

テロリストのうち、10名はパキスタンのイスラム過激派ラシュカレ・タイバ
(Lashkar -e-Taiba)の特別な戦闘訓練(Daura-e-Shifa)を受けていた。
‥‥‥パキスタン政府の人間が関与している事を示唆‥真相は判らない。

数ヶ月前にマレーシアの学生を装ってムンバイに滞在、タジやオベロイを含む
ターゲットの場所を入念に調査していた。カラチで大型船に乗り、ムンバイ近
郊の国際海域でインドの漁船をシージャック、4人のインド人船員を殺害、そ
の船でムンバイ入り、小型ボートを使い上陸した。

自爆テロの使命は受けていず、作戦終了後の木曜日に、ボートで生還する計画
であった。死ぬ覚悟は持ち合わせていない。(黒幕幹部は自白も覚悟に入れた
計画のようだ)

テロリストから押収したリュックサックから、現金と共に多数のクレジット・
カードがでてきた。
Citi Bank, ICICI, HSBC, HDFC, AxisBank, SBM(State Bank of Mauritius)

資金は豊富、多国籍の部隊構成のようである。

武器は、AK−47、中国製手榴弾、ライフル、自動小銃、大量な銃弾…

今回のテロ事件は、パキスタンンのイスラム過激派が裏にいる事、長期に亘り
入念に調査し、周到に準備された計画的犯行である事が明白となった。当然、
インド国内にいるインド人イスラム過激派と呼応しての犯行だろう。

インド人がホテルを予約し、パスポートとクレジットカードがあればタジでも
オベロイでも簡単にチェックインできる。大投資国であるモーリシャスのパス
ポートで高層階のデラックスルームを使えば、ホテル側も大歓迎だろう。

所詮、ルーム代を支払う積りは初めからないだろう。ケチる必要はない。

ナリマン・ハウス=ユダヤセンター)も初めから攻撃の標的になっていたらし
い。インドとイスラエルの経済関係が強まりつつあり、最近イスラエル軍向け
のインド製車両やITソフトウェアのイスラエル進出などの大型商談が決まっ
ている。

12月には、イスラエルのビジネス大型ミッションがムンバイ入りすることに
なっていた。イスラム世界にとっては極めて不快なこと、このような動きを牽
制するのもテロの目的の一つであったと言われている。

いずれにせよ、攻撃のターゲットは、インド、米英、イスラエル…、タジ、オ
ベロイ、ナリマン・ハウス以外の7箇所は、警察をかく乱する為に仕掛けたも
のだろう。

「インドの経済に打撃を与える為」と言う者が多い。勿論、インド経済に多大
な悪影響を与えるのは必至である。だが、それは本来の目的ではあるまい。

インド経済に打撃を与えたいならムンバイの金融センターを直接狙うだろう。
それより、より多くの米英・イスラエル人殺害、印パ関係の悪化を狙っていた
ように思える。

テロリストの本来的目的は、世界の混乱、恐怖世界を作り出すこと、宣伝効果
を極大にさせる‘行動・殺戮行為自体が目的’であろう。

数ヶ月前と思うが、アルカイダが新たな戦いを宣言、世界各地へのテロ拡散を
誇張していた記憶がある。一番攻撃し易い国、一番効果的な都市がパキスタン
の宿敵インド・ムンバイであったのでは、と思う。

インド・米・英・イスラエル、1石4鳥、更に、インドとパキスタンの関係が
悪化すれば1石5鳥となる。イスラム過激派・テロリストには、国境も国籍も
人種も関係ない。

パキスタンがどのような態度に出るか…、政権奪取以来、煮えきらず何時まで
も態度を明確にできないパキスタン政権の正念場である。

インド政府には冷静に対応してもらいたいが、一般庶民・ヒンズー教徒の怒り
をどう抑えられるか、来年の総選挙を控え野党が現政権の「テロ対策の甘さ」
を強烈に批判している。国民会議派にとっても正念場である。

経済に与える影響? 訪印するビジネスマン、観光客は減少するのは間違いな
い。外資のインド投資が減速する可能性もある。だが、「大河の流れ」はそう
簡単に止められるものではない。

〜〜〜そう心配する程の事ではあるまい。金は利益を求めて動く魔物だろう。

ーーーインド経済減速?マスコミの役割に期待(11/30記)

インドの商務長官が「世界景気後退の煽りを受け、インド繊維業界は今後5ヶ
月以内に50万人が職を失う可能性がある」と警鐘を鳴らした。根拠は勿論、
主な輸出先である欧米向輸出が減少する可能性が大きいからである。

