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帝国電網省 ―――――――――― by 竹下義朗さん
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☆ 広島・長崎への原爆投下こそ人道に対する罪 ――― 2009/06/05
原著 2002/12/08
昭和21(1946)年5月3日に開廷し、昭和23(1948)年11月12日に閉廷し
た極東国際軍事裁判──所謂東京裁判については、以前の稿においてその違法
性と判決の無効について書きました。
その東京裁判の中で、日本の罪状として挙げられたものは、第一に、既に確立
していた戦時国際法に基づいた「通例の戦争犯罪」、第二に、侵略戦争の計画
・準備・開始・遂行等を犯罪とする「平和に対する罪」、そして第三に「人道
に対する罪」でした。
人道に対する罪:『欧州戦争犯罪人裁判に関するロンドン協定附属国際軍事裁
判所条例』第6条より
┌--------
戦前又は戦時中に於ける全ての一般人民に対する殺人・殲滅[せんめつ]・奴隷
化・強制的移送及びその他の非人道的行為、もしくは政治的・人種的又は宗教
的理由に基づく迫害の事。
└--------
その中でも、特に人道に対する罪は、昭和20(1945)年8月に成立した『ヨー
ロッパ戦争犯罪人裁判に関するロンドン協定及び国際軍事裁判所条例』に於い
て明文化され、
昭和23年12月、国連総会に於いて『集団殺害罪の防止及び処罰に関する条
約』──所謂『ジェノサイド条約』として採択=昭和26(1951)年1月発効)
されたもので、前述のとおり敗戦国日本は、東京裁判に於いてこの人道に対す
る罪で断罪された訳です。
もっとも私自身は、平和に対する罪にしろ人道に対する罪にしろ、それらが戦
後になって成立した「事後法」であった以上、そもそも、それらの罪状で日本
が過去に遡って断罪されるいわれは全くないと思っています。
また、敗戦国日本を、人道に対する罪で裁いたのなら、戦勝国米国の犯した人
道に対する罪についても同様に断罪されて然るべきではないかとも思っていま
す。何故なら米国は、日本以上に人道に対する罪を犯していたのですから。
そこで今回は、米国が日本以上に犯していた人道に対する罪について書いてみ
たいと思います。
米国の犯した人道に対する罪とは一体何なのか? 結論からいえば、それは、
広島・長崎に対して行われた原子爆弾(以下、原爆と略)の投下です。
そもそも、米軍が原爆開発に着手するきっかけを作ったのは、特殊相対性理論
で知られるアインシュタイン博士等、ナチス(ドイツ第三帝国)の迫害から逃れ
たり、あるいは国外追放されたりして、米国に亡命したユダヤ系科学者達でし
た。
昭和14(1939)年、シラード・テラー・ウィグナーといったユダヤ系科学者等
から、「核分裂が軍事利用される危険性があり、それをナチスが開発する可能
性が非常に高い」との警告を受けたアインシュタイン博士が、その事について
の手紙を書き、
当時の米国大統領・ローズヴェルトに送った事で、米国の原爆開発はスタート
したのです。
さて、ここで非常に重要な点が一つあります。それは、亡命ユダヤ人の警告と
提言によってスタートした米国の原爆開発は、そもそも、ナチスに対して使う
事を目的にしていたということです。この点は非常に重要ですので、覚えてお
いて下さい。
さて、こうして米国の原爆開発がスタートした訳ですが、研究段階から二つの
核物質による二種類の原爆が開発されていた事を皆さんはご存じだったでしょ
うか?
