サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ んまいモン ―――――――――――――――――― 2006/07/14

一時帰国するときに、何を土産に持って帰ろうかと思案するのは実に楽しい。

さて、本国の我が家は実にラクチンな一家である。帰国する際私はスーツケー
スいっぱいに食い物を詰め込んで帰るのであるが、そうすると「おッ、なんか
んまいモンねえンけ?」と親父が寄ってくるのである。

帰国のフライトの都合により自宅到着が深夜に近くなっても「おお、んまいモ
ンあっざ」と甘言を弄すると、それまで眠そうな顔をしていた家族も一度に目
が覚め、うれしそうな顔をして「アラ、ほうけの」と起きだしてくる。

私を含め、いかなる状況であってもうまい物があればそれでシアワセになって
しまうというのは、実にラクチンで便利で、かつ極めて単純であるといわざる
を得ないが、ちょっとした事でシアワセを感じることができるというのは、あ
る意味歓迎すべき ABILITYであり、日々をシアワセに過ごす秘訣とは案外こう
いうことではないのかと思うのである。

(故)桂枝雀師匠の「茶漬えんま」の一幕だが、浄土のハスの池から見た地獄で
は、かつての凄惨な様はまったくなく、血の池はキレイに浄化され、針の山は
整地してゴルフ場となり、亡者はみなカネをもっているので毎日ドンチャン騒
ぎをして楽しんでいる。

浄土からそれを垣間見た「松本留五郎」は傍らの釈迦に「あんなン地獄とちゃ
いまっせ、極楽やおまへンか」と詰め寄るが、釈迦答えて曰く、

「楽しみというものは、一度慣れてしまえばそれがゼロになり、次はそれより
も更に楽しいことをしなければ楽しいと感じることができなくなる。更に楽し
いことをしてもすぐにゼロになり、永遠に更に楽しいことを探さなければなら
ない。これが本当の、無間地獄や」。

どうも私の稼業である品質管理でも同じ矛盾によく出くわすので、実に身につ
まされるのだが、つまりはグルメ(最近内地では「セレブ」とか称するらしい
と聞いた)といった美食にこだわる人は、平均的な味の食い物を「うまいと感
じることができない」という意味での DISABILITY であると思うのだが如何で
あろうか。

高いものがうまいのはアタリマエだ。安いものにうまいものを見出すことこそ
が食道楽であると信じ、日々大陸で「安くて、んまいモン」を模索している次
第である。

大陸土産で持ち帰るものについては熟考が必要で、空港などで売っている百元
以上もするような菓子折りは、味は平均的であるが値段に比例するほどうまい
わけでもなく、帰国して知人や同僚に贈呈しても「フーン」で終わってしまう
ことが多い。

なによりも「大陸製である」というハードルは高く、ことに食い物に関しては
MADE IN CHINA の烙印が捺されている以上、どうしても警戒の目で見られてし
まうのである。従ってこのハードルを越えるためには、よほど珍しく且つうま
いものでなければならない。

この制約をクリアするのは難しいようだが実はそうではない。土産を探すのは
なんといってもスーパーに限る。スーパーはまさに玉石混淆で、トンでもない
ものも多いが、意外なほど我々の口に合うものも多いのである。

もっとも、こればかりは実際に求めて試してみるまではなんとも言えないのだ
が、運良く逸品に出くわすと、早速帰国土産用のレパートリーに加えるのであ
る。
以下、我が田に水を引きまくった選択基準で恐縮だが、過去の一例をご紹介し
たい。なお、冒頭に「スーツケースいっぱいに食い物を詰め込んで」と書いた
が、
これは誇張でもなんでもなく、業務用の持ち帰り物資が行李のなかでオドらな
いよう、スペーサーとしての目的もあるので、文字通りスーツケースの中は食
い物で詰まっており、税関審査でやや体裁が悪いのであるが、

さりとて、スーツケースがいっぱいになるまで食い物を詰め込んだとしても、
せいぜい100−200元もあれば足りてしまうあたりがありがたい。

万一重量が機内預け上限を超えてしまっても、「それでは皆さんで食べてくだ
さい」と言ってカウンターで取り出せば済む話である。----これで機内食の盛
りが良くなればいいと思ってしまうあたり、私も業の深い人間であるに違いな
い----

――― 深海海鮮腸

腸とは腸詰のことで、転じて魚肉ソーセージのようなものも「腸」と称するよ
うである。今回見つけたものは魚肉ソーセージの一種だが、海鮮素材がふんだ
んに練り混まれており、従って単価も高いが、それでも6本で5元≒75円程
度)で済む。

