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サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
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☆ 中華文明が吉野家の牛丼に及ぼした影響に関する考察 2006/06/09
風の便りによれば、内地では今だに牛丼の吉野家に牛丼がないらしい。
たしか、私が駐在を始める前には既に牛丼はなく、豚キムチ丼や鮭イクラ丼と
いった代替メニューを内地で食った記憶があるので、そうすると、もう3年も
牛丼が牛丼屋にないことになる。
元々吉野家は、基本的に牛丼一本で勝負するモノカルチャー経済的メニューの
ラインナップであったので、いうなればコーヒーを取られたブラジルか、コカ
インを取られたコロンビアのようなもので、なかなか大変なことだろう。
なんでも、牛丼が期間限定で再開された折には、牛丼をめぐって殺し合いまで
起きたと風の噂に聞いたが、本当だろうか?
ーーーさて、内地の牛丼危機などかまわずに独自の牛丼展開を行っているのが
海外の吉野家で、特に香港の吉野家は特筆に値するだろう。
香港において、吉野家は日本を代表するフランチャイズのひとつとして、揺る
ぎない地位を確立しているのだが、食にうるさい香港人に馴染んでもらえるよ
う、本家の本国の吉野家とはさまざまな面で大きく異なるのである。
まず、香港では牛丼一本のモノカルチャー的商売では埒が明かないので、実に
多様なメニューが存在する。その中でも、なんといっても象徴的なのが、牛肉
出前一丁の存在ではなかろうか。
出前一丁も香港に根付いた日本文化の一つで、今やインスタントラーメンの代
名詞ともなっているぐらいだが、ここ吉野家でもしっかりとメニューに存在す
るのである。
それから、香港では、吉野家は牛丼屋である以前にファーストフードであるの
で、当然ながらセットメニューになっているのだが(単品売りもあるにはある)
初心者はこの点にひるんでしまうのである。
どういうことかというと、ドリンクが選べるようになっているのだが、選択肢
が味噌汁か12オンスのソフトドリンク、というのだからたまらない。味噌汁
をドリンクとして扱うのも新鮮だが、コーラで牛丼を食うのはもっと新鮮だ。
さらに一段グレードの高いセットにすると、味噌汁にキムチがついてくるのだ
が、この辺になるといよいよ本家の吉野家から遠ざかってしまうーーー。
現在内地では食えない吉野家の牛丼が食えるというのだから、実にありがたい
のであるが、どっこい、内地のようなわけにはいかないのが香港の吉野家なの
である。
先日、本社の課長と香港に出向いたときに昼飯を食おうということになった。
せっかく香港に来ているので、ぜひ牛丼を食おうということになり(本末転倒
だが気にしてはいけない‥‥)、モンコックの吉野家の、暖簾ならぬ自動ドア
をくぐる。ーーー日本のような店舗を期待した人は、まずこの時点で負けてし
まうのである。
入るとすぐに、ハンバーガー屋のようなカウンターになっていて、ここで注文
しカネを払って、トレーごと牛丼を受け取り、空いている席にイソイソと座り
に行くスタイルで、完全にファーストフード化している。
とりあえず牛丼を注文するのだが、大きさから見てどうも日本の大盛サイズが
基本のようで、並が見当たらない。
ドリンクは?と聞いてくるので「課長、ドリンク何にしますか?」と聞くと、
うなだれたように「・・・味噌汁」と言う。ーーー仕方がないので私はコーラ
を注文する・・・・。
ついでに「牛肉出前一丁」を追加するのだが、さすがに香港スタイルだけのこ
とはあり、コイツにもドリンクが付いてくる。コーラを2杯も飲んでも仕方な
いので、冷たい香港式ミルクティを指定する。
もはやこの時点で日本の吉野家
の概念は根底から崩れてしまっ
ているのだが、ともかくもお盆
に置かれた牛丼は正しく牛丼で
あった。―――――――――→
牛肉出前一丁の汁をこぼさない
よう注意しながらお盆を運搬し
さあ食おうと思うのだがやはり
勝手が違うのである。
大快活「FAIR WOOD」や大家楽「CAFE DE CORAL」のように、使い捨てのハシや
レンゲ、紙フキンがひとまとめになったパッケージが付いてくるので..なんだ
か機内食みたいだ。
さて、ここから先が大変重要なのであるが、「ドンブリ物を食う流儀が違う」
という厳然たる事実を前に、吾人は如何に振舞うべきかという大きなジレンマ
に苛[さいな]まれるのである。
つまり、中華文化圏では、基本的にドンブリなどの器を直に口をつけてはなら
ず、したがってドンブリは食卓に鎮座させたまま、レンゲですくって食う「ヤ
キメシ方式」が正当な食い方なのであって、内地のようにドンブリを持ち上げ
て、ワリバシでワシワシと食う奴は文明をわきまえぬ野蛮人扱いされてしまう
のである。
したがって、中華文明に恭順して、レンゲでユンボよろしく掘り返して食うの
か、または「東夷」の汚名を受けてもかまわんので正当なドンブリ摂取の作法
を固持して国威発揚を図るのかという選択を強いられるのが香港の吉野家であ
る。
課長はもの珍しいこともあって、レンゲで牛丼を食い始めるので、とかくヘソ
曲がりな私は、選択肢のひとつを課長にとられてしまったため「国威発揚」を
敢行することになってしまった。
まずはドンブリに向かって正対し、左手でドンブリを持ち上げ「ワリバシ」で
食い始めると、なんだか周囲の視線が痛いが、「ここは吉野家である!」と己
に言い聞かせて喫食を続行する。
すると、なんだか物足りないことに気がついたーーー。
!そうだ、紅ショウガがない!