一口に原爆とはいいますが、昭和20年8月6日の広島と、同月9日の長崎と
では、使われた原爆が全く異なっていたのです。
広島に投下された暗号名「リトルボーイ(Little boy:チビ)」と呼ばれた原爆
は「ウラン235(235U)」を原料にした「ウラニウム爆弾」、長崎に投下され
た暗号名「ファットマン (Fat man:デブ)」と呼ばれた原爆は「プルトニウム
239 (239Pu)」を原料にした「プルトニウム爆弾」だったのです。
この二種類の原爆開発に関する話はここでは割愛し、話を進めます。
イツ第三帝国が、早い段階からカイザーヴィルヘルム研究所に於いて原爆研究
を開始し、昭和14年9月には、核分裂実験に必要なウランと重水=D20:
酸化ジュウテリウムの市販禁止措置を執った事は事実です。
しかし、ヒトラー総統の強い意向が働いた事で「実戦兵器としての原爆」開発
は中止、第三帝国自体も昭和20年5月7日、連合国に対して無条件降伏した
事で、ナチス製原爆は遂に日の目を見ることなく終わったのです。
一方、米国の原爆が対ナチス用兵器として研究開発されていた経緯を考えれば
第三帝国の崩壊によってその存在理由はなくなった筈でした。しかし、それは
実戦に使われました。イタリア・ドイツが相次いで連合国の軍門に下った後も
尚、対米戦争を継続していた日本に対して。
昭和20年8月6日、広島上空で、同月9日には長崎上空で、米軍の新型爆弾
=原爆が炸裂しました。この市街地に対する原爆投下について米国は一貫して
┌--------
日本本土上陸作戦(通称オリンピック作戦)が実行されていたとすれば、米兵に
膨大な数の死傷者が出ていただろうし、終戦自体も遅れていた事だろう。
また広島や長崎が、市街地とはいっても双方共に軍事都市であり、当時、日本
の軍需生産が町工場で市民を動員しての家内制手工業的手法を採っていた以上
市街地全体が巨大な軍需工場だったともいえ、原爆投下は止むを得なかった。
└--------
と主張し、戦争の早期終結に寄与した、とまでいっています。しかしこの米国
の主張には疑義を挟まざるを得ません。
例えば、もしも米国が原爆を投下せず、昭和20年8月15日に終戦を迎えな
かったとしても、終戦がほんの数ヶ月、場合によっては一ヶ月先に伸びる程度
だった事でしょう。
また、当時の日本の国力を考えれば、最早、大規模な反攻作戦(攻勢)等とても
できなかったでしょうし、米国がその気になれば、日本本土上陸作戦等せずと
も、
日本本土近海を四方八方から海上封鎖し、蟻の子一匹たりとも抜け出せない状
態にした上で、戦略爆撃機B29による主要都市への空襲を継続、執拗に降伏
を勧告していさえすれば、例え原爆投下がなかったとしても、御前会議に於い
て昭和天皇がポツダム宣言を受諾したであろう事は想像に難くありません。
古来、様々な兵法家が戦争について論じていますが、「戦わずして敵に勝つ」
事が最も上策とされていた事を考えると、多少時間がかかったとしても、海上
封鎖と、決して迎撃される虞[おそれ]のない高々度からの空爆によって日本を
締め上げ、じり貧になって降伏を受け入れるまで待つほうが、上陸作戦をする
よりも味方の損失が格段に少なく、正に上策だった筈です。
それをせずに原爆投下に踏み切ったということは、全く別の意図があったとみ
るべきなのです。
それでは、その別の意図とは一体何なのか?
それは、原爆そのものにあったのです。
我々の知る歴史に於いて、原爆=核兵器が実戦、しかも市街地に対して使用さ
れたのは広島・長崎が最初で最後です。そして、米国が開発した原爆が、ウラ
ニウム爆弾とプルトニウム爆弾の二種類であった事は先述しました。
その事を踏まえた上で、改めて広島・長崎への原爆投下を見つめ直すと、別の
意図もはっきりと浮かび上がってきます。つまりこういうことです。
米国は、ヒロシマという実際の都市を使って、原爆投下実験を行った。しかも
米国が開発した原爆は二種類だったので、ナガサキを使って二度目の原爆投下
実験を行う必要があった。
広島への原爆投下によって、米国はその計り知れない威力と、膨大な数の死傷
者が出た事を知った筈です。また、原爆投下が、早期終戦を目的とした日本に
対する示威に重点が置かれていたのだとすれば、軍から実情報告を受けた政府
・大本営、そして、昭和天皇に強い衝撃を与え、日本からポツダム宣言受諾を
引き出すのに充分だった筈です。
それを、日本の反応=ポツダム宣言受諾表明をみる時間的猶予を与えず、最初
の原爆投下から僅か3日後、長崎に対して別種の原爆を投下したとなれば、米
国に別の意図があったとみるのが自然です。
