ーーー中国による東チベット侵攻は極めて一方的に行われた。
勝手に解放を宣言して攻め込んできたのである。ーーー元々の持ち主であるこ
とを国際社会で主張してきた中華民国は台湾に閉じこめられていた。
チベットは政治的に対抗する手段を持ち合わせていなかったのだ。もちろん、
解放される側として抵抗はしたものの、戦況も一方的で、兵力に勝る人民解放
軍がチベット側を圧倒した。
チベット兵は、地の利を得ていた上に兵も剽悍だったが、指導部がことごとに
熱心な仏教徒で、元来が良く言えば平和主義的、悪く言えば優柔不断であった
り、政治的には分裂状態であったりしたため、しばしば作戦に齟齬をきたし、
結局は、話し合うつもりなど最初からなかった中国側の完勝となった。
解放軍も当初は甘い顔を見せ、巧みにチベット側の離間を誘った。首都のラサ
には踏み込まず、その手前までを中華人民共和国だと宣言した。
チベット側はこれに見事に乗ってしまい、全土が完全に制圧されるまでついに
望みを捨てきれなかった。が、もちろん、その間違いを指摘するのは酷という
ものである。ーーー彼らは選択肢を持たなかったのだから。
本来であれば、東チベットを他人事と思わずに、あらゆる措置を講じて中国の
侵略行為を食い止めるべきであった。解放軍はもちろん、平和理に現地を貫く
進撃路を確保し、後から大軍をもってじっくり踏みつぶすつもり、だったので
ある。
ーーー中共は、ラサの手前で軍を停止してから二週間の間をとり、おもむろに
チベット進駐を宣言した。
それまでの侵攻作戦など、まるでなかったかのような態度であり、要するに連
中はすべて中国内部の話だったと言いたいのだ。で、西チベットへの侵攻から
がチベット進駐の始まりなのだ、と。
これは、東シナ海のガス田開発でもまったく同じ侵略方法が採用されており、
彼らのやり方は、相手との間に一方的な境界線を引いておきながら、その境界
線についてこちらが認めてもいない間から、おもむろにその外側の話を始める
のだ。
ーーーこのことが意味する内容は単純である。
わずかでも譲れば、あるいは相手の前提に乗って話をするだけで、中共はその
成果をダイレクトに国益に変換できる、ということだ。
たとえばチベットのケースでは、チベット進駐の宣言を受けてから、イギリス
やインドが侵略だとして中共に抗議した。しかし実はこれが狙いだったのだ。
中共としては、この抗議を認めようが認めまいが、このタイミングで侵略とい
うのだから、それまでの侵攻は侵略ではない、つまり暗黙裏に承認していたの
ではないか----事実そういうことになるケースもある----
それも侵略だと言うのならなぜそれまで黙っていたのだ、ということである。
この場合、中共がチベット政府の命運を握っていたため、イギリスとしては相
手の出方を見守るしかなかったのであるが、イギリスは手を出せないであろう
という点を見透かすと、その許容範囲のギリギリにまで押し込んでくるのが中
共なのである。
有名な17ヶ条協定がチベットに押しつけられたのもこの侵攻の後であった。
中共が、交渉権を持たないチベットの使僧を監禁し、偽造させただけのものだ
が、チベット側からみれば偽造でも、中共側からみれば、曲がりなりにも自分
たちで書かせた文書である。
当然それぐらいは守るだろう、と、ワラにもすがる思いのチベット政府はこれ
を追認したが、中共はそれさえも守らなかった。チベットは身ぐるみ剥がされ
てから気付いたのである。
「なるほど、中国は最初からすべてを手に入れるつもりだったのか」
ーーーだが真実は微妙に異なる。
もちろん、戦略とは達成すべき目標を持っているものだ。が、このチベット侵
略に限っていえば、文字通り目標に過ぎず、中共は短期間でのチベット全土の
獲得を見込んでいたわけではなかった。
当初、戦術的な展開をしてみたところ、相手に意外な綻びがあったのでそこを
弱点と見込んで戦線を拡大したのみだ。ーーーその弱点とは何か。
米英の消極姿勢である。
とくにインドの介入が加われば、チベットは中共にとって厄介な地域であり、
現に抗議の声をあげたのもこの三国だ。
アメリカは暗黙裏にチベットを支援してもいたが、過大なエネルギーをこの内
陸地域に割いている余裕がなかった。目下の重点課題は朝鮮半島だったのだ。
この決定的な事態を招いてから、米英は支援に本腰を入れ始めた。
たちまちチベットのゲリラは息を吹き返し、解放軍を各地に圧倒し始めたが、
このときも、チベット政府は優柔不断で非協力的だった。
やがて解放軍の大反撃が始まると、ダライラマはラサを離れてインドに亡命、
中国とインドの対立が激化し、一方中国は旧ソ連との間で対立を深めたため、
アメリカ、日本と相次いで手を結んだ。
ーーーこの際に、チベット侵略は日米の政府によって黙認されたのだ。
理由は、国際社会の暗黙のルールに則ったものだ。=「チベット亡命政府は、
何度も抗戦のチャンスを有しながら、武器を手にして立ち上がらなかった」
さて、この話の寓意がお分かりだろうか?
