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┃ :韓国を見る眼:――――――――――――――― by Bunさん
┃ 「韓国からのPC通信」
―某大学のアンケート結果― ―――――――――――――― 2001/07/08
私がつ勤めていた韓国の某大学で発行されている大学新聞に、日本の歴史教科
書問題に関するアンケート結果が発表されました。その内容を紹介します。
<アンケートの内容及び結果>
去る4月4日、日本の「新しい教科書をつくる会」が申請した教科書が文部省
の検定を通過したことで、韓・日両国をはじめとする、東北アジア各国と日本
との最大外交懸案として歴史問題が台頭しました。
湖南大学新聞社では学友の多様な意見を調べようと、アンケート調査を実施し
ますのでみなさんの参加をお願いします。
1.日本の教科書改定を理解できますか。
@ ある程度理解できる。―――――――――――12.5%
A 改定はあり得る。―――――――――――――16.5%
B 全然理解できない。――――――――――――62.5%
C 自分には関係ない。―――――――――――― 6.0%
D その他。――――――――――――――――― 3.0%
2.台湾では歴史歪曲人物の入国禁止法案が施行されています。
これに対して、我が国もこのような法案を準備するため、
改正案を出す模様です。これに対してどう考えますか。
@ そういう法案はかならず必要である。――――50.5%
A 人権侵害だ。―――――――――――――――21.0%
B 別に考えなかった。――――――――――――26.0%
C その他。――――――――――――――――― 2.5%
3.教科書改訂問題が、2002年韓・日ワールドカップで国民の友好と協力
の障害となるだろうと思いますか。
@ そう思う。――――――――――――――――41.0%
A そう思わない。――――――――――――――31.5%
B よくわからない。―――――――――――――23.0%
C 自分には関係ない。―――――――――――― 4.5%
4.日本教科書歪曲問題について、
政府はどのように対処すべきだと思いますか。
@ 韓・日外交関係にかかわらず、
もっと強い対応をすべきだ。――――――――35.0%
A 何か措置をとるべきだ。――――――――――35.0%
B 状況をさらに見守って、対応すべきだ。―――22.5%
C (自分には)関係ない。―――――――――― 6.0%
D その他。――――――――――――――――― 1.5%
5.歴史教科書改定に対する日本側の立場を見て、
われわれの歴史教育は正しく行われていると思いますか。
@ そう思う。――――――――――――――――15.5%
A そう思わない。――――――――――――――51.5%
B よくわからない。―――――――――――――31.0%
C 自分には関係ない。―――――――――――― 2.0%
6.「新しい歴史教科書をつくる会」と出版を担う日本の扶桑社側は書店を
通じて、文部省の検定に合格した教科書を一冊980円で販売し始めま
した。これについてどう思いますか。
@ 販売をやめさせるべきだ。―――――――――45.0%
A われわれも関連した本を出版すべきだ。―――28.5%
B どうせ売られている本だから立ち入らない。― 5.0%
C よくわからない。―――――――――――――17.5%
D その他。――――――――――――――――― 4.0%
<記事でのコメントとぼくのコメント>
まず、このアンケート結果に対してコメントする前に、設問目的と設問の甘さ
などについて指摘せざるをえない。
例えば、2の場合、「法案が必要だ」と「人権侵害だ」という設問が分けられ
ているが、このような法案が厳密な意味で人権侵害であることはいうまでもな
いのである。
にもかかわらず、問題の教科書作成に関与した人物に対する入国規制は必要か
どうかという点が問われるところなのに、この設問にはそうした「すき間」は
ない。
それ以上に、この問題について回答者がどのくらい理解しているのかを問う項
目がひとつもないのが残念である。
さらに、「その他」の回答例や有効回答数(学年・年齢別も含めて)がまったく
示されていないところにも報道側に対して不満が残る。
にもかかわらず、このアンケートにはいろいろ示唆すべき点が含まれているの
で、今回紹介するにいたったわけである。