しかも、原爆投下直後に行われた日本人科学者や報道カメラマンの調査資料は
元より、被爆者の日記や、病院の診断書等までをも、戦後、進駐してきた米軍
が押収した事や、米軍自体も現地で様々な調査を行った事を考えると、矢張り
別の意図があったと考えざるを得ず、米国が一貫して主張してきた公式見解は
別の意図=本音を隠蔽する為の建前でしかないといわざるを得ないのです。
さて、ここで話を、米国が犯した「人道に対する罪」に戻します。繰り返しま
すが人道に対する罪は、
┌--------
戦前又は戦時中に於ける全ての一般人民に対する殺人・殲滅・奴隷化・強制的
移送及びその他の非人道的行為、もしくは政治的・人種的又は宗教的理由に基
づく迫害の事。
└--------
と謳っています。
そして、米国による広島・原爆に対する原爆投下は、一般市民に膨大な死傷者
が出た事から、「戦時中に於ける全ての一般人民に対する殺人・殲滅」に合致
し、正に人道に対する罪=明確な「戦争犯罪」といえるのです。
また、平成14(2002)年6月、赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表部職員で
昭和20年8月30日、原爆投下後の広島を視察したフリッツビルフィンガー
氏の原爆機密報告書(緊急電報を含む)がICRC文書館で発見された事も、そ
れを補強する有力な材料となっています。
ビルフィンガー報告書には、
┌--------
「(広島の状況は)筆舌に尽くし難い」
「病院での状況は想像を絶する」
└--------
等と書かれており、更に、
「原爆の殺傷能力は他の兵器とは比較にならない」とも指摘。ICRCが組織
として「核兵器の使用禁止を訴えるべき」であるとまで提言しています。
ICRCが中立的立場にあるにも関わらず、ビルフィンがー氏がその一線を越
え、敢えてこのような提言を本部に対して行ったということ、これこそが原爆
が如何に残虐な兵器であり、「戦時中に於ける全ての一般人民に対する殺人・
殲滅」どころか、「非人道的行為」そのものであったかを証明している訳で、
米国による原爆投下を人道に対する罪といわずして、一体何を人道に対する罪
というのか? といわざるを得ません。
最後に、昭和天皇の「終戦の詔勅(大東亜戦争終結ノ詔書)」を引用してこの稿
を締め括りたいと思います。
┌--------
(前略)
先に米英二国に宣戦せるゆえんも、また実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾
[しょき]するに、出でて他国の主権を排し、領土を侵すがごときは、もとより
朕が意志にあらず。
しかるに、交戦すでに四歳をけみし、朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚有司の励
精、朕が一億衆庶の奉公、おのおの最善を尽くせるにかかわらず、戦局、かな
らずしも好転せず、世界の大勢、また我に利あらず。
しかのみならず、敵は新たに残虐なる爆弾を使用し、しきりに無辜[むこ]を殺
傷し、惨害の及ぶところまことに測るべからざるに至る。
しかもなお交戦を継続せんか。ついにわが民族の滅亡を招来するのみならず、
のべて人類の文明をも破却すべし。(後略)
└--------
―― 余談つれづれ
今回、広島・長崎への原爆投下を例に、大東亜戦争=太平洋戦争に於ける米国
が犯した「人道に対する罪」について書いた訳ですが、米国が犯した人道に対
する罪は、なにもこれだけに限りません。
皆さんもよくご存じの東京大空襲を始めとする日本各地に対する米軍──戦略
爆撃機B29による空爆も人道に対する罪に該当する、米国が犯した戦争犯罪
の一つです。
日本軍の高射砲が届かず、迎撃戦闘機も辿り着けない高々度の上空から、遙か
眼下の市街地に向けて、日本に多かった木造建築物の焼失に極めて効果的な焼
夷弾をばら捲き、都市全体を住民諸共焼き殺した本土空襲。
軍事施設も住宅地も全く関係なく、只々、敵国民であるジャップ=日本人を皆
殺しにする事のみを目的とした無差別爆撃は、原爆に勝るとも劣らない人道に
対する罪です。
しかし、もっと驚くべき事があります。
その本土空襲=戦略爆撃の張本人であった米空軍参謀総長カーティス・ルメイ
大将に対して、昭和39(1964)年12月4日、日本政府から「勲一等旭日大綬
賞(勲章)」が贈られているという事実です。
なんでも、航空自衛隊創設の功績が認められての事だそうですが・・・戦時中
の戦争犯罪と空自創設の功績とを天秤にかけた時、果たしてどちらにより重み
があったか等、考えるまでもないことであり、勲章なんぞを贈った当時の日本
