ラオスからの手紙 ―――――― by 桜ちゃんのパパ
☆ 日本人の呼び方 ―――――――――――――――― 2008/07/16

ラオス人が日本人を呼ぶときにどのように呼ぶか。これはどうも両極端過ぎる
と思う。

最初、JICAなどの政府関係の仕事でラオス人と接すると、相手はわたしの
名前にターンをつける。これはMrに当たるのだろうが、これは丁寧すぎる。
結局は、どういった社会的立場があるかで付け加える仕事の上での敬称なので
長続きしない。英語でもMrは文語だと聞いた。

そのうちに仲良くなってくると、相手も面倒臭くなって「呼び捨て」になる。
アメリカなどでも、ファースト・ネームで呼び捨てにするとラオス人も聞いて
いるのだろうか、日本人にもたいていはこの呼び捨てになる。

さて、面白い話しを紹介しよう。

ヴィエンチャンでラオス人女性と結婚し、ビジネスを展開するXさん。ある年
の4月、ラオス正月ということで従業員を集めてバーシー・セレモニーをおこ
なった。

ちょうどわたしの妻も呼ばれていたのでその場面を紹介する。

従業員Y「オーイX、マーニ−、コイ シ マット ケーン ハイ」
    (おーいX こっちに来て、糸を巻いてあげるから)

この従業員Yさん、Xさんの奥さんであるラオス人のZさんにはウアイ=お姉
さん)をつけて尊敬を示しているのだが、その旦那さんのXさんにはアーイ=
お兄さん)も付けないで「呼び捨て」にしていたという。

本人が気にしなければこれでもいいのだろうが、それともラオス語があまりよ
く分からなかったのか、やはり店のオーナーとしては自分を「アーイ」と呼ば
せるようにしたほうが威厳のある人だと思うのだが。ーーーこの場合はラオス
人の奥さんが従業員に注意してあげればいい。

日本人は、このように「私のことを○×△と呼んで」というフレーズが苦手の
ようである。自分の気に入った、自分が呼ばれてうれしい言い方で呼ばれるの
がその人にとっては幸せであろう。ラオス語の教科書でもこの言い方を教える
べきだと思う。

あだ名でも、本人が呼ばれて嬉しいあだ名と、逆に本人がいやがるあだ名があ
るのと同じである。

ところが日本人の多くはこのフレーズが出てこない。自己紹介では自分の名前
を言ってそれでおしまい。そのくせ後になって「呼び捨てにされて嫌だ、気分
が悪い」と言っている。

またラオス語では、立場、身分、年齢などによって呼称が変ってくるので、ラ
オス人にとっても難しいのである。外人の場合は、この人がどの社会的身分に
当たるかよく分からない、アメリカ人はみなファースト・ネームで呼び合って
いるので「呼び捨て」でいいと思うのだろう。

しかし、これは日本人だけではなくほかの国でもよくある話しだ。

カンボジアの友人に聞いた話である。カンボジアの学校の先生が日本に来た時
「あなたのことをなんと呼んだらいいでしょうか?」と質問したらしい。年齢
では通訳氏のほうが学校の先生さんより年上であった。

学校の先生、本当は○○先生と呼んでもらいたかったのだが、遠慮して「呼び
捨てでもいいよ」と答えてしまった。

実際は、「呼び捨てでいい」と本人が言っても、これを真に受けてはいけない
ようだ。その後、呼び捨てにされた先生は機嫌が悪くなったという。

ラオス人同士でも「呼称」の問題は難しいようだ。

最近あるラオス人のおばさんが言っていた話。「本当はアイツより私のほうが
年上なのだけど、お金持で地位も高いので、仕方がないのでアーイ=お兄さん
をつけて呼んでるの」

ということで、

日本語の敬称「さん」は本当に便利だということがよく分かる。「さん」をつ
ければ、ほとんどのケースで通じるからである。

                        = この稿おわり =
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