ラオスからの手紙 ―――――― by 桜ちゃんのパパ
☆ 赤い喪服 ――――――――――――――――――― 2008/02/25

ーーー近所のおじいちゃんが亡くなったのでお通夜に行った。

たくさんの弔問客がつめかけている。みるとその中の一人の女、年は40歳ぐ
らいだろうか、聞くところによると彼女も同じ町内会の一人。真っ赤な服を着
ている。最初に気がついて教えてくれたのは淑珍である。

他の人には聞こえないように小声で説明してくれる。「彼女は変わった性格で
結婚式には真っ黒な格好で、そしてお通夜には真っ赤な格好で来るのよ、赤だ
とケバケバして自分ではきれいだと思っているみたい」

赤い喪服の女、他人が悪口を言っているのも知らないで、平気でトランプに熱
中している。

しかし誰一人として彼女に注意する人はいない。喪主はどう思っているのだろ
うか?わたしが喪主だったらすぐに帰ってもらっただろう。一般的にラオス人
は気にしないようだ。近所のラオス生まれの華僑に聞いてみると、中国人はこ
だわるみたい。

次の日に、お寺でお葬式があった。お葬式に来ていたお手伝いのおじさんが赤
い野球帽を被っている。それを見たラオス人の弔問客が「お葬式に赤い帽子な
んて被って来て」と野次を飛ばしている。やはりラオスでも葬式に赤はタブー
なのだろう。

ある日の朝、起き抜けに家の前のコーヒー屋に行った。ラオスにしては寒い朝
だったので、寝ぼけ眼でもう一枚シャツをはおって行った。ところが眠たくて
注意していなかったのか、うっかりとシャツを逆さまに着ていたのである。

「ポー桜(桜ちゃんのお父さん)、シャツを逆さまにして、それは死んだ人に着
せるやり方ヨー」とコーヒー屋のおばさんがすぐに教えてくれる。おばさんの
名前は、クン・トウー。

お父さんが華僑でお母さんがラオス人のハーフ、桜ちゃんのお母さんとは親し
い友人である。そんな間柄だからか遠慮ない。普段の人間関係が大切である。

もしわたしが経済的にも社会的にも地位が高くて、クン・トウーとも全然知ら
ない関係だったら、クン・トウーも敢えて注意してくれなかっただろう。

服を反対に着せるのは、人が死んで納棺する時にやるしきたりらしい。あとで
家に帰って調べたら、私の著書「楽しくて為になるラオス語(自家本)」にも書
いてあった。以前に自分で書いたことも忘れていたのだが、ラオスや中国の習
慣である。

結論、外国に住むとしたら良き隣人を持て、その国の文化や習慣は実際にそこ
に住まないと分からない。そして、住んでいてもその国の人に教えてもらわな
いと分からない。

まあ、御通夜や葬式に赤がタブーなのは万国共通だと思うのだが。

                        = この稿おわり =
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