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バリ島の市井に暮らして ―─ by 美龍@バリ島さん
| ☆ バリ島のビッグイベントがやってくる! ――――― 2005/03/04
皆さん、もう3月ですね。ーー3月といえば雛祭り、桃の節句。
ここバリでは、3月8日〜19日の間にバリ・ヒンズー教の祭礼行事(それも
全土をあげてのビッグイベント)が勢揃いしております。そりゃあもう、大半
のバリ人は仕事どころじゃございません。
----普段から労働意欲は欠如してますど・・・----
というわけで、今回はこのバリ・ヒンズー教のビッグイベントをご紹介いたし
ましょう!
バリヒンズー教の祭礼行事というのは、以前ご紹介した「バリ暦」、通称バリ
カレンダーと呼ばれるヒンズー教徒専用のカレンダーに基づいて設定されてい
て、二種類の暦(サカ暦とウク暦)が重なり合ってできているという代物でござ
います。
その暦に基づく大イベントがガルンガン&クニンガン(この二つでワンセット
になっています)、そしてニュピです。通常、この大イベントが全部重なると
いうことは滅多にないんですが、今年は当たり年らしくて、2週間弱の間に、
3つ全部揃ってしまいました。
――まず、最初にやってくるのがガルンガン。(3月8日〜10日)
ガルンガンは、1ヶ月が35日のウク歴に従い、6ヶ月(210日)に一度巡っ
てきます。善=ダルマ)が悪=アダルマ)に勝利することを記念しているわけ
ですが、その勝利を祝うために祖先の霊を迎えることから、一般的には、日本
で言うところの「迎え盆」行事としてガイドブックなどには紹介されているよ
うです。でも、ガルンガン当日を迎えるまでの準備が長いんだ、、これが..。
ーー近々の主なものだけでも、
┌──────────「ここからなんだけど、長いよッ!」
〜〜スギハン・ジャワ(SUGIHAN JAWA)―3月3日
バリでは、人が死ぬとその遺灰を海に撒きます。そうすることで、死者を神々
の元へ旅立たせるわけです。ですので、祖先の霊を迎えるにあたっては、各村
ごとに団体で遺灰を撒いた海まで出向き、そして各自の家に戻るわけです。
もちろん、その前後には寺院でのお祈りがあるわけですが、なんと、このお出
迎えは全行程徒歩です。車もバスも、ましてやタクシーなど使いません。自転
車も使いません。ーーーーただひたすら歩くわけです。
ブレガンジュールと呼ばれるガムラン演奏のBGM付きではありますが、とに
かく黙々と海を目指して各村から海に向かって歩き、そしてまた各村に戻って
いく。
そうやって迎えた先祖の霊と神様を、日本なら仏壇とも神棚ともいえるような
場所にお祀りするわけです。この神聖な場所である家の社(サンガンムラジャ
ン)を清め、神々と祖先の霊にガルンガンのために降りてきてもらう(=鎮座
していただく)儀式がこのスギハン・ジャワです。
〜〜スギハン・バリ(SUGIHAN BALI)―3月4日
ガルンガンを迎えるにあたって、自分自身を清める為の聖水をもらいます。
〜〜プニュケバン(PENYEKEBAN)―3月6日
果物(通常はバナナ)を収穫し、ガルンガンの日に熟すように保管します。語源
は、保存する=NYEKEB)という言葉ですが、別の意味では、この日から神様の
マイナスな面でありルードラと呼ばれる怒りの性質の神サン・カラ・ティガが
人間を惑わすと考えられています。
僧は瞑想や精神統一をこの日から始めますが、一般の人は供物にする為の果物
を保存し、祭礼の準備に没頭することで精神を集中(=精神統一)させるわけで
す。この日は、単に果物を保存する日というだけでなく、穏やかな生活のため
に感情を抑制するという内面的な意味があるといわれていて、怒りの神サン・
カラ・ティガが人間を滅ぼそうとしているのではなく、善の方向に導くために
人間の精神をテストしているのだそうです。
〜〜プニャジャアン(PENYAJAAN)―3月7日
語源は、支配するという意味の「JAJAH 」といわれ、これはサン・カラ・ティ
ガが人間を支配する事を意味していて、サン・カラ・ティガの支配を打ち破る
ために注意力を深め、神のご加護を祈るのだそうです。(それしか方法がない
んだそうです、バリ人いわく)
でも、その為には、怒って喧嘩をしたりせずに我慢をするという努力が必要と
いうことで、神に祈りつつ、あらためて忍耐を肝に銘じる日というわけです。
〜〜プナンパハン(PENAMPAHAN)―3月8日
動物を撲殺するという意味の「TAMPAH」が語源です。アヒル、鶏、豚などの家
畜を撲殺し、サテ(日本の焼き鳥のようなもの)や、ラワール(肉・内蔵・血液
などあらゆるものを香辛料で混ぜた料理)など、供物にする料理をします。
この日からは、家族全員が準備に加わり、料理(通常はラワール)は男性の仕事