だが、インドの場合、繊維産業の実態を知らないと判断を誤る。インドの繊維
産業は、GDPの約4.5%を占める主要産業の一つである。

約4.5%といえばそう大きくないと思われるだろうが、インドにとり繊維産
業は歴史的に重要な国家的産業であり、今でも関係する人口は膨大である。

繊維産業の直接雇用者は約3600万人、綿花農民は約5200万人。綿花農
民を含めれば約8800万人が繊維に関係している事になる。計算上、夫婦共
繊維産業に就労、1世帯子供4人と仮定すれば、約2億6千万人が繊維関係者
と言える。ーーー若年労働者も多いので、大雑把な数字だが…。

インドの繊維産業の約5%が大・中規模企業、約95%が小規模企業、主に家
内工業的企業が圧倒的に多い。「インド工場法」では、動力を使用している場
合は従業員が10名以上、動力を使用していない場合は従業員20名以上の企
業は登録が義務付けられている。

これに当てはまらない企業は「非組織部門」と定義されているが、インドでは
「非組織部門」が圧倒的に多く、繊維産業の場合「非組織部門」に属する企業
数は900万社、平均4人弱の従業員の企業であり、全従業員は約3400万
人と言われている。ーーー要は家内工業である。

繊維産業労働者3600万人、商務長官の言う失業可能者50万人は約1.4
%に当たる。50万人という数字の根拠は不明であるが、警鐘を鳴らすために
大げさに言ったのだろう。

繊維産業全体から見れば‘わずか1.4%’、マスコミにとっては意味のある
‘インドの経済減速を示す格好の数字’だが、インド経済全体にとっては‘わ
ずかな数字’である。総選挙前のインド政府、金銭的に救済し実績をPRする
だろう。ーーーインド経済全体を云々する程の問題ではない。

11月に入り原油価格は急落、インフレ率も8%台に下がり、国内消費も回復
基調にある。世界景気とは無関係に拡大しつつあるインド国内市場、特に農村
市場、インドには毎年着実に‘可処分所得’が数%増えている7〜8億人の市
場がある。インドの‘強さ’‘奥の深さ’と言える。

彼等は、世界の事件や国内大都市の大事件には全く無関係で、他山の火事であ
る。地方経済の中でたくましく生きている。これが、インドの経済成長を支え
ている隠れた原動力といえる。ーーー中国も同様だろう。

今回のムンバイ・テロ事件、‘インド経済に与える影響を危惧する専門家’や
マスコミには、悪影響する事を期待するような表現が垣間見られる。≒マッチ
ポンプ集団。

奥深い巨大なインド市場の実態を知らない輩の思い付き的表現だろう。確かに
テロ事件の影響はあるだろうし、マスコミは興味深深だろうが、経済的打撃は
タジとオベロイの修理期間中の営業停止、数ヶ月間の観光客の減少、ま、その
程度だろう。

一時的に出張者・観光客の減少は仕方ないが、投資や日常ビジネスに大きな影
響が出るとは考えにくい。インド政府も影響が出ないように動くだろう。精神
的気弱な日本企業や日本人サラリーマンがビビッても、他の国のアグレッシブ
な企業・ビジネスマンが動く。

ーーームンバイ・テロ事件の悪影響を考え過ぎ、これを今の世界不況と混同す
ると大きく見誤る事となる。

インド社会は、今回のムンバイ・テロ事件に関係なく‘大河の流れ’に流され
て動く。ムンバイ・テロ事件がインド経済に多大に影響する事があれば、それ
はテロリストの思う壺だろうが、インドはそうはなるまい。

世界は、テロリストが考えるほど小さくない。自分たちが世界を変えられると
思っているのであれば、それは誇大妄想だろう。その偏った誇大妄想が危険な
のだが…

「マスコミは‘テロリストの協力者’になるべからず」である。

マスコミの真の役割は、「テロリストを喜ばせる‘誇大’且つ‘興味本位’な
報道」を控え、「テロリストにテロ行為を無意味と判らせる報道」に力点をお
くべきだろう。

「非道な行為」と非難すればすれ程、テロリストは「成功」と感じ「快感」を
味わう、その類の輩だろう。それが彼等の目的でもある。

その為にも、インドとパキスタンの‘敵対’を‘テロリストの思う壺’と主張
し、両国・両国民の融和に向け、両国のみならず国際世論を誘導する、これが
最重要な課題であると思う。

米欧マスコミは、テロリスト批判と‘テロ戦争の正当性’ばかり宣伝するだろ
うが――――。

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┌──────────「B.B.さん」 『テロリストにテロ行為を無意味と判らせる報道』 ということに感銘を受けました。 いたずらに騒いでは向こうの思うつぼだったのですね。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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