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サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
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☆ 弁髪[べんぱつ]の少年を見た ―――――――――― 2006/08/18
広州の地下鉄に乗っていたときのことであ
る。
ふと気がつけば私の横にベン髪がいた!?
驚きで一度に眠気が吹っ飛んでしまった。
北陸本線福井発米原行きの鈍行列車の中で
気がついたら隣の乗客がチョンマゲだった
というようなものだ。
大昔の「中国人イメージ」によると、中国人は「のらくろ」の豚勝将軍(とん
くゎつしやうぐん)みたいに、「XXアルノコトヨ」とかいう奇妙な日本語を
話し(そんなしゃべり方する中国人など見たことない)、頭は「ラーメンマン」
のような弁髪と相場が決まっていたものだ。
弁髪とは、清朝のころの一般的な風習のひとつで、アタマの前半部分を完全に
剃り落とし、後半部を長く伸ばして三つ編みにするというもので、言うまでも
なく漢民族独自の風習ではない。
清朝は北方ツングース系の満州族であったため、騎馬民族の習慣としてアタマ
を剃っていたのだそうで、これを漢民族に強要したことから「中国人=弁髪」
というイメージが生じたようだ。
なお、「頭を剃る文化」はモンゴル騎馬民族の特徴であり、完全に剃りあげる
タイプや、髪を部分的に残すタイプなどさまざまな体系があるらしい。そうい
えば、モンゴリアン・チョップで高名なキラー・カーンも、ちゃんとアタマを
剃っていたのでなるほどと思う。
余談になるが、社会的体裁を一切取り繕う必要がない南極の昭和基地では、ス
キンヘッドやモヒカン刈等さまざまな奇行が一般化しているとのことで、数年
前の第四十何次隊だったかには、ホンモノのちょんまげをした隊員がいたそう
だ。
一説によれば、わが国における「ちょんまげ」もモンゴル民族固有の剃髪文化
の亜流ということで、日本人騎馬民族説の根拠のひとつとなっているそうだが
どんなものであろうか。
そういうわけで、清朝末期まで中国人の髪型といえば弁髪が主流であり、海外
への留学生やアメリカ大陸横断鉄道敷設に従事した中国人苦力(クーリー)など
は、海外においても弁髪をしていたというから、どうやら中国人=弁髪という
イメージはこの時代に定着したのかもしれない。
そういえば、郷土福井県の偉人藤野厳九郎翁が仙台の医学校で教鞭を取ってお
られたとき、ちょうど清国から留学に来ていた学生周樹人(後の魯迅)は、まだ
弁髪であったと聞く。
蒋介石が日本に軍事留学していたのもこの頃であるが、新潟県高田の野砲兵1
9連隊で、隊付勤務をしていたのがちょうど辛亥革命の起きる1910年であ
るから、蒋介石が弁髪のまま帝国陸軍の軍服を着ていたのかどうかは分からな
い。
蒋介石は若い頃からなかなかの男前であったそうだが、もしかするとこの頃か
らハゲアタマであったのかもしれない。ともかくも、1910年の辛亥革命で
清朝が滅んで以来、弁髪は大陸から姿を消し、今はせいぜい黄飛鴻の映画で見
られるぐらいである。
と思っていたのだが、目を凝らしてよく見てみると、確かに地下鉄の中で私の
横に立っている子供の頭は弁髪だった。前髪の部分と後ろ髪の部分を残してす
べて剃り上げ、後ろ髪は三つ編みにこそしていないが30センチぐらいの長さ
で伸びていた。
そもそも弁髪とは、元は「辮髪」と書き、字義からすれば「編んだ髪」を指す
ので、現代中国語においては女の子のかわいらしい「お下げ」も「ベン髪」と
いうことになるのだが、辮髪の本質的な定義は髪を剃ることにあるので、した
がってこの坊やの「局所的ロングヘア(長髪と書くと弁髪を切った太平天国の
乱が「長髪族の乱」と別称された故事に矛盾してしまう)」も、立派に弁髪と
いうことになる。
最近の内地の若い親などには、幼い我が子の頭髪に脱色もしくは染色を施し、
古典的暴走族のような髪型にしては目を細めるという嘆かわしい風潮が目立つ
ようだが(名前も暴走族のような漢字の読みをするケースが多いのはなぜだ?)
大陸においても、結構子供の髪型は親にイジくられるケースが増えてきたよう
だ。
よく見かけるのが後ろ髪をペンギンの尻尾
のように伸ばすというもので、今回のベン
髪少年もその発展形であるようだ。
いったい親はナニを考えておるか、いっぺ
ん親の顔を見てみたいものだ。そう思って
いると、ずばりその隣に母親が立っていた。
ーーー意外と普通だったのが意外だった。
――――2006/07/30記
= この稿おわり =
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┌──────────「大原敬一さん」
私達が少年時代の中国人は、殆どが弁髪だったのを覚えています。
因みに私は83歳です。
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