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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
☆ インド市場の把握方法(例)一眼レフ販売急増 ――― 2008/10/08
インドの正しい人口はよく判らない。現在は11億5千万人程度だろう。10
年に一回の国勢調査を基準とせざるを得ないが、中国同様、国勢調査から外れ
た人数がどれ程ほどいるのか?

両国とも10%程度上乗せした人数が実態に近いだろうという人が多い。イン
ドは12億人超、中国は14億人超、15億人超という人もいる。次のインド
の国勢調査は2011年である。2001年と比べ、驚くべき数値の差が出る
事は間違いない。

先日、或る人が相談に来た。インドでは「一眼レフ」の販売台数が急増してお
り、一眼レフ用レンズの販売店展開を検討しているがどうしたら良いか?と。

「一眼レフ」は、インドの一般庶民には手が届かない富裕層の嗜好品である。
当然、当面は富裕層の多い大都会での店舗展開しか考えられない。インドでの
一世帯当たり平均年収の一番大きい都会はニューデリー、一世帯平均年収は約
30万ルピー≒70万円、次はムンバイで約25万ルピー≒60万円。

当然の如く日本人感覚では「そんなに少ないとか」思う人が大半だろう。

インドを理解するには、「一人当たり」、「一世帯当たり」の数字は誤解を招
きやすい。例えば、ニューデリー(正確には政府直轄地デリー州)の現在の人口
は推定1500万人、庭付きの豪奢な富裕者の家が立ち並んでいる。

その家々にはサーバント・コーター(使用人専用の住居)があり、1〜2世帯の
使用人家族が住み込んでいる。富裕者は、1家族平均最低6〜7人の使用人を
使う。計算上4〜6人は通いの使用人である。

通いの使用人はニューデリーのどこかで所帯を構ええている。その他、商人、
賃金労働者、農民、雇用対策で採用されている最低賃金の国家公務員、約70
〜80%の世帯は年収10万ルピー≒23万円以下の世帯だろう。

インドの購買力平価を考えれば、生活必需品の値段が格段と安いインド、収入
の3〜4倍ぐらいが日本人と比較する場合の収入=生活レベルといって良い。

5〜7人家族1世帯年収約10万ルピーの4倍は約100万円、日本人並みの
電化製品で取り囲まれた文化的生活は無理だが、貧困生活に悩む年収100〜
300万円?の日本人に比べて、精神的にそう貧困状態ではない。

周りが皆同じ状態なので気にならないのだろう。結構朗らかに生活している。

インド人と日本人には‘世界観’‘人生観’の違いがある。だが、彼等にとっ
ては「一眼レフ」は全く無縁の商品である。時々、観光客の「一眼レフ」の被
写体にはなるが…。

残りの20〜30%の50%ぐらいが金銭的に「一眼レフ」の購買対象者だろ
う。10〜15%=150〜225万人。このクラスは、子供3人の5人家族
が多い。そうすると、30〜45万世帯が一眼レフ購入可能世帯となる。

インド人は写真が大好きである。富裕者一世帯カメラ一台は当たり前の社会、
カメラは必需品の一つになっている。携帯電話の普及がカメラ需要に拍車をか
けることは間違いない。プライドの高い見栄っ張りの性格、高機能・高精度の
メカを求め自慢する性格もある。

一眼レフの需要は、富裕者の増加に比例して年々高まることは間違いない。

ーーームンバイはニューデリーと異なる人口構成である。

推定人口約1800〜2000万人。統計に載らない夥しい数のスラム街人口
がある。ムンバイ市当局が公表している人口は現在約1500万人、人口の誤
差300〜500万人はスラム街等の人口である。

仕事を求め他州から流入する、統計に引っかからない者の多くがスラム街に住
んでいる。スラム街人口は、ムンバイ全体の50〜54%ともいわれている。

流民がムンバイに多い理由は、ムンバイがインド最大の商業都市・金融都市で
あり、財閥の中心地でもあり、富裕者が多いからである。職業に就ける大きな
可能性がある。

更に、1年を通じて気温が20〜33度と温暖で寒くない=衣服が一枚で済む
という自然環境がある。

それは兎も角、人口を2千万人と仮定すると2千万人の半分の1千万人は完全
に対象外、残りの1千人の20〜30%ぐらいが富裕・超富裕者、計算上2百
万人〜3百万人、40〜60万世帯が一眼レフ購入可能世帯となる。ニューデ
リーより市場規模は大きい。

更に、ムンバイはファッションの街、ボリウッド・映画の街、流行のインド国
内・発信地でもある。一世帯平年間均収入が25万ルピーでも、50%強が5
万ルピー以下、40%弱が10万ルピー程度だろう。