で、それが済むとペンジョールと呼ばれる竹飾り(日本の門松みたいな感覚か
な?)を作ります。
女性は供物の準備や社の祠に布やお飾りを付けます。サン・カラ・ティガは神
のマイナス面ですから、その性格に合わせて行われる儀式はブータ・ヤドニャ
(悪霊への儀礼)と呼ばれますが、サン・カラ・ティガに供物を捧げ、本来の神
の姿に戻ってもらうための儀式でもあります。
御祓いのブータ・ヤドニャの儀礼の後は、門の前に悪に対する善の勝利を象徴
するペンジョールを立てます。
〜〜ガルンガン(GALUNGAN)―3月9日
以上のような行事が終わって、ようやく本番のガルンガン。ガルンガンという
言葉には、”戦い”という意味があるそうです。サン・カラ・ティガに惑わさ
れず善が勝利したことを喜び、森羅万象を創造してくださった神に感謝する日
でもあります。
神々は、祖先の霊と共に、敬謙な信仰心と清い心という恩恵を人間に与えてく
れる存在です。人々は供物を捧げて持成し、各家の社で神と祖先に祈ります。
ダルマ(善)とは、サンスクリット語で規則とか義務、真実という意味で、ダル
マの勝利とは真実の勝利でもあります。ヒンドゥー教徒の義務とは、ヤドニャ
を行うことであり、ガルンガンの祭日を祝うこと、これすなわちヤドニャを行
うことであり、これが最大の目的とされています。
供物の大小は問題ではなく、神と自然の霊力と祖先の霊に対して供物を捧げる
ことがヒンドゥー教徒としての義務です、、、、と、一応建前はそうなってま
すが、実際には村によっては取り決めがあって、値段はいくらぐらいのものと
か、何を使わなきゃいけないとか、もういい加減にしてくれっ!ていうような
決まりがクソ坊主、、おっと失礼!僧侶からなされているわけです。
また、竹飾りのペンジョールはバリヒンズーの総本山であるアグン山(日本人
にとっての富士山みたいな感じかな‥)をシンボル化したものといわれ、一本
の、先のしなった竹をヤシの葉で飾り、大地からの恵みの作物、果物、稲、砂
糖キビなどを吊るします。
この地上にある生活に必要ものなものは、全て神が創造した神からの授かり物
ですので、感謝の意を込め収穫の一部を供えるわけです。ペンジョールの先端
には、ポロサンとかサンピアン・ペンジョールと呼ばれる小飾り(通常は生花
を使います)を飾り、また供物の置き場所として、ペンジョールの足の部分に
サンガと呼ばれる台のようなものも取り付けます。
普通、ペンジョールは家の門に一本立てられますが、満月と重なる場合には、
呼び名も只のガルンガンではなくガルンガン・ナディと呼ばれ、ペンジョール
の竹の皮をナイフで削ぎ、先端にはカタツムリの殻で作った鈴を付けます。
〜〜ウマニス・ガルンガン(UMANIS GALUNGAN)―3月10日
この日は、無事にガルンガンを迎えられたことを家族、親戚、友人などと共に
喜び祝う日です。
ガルンガンを迎えるまでは、その準備で家族一同大忙し(らしい)で、誰かのと
ころに遊びに行く時間もなかったということで(本当はそんなことないけど)、
この日はあちらこちらでお宅訪問がされています。
└──────────「ここまでが"ガルンガン"だ!まいったかッ!」
―― クニンガン(KUNINGAN)―3月19日
この一連のガルンガンの行事のあと(ガルンガンの10日後)に控えているのが
「送り盆」ともいえるこのクニンガンです。
この日は、地上に降りてきていた神々と祖先の霊が再び天界へと戻っていく日
とされていて、出迎えた時と同じようにまた海まで送っていきます。
もちろん!ーーガルンガンの時と同様に全行程徒歩でございます。
また、各家庭では、社の祠と家の軒下に、タミアンという輪飾りを飾ります。
と、ここまでがバリヒンズー教徒版の「迎え盆・送り盆」行事ワンセットな訳
ですが、もっと詳しく言うならば、ガルンガンの35日後に最後の行事が控え
ております。――各家に飾られていたペンジョールなどのお飾りを外し、これ
にて目出度く一連の行事は終了となるわけです。
―― ここで皆さん、
バリカレンダーの説明を思い出してみてください。
そうです。1ヶ月が35日のウク歴に従い、6ヶ月(210日)に一度巡ってく
るんですよ、ガルンガンは。ーー1年365日じゃないんです。だから、この
ガルンガン&クニンガンの行事は、1年に2回ぐらいあるわけで、もうほとん
どエンドレス状態なわけです。
これまた以前バリ暦でお話したように、このガルンガンを中心にして冠婚葬祭
の行事が行われ、ガルンガンから35日後の最後の行事が済むまで、一切の冠
婚葬祭行事は行えません。――なので、ガルンガンが近くなってくると、結婚
式やら葬式やらが目白押しになるわけです。
―― が、しかし!
なんといっても、バリヒンズー教最大の宗教イベントはニュピ(NYEPI)!
