サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ 大洪水の中を歩く ――――――――――――――― 2006/07/21

平成18年(2006年)7月16日、広東省東莞市、および周辺の地域は突如
豪雨にみまわれた。もともと広東省は水のつきやすい土地ではあるが、街全体
が WATER WORLDと化すほどの水害になるのは私も初めてで、これを業務上最悪
のケースで体験するという貴重な経験をした。

同日は、客人4名を引率して広州方面へ日帰り出張に行っていた。

夕方5時1分の列車で常平方面に戻ったのだが、車窓から見える景色が片っ端
から水びたしなんである。初めて大陸にこられたという客人に「ヘエ、こっち
はけっこう水はけ悪いんですね」なんて聞かれ、「そうですね、雨が降るとた
いていこんなもんですよ」と軽く答えていたのだが、常平に着いて驚いた。

駅前は大混雑で、靴を脱いでハダシの人がチラホラ見えた時点でイヤな予感が
したのだがーーー、
つまりは主要な道路は片っ端か ら20−30センチも冠水して おり、交通は完全にマヒ状態。 画像1 画像2 画像3 ―→ 車高の低い車は立ち往生し、道 路はまったく使用できなくなっ ていた。ーーーしばらく待って も雨は弱まる気配がないので、 工場のP経理に連絡して、来れ るところまで車で来てくれるよ うにお願いする。 さて、駅では、いつまで待っても渋滞が解消するどころか、水を食らって動け なくなった車が増え始める始末で、また雨も、衰えるどころかどんどん激しく なっていくので、待てば待つほど状況が悪くなることは明白だ。 そういうわけで、全員で相談の上歩くことにした。 毎月来る客人甲は、いつもTシャツに半ズボンというラクな格好をしていて、 荷物など持たず、客人のくせにいつもサンダル履きでけしからんと思っていた が、今回ほどそのナリがうらやましかったことはない。 本社の営業である客人乙課長も、覚悟を決めてズボンをまくりハダシになる。 大陸の往来のキタナさ加減をイヤというほど知っている私は、再三ハダシにな ることを思いとどまるよう説得したのだが、営業という人種は「サビ釘を踏ん で破傷風になること」よりも「次の日履く靴がなくなること」が怖いとみえ、 なかなか見上げた根性だと感心した。 今回初めて大陸に来られたという客人丙社長は、昨日大陸に到着されたばかり で、出張第2日目にして洪水に見舞われたのは大変遺憾なことである。 この客人丙社長にも、ハダシにはならないよう再三止めたのだが、やはり次の 日履く靴がなくなるのを大変懸念されるようで、営業という人種がいよいよ分 からないというわけで、引率している4名中2名は、果敢にもハダシで汚水の 満ち満ちたる道路を行軍することになった。 ーーー私は、どういうわけか同行する人をヒデエ目に会わせる悪い癖があるの だが、それにしても今回はメガトン級であった。 水は、場所によっては膝上まであり、しかも濁っているので、段差があっても わからない。普段あれほど警戒しているたまり水ではあるが、こうなっては仕 方がない。荷物もずぶ濡れで、ここまでひどい状況になると悲観を通り越して 笑いがこみ上げてくる。
ここをセンドとばかり稼ぎに精 だす人力三輪車屋さん。 画像1 画像2 ―――――→ ちょうどタイヤが見えなくなる ぐらいの水嵩なので、若い女性 は荷台の上に立ったままーー。 雨もやや収まってきたので、ヒャッホー!とか気勢を上げて、お互いに携帯電 話で写真などを撮ったりしながら300メートルほど歩くと、工場のP経理の 車が待っていた。 騎兵隊の登場ほどにありがたい台湾人P経理の出迎えだが、こちらは大荷物を 抱えた5人組であるのに対し、車は1300CCクラスのシトロエンである。 最年長の客人丙社長に助手席に座っていただいて、残りは全部、後部座席に4 人を荷物ごとダンゴになって詰め込む。なんせ後部座席は私を含めデカイおっ さんばかり4人であるので、想像を絶する状況になるーーー。 ともかく、こういう状況では笑うよりほかないので、途端に狭い車内はジョー クの応酬になる。 「XX先生、足マッサー行きたいって言ってたでしょう?薬湯につける手間が 省けて便利ですね〜」 「XXさん、生きてますか?ナニ、酸素が少ない?文句が言える以上はまだ生 きているので没問題です」 「P経理、車が変な音してるけど沈没しないかね?俺はちょっと船酔いになっ たよ」 「これはもう車じゃなくて日本軍1個分隊を積んだ台湾海軍陸戦隊の舟艇だ! 間違ってもドアを開けちゃあいかんぞ!」
普段の4倍も時間をかけて常平 の市内に入ったのだが、ホテル までもう直ぐというところで冠 水がひどくなり完全に進めなく なった。 ホテルまで残り400メートル ぐらいなのだが、この先の道は 完全に通行不可能なので、車か ら降りて再び歩くことにした。
すでにズブ濡れなので、水に入 ることには抵抗はなかったのだ が、水深が60センチもあり、 場所によっては腰まで水につか るという状況であるーーー。 画像1 画像2 ―――――→ ここまでくると冠水した道路と いうより浅いプールを進むよう なもので、もはや傘を差すこと 自体何の意味もない。文字通り 泳ぐように少しずつ前進する。 あいかわらずドシャ降りで、ともかく客人がはぐれないよう声を掛けながら進 む。突然段差があったりするので大変危ない。ズッこけて荷物を水没させては 元も子もないので、なるべくかばうように荷物を持つのだが、降ってくる雨と 自分が巻き上げる水しぶきをかぶって、既にカバンはズブ濡れになっていた。