政府が、如何に愚かであったかを物語るエピソードの一つといえます。
= この稿おわり =
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┃●┃ 読後アンケートの結果。
┗━┛ ◇ なるほどこのとおり! --------------------------------117人 (94%)
◇ よく分からない・・・ -------------------------------- 1人 ( 1%)
◇ この説は肯けない ------------------------------------ 2人 ( 2%)
◇ 知らなかった..初めて知った -------------------------- 4人 ( 3%)
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┃●┃ お寄せいただきましたご意見や感想。
┗━┛ ┌──────────「Hal さん」
まったくそのとおり。さらに、いわゆる「平和憲法」や戦後の「アメリカ製教
育」も、明らかに「人道に対する罪」に含めるべきではないでしょうか。
日本人はこれで明らかに精神面からの虐殺を受けたと思います。「過ちは二度
と繰り返しませんから」の繰り言や、米空軍参謀総長カーティス・ルメイ大将
に「勲一等旭日大綬賞(勲章)」が贈られているという事実を見ても、日本民族
の精神的虐殺の事実は、間違いなくあったと考えられます。
└──────────
┌──────────「権兵さん」
前略 小生も原爆の被害については承知しているが アメリカだけ責めるのは
片手落ちだと思う。
聞きたいことは、日本軍による延べ2万機にのぼる重慶爆撃はどう考えてるの
か。人道に対する罪ではないのか。それも宣戦布告無き戦争行為であるが。
回答を待つ。
└──────────
▼
┌──────────「尊野ジョーイさん」
ーーー権兵様、
┌--------
聞きたいことは、日本軍による延べ2万機にのぼる重慶爆撃はどう考えてるの
か。人道に対する罪ではないのか。それも宣戦布告無き戦争行為であるが。
└--------
先に仕掛けてきたのは支那国民党のほうである(正確には中共の謀略であるが)
宣戦布告もしていない、だから「支那事変」という呼称になっている。
重慶には、民間人と国民党軍(ゲリラ、便衣兵)が混在していたのが問題ではな
いのか。ヒスボラが民間人を盾にして攻撃しているようなものである。
敵を殲滅するには、民間人を巻き込んでもやむを得ないのではないか。
原爆投下のように、最初から民間人の殺傷を意図していたものではない。
ーーーこれを、人道に反する罪と呼べるのか。
回答を待つ。
└──────────
┌──────────「尊野ジョーイさん」
原爆開発に参加した1人の博士が、日本に来日するというドキュメンタリー番
組がありました。
彼は、広島の原爆記念館にも行きましたが、全く罪悪感のかけらもありません
でした。それどころか、原爆の威力について興味を示していたほどです。
そこでレポーターが質問。
「これだけの犠牲者を出して、心が痛まないのか」
博士「パールハーバーを思い出せ!多くの仲間が死んでいる!」
ーーーここでレポーターは黙り込んでしまいます。
バカだなぁ。
「犠牲になったのは軍人だろ?民間人を大量に虐殺するのとは話が別ではない
のか?国際法違反だぞ、バカ!」といってやればいいのです。
それが言えない、萎縮している日本人が情けないですね。
原爆を落とすなら、日本軍基地に落とせばよかったのに、なぜ市街地に落とし
たのか?? 明確な理由など言えないだろう。
こちらは民間人を大量に虐殺されている、その仕返しをしてもいいのならば、
ニューヨークに原爆を10発ぐらい落としても文句はないよなアメリカさん?
└──────────
┌──────────「lonsome carboyさん」
2種類の核兵器を、人体実験として使用した、人類史上最悪の破廉恥な行為。
未来永劫消せない悪行として記憶されるべきでしょう。
巧みなWGIPですっかり去勢されてしまった戦後日本人は、米国側の都合の
良いところだけを摘み食いした左翼の歴史観と相まって、すっかり毒が回って
しまいました。
ーーー放射能の半減期よりも長いとされた魂の破壊は、あとどのぐらいで回復
するのでしょうか。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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