サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ 大陸でキセルをやる ―――――――――――――― 2006/08/04

語源がよくわからない日本語はいろいろあるけれど、「キセル」もよく分から
ない。いうまでもなく鉄道の無賃乗車、若しくは不正乗車を指すのだが、どう
いうわけでキセルになったのだろう。

カネのない学生時代はよくこれをやったもので、当時はキセルなどというナマ
ナマしい言葉は使わずに「空いているJRの座席に同乗させてもらう」という
表現を使っていたような記憶があるが、最長記録は福井から尾道までを500
円くらいで行ったというものだった。

地理学教室のエクスカーションのため広島県の尾道で現地集合となっており、
ほとんどの人は新幹線で来るのに対し、私はケチって「青春18きっぷ」の鈍
行列車で行ったからこういうことになった。前の晩に福井を出発して、敦賀駅
で野宿している間に切符をどこかへ紛失してしまったのであるーーー。

切符を買い直すカネもないが、そのまま福井に引き返して不参加になると「地
域調査法」の2単位が取れなくなってしまう。そういうわけで時刻表を徹底的
に読み倒し「JRの空いている席に同乗」させてもらうことにしたのである。

まずは敦賀から入場券で乗り込み、北陸線の虎姫から米原までの間で検札が列
車の両側から攻めてくることが分かっているので、検札の姿が見えたらとりあ
えず隣の車両に逃げ、駅に停車したところを見計らって一度ホームに下りて、
再び検札の済んだ車両へ何食わぬ顔して移る。

米原から兵庫県網干までの新快速列車は、検札がないことが分かっているので
安心して寝る。山陽本線に乗り換えてから、岡山県の山間部を走るあたりでも
う一度検札があるので、吉永あたりで同じように検札をやり過ごす。

尾道の3つ手前にある福山駅で、今度は一度ホームに降り、次の列車を待つ。
待っている間に、時刻表で福山から尾道までの営業キロを調べ、鈍行列車の値
段を割り出し、その金額ぴったりになるよう財布の小銭を調べ、足りない分は
自販機で缶ジュースを買ってコワして値段どおりの小銭を用意する。

やがて次の列車が入ってくるので、乗り込んだ時間を正確に覚えておく。尾道
駅に着いたらそのまま精算所へ行き、「福山から駆け込みで乗りました」と言
いながらピッタリの小銭を間髪いれずに渡す。

大抵はこれで何とかなったもので、まれに「何時の電車に乗ったか」と聞かれ
ることがあるので、時刻は保険として覚えていたほうがうろたえずにすむ。

こういう場合は、何食わぬ顔でハキハキとしていることが重要で、相手にウサ
ンクササを悟られてはならず、特に私はツラがウサンクサイので余計に配慮が
必要である。

昔からこんなことばっかりやっていたので、すっかり図太くなり、悪事をハタ
ラク際も動じない胆力が形成されるにいたったのだが、多分私は地獄に落ちる
に違いない。

やがて私も社会人になり、もうヤバイ橋は渡るまいと心に決めて以来、昔に比
べるとおとなしくなったものだが、今回、図らずも大陸で10数年ぶりにキセ
ルをやる羽目になってしまったーーー。

先日、シンセンから常平に帰るために列車に乗ったのだが、不覚にも車内で熟
睡してしまった。車内では寝る寝ないを問わず、荷物をすべて膝の上に載せ、
肩紐に片足を通してファスナーとポケットの部分に手を置いているので、とり
あえず盗難に遭ったことはないが、そのまま熟睡してしまうとはうかつであっ
た。

シンセンから常平までは約35分の行程で、気がついたら列車はノロノロ運転
をしていた。ハテ面妖じゃと思い窓の外を見ていると、どうやら列車は次第に
加速している。常平で一度停車して、さらに動き出したところで目が覚めたよ
うだ。

こうなってはイヤも応もない、夕方でかなり疲れており、早く常平に帰って悪
の牙城でひっくり返りたいと思っていたところなので、実にやりきれないまま
外の景色が後ろにすっ飛んでいくのを眺める。