通りに面したコンビニやレスト ランなどは無残なもので、フロ アがすっかり水に浸かってしま っており、 画像1 画像2 ―――――→ 画像3 画像4 ―――――→ ホテルなども入り口に土嚢を積 んでバルクヘッドを構築したり 水浸しのフロアで足が滑らない ように、客室用のバスタオルを 一面に敷いたりしている。 艱難辛苦の末ホテルにようやく帰り着き、誰が言うともなく「まずはシャチョ ウに報告」ということになった。ドシャ降りの中、インパール作戦の兵隊さん よろしく濁流に腰まで浸かって帰り着いた「敗残兵」の姿を見たらシャチョウ も泣いて喜ぶに違いない。ーーー同じく出張に来ていた本社社長は、ひどい風 邪をひいて、2日ほどホテルで熱発就寝のため同行しなかった。 熱を出してホテルで寝込んでいるシャチョウの病状は、まだかんばしくないら しく、顔にはまだ生気がなかったが、ともかくも全身ズブ濡れの我々を見て驚 いていた様子だった――――。
その後私は再び腰まで水に浸かり、やっと の思いでマンション「悪の牙城」に帰り着 き、 まずは服を着たままシャワーで全身を流し サッパリしたところで荷物を点検する。 ※リバーサイドマンションになった 「悪の牙城マンション」―――――――→ 商品サンプルはたいして被害がなかったが、電子機器が心配であった。ニコン の一眼デジカメは、さすがにプロ用だけのことはあって確実に動くので安心す る。 次に、これはさすがにダメだろうと諦めていた GAMEBOY MICRO改造のMP3プ レーヤーも、水滴だらけだったがちゃんと動いたので感心した。さすがは子供 が使っても壊れないようにできている携帯ゲーム機だけのことはあり、iPODだ と完全にアウトだっただろうと思う。 さて、携帯電話は完全にイカれてしまった。割と高級な機種を使っていたのだ が、水には弱かったようで、中に入っている「ピュリッツァー賞ものの写真」 はともかく、業務関連の電話番号が片っ端からサルベージ不能になってしまっ たのは大変痛い。 増え過ぎた登録電話番号を、カテゴリー別に整理するために、先日 SIMカード から電話本体にアドレス帳を移したのが運のツキで、まったくいらんことをし たもんだと後悔するがもう遅い、、、。 他のものは水に濡れてもたいしたことはないが、片っ端からドブ臭くなってし まい、財布など、ただでさえ臭う人民元が、すっかり水をくらってものすごい 臭いをたてているのには閉口した。 ともかく、物的損害は意外に少なかったが、心配なのは細菌の感染である。 部屋に帰るなりシャワーを浴びたあと、全身に医療用アルコールを噴霧して消 毒したのでめったなことはないと思う。願わくば、客人が破傷風なんぞに感染 していないことを祈るだけである。 そういうわけで、大陸出張につきものの「珍道中」も今回はスペシャル版だっ た。とりあえず現時点で体調の不調を訴える客人はいないのでホッとする。 やはりこういう体験はナニモノにも代え難い「みやげ話」になるようで、今回 成り行き上泥水の中をエッチラオッチラ歩いた客人の方々も、実のところかな り楽しんでおられたというのが実情のようだ。 ともかくも「何事もなくて」本当によかった。 ――――2006/07/17/記                         = この稿おわり = ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。 ┗━┛ ◇ 面白かった! (^○^) ---------------------------------101人 (93%) ◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 7人 ( 6%) ◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 1人 ( 1%) ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。 ┗━┛ ┌──────────「半日半華人さん」 こんにちは!半ちゃんです。 サムライさんも経験しましたか下水洪水を…そうそう、何が浮いているか解っ たモンじゃありませんから、注意×注意。 ーーー我がシトローエンはこれで壊れ、、現在はトヨタさん、、です。 然し注意はこれからですぜ〜! 汚水被った野菜等を平気で販売する異国人。 私は大洪水後1週間は缶詰で過しましたーーー。 └────────── ┌──────────「サムライ駐在員さんから」 そうなんですよ〜、洪水の後は食い物が心配ですね。 列車から見る限り、畑が冠水するなんてのは序の口で、エビの養殖池なんかが 冠水してるのを見るとゲッ!となりますね。それから、豚小屋も冠水のひどい ところは溺死豚が出たでしょうから、そういうのが市場に流れるのを考えると かなりアブないですね〜。 また、昨日あたりからこちらは天気がいいのですが、そうなるとあちこちの店 で冠水した商品の拭き取りやら天日干しをやってますが、食い物屋関係は何か とヤバそうな感じです。 とりあえず生野菜と魚介類なんかは..絶対避けたほうがいいみたいですね..。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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