誰がなんといおうと、これしかないッ!そして、今年のニュピはなんと前述の
ガルンガンとクニンガンの間にやってくる。もっと正確にいうならば、ガルン
ガンの翌々日(ウマニス・ガルンガンの翌日)、そう、3月11日がメインイベ
ントのニュピなのであります!
ニュピとは、バリ・カレンダーを構成するもう一つの暦であるサカ暦の新年に
あたる日で、3月11日の零時、に、バリはサカ暦1927年を迎えます。
ニュピには「静寂の日」という意味がありまして、この日はバリ島にいる悪霊
や悪いものを追い払い、良いものを招くという日であり、いくつかの決まりご
とがあります。
まず、
・「外出をしない」
・「仕事をしない」
・「火を使わない」
・「電気を使わない」
・「断食」
・「音の禁止(ラジオやテレビ)」
などがあり、交通機関も一切運行休止となります。もちろん、飛行機も止めら
れ空港の離発着は完璧にストップします。この日だけは観光客も外出禁止とな
り、ホテルの敷地内から出ることはできません。ホテルのエントランスには黒
い幕がかけられ、電気は朝から晩まで消されてしまいます。
観光客に禁止されているのは外出禁止だけで、断食を強いられたりなどはしま
せん。部屋の電気もつけば、テレビを見ることも可能です。ただし、ホテルに
よって多少の違いはあると思います。
ニュピの前日には、晦日行事として、各地域や地区ごとに、3〜4ヶ月かけて
作られたオゴオゴ(お化けとか悪霊というような意味)が町々村々を練り歩きま
す。――どんなものかといいますと、秋田のナマハゲと青森のネブタが一緒に
なったような感じです。
造りは、ネブタ祭りの山車の上に乗っている人形の飾りのように大きく(竹と
紙で作成)、顔はナマハゲといえばもっと想像しやすいかな?――時間をかけ
て作られたオゴオゴのコンテストも各地域ごとにあります。
このオゴオゴ、とにかくデカイ。高さも横幅も年々大きくなっていくんですが
なにせ、バリの道路は幅が狭いもんで、交通渋滞やら電話線の切断やら、必ず
何かしら面倒なことが起きます(外国人在住者にとっては..ですけど)。
渋滞ぐらいならいいですけど、もし自分の住んでいる地域で電話線が切断され
ても、ニュピが開けるのを待たなくてはなりません。うっかり病気にもなれな
いし、怪我もできないし、緊急の用事なんて絶対に作っちゃいけない。
ーー日本の家族親戚・友人知人にも、音信不通になっても慌てるな、と伝えて
おかなくてはなりません。
救急車も消防車も、出動するにあたっては村長や地元警察の許可が必要。外国
人であろうと、許可なしで外に出ると逮捕されます。各地域で自警団が組織さ
れ、その自警団のメンバーとして許可を受けた人だけが外に出られます。それ
以外の人間は不審人物ということで逮捕されるわけです。
まあ、外国人が昼間うっかり外に出た程度ならば注意勧告だけで済むでしょう
けど、夜にフラフラ外歩いてたら、逮捕される前にボコボコにされるかも..。
〜〜というわけで、まったくの暗闇と静寂につつまれるのがバリ・ヒンズーの
新年「ニュピ」なわけです。
―― さあ!
時間とお金のある方は、どうぞ今からバリ島への旅行を予約し、来週のビッグ
イベントを体験してみてください。特にニュピはおすすめ・・・と思います。
――日本にはない行事ですからね。
排気ガスも減るし、天気が良ければ夜は綺麗な星空が堪能できると思います。
南十字星を眺めながら愛を語り合うなんてことでき・・・ません。外には出ら
れないですからね。でも、電気を消してホテルの部屋のバルコニーで星灯りっ
ていうのは可能かも。----やったことないですけど、私は----
それでは皆さん、Selamat Tahun Baru!(インドネシア語のHappy New Year)
= この稿おわり =
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┃ ┃ お便りで頂きました感想。
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┌──────────「bariheikouさん」女性@六十代@京都
来週、11日間の予定でバリ島へ旅行するので、地震の被災者である子供達に
文房具でも持っていったらと思いましたが、必要ないですね。
ボランティアではなく、観光客としてでも行くことは悪いことではないと安心
しました。
└──────────
▼
┌──────────「美龍@バリ島さんから」
bariheikouさん、こんにちは。
被災した子供達へのお心遣い、ありがとうございます。
bariheikouさんがバリ島にいらっしゃる分にはまったく問題はありません。
ですが、もし、地震の被害のあったアチェやニアス方面にいらっしゃるのであ
れば、観光で行くのには時期が悪いと思います。
復興途中でもありますし、また、外国人の入島もかなり制限され、被災地にい
る外国人を取り巻く環境(治安面)も悪化しています。
付け加えていうならば、現地人同士の間での衝突も頻繁におこっており、銃撃
戦などもあるようですので、地震の被災地に行かれる際には、日本大使館など
を通じて、渡航情報を確認のうえお越しください。
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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