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インド事報・インド徒然 ―――――― by はぐれ雲さん
☆ 原油高騰と環境問題は米国のガソリン消費が鍵 ―― 2008/06/18
最近の原油価格高騰の背景には、無節操な投機マネーの影響が大きいが、供給
不安、消費増加という基本的な問題の他、様々な要因がある。

特にガソリン価格上昇に関しては、世界的に製油所精製能力が不足している事
や、アメリカのヴァケーション・シーズン=ガソリン需要期等の季節的要因、
在庫減少などの特殊要因もある。

現在、

精製能力が余っている日本から、アメリカ向けガソリン輸出が日米政府間で協
議されている。過去に小口の輸出はあったが、大口輸出が実現すれば初めての
事となる。

現在の世界の原油消費は日量約8500万バレル、精製能力は日量約8700
万バレル、97.7%操業でチャラパー、この操業率は非現実的数値で、ガソ
リン需給が逼迫するのは当然だろう。

北米の現在の精製能力は、日量約2100万バレル程度である。

世界の原油消費の約22%はアメリカで日量1850万バレル強、用途の略々
半分はガソリンで約1000万バレルである。精製能力の約90%稼動、限界
に近い。

この数年、アメリカでは、ガソリンの消費量が大きい大型乗用車=SUV)が
ブームであった。アメリカの原油・ガソリン消費量は、今でも年々増加してい
る。

またこの数年、世界の原油消費量は1.5〜2.0%増加している。増加分の
約30%は中国。中国の消費量は世界の約9%。ーーー因みに日本は約6.4
%、インドは約3%である。

G8環境相会議が神戸で開催されている。

日本は、2050年に現状比で温暖化ガス排出半減を目標に、排出量が急増し
ている中国やインドやブラジルなどに削減を要求している。原油消費量に関し
ては、
人口 3億人のアメリカが 22%、
  13億人強の中国が   9%、
   1億2千万人の日本が 6.4%、
  11億5千万人のインドが3%。

特に発展途上国の代表格であるインドは、乗用車・商用車の総台数は2千万台
にも満たない。電化率も50%弱で、インフラ整備も未熟。そして人口が毎年
2千万人も増加している国である。

中国はこの10年余で急速にインフラ整備が進み、発電能力も増大、数字上で
は供給能力過剰になっている。中国は日本の提案にほどほどの理解を示してい
る。ーーー日本の環境関連・省エネ技術を好条件で入手するほうが得策と考え
ているのだろう。

一人っ子政策は継続中、人口の爆発的増加は当分ない。四川大地震の影響で多
少電力供給事情が変わり、また、子供を亡くした親の感情を考慮し‘一人っ子
政策’に多少の心情的変化が出てくるかも知れないが、大勢に影響はないだろ
う。

しかし、

インドを含む‘インド’並み、若しくは‘インド’以下の発展途上国、特に、
人口15億人以上の南西アジア地域とアフリカ諸国にとっては、温暖化ガス排
出量削減は、国の経済はもちろん、国民の生活向上に多大な悪影響を与える重
大問題である。

一人当たりの原油消費量は、アメリカ人はインド人の28倍、日本人はインド
人の20倍である。

インドには、温暖化ガスをほとんど排出していない人間が半分以上もいる。

電気も無いし2輪車もない。ーーー温暖化ガス排出量を削減しようにも物理的
に削減できない。削減=家庭用燃料の削減=それは即ち、死、につながる。

しかも、家庭用燃料として約50%の家庭が乾燥牛糞を使用しているというの
が実態である。パキスタンもバングラデシュも殆ど同じ状況、若しくはインド
以下なのである。

南西アジア諸国にとり、生活水準向上=経済発展は国是であり、国家の安全保
障=治安上、最重要課題である。それを拘束する温暖化ガス排出量削減の規制
は、絶対に認める訳にはいかないだろう。

―――「人道的見地から考えるべき」と訴えるに違いない。

彼らも、温暖化ガス削減の重要性は十分理解しているが、全世界ベースでの削
減目標設定は「先進国のエゴ」と主張、「諸悪の元凶は先進国」「先進国は発
展途上国を配慮した対策を検討すべき」との主張が強まると、議論が噛み合わ
なくなる。

ーーー日本案は所詮無理だろう。インドは100%反対である。

視点を変えれば、人口3億人のアメリカのガソリン消費量だけで、人口11億
5千万のインドの全原油消費量の約4倍、アメリカがガソリン消費量を25%
節減すれば、全インドのエネルギー消費をカバーできる計算になるのだ。


ガソリン価格高騰によるガソリン消費の節約、車利用の削減、省エネ型車種へ
の転換、トラック輸送から鉄道利用による大量輸送への転換、車一人1台の発
想の転換、策は幾らでもあるだろう。

経済的悪影響を考慮して今まで何ら手を打たず、‘アメリカ経済界のいうがま
ま’になっていたが、「行き過ぎた車社会からの転換」を何らかの規制で実行
すれば、25%程度の削減は実現可能であろうし、実現しなければ世界の反発
をかうだろう。

アメリカがガソリン消費量を25%削減できれば、世界の原油消費量は約3%
減少するのだ――――。

この時点で、ベネズエラのチャベス大統領がアメリカ向け原油輸出規制をやれ
ば、アメリカは大混乱となる。最近チャベスは大人しくしているが、中国向け
などの大量輸出がある程度目処がつけば、何をしだすか判らない。

但、アメリカ依存度が高いベネズエラ経済。ベネズエラ経済界には親米派も多
く、そう簡単に軽率な真似はできないだろうけれどアメリカの弱点でもある。
アメリカには、ベネズエラ経営のガソリンスタンドも多い。

原油高騰を契機に、まず先進国の消費社会の見直しを検討すべきだろう。その
模範を発展途上国に示すべきである。アメリカ経済専門家はアメリカ経済後退
による消費減少を懸念している。しかし、環境問題を考えるとき、消費減少は
最も望ましい現象である。

21世紀は、地球環境問題を最重要・最優先すべき世紀。

先進国の物的消費量を減少させながら、世界全体の経済成長を考えるべき時代
だろう。その発想が政治家にも経済専門家にもないようだ。まだまだ大国のエ
ゴが政治を左右している。

ーーーやがて来るだろう無極時代に於けるアメリカの役割を、アメリカは今か
ら考えておくべきだと思う。

他方、アメリカは食料価格上昇を契機に、食料過剰摂取社会から脱皮し、食料
消費減少により「肥満体質社会」を考え直す時期でもあろう。肥満人口が減少
すれば、

結果的に輸送重量減少、当然、メタンガス排出量も減り、温暖化ガス減少に寄
与する。アメリカ人の食肉消費量は、年間一人当たり約120kgで、約60kg
のアジア人の倍である。ーーーしかも、アジア人の食肉摂取量の約35%は魚
類、アメリカ人の120kgの殆どは穀物飼料を食餌する家畜・家禽類である。

原油価格高騰を契機に、日本を含む全世界のアメリカン・ライフ・スタイルの
見直しが環境問題対策の第一歩であると思う。

ーーー世界には、アメリカのような裕福な消費社会を夢見ている者が多い。

その夢を規制する訳にはいかないだろう。それ故に、アメリカが環境対策に対
する良い模範例を率先して見せるべきであり、

ーーー原油価格高騰がその契機になることを期待したい。

                        = この稿おわり =
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