┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  サイトマップ!(^O^)  ━┓




インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
☆ WTO決裂〜印・米対立の背景 ――――――――― 2008/08/06
インドとアメリカの対立でWTO閣僚会合は決裂した。インドには絶対に譲れ
ない線がある。ーーーアメリカの「発展途上国の農業・農民に対する認識」を
改めさせなければアメリカとは妥協しない、という腹だろう。

ーーーアメリカの認識は甘い。

「インドだけが反対している」と思っていること自体、認識不足である。

約11億5千万人の人口を抱えるインド、農村人口は7億5千万人、農民の約
70%が2ヘクタール以下の零細農民、小作人も多い。インド政府は毎年、穀
物の最低買取り価格を高めに設定、農民の収入を保護している。

貧困問題・貧民問題はインドの最大の課題である。民主主義国家インドの宿命
でもある。そして、農村・農民は、インドの民主主義を支える最大の有権者群
である。

21世紀に入り、インドで最も悲劇的であり、社会問題となったのは綿花農民
の相次ぐ自殺であったといえる。綿花は伝統的な国際商品、国際市場価格に直
接影響を受ける。

歴史的にインドの代表的輸出農産品であり、綿花栽培に頼る農民は未だ多い。
アメリカ主導の綿花の国際価格は大幅に下落、旱魃による不作が追い討ちをか
け、多くのインド綿花栽培農民が窮地に追い込まれ、自殺が多発した。

ソニア・ガンジー氏も、政権を取ったばかりの国民会議派の責任者として度々
自殺者多発地域に赴き、農民支援を約束した。

その後、多くの農家が多収穫が見込まれる‘アメリカ産遺伝子組み換え種子’
に切り替えたが、インドの土壌・気候に合わず、更に新種の種子の栽培方法も
判らず=説明書も読めない農民が多い)大打撃を受け、再び自殺者が急増して
いる。

インドの綿花農民は、他の農作物に転作しようにも技術も資金力もない。自殺
するしか為す術もない状況に追い込まれている。

綿花の国際市況の低迷は、アメリカの綿花の価格にある。アメリカの農業補助
金=輸出補助金が低価格に誘導している事は明らかであった。

アメリカはインドの抗議に一切耳を貸さなかった。同様の抗議は、ブラジルや
アフリカ諸国からも挙がっていた。最近、綿花の国際価格は上昇しているよう
だが、今後どうなるか不安要素も多い。

インドの綿花生産農家が何故このような状態に追い込まれたか…、理由は簡単
・明瞭である。敢えて繰り返すが、綿花はインド農民にとって伝統的な輸出用
農産物であり、転作はそう簡単ではない。

他方、アメリカの綿花の輸出価格が安過ぎる。

アメリカ産綿花は、大規模・機械化農法であり、昨今は遺伝子組み換え種子使
用で多収穫が可能になっている。当然、生産コストは圧倒的に低い。しかも、
巨額な農業補助金=輸出補助金が供与されており、輸出価格は圧倒的に安くな
る。

いくらインドの人件費が安くても太刀打ちできる筈がない。

アメリカの農民が悪い訳ではないが、政府農業補助金は余計である。アメリカ
の農業補助金に反発しているのはインドだけではない。綿花が主要輸出農産物
である多くのアフリカ諸国の農民がインドと同じ状態にある。

今回のWTO閣僚会議で、アメリカは農業補助金の減額を表明してWTO交渉
に臨んだ。補助金減額は当然だろう。昨今の農産物価格高騰でアメリカの農民
は巨額な利益を享受している。それでもアメリカ政府が農業補助金を撤廃でき
ない理由は何か? 世界はそれをアメリカに問いかけている。

アメリカの政治家にとり、アメリカの農民・農村は伝統的な絶対的安定票田で
あることも背景にあるだろうが、それ以上に絶対に口には出さぬが、‘食糧は
武器’という政治的意図もあるだろう。

農業、特に穀物を支配すれば、世界を支配できる。農業国アメリカは、アメリ
カの農業を保護することにより、世界の農業に打撃を与え、農産物で世界をコ
ントロールする基本戦略があったと疑わざるを得ない。結果論かも知れないが
…。ーーー穀物メジャーはそう考えていただろう。

戦後、農業補助金付の安価なアメリカ産穀物が世界中に流れることにより、世
界の農業は変質せざるを得なかった。安価なアメリカ産穀物=穀物市場価格に
影響され、発展途上国の農民は最低収入を強いられ、穀物から商品作物への転
換を余儀なくされた。

いくら大型化・機械化しても、アメリカの価格には勝てない。穀物生産を断念
し穀物輸入に依存するようになった。典型的な例はフィリッピンやインドネシ
ア、エジプトだろう。国家食糧安保上、大問題である。