内地では、牛丼だか紅ショウガ丼だか分からないぐらい紅ショウガを放り込ん
で、はじめて「吉野家の牛丼」であるので、これはまったく画龍点晴を欠いて
しまう。こうなると今までガマンしていた物足りなさがイッキに出てしまう。
ーーーナマタマゴも無いのである。
噂によれば、香港の吉野家では、オーダー時にカウンターで「ナマタマゴ」と
日本語で符丁を言えばちゃんと出てくるというが、今回注文したときに「鮮的
鶏蛋」と北京語で言ったのが悪かったのか、「没有(ねえよ)」とのことであっ
た。失意のまま牛丼をあおっていたが、ふと目の前に「牛肉出前一丁」がある
ことに気がつき、早速こちらにも手を出す。
これは、何の変哲もない「素インスタントラーメン」と「牛丼の上だけ」が、
それぞれ別の器に盛られており、適宜牛肉片をつつきながらラーメンをすする
か、一気に全部ラーメンにブチ込んで食うようなスタイルになっている。
なんのことはない、頭の中で「インスタントラーメンの上に吉野家の牛丼の上
だけをぶち込んだもの」を想像していたのだが、まったくそのとおりの味で、
実に分かりやすい。
毒を食らわば皿までとは言うが、こいつも勢いでドンブリを持ち上げ..汁まで
すすってしまったーーー。
そういうわけで、吉野家の牛丼とはいえ、文化の背景が実に明確に反映されて
おり、下手をすれば、比較文化論の序説ぐらいはこのネタで書けそうなほどで
ある。
ともかくも、内地ではご禁制の吉野家の牛丼を食ってしまった。
願わくば香港の吉野家には、「プロ専用ドンブリ持上げ食いOKの隠し部屋」
と、紅ショウガとナマタマゴをぜひとも備えてほしいと強く思うのである..。
= この稿おわり =
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┃ ┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。
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◇ ワッハッハ〜、ってまあ.. (^○^) --------------------- 68人 (91%)
◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 4人 ( 5%)
◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 3人 ( 4%)
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┃ ┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。
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┌──────────「suuchanさん」
え?紅ショウガありませんでしたか?
半年ぐらい前に、香港で食べた時は置いてありましたよ。TAKE OUT用の小袋入
りの物まで。
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
そうなんですか。どうも気がつかなかったようですーーー。
吉野家といえば、テーブルに紅ショウガが備え付けになっているものと思い込
んでいたので、どうやら見過ごしてしまったみたいですね。
└──────────
┌──────────「半日半華人さん」
上海でも小袋入りを出されました。中身はビショビショ。
でも…最近行ってないから今は如何かな?
お新香セットにて牛丼に福神漬けの怪。
異国妻は「本家の味と違う!」と文句を言います。確かに…
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
どうもそうらしいですね。昔、北京の「悲劇の吉野家1号店」でもそういう風
に出していたと聞いたのを思い出しました。
大陸の吉野家はまだ経験がありませんが、香港の吉野家は、やはりちょっと味
付けが甘めかも知れませんね。
└──────────
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┃ ┃ お便りで頂きました感想。
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┌──────────「ぶたちちさん」男性@三十代@会社員@茨城
断腸の思いで上海から帰任をしてしまっている身ですーーー。
上海の吉野家には「紅しょうが」がありました。ただ、日本と違うのは、食べ
放題ではなく個別包装になっています。従って満足できる量ではない!ただ、
ラーメンは見かけたことが無いぞ!
余計なご飯セットはあるので、きっと日式経営を取り入れたのだろうが、こち
ら日本人としては本当に余計なメニューだと思う。
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
個別包装の紅ショウガは、取り放題ではないんですかね。
ーーーそれは欲求不満になりますね。
それにしても、ご飯セットというのは「牛丼」にさらに「白めし」がついてく
るのですか?私も以前、本国の吉野家で似たような食い方をしていたのを思い
出してしまいました。
大盛は440円で、体積が並盛りの1.5倍であるのに対し、280円の並盛
りにご飯(130円)の組み合わせなら、大盛より安い410円で、体積は実質
並盛りの2倍となるので、ハラが減ったときにはよくやった食い方です。
まず1杯目の並盛り牛丼を食う際は、可能な限り牛に手を出さず、味のしみこ
んだご飯を、紅ショウガと唐辛子と醤油で調味して下だけ食い、然る後に残っ
た上を130円の白メシの上に移転せしめるのですが、2杯目は飯に味がしみ
こんでいないので、適宜ナマタマゴを併用すると味の変化が楽しめます。
金がないときは、よくこうやって食ったものですーーー。
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┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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