従い、10%程の桁違いの富裕者がいる事になる。日本人の想像を絶する富豪
も多い。その富裕者の大半が狭いムンバイ市内に集中している。

一眼レフのレンズ販売戦略には、先ずムンバイ攻略を勧めた。

このように、インド市場の捉え方や攻め方は多種多様な方法がある。

インド政府は最近、インド国内‘ハイパー・マーケット’構想を打ち出した。
縫い針から自動車まで販売する超巨大マーケットを、インド国内に315ヶ所
設立する構想である。高級ショッピング・モールも各地で建てられている。こ
の一角に店舗を置くのも一策だろう。

ホンダ(バイク)は、今まで市場としては無視されがちであった農村部に積極販
売攻勢をかける戦略に乗り出した。農村部の1億2千万世帯は大きな市場であ
る。最近の穀物国際価格上昇の影響で、農村世帯の収入も増え始めている。

10万ルピー車(23万円)で脚光を浴びているタタ・モーターズ、一方でジャ
ガーを買収し、2100万円車の製造販売を計画中である。2100万円車の
購買対象者は、インドの超富裕者や中東の金満家…。超高級車は日本より大き
い市場になるだろう。

インド市場は、貧困層・中間層・富裕層・超富裕層と多種多彩、‘それぞれの
商品’に‘それぞれ大きい市場’がある。

インドを単純な総体の統計数字‘1人当たり’‘1世帯当たり’の数値で見る
と見誤る。

一部超富裕層・富裕層は株価急落で帳簿上の損失を被っているが、インド市場
全体を見れば、毎年10%以上の収入増=購買力を付けてきている。未だ国内
市場依存・主導の経済構造である。従い、欧米の経済後退には余り影響されず
に、順調に高度経済成長を持続するだろう。

驚くことに、8月の輸出額は前年比26.9%増加、順調に輸出は増加してい
る。経済一般論では語れないのがインド経済・インド市場の特徴である。来年
は総選挙、大半の有権者=貧民の可処分所得が増えることは確実である。

ーーー消費は益々拡大する。

                        = この稿おわり =
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┌──────────「Jan さん」 最近は、中国よりも信頼できるインドに、たびたび買い付けに出張するように なりましたが、確かにインドは貧富の差がモノスゴイですね。 工場に行くと、すごい劣悪な職場環境と低賃金で人々が頑張っていますが、な にせ人口が多いので、工場に勤務しているだけでステータスになっているとの ことです。 これが製品価格が安価な理由でしょうけど、一方、我々と付き合っているビジ ネスマンは、現地では超高給取りなので、何だか割り切れない感じです。 しかもカースト制度の縛りがきついですね。 取引先の工場で働いていて、凄く優秀でマネジメント力があるインド人と友達 になったのですが、実際の取り引きはその方の上司で、高給取りだけどグータ ラな男と行うのです。 取り引き成立のパーティーの時、そのグータラ男はその友人のことを「あいつ は仕事熱心だけど、カーストが俺より下なので一生俺を越えることはない」と 言っていました。 これはインド経済発展のガンでしょうね。 一般に、人類が平和に暮らすことを邪魔しているガンは「共産主義」と、テロ の根源である「イスラム原理主義」と言われていますが、インドでは、これに 「カースト」が入るのではないかと思います。
└────────── ┌──────────「はぐれ雲さんから」
インド人も多種多彩。カーストを否定する‘上級カースト’のインド人も多く います。 2000年以上前に規定されたカースト職種、現在ではカースト職種に規定さ れていない職種も増えてきました。ITなどは典型的例でしょう。カーストに は拘らず、能力次第の世界です。採用する経営者が能力に応じ「役職」と「権 限」を決めます。 今や、世界最高峰の大学と認知されているIITにも、下級カースト対象の入 学枠があります。欧米の一流企業がIIT出身者を採用しようとインドに日参 してます。初任給は1千万円を優に超えるとか…。カーストには無関係の世界 です。能力主義の世界。 その夢を追い、インドの若者は熱心に勉強してます。 特に下級カーストの生徒は、一家の夢を背負い、夢を実現するために日夜猛勉 強をしています。遊ぶ暇もない。大学に入っても日夜猛勉強のようです。この エネルギーがインド成長のエネルギーになっているのでしょう。 ただ、これはインドの一面、ごくわずかの世界であるのも現実です。 一般社会は昔ながらの世界ですが、見方を変えれば、カーストはワークシェア リングとして機能しており、失業対策に機能しています。どの階層も人間が多 いので、社会バランスを取るのにも機能しているようです。 グータラの上司、所詮、「精神的」にもグータラなのでしょう。そういう人間 が多いのもインドの実体です。2000年以上のカースト文化・慣習は中々拭 い去ることはできないようです。 時間をかけてゆっくりと変えていく、これがインドの歩み方のようです。 「浄」のカースト、いわゆる、バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ階層=昔 の支配階級には、身分的差別は一切ないようですが… └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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