ラオスからの手紙 ―――――― by 桜ちゃんのパパ
☆ 謝るという事(フィリピンでのある日本人の経験) ― 2003/05/02
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│「間違えた黒いカバン」の、まあ..続きです。
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┃だ┃けどこういった場合も、ラオス人だったら「コート−ト」というのだろ
┗━┛うか。私は日本語の「すいません」と、英語の「アイアム ソーリー」
と、ラオス語の「コート−ト」の間にはずいぶん違いがあると思う。

おそらく、ラオス人がこういった問題の当事者だったら絶対に「コート−ト」
とは言わないと思う。場合によっては「ボーペンニャン」が出てくるだろう。
謝って自分が損をすると思った時は、絶対に彼らは謝らないと思う。
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│ボーペンニャン:言葉
│「いいですよ、かまいません、大丈夫です」
│こんな感じの日本語に翻訳できると思います。
│けれど、迷惑をかけた人が被害者に対して言うこともあるので、日本語には
│訳しづらいでしょう。
│
│「許してください。仕方がないでしょう」
│こういった意味になる場合もあります。
│これについてはラオスに長く住んで、ラオス人とつきあった人でないと本当
│にはわからないでしょうね。
│ラオス人をひと言で表現すれば、この言葉になると思います。
│これは大らかな、寛容なラオス人の性格を表している言葉だと思います。
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┃さ┃て「アイアム ソーリー」であるが、15年以上も前のエピソードを紹
┗━┛介する。私が、フィリピンのマニラにある、フィリピン人の家に下宿し
ていた時の話である。
早稲田大学の学生でサチコさんという人が、私を頼ってフィリピンに遊びに来
た時の話しである。

彼女はその前に、アメリカで2ヶ月ほど語学留学をしていた。留学が終わった
後、日本に帰らないで直接フィリピンに来たわけである。フィリピン人の庶民
の家庭にホームステイしたいという彼女の希望で、私が下宿していたロタさん
の家に滞在する事になった。

サチコさんがロタさんの家に来た時、
「サチコ、貴重品があったら私が預かってあげる」
とロタさんはサチコさんに言った。
サチコさんはホテルじゃないし大丈夫だろうと思っていたらしい。預かっても
らわなかったのだ。

さて、サチコさんはアメリカからフィリピンへの長いフライトで、すっかり疲
れていた。夜中に枕元で何かゴソゴソと音がするのに気がついていたが、疲れ
のためにそのまま寝てしまった。翌朝、カバンの中をあけると2000ドルの
お金が消えていたのである。
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┃サ┃チコさんは先ず私に相談した。
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とにかくその家の主であるロタさん(マダム)に報告することにした。
私は、サチコさんがマダムに言うのを横で聞いていたが、サチコさんの最初の
ひと言でこれはサチコさんの負けだと思った。

サチコさんの最初のひと言は「アイアム ソーリー」だったのだ。
つまり日本語の
「すいません、カバンのなかに入れてあった私のお金が無くなったんですが」
この文書を英語に直訳してしまったのだ。
これに対してマダムは上手だった。

「私の家は御存知のようにいろいろな人が出入りする。女中も怪しい。だけど
 誰も現行犯で見たわけではない。私が女中を呼びつけて問い詰めても彼女は
 怒って辞めてしまうだろう。彼女に辞められてしまうと家事の手伝いをして
 くれる人がいなくなるので私は困ってしまう。勿論、私の子供のなかで人様
 のお金に手を出す者はいない。私は子供にそんな躾はしていない。」
そして
「サチコ、これは神様が貴方に与えてくれた試練なのだ、サチコ、この試練に
 打ち勝ってこそ、貴方はもっと立派な人間に成長していけるのだ。頑張れ、
 サチコ。この試練に打ち勝って立派な人間になってください。」
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┃マ┃ダムの言い方は本当に上手いと思った。
┗━┛
もしこの件について、マダムが「アイアム ソーリー」を言ってしまえば、マ
ダムがなくなったお金について全部弁償しなければいけなくなる。
だけどサチコさんは、日本語の意味で「スイマセン」のひと言をマダムに言っ
てもらいたかったのだ。

それがサチコさんにとって「アイアム ソーリー」だったのだ。

マダムにしてみれば、最初に来た時に「貴重品があれば私が預かってあげる」
と言ったのに、どうしてサチコは預かってもらわなかったのか。
サチコさんにしてみれば、自分の家の中でお客さんのお金がなくなったのだか
ら、マダムが「アイアム ソーリー」を言うのが当然である。だけどサチコさ
んも、なくなったお金についてはしょうがないと考えているようである。

それよりもサチコさんが怒ったのは、マダムが「スイマセン」のひと言も言わ
なかったことである。そして、あんな倫理感のない家族のところには住みたく
ないと、マダムの家を飛び出してホテルに泊まったのである。
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┃私┃の家で以前雇っていたお手伝いさんの話しである。
┗━┛
ある日、頼まれもしないのに女房の妹、梅ちゃんの旦那のズボンを洗濯した。
そしてポケットに入っていた9000キップを失敬したのだ。お金がなくなっ
た事に気がついたポムちゃんは、梅ちゃんと相談して女中を問い詰めた。

そうして彼女は9000キップを持っていってしまったことを白状した。次の
日に4000キップ持って来て返した。5000キップは使ってしまったとの
こと。ということで来月の給料から5000キップ差し引く事にした。その時
も「コートート」言われなかったらしい。
やはり、こういった場合ラオス人は謝らない。
 
ということで、外国に住んでいるといろいろなことを経験するものである。

だけど、逆に日本人は何でも「スイマセン」だが、実は本当には謝っていない
ような気もする。
文化、考え方が違う人達と理解しあうのは難しい、だけどお互いに理解しあう
努力をしていかないといけないと思った。

                        = この稿おわり =
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