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サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
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☆ パチモンを買う ―――――――――――――――― 2006/06/02
昭和維新の歌の4番だったかに「世は一局の碁なりけり」というくだりがある
が、大陸では往々にして壮大なるギャグに出くわすことがある。
香港からKCRの列車に乗ること50分、終点の羅湖にて香港の出国手続きを
すませ、国境の橋を歩いて渡ると、その先は「中華人民共和国」になり、雰囲
気もガラリと変わる。
香港側からこの橋を渡ると、毎回「また悪の帝国に来てしまったな」という、
なんともいえない憂鬱感を感じるのだが、その「悪の帝国」の国境を越えて、税
関の建物から一歩外に出ると、目の前には全面ミラー張りの巨大建築が聳え
ているのである。
ーーーこれがシンセン名物の「商業城」で、その筋では有名な「パチモン総合
デパート」である。
こいつのものすごいところは、中で売っているブランド物はすべてコピー商品
であるという点で、ルイ・ヴィトンのカバンにはじまり、ロレックスの時計、
はてはニンテンドーDSのソフトに至るまで、すべて大陸製の精巧なパチモン
もしくはチンケなマガイモノなんである。
私はブランドには疎いのでよくは分からないが、高額な商品はかなりキアイを
いれて作られているようで、一見してニセモノとは分からない(もっとも私は
ホンモノを知らないので分からないのはアタリマエだ)
かようにすさまじいシンセンパチモン城だが、一番すごいのはなんといっても
そのロケーションであろう。なにせ、香港から入ってきた外国人が一番最初に
目を留めるのがコイツである。
文明の香港を出国し、不安な心持で橋を渡り、目つきの悪い公安の入国審査を
済ませて、ようやく大陸側に出て一息入れ、ふと見上げると目の前に聳えてい
るのは、、タイヤキよろしくアタマからシッポの先までパチモンがぎっしり詰
まったデパートなのであるからすさまじいものだ。
「他人のフンドシで相撲を取る中国経済」をもっとも的確に具現している。
まったく大陸当局は、都市開発の際いったいナニを考えているのか理解に苦し
むが、さりとて、最近大陸でパチモンを取り締まっている西側外国の機関も、
コイツを野放しにしているので実に迂闊なことである。
さて先週よりこちらに出張していた本社上司は、出張期間が満了し本国へ帰還
するに当たり、「WENGERのPCカバンのパチモンがほしいっちゃあ」と仰った。
WENGERというのは、スイスナイフで有名なブランドで、最近のパチモン城では
このブランドの十字マークがついたカバンがやけに売られているのである。
そういうわけで、日曜日の朝っぱらから電車に乗ってパチモン城へと赴いた。
朝の9時であるので、さすがのパチモン城も完全には開いておらず、開店して
いるテナントはおおむね3割程度であった――――。
まずはブツを置いている店へ手当たり次第に入って値段を聞き、大体の相場の
見当をつける。280元ぐらいが相場であるらしく、以前シンセンのちゃんと
したデパートで見た本物は1400元ぐらいであったので、なるほどいい買い
物である。(但しWENGERではなくVICTORINOX)
4軒ほど回って、ようやく上司のお気に召すサイズのものに出くわしたので、
本腰を入れて交渉を始める。
「この型、アンタんとこではいくらで売るかね?」
ーーー聞き方にひと工夫が必要である。
普通に値段を聞くなら「多少銭(ナンボや)?」で十分なのだが、これでは一見
の普通の客だと思われて足元を見られてしまう。そこで、さも大量買付けに来
た貿易商を装って、「オーダーを考えているが、これはそのためのサンプルな
のだぞよ」と言外に匂わせることが肝心である。
※事実、パチモン城の本当の顧客は、小売の客ではなくこういった貿易商。
「230元です」と店員の小姐は答えるのでなるほど安い。そこで落語の「つ
ぼ算」よろしくさらに追い討ちをかける。
「朝商いのこッちゃさかい、ナンボかまからん?」
すると、朝商い分はもう負けてあるとのことで、朝っぱらからなかなか手回し
がよいと感心する。そこで、
「230元やとゆうてます」と報告すると、さすがは貿易会社の幹部だけあっ
て、「朝っぱらやさけ、オレコーヒー飲みてえンやっちゃなあ、コーヒー代分
なんとかならんケ」ときた。
そういうわけでその旨小姐に打診してみると、「何じゃッてか?!」という顔
をする。ーーーどうやらこういう値切り方をする客はあまりいないらしく、か
なり当惑していたようだが、わかったわかったといい10元安くしてくれた。
「10元安なって220元になりました」というと、「うーむ、それコーヒー
1杯分しかねえげや。オレにもコーヒー飲ましてくれや」とおっしゃる。さす
がは極道な貿易会社の幹部だと感心するーーー。
「客人のコーヒー分はどうなっとんのじゃ」と再びねじ込むと、呆れかえって
もう知らんわいどうにでもせえ、ということで210元になった。
そういうわけで商談は成立し、上司は嬉々として代金を支払い、WENGERのPC
カバンを受け取る。
「お客さんどこの人ですか?」と店員が聞くので、いつもどおり「どこの人に
見えるかね」と聞き返す。小姐はしばらく考えて「韓国ですか?」と言う。
「失礼な!誰が半島じゃ!」と思ったが、なんでも最近、タチの悪い観光客は