最近の食糧価格高騰でその実態が鮮明に見えるようになり始めてきた。食糧不
足というより、世界の農業構造の問題だろう。

インドは自衛手段として、小麦・米の輸出規制を実施し国内価格安定化に必死
である。幸いにして食料不足状態ではない。それ以上に、穀物高騰の原因はア
メリカ=バイオエタノール)にあると強く非難している。

「これ以上アメリカの好き勝手にさせない」という思いは強い筈である。

インドの怒りは綿花ばかりではない。

先日のブッシュ大統領の無知な発言。「インド人の穀物消費が増え始めたのが
穀物価格高騰の一因」との発言に、インド人が激怒した。「アメリカ人は何も
判っていない」「傲慢だ」と猛烈に抗議しアメリカに対する反感を露にした。
ーーーそして印米原子力協力協定…。

マンモハン・シン内閣信任決議が下院で採決された背景には、「協定はアメリ
カの介入を許すことになるのでは」というインド人の素朴な危惧があった。

マンモハン・シン内閣が承認されたのは、国民会議派が「インドは決してアメ
リカの言いなりにはならない」「内政干渉はさせない」「独自路線を行く」と
強い意思表明をした為だろう。

WTO閣僚会議では、その強い姿勢を具体的に示す必要があった筈である。

WTOで、インドは激しくアメリカに噛み付いた。

アメリカは「インドだけが問題」と思っているようだが、中国も同調、発展途
上国もインドに同調している。インドは第3国のリーダー格として、絶対に妥
協できない。少なくとも7億5千万人の農村・農民を守る責任がある。

農村・農民はインド政治家の重要な票田であり、農民はインド民主主義を支え
る母体である。ーーーアメリカの誤算、それはインドを代表とする発展途上国
の農業に関する無知からきているようだ。

アメリカ産農産物供与・支援だけでは貧困問題は解決しない。重要なことは、
発展途上国の農業の発展にある。世界の農産物・穀物の収穫が増えれば、アメ
リカにとり穀物輸出量が減り生産過剰になるかも知れないが、その時には穀物
をバイオエタノール用の原料に切り替えればよい。

最近の農産物の価格上昇で、世界各国各様、農業政策を見失っている感じもす
る。発展途上国の農業育成の絶好の機会だろう。アメリカの世界戦略は転換期
にきている。アメリカ流発想法を打破する代表に‘大国’として認知されつつ
あるインドが台頭し始めたのは歓迎すべきことだろう。

日本…、農民は何人いるのだろうか?

専業農家は30万人以下? 農業に携わらない農協職員の数のほうが多いとも
いわれている。そのコストの大半は日本の農民が負担している。国の農水予算
の一部も補助金として流れている筈である。国民の税金である。

日本は根本的に農業政策・食糧安保を見直すべきだろう。セーフガードのパー
セント云々で悩む以前の大問題である。

自民も民主も同じ穴の狢、同じ票田、そうであれば思い切った策が打てるだろ
うに…。農民票が減っても同じ穴の狢、農業改革には絶好の機会と思うのだが

・・・日本の政治家にそんな意識はないようだが・・・

                        = この稿おわり =
この記事は、メールマガジン「縄文塾通信」2008年8月15日発行第327号に転載して頂きました。 とても真面目で面白い、素晴らしい無料マガジンです。購読される場合はここをクリックして下さい。(←新しいウインドウで開きます)
┌──────────「縄文塾通信中村忠之主幹のコメント」
先進国と発展途上国に横たわる近代農法国家と自然農法国家の間には抜きがたい乖離が存在する。特にアメリカとインドの関係 をより大きくしているのが、中村の主張する「緑の革命」問題である。
また、かつてインドは素晴らしい綿布の生産地であり、その軽やかで優雅な風合いは、野暮ったいウールの下着しか知らなかった ヨーロッパのご婦人方を魅了した。ところが産業革命でイギリスが安い綿布を生産することになり、インド綿は壊滅的な打撃を 受けた経緯もある。
欧米の根っこに芬々と漂う、コマーシャリズムの腐臭がすんなりと受け入れられるはずがない。問題は今後日本の取るべき姿勢 であろう。
『森と人の地球史』第八章『森と共に消えたイ ンド文明』より<西洋にとってのインド>の項を参照願いたい。
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ 読後アンケート結果。 ┗━┛
◇ これは有益! (^○^) --------------------------------- 51人 (93%) ◇ まあまあですね (゜.゜) ------------------------------ 4人 ( 7%) ◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 0人 ( 0%)
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ お寄せいただきましたご意見や感想。 ┗━┛
┌──────────「日本国民さん」 穀物で世界を支配しようとする米国の目論見は的を得てると思います。 マスゴミがこの視点から報道しないのが不思議、安全保障の観点のない国は滅 びます。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
インド事報の目次に戻ります







SEO [PR] お金 ギフト  冷え対策 わけあり商品 動画無料レンタルサーバー ブログ SEO