味は3種類用意されているよう でそれぞれ「イカ」「貝」「ア ワビ」となっている。 原材料欄を見てみると、ちゃん とそれぞれ「イカ肉」「貝肉」 「アワビ肉」が筆頭に出ている あたりが豪華で、 食ってみると本当にそういう味 がするので驚いた――――。 やはり一番うまかったのは「貝」で、アサリの味噌汁のように濃厚な貝の味が 口中に広がり、とても魚肉ソーセージと同列には扱えないうまさである。 「イカ」はなるほどイカで、そういわれてみればイカのような味がする。もっ ともイカ自体あまり味があるものではないので、案外こういうものかもしれな い。 一番高級そうなアワビは、実は一番味がなく、なるほどアワビはイカ以上に味 がないのも道理である。 いずれにせよ、赤いフィルムを被って、両端を金属片で絞られている魚肉ソー セージのナリをしているから、一見ちょぼくさく見えるのであるが、これがパ テのような外見であったらば、さぞかし歓迎されることと思う。 外見と味がまったく一致しないということはよくあるが、これはうれしい不一 致である。もっとも、大陸で魚肉ソーセージを買う場合は、ごくまれに両端の 口金部分からカビが生えているものに出くわすことがあるので注意が必要であ る。 また、パッケージには日本語で「日本の新鮮な良質材料を採用します」と書い てあるのだが、「ホンマかいや」と思わせる表示は、帰国土産にはやや減点か もしれない。 なお、「良質材料を採用します」という構文は、時制を正しく解釈するならば 「未来において良質材料を採用する意思がある」という意味になり、従ってこ の製品がパッケージングされた時点では、日本の良質材料は採用されていない とケチをつけることができる。 ーーーために、神経質な国語の先生には進呈しないほうがいいかもしれない。 ――― 出前一丁のアソート買い
本来、出前一丁は日本の商品で あるのだが、香港や大陸、東南 アジアなどの中華文化圏では独 自の発展を遂げ、試食してみた だけでも十数種類が存在するの である。 まあ、もとがインスタントラー メンであるので、涙を流しなが ら食うほどうまいわけでもない のだが、さりとて失敗もなく、 帰国土産としてはそれほど抵抗 も受けない上にバリエーションが実に豊富であるので、なかなか評判がよい。
セロリ・チキン味や海鮮XO醤 味など、こちら独特の味付けの ものもあり、なかなかうまい上 に、いろんな種類をかき集めて みると、パッケージが色とりど りでにぎやかで楽しい。 これを詰め合わせて化粧箱など に入れると、ちょっとした贈答 品としてなかなか悪くない。 値段も一袋2元から3元で、1 ダース買ったところでせいぜい30元≒450円)程度なので、非常に安価な のがうれしいが、かさばるのでカバンに余裕があまりないときはやや厳しい。 なお、ハンドキャリーで重要な物品を持ち帰る際、スーツケースの中でモノが ガタつかないように、スペーサーとして用いるという方法もあり、多少グズグ ズになっても、ゆでて食う分には存外気にならないものである。その場合は、 5袋パックのものを適宜用いると、スーツケースの中で収まりがよい。
なお、大陸のインスタントラー メンといえば、従来は今ひとつ 日本人の舌には合わないものが 多かったが、 最近は「カニミソアワビ味」な どというみるからにゴージャス なものも出現しており、食って みてもなかなかうまいのでバカ にできないのである。 ――― クソームケーキ
これはまったくの番外編である。 さきほどの海鮮腸の一例のよう に、大陸では高級感を出すため にむやみに日本語をパッケージ に使うことがよくあるのだが、 往々にして間違っており、中に はトンでもない誤字によって、 商品イメージを致命的にブチ壊 しているものも少なくない。 「リ」「ソ」「ン」は、中国人 が区別できない日本文字の筆頭 で、日本語を正しく使えない最近のネットユーザーが書いたような日本語モド キが、あらゆる商品に蔓延しているのであるが、
それにしてもこういう間違い→ はカンベンしてほしいものであ る。 仮にも食い物であるので、食欲 を損なうこと大なりであるが、 世間にはこういった誤植モノを 喜ぶ御仁が意外とおられるので 世の中は分からない。 なお、このクソームケーキは個 別包装で、不活性ガスが風船の ようにパンパンに充填してある ので、上記のスーツケース内の空間埋めとしての目的に使用する場合、なかな か優秀なのである。重量が極めて軽く済むというのもありがたいのである。 以上、シゴトもせんとタワイもないことに精力を注ぐあたりが、私の変人たる 所以であるが、幸いにしてこれまで持ち帰った土産は、意外にも結構歓迎され ているようで、ありがたいことである。 ――――2006/06/23/記                         = この稿おわり = ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。 ┗━┛ ◇ 面白かった! (^○^) --------------------------------- 64人 (88%) ◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 8人 (11%) ◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 1人 ( 1%) ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。 ┗━┛ ┌──────────「ミカの紅い服さん」 他では伺えないような、楽しい情報をありがとうございました。 └────────── ┌──────────「サムライ駐在員さんから」 どうも、拙記事をご拝読いただきありがとうございます。 楽しいかどうかはともかく、こちらにいると様々なことがありますので、「変 わった話題」にはこと欠きません。今後もよろしくご笑読くださいませ。 └────────── ┌──────────「heroさん」 中国みやげというと、腸(ラーチャン)が良かったです。甘ったるい中華サ ラミといえばよいのか。中国の肉製品は結構いけます。 └────────── ┌──────────「サムライ駐在員さんから」 中華ソーセージは、細切れにして炊き込みご飯にするとうまいですよね。 こちらの肉類は、結構味付けがキョウレツだったり、ヘンテコだったりします が、炊き込みご飯にすればすべて「ご飯のうまみ」に化けてくれますのでお勧 めです。 └────────── ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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