決まって半島らしいので、案外そういうもんかと納得する。
「日本ですか?」と再び聞くので「アンタがそういうならそうだろうよ」と答
えて店を出る。すると「アリガトー!」とカタカナ音声が後ろから追いかけて
きたので思わずニヤッとなった。
そのあと、眠たい目をシャキッとさせるために、パチモン城1階にある「大快
活FAIR WOOD (香港系ファーストフード)」に入り、浮いたカネでコーヒーを飲
む。
見事パチモンを手に入れた上司は「いやあ、いいッちゃあ、いいッちゃあ」ば
かり繰り返すのでよほどご満悦らしい。
作りは悪くなく、知らない者が見たら十分本物で通るレベルで、実用性もまっ
たく問題ない。そんなものが、マヨネーズを作るほどの困難さもなく簡単に手
に入る。そういう場所がシンセンの国境の目の前に存在するのであるーーー。
まるでギャグだが、これも大陸で現在展開されているひとつの普遍な情景で、
どこからか外圧がかかるまでは、シンセンパチモン城も元気にパチモンを売り
続けていくに違いない。
= この稿おわり =
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┃ ┃ メルマガ掲載読後感アンケートの結果。
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◇ ワッハッハ〜、ってまあ.. (^○^) --------------------- 72人 (90%)
◇ まあまあかな〜(゜.゜) ------------------------------- 7人 ( 9%)
◇ まあまあ..の..まあまあ(-_-) ------------------------- 1人 ( 1%)
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┃ ┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。
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┌──────────「闇夜のカラスさん」
実は先週、初の深センだったんです。私は深セン駅の隣のバッタモン城に行き
ました。Hello!、アニョハセヨ、こんにちわ〜、客の反応をみながらしつこく
呼びかける売り子の執念に驚き..帰って来ました。
上海の市場も取壊され、どこかにコッソリ移転するそうですが、深センの城は
繁栄続けるのですね。
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
はじめまして。
北京の偽ブランド市場に続いて上海の市場が取り壊されるという話を聞き、次
はシンセンのパチモン城かなと思ってますが、どんなもんなんでしょうかね。
業務上、広州の皮革製品卸市場などに出張することもあるのですが、ここでは
パチモンメーカーが堂々と営業を展開しています。パチモンを本格的に規制し
だしたら、南方の経済は相当冷え込むことでしょうね。
└──────────
┌──────────「HAJIMEさん」
以前どっかに書いたけど、ここの偽物店、ちゃんと一軒一軒に地元政府の営業
許可証が、額に入って燦然と飾られてるんですよね。
しかし、北京も上海も取り潰しですか。知らなかった。なんか、中国も一応は
知識産権をどうにかする気があったんですね。驚いた・・・。私はあと100
年経っても中国はこれをやめないと信じてるんですが、そうでもないんでしょ
うか??
でも、
いまだに香港でもウソプラダのリュックを山のように売ってるから、やっぱ後
100年かね?
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
そうなんですよ。いっちょまえに「個体戸営業執証」みんなもってますね。
もっとも、それを言い出したら、昔の駄菓子屋のゼリーみたいな蛍光灯つけて
る散髪屋だって、しっかり営業執証もってますから、要はオカミに税金が行く
ようになっているかどうかだけと違いますか。
そういやパチモンDVDにしても「許可証号:北県録字題XXXX号」とか入って
ますし、おお、よく見たら繁体字ではないか、ちゅうことは台湾版を版権番号
ごとパクってる訳ですね 。ーーー手ごわい相手です。
└──────────
┌──────────「あ〜さん」
広州にバチモンの工場があると聞きました。(笑)
一度チャレンジしてみたいと思います。どうも、ヴィトンの本物を委託生産で
作っていると聞きましたが、大法螺なのでしょうかね。(汗)
└──────────
▼
┌──────────「サムライ駐在員さんから」
えーとカバン関係ですよね。それだったら本革/合皮含めて温州が産地です。
本物かパチかはともかく、パチにしても、気合の入ったヤツは本物用の素材を
独自で手に入れているということで、こうなればライセンス料を払っているか
どうかだけが本物とパチモンの違いといえるかもしれませんね。
広州でチャレンジされるのでしたら、広州市内から「XX方面」に向かったと
ころに「XX城」というのがありまして、ここには、片っ端から「XXX」や
「X&X」を作ってるメーカーの出店がゴロゴロ、、、これ以上詳しくは大陸
のパチモン商売に加担してしまいますので、ご自分でチャレンジしてみてくだ
さい。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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