☆ 厳戒態勢の中の五輪聖火リレー ――――――――― 2008/05/02
by 丸山公紀さん
4月26日午前中、北京五輪の聖火リレーが長野市で行われた。報道によれば
3000人の警察官の厳戒体制の中、出発地の県勤労者福祉センター跡地から
JR長野駅や長野五輪の競技会場を巡る18.7キロを、
星野氏、萩本氏、北京五輪代表選手、歴代の五輪メダリスト、公募のランナー
ら約80名が聖火を引き継ぎ、若里公園に到着、予想通り沿道では中国人応援
団とチベット支援者などによる小競り合いが相次ぎ、聖火に向けてペットボト
ルや卵が投げ込まれた他、コースに飛び出した男ら5人が逮捕されたという。
産経夕刊では、何のため、誰のための「平和の炎」なのか慨嘆していたが、と
りもなおさずチベットの人権を武力で抑圧し、五輪を格好の機会に聖火をヒラ
ヤマ山脈を越えてチベットに入ることによって、
世界に、チベットを含めた一つの中国であることをアピールしようとしている
開催国、中国のための炎でしかないことは全世界の人々が知っている。中国の
目論みとは逆に、いかに中国が人権抑圧をしてきたことを聖火リレーによって
全世界が問題の重大性を知ってしまったのである。
多くのチベットを支援する団体が長野に終結したが、逆に中国当局によって動
員されているとみられる中国人留学生の数も入り乱れ、「チベットに自由を」
「ゴーゴーチャイナ」の大音声が錯綜したという。
それでも新聞の写真を見る限り、「赤一色」の沿道と、遠巻きながらの当地の
長野市民には全く感動が伝わらない光景は、既に北京五輪の開催意義が全くな
くなったこと、極めて中国に政治的に利用されていることが明らかである。
産経夕刊では、穏健にチベット問題を訴える亡命チベット人の団体メンバーの
インタビューが掲載されていた。
「私たちは聖火リレーを妨害するつもりはない。ただ、中国政府にオリンピッ
ク精神に立ち返ってほしいだけ。自分の思うこと、感じることを自由に発言で
きる社会にしたいだけだ」
彼らにとってみれば命懸けの抗議である。
あるチベット系中国人男性は「チベットに残してきた家族が中国の公安当局に
尋問を受けており、顔や名前を出して抗議活動することは正直怖い」とこぼし
たという。
聖火リレーに抗議することが、家族が当局に捕らえられてしまう危険につなが
るにもかかわらず、その危険を犯してまでも行動に走らせるということは、チ
ベットで実際に何が行われているのかを容易に想像にさせるに難くない。
さらに写真で見る限り、聖火リレーの沿道には日章旗がほとんど立っていない
ことで、国民全体も決して歓迎しているわけでないことが如実となった。
昨日、中国はダライ・ラマ側と対話の用意があると発表したが、各国首脳から
開会式出席をボイコットされた状態をなんとか打開したい意向であることは明
らかであるが、これも条件をつけており、基本的にはチベット支配の姿勢は変
わっておらず、抜本的には解決しそうにもない。
そもそも、平和を目指さない中国で五輪開催をする意義はないとしかいいよう
がない。
= おわり =
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