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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
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☆ 25万円車「ナノ」苦境〜タタの意地とプライド ― 2008/08/20
今年初め、タタ・モーターズが華々しく公開した夢の1ラーク・カー‘ナノ’
(ラークとはヒンズー語で10万の意味:時価約25万円)、タタグループ総帥
ラタン・タタ氏が音頭をとって世界に「夢」をアピールした。
「バイクより低公害の画期的な未来カー=624cc、1リッター21km走行」
ラタン・タタ氏は、声高に言った。‘Promise is a Promise’と。反響は大き
く「夢」は世界を駆け巡り、その後、日産など世界有数の自動車メーカーが、
対抗して「3千ドル車構想」を打ち上げている。
‘ナノ’は、年内にも販売開始されるが、昨今の自動車用鋼板など資材の価格
高騰で、生産現場は苦境に立たされている。
5年前、1ラーク・カー構想をぶち上げたタタ・モーターズに、世間の人は首
を傾げた。「そんなに安く出来るのか?」と。
小馬鹿にしていた者もいた。「実現できたとしてもコストギリギリ、利益は殆
ど無い。何故、薄利のプロジェクトに血眼になって取り組むのか?」と。
タタ・グループ総帥のラタン・タタ氏は「タタ・グループの意地」にかけても
実現すると豪語し、研究開発に乗り出した。インド人の中間層が買える低公害
・大衆車を造ると…。
1ラーク・カー構想発表以来5年経過、世の中は大きく変っている。石油化学
関連素材を使う多くの自動車部品、自動車鋼板、その他殆ど全ての部品価格、
そして人件費も上がっている。
幾分かは想定内だろうが、基本原料である原油と鉄鉱石・石炭の異常な値上が
りまでは想定していなかっただろう。現在、殆どの部品供給者と価格交渉中で
あるが、タタがかなりの部分の負担を負う事で決着しそうである。採算に合う
とは思えない。
今年1月、ナノお披露目のモーターショウ現場に立会い、実際ナノに触れた知
人に聞いたが、車体の鋼板は薄く、ペニャペニャの感じ、何かに当たれば直ぐ
凹んでしまいそうで怖くて乗れない、という感想を述べていた。限界点までコ
ストダウンしたのだろう。
1月以降、原油も鉄鋼も更に価格上昇している。
「タタの意地」といえば、歴史的に有名なのはムンバイにある‘タジマハール
・ホテル’である。
植民地時代に英国がムンバイに建てた高級ホテルにはインド人は入る事を許さ
れなかった。
タタは、英国に対抗して、1903年、インド人の手でその高級ホテルに負け
ぬ豪奢なホテルを建てた。それが‘タジマハール・ホテル’である。「タタの
意地」というより「インド人の意地と誇り」の象徴でもある。
英国は対抗して、1911年、‘タジマハール・ホテル’の直ぐ前にジョージ
5世とクイーン・メアリーの訪印を記念して「ゲートウェイ オブ インディ
ア」を建てた。
「ゲートウェイ オブ インディア」は、1947年インド独立直後、英国軍
がこの門のアーチをくぐって撤退した事でも有名である。インド独立の象徴で
もある。
また、タタは絶対に政商にならなかった。
マハトマガンジー国民会議派を支援し、インド独立後多大な恩恵を受けたヴィ
ルラ・グループとは一線を画している。お陰でタタ・グループはインド独立後
かなりインド政府から意地悪された経緯がある。宗教的確執があったのかも知
れない。タタ・グループはパルシー=ゾロアスター教)である。
今では、政商・リライアンスと対照的な‘清潔なインドの大財閥’として有名
であり、アメリカの調査期間が毎年発表する世界の「優良企業」200社
Reputation Institute Global 200 の6位にランクされている。
巨額な寄付をして派手に宣伝するリライアンス・グループとは全く異なり、地
道に、実質的に、且つ継続的に慈善活動・CSRを行っているグループでもあ
る。規模でタタを大きく上回るリライアンスは優良企業200社内にはランク
されていない。
今年3月、タタ・モーターズはジャガーとランドローバーを23億ドルで買収
し、高級車や商用車(バス・トラック)部門でも投資を拡大しており、全4輪車
車種品揃えし、インド国内及び輸出に注力する体制を整えた。
インドは、高級車・商用車の市場も、見逃せぬ大市場になる事は間違いない。
総道路距離数330万kmのインド、輸送は車に頼らざるを得ない。急速な経済
成長と共に国内輸送量は急増する。商用車は爆発的に増えていく事は間違いな
い。富裕層も急速に増えている。
さらに絶好調な金満中東諸国、インフラの乏しいアフリカはインドの市場であ
る。全車種に輸出の可能性がある。現地には大勢のインド人が定住している。
アメリカの景気後退に端を発し、今年年初よりインド株も大幅下落している。
苦境に喘ぐ‘ナノ’、ジャガー・ランドローバー大型買収に対する不安材料、
景気後退・ガソリン高騰による自動車需要減少懸念、世界的な株安傾向、様々
な理由でタタ・モーターズの株価は大幅に下がっているようだ。だが「タタ・
グループの面子」をかけてナノの苦境を乗り越えるだろう。
見方を変えればナノの難産は、結果としてタタ・モーターズの合理化に貢献す
る事になる。自動車用鋼板はタタ・スティールが協力するだろう。
タタ・スティールは、前々より日本の製鉄メーカーとの自動車用鋼板技術提携
を志向している。タタは自動車部品のJVに極めて積極的であり、日本にラブ
コールを送っている。自動車部品JVも増加中である。
昨年末70歳になったラタン・タタ氏は現役引退を宣言した。最後の仕事とし
て‘ナノ’を位置付けていた。
ラタン・タタ氏は「インド企業の意地」として、「インド企業のプライド」を
もって、苦境に立ち向かうだろう。当然「グループ総帥」の意向を汲み、タタ
・グループは、グループ全体のプロジェクトとして対処する筈である。
タタ・グループの2007年度純利益は、前年対比195%増、ナノ程度の苦
境を乗り切る実力と資金力は十分ある。
数年後のタタ・モーターズがどの様に化けるか楽しみである。
= この稿おわり =
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お隣や、海域繋がりばかりが昨今モテてますが、インドも忘れちゃなりません
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某週刊誌の成り上がりサラリーマン(良い意味です!)物語どおり、今からでも
キチンと向き合って手を携えんとねぇ・・・
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