サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ 三輪車のリムジーン ―――――――――――――― 2006/08/25

三輪車はいい、なんといっても屋根がある。

それから、スピードが遅いのでバイタクよりは安全だ。あまり丁重にしなくて
もいい客人を乗せるにはもってこいなのだ。この手の交通機関はきっとアジア
のいたる国にあるに違いないと思うが、

要するに50CCもしくは125CCのオートバイを改造して、客室コンパー
トメントを無理やり溶接した乗り物で、早い話がリヤカーに屋根をつけて前半
分をぶった切り、後ろ半分をぶった切ったオートバイと組み合わせたものとい
えば割と正確にイメージできるであろう。

オート三輪とはシルエットが異なり、やはり前述の「リヤカー+バイク」と表
現するのが最も近いのではないかと思う。三輪車は、町の鉄工所のようなとこ
ろで簡単に改造して作れるので、結構いろんなタイプがあるようだが、共通し
ているのがその構造で、基本的にはアングル材をぶった切った溶接構造で、ド
アはなく、トラックの幌みたいな布がハッチをノレン状に覆っている。

客室はおおむね1メートル四方ぐらいで、前後に座席がついており、乗客定員
は2名もしくは4名である。客室コンパートメントと運転席の間は、素通しの
場合もあれば幌で分けられている場合もあり、

前者の場合だと、嵐の中では乗客が雨を食らうリスクがあるのに対して、後者
の場合は濡れずに済むが、行き先を運転手に伝えるために、幌をめくって頭を
突き出し、怒鳴らなければならないので、やっぱり濡れることは濡れるのであ
る。

動力の伝達機構は独特で、バイクの場合は、動力は発動機から変速ギアを経て
50センチぐらい先の後輪へチェーンで伝達されるのであまり音もうるさくな
いが、これを三輪車に改造するためには、エンジンから1メートルも先にある
スプロケットまで、長大な、従ってタルんだチェーンを使わなければならない
ため、恐ろしくやかましい。

また、車重も相当増加することから、ギア比もかなり低速に変更されており、
つまりは2速相当のギアでふかしっぱなしになる。従って、運転手との会話は
おろか、同乗者との会話すらまともに聞こえず、恐ろしい振動と騒音の中で、
どうしても怒鳴りあいになってしまうのである。

とまあ、乗り心地についてはあまり良いものではないが、メリットは多い。

なんといっても屋根があるので、雨が降っても濡れずにすむ上に、曲がりなり
にも床がついているのでスーツケースなどの荷物がある場合安心して積める。

それから、音の割には速度が遅いので、あまり事故を起こさない。バイタクの
事故は頻繁に見かけるが、三輪車がひっくり返って運転手が血だらけになった
り、膝が反対に曲がっているというのはついぞ見たことがない。

加えて、値段がバイタクと同じというのが大変ありがたい。街乗りなら基本的
に5元なので、バイタクなら後席に二人(運転手含め三人)乗るのがやっとだが
三輪車ならやろうと思えば5人は詰め込める。

そういうわけで、あまり丁重にする必要のない客人を運搬する場合は、コスト
の面からみてもかなりありがたいのが三輪車で、特に大陸は初めてという客人
の場合、過去のアテンド実績からみて、タクシーよりも三輪車のほうが喜ばれ
るようである。

さて、先日本社から出張に来て いた課長と一緒に、工場からマ ンション「悪の牙城」へ帰ろう というときにつかまえた三輪車 が大変すばらしかった。 通常は客室が1メートル四方し かないのだが、コイツはなんだ かやたらに長く、縦が1メート ル半もあるではないか。 足が十分に前へ伸ばせる、三輪 車のビジネスクラスだ。内装もすばらしく、背もたれは暴走族の車みたいに金 華山織で高級感があり、たまげたことに壁面の窓に入っている透明アクリル板 は、昭和30年代の電車よろしく、ちゃんとHゴムでパッキンされている。 屋根は、運転席から客室までを覆う頑丈な一体モノコック構造で、壁面も含め てブリキ板でできているので防錆効果も高そうだ。コックピットも手を抜かず しっかり作られている。 運転台の三方は、しっかりした風防で覆われており、ゼイタクにも昔懐かしい 三角窓である。フロントフォークとステアリングの間はカンバスで覆われてお り、前輪がハネ上げた土砂を運転手がカブるようなことはない。 再びたまげたことに、客室と運転台の間にはブリキのコンパートメントがある が、ここには同じくブリキ製のドリンクホルダーが作りつけてあり、ちゃんと ペットボトルが入っていた。 サイドミラーについては、普通の三輪車の場合、バイクについていたものをそ のまま使うことが多く、その場合、どうしても死角が多くなってしまうが、そ の点コイツの場合は、運転台両側に大型のサイドミラーが取り付けてあり、安 全面の配慮も怠っていない。 工場からマンション「悪の牙城」まで10分程度のクルーズだったが、実に快 適で、まさしく三輪車のメルセデスである。外見はなんだか軽便鉄道の客車み たいだが、これこそ三輪車のリムジーンである。運賃も5元だというからます ます気に入った。 バイタクばかり乗らずに、たまには三輪車にも乗ってみるものだ。 ――――2006/08/01記                         = この稿おわり = ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。 ┗━┛ ◇ 面白かった! (^○^) --------------------------------- 65人 (83%) ◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 11人 (14%) ◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 2人 ( 3%) ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。 ┗━┛ ┌──────────「しょーちゃんさん」 懐かしさを覚えるのはなじぇ〜?(笑) └────────── ┌──────────「サムライ駐在員さんから」 そうですね。いろんな意味でプリミティブなことをやってる国ですから、なぜ かそう思えてしまうんですよね。 └────────── ┌──────────「yamato44さん」 中国も、日本の終戦後の発展途上時と同じですね。自動車が普及始めたから、 近々無くなる事でしょう。日本も同じでしたよ。 戦時中のハイヤーは炭を、トラックは木炭を燃料にし、戦後は、自転車の横に 人間一人乗れるサイドカーのようなものが駅にたむろしていましたよ。 それからガソリン自動者に代わったら早かったね。たちまち自動車に変わりま したね。ちなみに当方68歳。 └────────── ┌──────────「サムライ駐在員さんから」 私が12年前に初めて大陸に来たときは、映画で見たような終戦後の風景や、 昭和30年代の風景が目の前に広がっているのに感動しましたね。 私は、昭和48年生まれですのでそういう時代のことはなにも知りませんが、 ちょっとだけ時代を共感できたような気がします。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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