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ラオスからの手紙 ―――――― by 桜ちゃんのパパ
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☆ ラオス語のニュアンス ――――――――――――― 2006/07/12
Hさんのお母さんの御葬式に行く前に、親戚(義理の父の親戚で苗字が同じ廖)
が聞いた。
チャオ・パイ・サイ「どこへ行くの?」
パイ・ソンサカーン、ピーノーン・シア・レオ「御葬式、親戚が死んだから」
これを聞いて淑珍が怒った。わたしがピーノーンという単語を使ったからだ。
Hさんとは日常の付き合いはほとんどないが、25年以上前からの知り合いで
ある。彼らが日本にいるときから知っている間柄だし、また子供が華僑学校、
日本語補習校で一緒なので、そういった親しい気持ちをこめてピーノーンとい
う言葉を使ったのだ。
しかし、この場合は使ってはいけない単語だったようだ。なぜなら、話してい
る相手が本当の親戚(苗字が廖)であるからだ。つまり廖の親戚が亡くなったと
いうようにとられてしまう。ーーーわたしの軽い冗談、親しみを込めた言い方
が逆の意味に理解されたわけである。
言葉というのは難しい。人によっていろいろ解釈が違う。ある人は冗談で言っ
ても別のある人は冗談にとってくれない。そして日本人とラオス人のユーモア
の感覚も違う。
昔、こんな問題があった。くだらないといえばくだらないことであるが。
私が車を運転して、水道局のカウンターパートと現場に出た時である。
車の運転を間違えてうまくUターンできなかった。その時に助手席にふんぞり
返って座っていたD君が「○○、スー・ペクミー・ユーサイ?=○○、おまえ
運転免許どこで買ってきたのだ?」
自分で運転しないで助手席でふんぞり返っているくせに、人の運転にケチをつ
けやがって。長時間の運転で疲れていた私は頭にきて、
「チャオ・シ・ターイ・パーイ・ナイ・チェト・ワン」と言い返してやった。
ラオスの古典、「シェンミアン」を読んだことがある人はわかるであろう。
王様が病気の時にシェンミアンがこのように言った。これを直訳すると「王様
は7日以内に死ぬ」である。
しかし人間はいつか死ぬ。それは月曜日であろうと火曜日であろうと、一週間
のうちのどれか一日である。シェンミアンの言い方は2つの意味にとれる。そ
してこの言葉のあやを利用して王様・権力を皮肉っている。
シェンミアンの話は、ラオス人で学校に行ったことがある人なら当然知ってい
る話である。これを聞いてD君、烈火の如く怒った。
怒るD君に対して「おまえ、これはシェンミアンが王様をおちょくったラオス
の昔話だ、冗談もわからないで腹を立てるとは何事だ」と言い返してやった。
その後、ビエンチャンに帰る車の中で我々の会話はなかった。そしてまた、し
ばらく我々の間に仕事以外での会話は成立しなかった。
ある本には、ラオスではどこに行っても、みな親しくなるとピーノーンという
言い方をしてくれる。本当の親戚ではないのだが、仲の良くなった人はすべて
ピーノーンカンになる。という話を読んだことがある。
むかし、サムセンタイの焼飯屋さん=妻の実家)で働いていたお手伝いさんの
子供を連れて遊びに行った時の話である。友達に会った。桜ちゃんや蘭ちゃん
も一緒だったので、淑珍は桜ちゃんと蘭ちゃんは、「私の子」そしてお手伝い
さんのこどもは「ラーン(この場合は甥・姪)」と紹介していた。
日本人ならば「うちのお手伝いさんの娘です」とちゃんと説明するのに、この
ラーンという言い方は便利だと思った。ということでラーンと言われても実際
は本当の親戚かどうかわからない。ただ説明を聞くほうもそこまで深く質問し
ないようである。
ピーノーンという言葉も、「皆さん」というような軽い意味でも使われるよう
である。
ラオ・アイテックで素人ノド自慢大会があった。司会者はSSSSというラオ
スのCD製作するプロダクションの社長さん、社長自らがDJとして活躍して
いた。
彼は「ピーノーン、ウーイ」という感じで見物に来ていたお客さんに呼びかけ
ていた。この場合のピーノーンは「親戚」の意味ではなく「御来場の皆様」と
いう意味になるのだろう。
日本の方は、「ラオス人は、親戚同士がお互いに助け合って暮らしているのが
ラオスの社会である」というようによく言う。これも一部は当たっているのだ
が、親戚だから全部助け合っているわけでもない。
同じ血のかよった兄弟姉妹でも、知らんぷりをする例もある。なかには嫌いな
親戚、仲の悪い親戚もいる。道であっても口もきかない。家にも遊びに行かな
い。このような親戚もある。
ということで、日本人もラオス人も同じ人間、ウマの合う人もいれば嫌いな人
もいる。
= この稿おわり =
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