チベットの轍は我々(日本)自身のーーー近未来の姿としてダブるのである。
= この稿おわり =
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┃●┃ 読後アンケートの結果。
┗━┛
◇ この意見に賛成 -------------------------------------- 73人 (85%)
◇ どちらかというと賛成 -------------------------------- 5人 ( 6%)
◇ どちらともいえない ---------------------------------- 3人 ( 3%)
◇ どちらかというと反対 -------------------------------- 3人 ( 3%)
◇ この意見に反対 -------------------------------------- 2人 ( 2%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
┗━┛
┌──────────「1国民さん」
「愚者は経験に学び、智者は歴史に学ぶ」平和憲法信者は歴史を学ばないです
ね、巻き込まれる国民は堪りません。
└──────────
▼
┌──────────「kinny さんから」
ありがとう。コメントいただけてうれしい。
仰せの通りだ。九条屋はよく「これまで何もなかったのは平和憲法のおかげ」
というけど、これほどヒドいデタラメはない。
現に、ほとんど憲法を曲解に近い形でねじ曲げて敵の侵入に対応しているから
防ぎ得ているのに..いったいどれだけこれまで侵犯行為に及ばれていること
か。戦後から平均して2〜3日に一回はあったんだよ。
連中はあまりにも知らないよね、現実を。そういうのに限って反米屋も兼ねて
いる。目も当てらんない、、、。(泣)
└──────────
┌──────────「緑の保守派の尊野ジョーイさん」
支那中共楽観論を唱え(←自分)ておいてなんですが、今回の記事には大いに共
感します。長野における支那人の傍若無人ぶりが記憶に新しいですから。
そこは直視しないといけない現実だと思います。
----今は体調が良くないので、あまり悪いことは考えたくない心境にあるとい
うわけでして----
└──────────
▼
┌──────────「kinny さんから」
やあ、コメントありがとう♪
あははは、小生は悲観論だから(笑) もっとも途中で中国の内部変質が起こっ
てくることを期待してんだけどね。だからおっしゃるところはよく分かるよ。
怖いのは、もう少し時代を下って、太子党が小皇帝たちに担がれたり、殺され
たりするような事態の到来かな。彼らは、多分に周回遅れの興奮と精気を保っ
ているからね。
└──────────
┌──────────「ma-chanさん」
中国がアメリカ国債の保有量を増やすのも、アメリカに文句言わせない為です
よね。日本の領域を侵したとしても、アメリカは見て見ぬフリをしていること
でしょう。東シナ海ガス田の時のように。
境界付近の離島などは、積極的に自衛隊の駐屯地にすべきだとも思います。島
民の方には迷惑かもしれませんが、国防に関することですし…。
それと、東アジア共同体・永住外国人の参政権などによって、内側からも侵略
されかねません。東アジア共同体などと聞こえはよくしてありますが、中国中
心で動くのは目に見えています。
そのうち、移住や移民を受け入れろと言ってきます。そして、外国人に参政権
を与えたが為に政治まで握られてしまうのです。
政治家には、もっと危機管理意識を持ってもらいたいものです。外交の場は海
千山千だらけです。友愛なんて他の国に通じませんよね。みんな自国の国益の
ために動いているという現実を、しっかり見つめて欲しいです。
└──────────
▼
┌──────────「kinny さんから」
コメントありがとう。感謝♪
┌--------
日本の領域を侵したとしても、アメリカは見て見ぬフリをしていることでしょ
う。東シナ海ガス田の時のように。
└--------
以前に故・中川さんがやったように、アメリカがいい加減な発言をしたら間髪
いれずに「核武装の議論を始めるべきだ」「再軍備の法制化だ」と発言して距
離を測るべき。それでもいい加減な対応だったら、本当に始めればいい。
┌--------
東アジア共同体・永住外国人の参政権などによって、内側からも侵略されかね
ません。東アジア共同体などと聞こえはよくしてありますが、中国中心で動く
のは目に見えています。
└--------
これらも、国内法をきちんと整備しておればなんでもないことなんだよ。
これまでロクに整備されずにきて、いまだに九条のために進んでない。オウム
を見てもロンドンのテロを見てもわかるように、外国人を閉め出してどうにか
なる問題じゃないんだ。
なぜ日本人なら信用できると言えるのか、そのほうがわからない。
まず憲法改正なんだ、やらなきゃなんないのは。九条をドブに叩き込んだら、
他国が持っている有事法制、安保予備法制、すべて可能になる。
ちゃんと法整備をやらなきゃいけないんだ。これまでのようなゴマカシではな
く、政治家の重要な仕事は法整備だ。ヤツラ全員がサボリにサボってこれまで
やってきやがったから、外国人を入れるといったら騒ぎ、参政権といったら騒
ぐ。
それは、かつて邦人がマジソンスクエアガーデンを買収したとき、「日本人が
アメリカを買収する」と騒いだのと同じなんだよ。
日本人は、アメリカに法がある限り、たとえアメリカじゅうの土地を買い占め
たってアメリカを買収する事なんてできない。アメリカの法には従わなくちゃ
なんないからだ。
だから今、もっとも必要なのは、日本を毀損する勢力をぶち込むことのできる
法整備なんだよ。それは相手が外人であろうと日本人であろうと。
┌--------
みんな自国の国益のために動いているという現実を、しっかり見つめて欲しい
です。
└--------
「外国人=危険」という論理では絶対に機能しない。需要なのは、反日工作す
る敵をブチ込むための法だ。ーーー外人であるか日本人であるかは関係ない。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。