「1.日本の教科書改定を理解できますか」という質問について、「大部分の
学生が日本の教科書改定に否定的な立場を現した」(大学新聞、以下同じ)と
大学新聞はコメントしたが、日本の教科書検定制度そのものについての是非を
問うのか、今回の結果のみを問うのかが不明である。
仮に今回の検定結果に対してのみ否定的だとしても、扶桑社の教科書だけなの
か、他の教科書からも「従軍慰安婦」記述が削除されていることも含めて否定
的なのか不明である。
というキライはあるが、今回の検定結果が朝鮮関連部分について著しく不十分
である点は広く知られていることが分かる。
2の結果について、大学新聞は「対日感情が相変わらずであることが分かり、
近くても遠い国であることをあらためて確認できる」などとコメントしている
が、まったく根拠がない。
入国制限自体は、なんら対日感情の問題ではないからである。
それにしても、50.5%の人が「韓国の歴史をねじ曲げるヤツは入国させるな」
と言っているのはかなりオドロキである。
感情(ステレオタイプとしての反日ではなく)の問題としては理解できるが、
このような法律が容易に成立するはずは無いだろうということは常識の問題と
して分かると思うのだが・・。
3について、大学新聞は「今回の日本の教科書改定が韓・日関係にとても重要
な部分を占めていることが分かる」とコメントしている。
が、今のところワールドカップが教科書問題の影響を受けたという記事を見た
ことがない。
むしろ、「そう思う」は41%に止まっていると言うべきで、「そう思わない」
と「よくわからない」を合せると50%を越えるところに、日韓関係の二重構造
を感じる。
すなわち、政治分野と文化の分野を切り離して「日韓間に問題はあるが、協力
すべきところは協力しよう」という姿勢である。
4の質問になぜ「外交問題とすべきでない」という選択肢がないのだろうか。
質問者の故意という他ないが、ほとんどの学生が「外交の場で対応すべきだ」
と考えているようだ。といっても、もはや外交問題になってしまったわけだか
ら、現状追認と理解してもいいだろう。
興味深いのは5番目の問いである。「韓国の歴史教育にも問題がある」と考え
ている学生が50%を越えた結果について、大学新聞も「これは日本での歴史再
評価に対する主張には反対する視角を持ちつつ、韓国の歴史教育の問題につい
ても否定的な立場をとる姿が見られる」と評価している。
西尾の**は中国や韓国の動きについて、「内政干渉だ」とか、「中国や韓国
の教科書にも問題がある」などと吐いているが、それは韓国の人々もよく知っ
ていることなのだ。
「おまえに言われるまでもない」といったところである。
最後に、6の教科書が市中に出回ることについては50%近くの学生が憂慮して
いるようだが、ぼくはそこまで悲観する必要はないと思う。
「つくる会」というのは要するに政治運動団体であり、マスコミを通じてその
存在を誇示するという手法を用いてきた。
全国に数万の会員を持つといわれているのだから、本が数万単位で売れるとい
うのは当たり前のことなのだ。
教科書の現物を広めた方が反対派の主張も確認できるというもの。
教科書販売については現状を見守るしかないだろう。
**
全体的に見て、この結果は出るべくして出たものと考えるべきであろう。
韓国では、日本よりも教科書問題についての記事が紹介されているし、むしろ
問題の深刻さを知らないのはわれわれ日本人の方かもしれない。
採択までほぼ一か月。
「つくる会」は、中国や韓国の内政干渉ばかりを取り上げるが、基本的にこの
問題は日本人自身が取り組まねばならない問題なのであり、現実に多くの市民
団体が取り組んでいる。
このような現実から「隔離」されている人々は実に不幸であろう。
この記事を書いているうちに、「ファシズム」というのはこうしてくるのだな
などと考えてしまった。
知らず知らずの間に、国民の不満がナショナリズムへの共感に向けられ、「靖
国神社公式参拝するぞ!」といい、改革、改革といいながらその中身はこれか
ら考えるという「カリスマ」が政治のリーダーになってやってくるというこの
パターンは1930・40年代のヨーロッパを席巻した「ファシスト政権」の
成立過程とそっくりである。
このような事態を許している日本の歴史教育って、いったい何だったのか。
根本的な反省が迫られるところである。
= Bun =(完)
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