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ラオスからの手紙 ―――――― by 桜ちゃんのパパ
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☆ ビエンチャン(大きな声で言ったほうが勝ち) ――― 2006/03/08
ラオスの首都ビエンチャンを、アルファベット表記ではどう書くか?
「Vientiane」と書くのが一般的のようだが、どうも私は納得できなかった。
ラオス語の文字を覚えた人間にとって、この Vientianeという綴りはおかしい
ように思えたからだ。
ラオス語ではVienは末子音が「N」ではなく「G」の発音だと思う。
したがって、少なくともViengぐらいにしないとおかしいのでは、、。
それから、TIANEも、これでは「チャン」の発音には読めない、、、。
長いこと抱いていた疑問である。拙著「楽しくて為になるラオス語」にもこの
ことは書いてある。
ある日、ラオスの地名をアルファベット表記で書いたら、ある人から「それは
間違いだ」と指摘された。腑に落ちないので、言語学を専攻している友人に、
メールで問い合わせてみた。
何故なら、ビエンチャンだって無茶苦茶なスペルではないか、というのが私の
考えである。言語学を専攻している友人の説明を以下に要約して紹介する。
┌──────────「ここから」
「VIENTIANE」というスペルは、やはり仏語の匂いがしますね。
フランス語の「よい」なんて言葉は「bien」なんですが、最初の「VIEN」は、
これと似ています。フランス語では「n」の前に「e(母音)」がくると「n」
が鼻音化して、ちょうどラオ語の「ng」の発音と近くなるんです。
これを、無理やりローマ字表記すると「viang」になるんです。
ですから、フランス人的には「あり」なんだと思います。さて、きっとお気づ
きだと思いますが、それでは何で最後の「tiane 」なんだと思われるかもしれ
ませんが、これも法則がありまして、「n」の後に「e」をつけると前の母音
があっても鼻音化しないというお約束があります。
ですから「n」の音になり、同じ「n」でも後ろの「e」によって使い分けて
いるんですね。
それから日本語の「ち」の音ですが、これは実は非常に難しい音で、日本人で
も言えない人はたくさんいます。地方のご老人や江戸っ子なんかもそうです。
ローマ字にしてみると「ち」と「し」はそれぞれ「chi」「shi」になります。
hが入っていて、これは息が漏れることを反映しています。つまり、実は二重
子音的な音なんですね。これはフランス語にはありません。ですから、比較的
近い音である「T」によって表しているんだと考えられます。
また、フランス語にはラオ語の「ci」もありません。すると、「t」をつかっ
て、「ちゃん」、「can」を現そうとすると「tan」では「タン」になりますし
「can」をつかうと「カン」になってしまいます。
ですから、二重母音を使い「tiane」と書いて「ティアン」と表しているわけ
です。そんなわけで「VIENTIANE」になったと考えられます。
└──────────「ここまで」
なるほど、さすが専門家である。ここまで説明されると頭の悪い私でもよく分
かる。実際にアメリカ人がVIENTIANEを発音すると、ビエンティアン
という音に聞こえる。これでは「蝋燭祭り」になってしまう。
また、エッチな意味では・・・「たらい回し」になってしまう。(富田先生の
タイ語の辞典より)
さて、この前「千代田」という名前の会社に行った。ーーーアルファベットで
表記されたスペルを見るとTIYODAになっている。またあのノーベル賞の
田中さんで有名になった島津製作所はSHIMADZUである。
千代田をTIYODAにするのは訓令式の表記である。この頃アメリカの影響
で、日本語をローマ字表記するのに、ほとんどへボン式を使っているが、この
会社は創業当時の登録名を守っているのだろう。島津も、創業当時にこのよう
に登録したから、そのまま使っているそうである。
西鉄ライオンズという野球チームが昔あった。稲尾、大下、中西、豊田などの
サムライのいたチームで、日本シリーズで巨人に3連勝したことがある。最近
「獅子たちの曳光」西鉄ライオンズ銘銘伝 赤瀬川隼 文春文庫
を読んでみた。
このなかに、ユニフォームを着たライオンズ選手の写真が載っている。
ユニフォームにはNISITETUと書かれていた。これも訓令式である。
ヘボンではない。
ラオス人で日本に留学した人に、ラオス人の名前をカタカナで表記してもらっ
たら大変苦労していた。気持ちは分かる。ラオス語の発音自体、日本語にする
のは難しい。ベトナム(国名)だって、本当の発音を正確に表記しようとすると
ビイエット・ナームになるだろうし、難しい。
またさっきのビエンチャンであるが、最近はアメリカ人はVIENGCHAN
というように表記する人が増えているとか。
で、表記の問題、いったいどうしたらいいのだろうか?
昔、朝市にCDを買いに行った時、小さい声でボソボソと話したラオス語は通
じなかった。市場のおじさんに「ラオス語は大きな声で言わないと」と忠告さ
れた。そうだ、下手な人でも、大きな声で、怒鳴るように威圧的にしゃべれば
通じる。ーーーということで、表記の仕方も同じではないか?
どれが正しいかよく分からないから、大きな声で言ったものの勝ちである。
ーーー結局、こういうことに落ち着きそうであるーーー
世の中、何でも大声で言ったもの勝ちのようになってきたのは、気のせいだけ
ではないのだろうかーーー。
= この稿おわり =
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