時刻表を見てみると、この列車 は広州東までノンストップであ るーーー。 常平から広州東までは約50分 で、往復100分に加えて、広 州東で列車待ちになる時間を合 わせると、少なくとも3時間近 くは回り道をする羽目になる。 さて、大陸の列車の検札というのは実に回りくどい。まず駅で荷物をエックス 線にかけ、駅の改札口で一度パンチが切られる。次に、ホームから指定された 列車に乗り込む際に、端っこをちぎられるか、丸いパンチで穴をあけられる。 ところがあまりにも客の数が多過ぎて、定刻までに捌き切れない場合はそのま ま乗客を車内へ入れ、走り出してから改めて検札を行うシステムになっている のである。 日本と異なり、各車両ごとに車掌がいて乗客を管理するようになっているらし い。従って、常平で停車したときに、ホームが混雑していなければ検札は来な い。来たら来たで乗り越し代を払えばいいと思っていると、やっぱり来なかっ た。 やがて列車が広州東に着く。その日、まさかこんなところ来るとは思っていな かっただけに、西日に映える既南大学の校舎が空々しく見える。駅の改札シス テムは2種類あり、切符が紙の場合とICカードの場合とでそれぞれ違う。 紙の場合は、そのまま改札口の駅員に回収されるのだが、駅員によってはメン ドクサイのかそのまま素通りしても何も言わない。ICカードの場合はナマイ キにも乗った場所と目的地情報が記録されているので、自動改札を通るときに 問答無用で不正が発覚してしまう。
幸いにも今回乗った切符は紙の 切符であった。同じ駅で同じ列 車番号であっても、日によって 紙になったりカードになったり するのでわけが分からないが、 ーーーとりあえず今回は紙で助 かったーーー。 改札口は相変わらず混んでおり、まじめそうな駅員とやる気のない駅員が二人 で切符を回収していたので、迷わずやる気のないほうへ並ぶ。前の人が切符を 渡している間に、そのまま何食わぬ顔をして脇をすり抜ける。 改札を出てから2秒ぐらいは振り返るのが怖かったが、とりあえず何も起きな い。10メートルほど離れてからおもむろに振り返ってみたが、やる気のない 駅員は何事もなかったかのように切符を適当に回収しているので安堵した。 またキセルをやってしまった。 まっとうにカタギになって生きようと思うのだが、運命がそれを許さないらし い。これまで大陸で犯した「違反行為」を指折り数えてみた。 ・タバコの投げ捨てに始まり、 ・禁制品の持ち込み(=法的には、SAPIO やら週刊文春は大陸の体制に歯向か うフトドキな有害書籍に該当) ・反国家分裂法違反(=ネットで読売新聞のHPにアクセスするのもこれに該 当する) ・無届集会での反国家的示威行為(以前、シンセンのシャブシャブ屋で某先生 につられて皇居遥拝および「海行かば」を斉唱) を含めると私は前科何犯になるのかふと考えてみた。 ーーーアホらしくなってきたので考えるのをやめた。 ――――2006/08/02記                         = この稿おわり = ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。 ┗━┛ ◇ 面白かった! (^○^) --------------------------------- 45人 (63%) ◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 22人 (31%) ◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 4人 ( 6%) ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。 ┗━┛ ┌──────────「アストンさん」 キセル=途中無賃乗車)の語源は煙管[きせる]の形状にあります。煙管の両端 は「雁首[がんくび](火皿)」と「吸い口」と呼ばれ、それぞれ金属で出来てい ますが、中を繋いでいるのは素通しの竹です。 このことから、乗車区間の両端だけ金を使う(料金を払う)ことをキセル乗車と 言うようになったそうです。 └────────── ┌──────────「元気一太郎さん」 アストンさんの説明が正しいです。キセル乗車はこれでいいのです。 ところで、タバコを吸う「キセル」の語源をご存知の方は教えて下さい。 └────────── ┌──────────「大原敬一さん」 「キセル」は、真ん中部分が竹でその両側が真鍮のような金属です。 その感じから、中が無く両端があることからきてる、と思はれます。 └────────── ┌──────────「アストンさん」 ものの本によれば、キセルは「管」を意味するカンボジア語「KHSIER」が語源 との説が有力とのことです。 └────────── ┌──────────「ジョンさん」 犯罪を、美化や教唆をするのはどうなのかと? └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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