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八路空軍従軍記 ―――――――― by 大澄国一さん

☆ 1952年、女子飛行士養成 ―――――――――― 2007/06/15 1952年の訓練は複雑であった。新しい第3期生は蘭崗と温春に別れた。 蘭行では、アメリカ式PT−17・PT−19を使用し、新任の教官が担当し た。温春では九九高練を使い、中国・日本教員が半々で担当した。海浪ではP −51班とAT−6班とに分れて訓練が行われた。 私は海浪組で、一時「曹文会」主任の下で中国教官と共にAT−6班の訓練に 参加する。2年振りに海浪での訓練である。海浪は、今では第7航校の全てが 集結し、学校本部・訓練処・供給処・衛生隊・後勤処・飛行場大隊・通信隊・ 文工隊等多くの単位があり、大変な人数が動いていて、活発というか賑やかで あった。 私達飛行大隊は、飛行場に面した最前列の建物であったが、その中でも大隊本 部・学員舎・教員舎と分れており、飛行場での訓練時間以外は学生と会う事も 少なく(飛行以外の課目は訓練処が担当していた)、また、他の日本人と会うの は休日ぐらいのことで、全く自分の仕事以外には接触することがなくなってし まった。
旧訓練所跡。飛行大隊はこの前方にあった。1986年写す
300人以上いた日本人も、今は誰が何処で仕事をしているのかサッパリ解ら なくなってしまった。訓練に出るにも、学員とは別に、教員は宿舎より隊列を 組んで、当直教員が引率行進して飛行場に向かった。部外者が見ても、ここに 日本人がいるとは分からないであろう。 この年に、初めて女子飛行学生が採用された。20歳前後の者が15人。皆い い体格であった。兵士出身者はなく一般学生から募ったので教養は高かった。 一応理論教育は終了しており理解力はあったが、果たして男子学員と同じよう にできるだろうか?私も初めて見るので興味があった。
女子飛行隊員
中国側は、全国初の女性飛行士養成に期待をかけていた。当時中国では女性運 転手・女性機関士等、あらゆる分野に女性を進出させていた時代であり、これ もひとつの全国民に対する啓発的・教育的要素が多分にあると思った。優秀で なくても、一人前に育てば政治的効果は十分であった。 双発指向のため、長谷川主任の下に、宮田さんと中国人双発教員が担当した。 初めは海浪でPT−19を使い基本訓練を行う。私も海浪にいて、担当のない とき、時々訓練を見学したが、適性はあまり良いほうではないと思った。生理 上の影響もあって、スランプが大きいと後で長谷川さんから聞いた。 PT−19の離着陸の単独が終わると、蘭崗に移って99双発練習機の操縦に 移った。双練は中国教員はできぬので長谷川・宮田の二人で受け持ったとか。 その後の成果は知らないが、どうやら単独の離着陸ができるようになって卒業 していったそうである。翌年には軍の輸送隊に配属され、立派に任務を果たし ていると聞いた。 曹主任の下で2ヶ月程担任してから温春に転属した。そこで、黒田主任の下で 再び九九高練の訓練に当たる。その頃、他のソ連式航校では戦、闘・攻撃・爆 撃・輸送と各分科毎に学校があり、基本操縦から実技まで一貫教育を行ってい た。我が校では分科はなく、日米の機種で主として基本操縦の訓練を行った。 卒業後、転属してソ連機の実技に入っても、操縦成績は優秀との評価を得てい た。これも後で聞いた事だが、九九高連は操縦が難しいのと、3機種も乗り継 ぐので技術が比較的鍛えられており、ソ連機に移っても把握が早く、他校卒業 生よりも進歩は早いとのことであった。 戻ってきた「姚思徳」や他の者の話では、ソ連式学生の飛行時間は実際の操縦 時間でなく、計画上の振り当てであるので、我が校より技術は劣ると言ってい た。女子学生を教えていた長谷川・宮田の二人が温春に来て、一部の学生にソ 連式のЯК−18で補充訓練を行った。 夏になって、幹部教育が実施された。これは第7航校になって学校組織が大き くなるに従い、大量の幹部が地上部隊より転属してきて指導幹部になったが、 航空に関する知識がゼロであるため、指導上良くない点が出てきたので実施さ れたものである。これは、各中隊毎に、訓練終了後に行われた。 温春では、私がL−5機を使い、中隊長・指導員・飛行場班長を受け持ち訓練 した。パイロットの適性に欠けるが、操縦を覚えるのではないので一通り離着 陸を教えるだけに終わった。それでも特に学生との話には大いに役立ったと思 われる。 この年朝鮮戦争は終結し、38度線で停戦した。アジアに平和が戻ってきた。 新聞報道で日本の進歩的国会議員、帆足計・高良とみ女史らが、赤十字を通じ て我々残留日本人の帰国問題を協議するため北京を訪問したと聞いた。しかし この事は私達の間では話題にならなかったし、日中双方の指導者も、この件に 関しての話はしなかった。                         = この稿つづく =
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