サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ ギンバが取れる ―――――――――――――――― 2006/05/12

強烈な粘着性を有する食い物を食う場合は、歯の詰め物が取れる惧れがある。

キャラメル程度ならまだよいが、内地の「ミルキー」のようなソフトタイプ飴
を食う場合、奥歯でしっかりと噛み締めると歯の表面の凹凸にぴったりとミル
キーが張り付き、強靭に密着してアゴが動かなくなる。

そんなときに、無理に動かした場合に加わる応力は、物体のもっともぜい弱な
部分を狙って集中するのだが、その場合、ミルキーは銀歯にエポキシ樹脂のよ
うにハリ着いているので、ぜい弱どころかとんでもなく堅牢で、従って応力は

「強いものに弱く、弱いものにひたすら強い」という中国人の民族性のように
「もっと弱い部分」を突いてくるのであり、それは往々にして銀歯と歯の接合
部分である。

「メキッ!」という感触があったらすでに手遅れで、大陸にいる間、これまで
2回こういった惨劇を経験している。

過去の原因はベトナム製のココナッツキャンディで、キャラメルのように油紙
で包装されているので、剥くのがやや難儀なのだがなかなかウマイ。ウマイの
だが、コイツが実にキョウアクなシロモノで、一旦奥歯で噛み締めると、何が
あってもビクともしないーーー。

そういうわけでコイツは、「ああ、例の歯が取れる奴」という代名詞でもって
認知されている次第である。

憲法前文に書いてあるように、過ちは繰り返してはならないのであるから、私
もこういった物性を有する食い物を食う際は十分に配慮を怠らなかったのであ
るが、消火器の訪問販売の口上よろしく「災害は忘れた頃にやってくる」ので
あって、特に外見からはその危険性を推量しがたい対象に対しては思わぬ不意
打ちを食らう羽目になるのである。

今回の原因は、オーストラリア製の白チョコボールであった。

私が住むマンション「悪の牙城」の1階には、輸入品専門のコンビニがあり、
ここで一袋4元で売っていたので、これは安い、うまそうじゃと思い気軽に手
を出したのがマチガイであったーーー。

径12ミリぐらいのクッキー状の芯に白チョコレートがかけてあって、なかな
か結構なのであるが、食ってみるとなんだか口の中に何かが残る?
どうも、クッキーの中にキャラメル状のものが練りこんであるらしく、これが
強力に歯に張り付くのである。

まさかそんなこととはツユ知らず、フツウのチョコボールだと思って5個ほど
をまとめて口にほおばっていたのでこれはタマラン、アッという間に奥歯に張
り付いて動かなくなり、ゲゲッと思ってひるんだ瞬間、銀歯はメキッ!という
音を立てて外れてしまったのである。

大陸での歯の治療は、どうにも気が進まない。

10年前、留学していた時分などは、虫歯の治療で歯髄壊疽になったという恐
ろしい話が「地球のダマシ方(当時の「地球の歩き方 中国編」はバックパッ
カーのガセネタ情報が多かった)」に載っていたり、また、

「青空床屋」ならぬ「青空歯医者」がよく街頭にあったりしたのを見たものだ
が、埃だらけの街頭に、歯医者の拷問椅子ならぬ施術椅子をそのまま持ち出し
ており、すべて埃だらけでリューターやクスリビンなんぞも得体の知れん汚れ
で、とてもではないが「治療」に供することができるとはとても思えない。

埃を被ったガラスの容器には、水垢のような汚れがコビリついた入れ歯が入っ
ていたり、どうもここで治療を受けるのはまちがいなく「拷問」になるであろ
う、、、。

そういう強烈な光景がアタマにしぶとく残っていることと、衛生観念について
は、大陸は救いがたいほど悪いこと、加えてバカ高いくせにいい加減な大陸の
医療に対し、根本的に不信感と抵抗を禁じえないことなどの理由により、死ん
でも大陸では歯医者にはかかるまい、という固い決意を持って今日に至ってい
る。
事実、
一昨年銀歯が取れたときも、3ヶ月放置し、内地に帰国するまで耐えたという
過去がある。

あの時は、奥歯の穴がだんだん大きくなっていくのに対し、耐え難きを耐え忍
び難きを忍んでいたところ、3ヶ月目にとうとうガマンがならなくなり、一向
に帰国を許可しないシャチョウに対し申し出たところ、「そんなら来月の全体
会議ンとき帰ればいい」というのだが、それでは更に1ヶ月も耐えなければな
らない。

たまりかねて一旦自室に戻り、取れたギンバを取ってきてシャチョウに突きつ
け、「こうなっとるんです。帰ります!」とドスを利かせて迫ったところ、よ
うやくシブシブながら許可が得られた次第である。

幸いにして、今回のギンバが取れたあとにはちゃんとセメントも埋まっており
象牙質が露出しているということはないので前回よりは持ちそうな様子だ。

多分2、3ヶ月は十分耐えられるであろう。

もっとも、右の奥歯が使えなくなった分だけ左側を酷使することになり、左側
の詰め物までイカれてしまわないよう留意しなければならない。

こちらで治療するとなると、技術面では問題ないとしても、費用面で問題があ
り、頼みもしない部分まで徹底的に手をつけられて数千元の治療費を請求され
てはタマラン。

内地に帰れば、ギンバの取り付けぐらいなら、保険を利かせて500円程度で
できるのであり、普段大陸にいながらお国のために健康保険を払い続けている
身の上であるので、年に1回ぐらいは、保険を盛大に使ってもバチは当たるま
い。
ともかく健康保険については、ここ数年完全に持ち出しで、費用対効果の面か
ら見れば明らかにムダな出費となっている。ゆえに、いつの日か内地に帰れる
ことがあれば、なんとかして今までの持ち出し分を取り返したいものだ。

イシャにかかることだけで取り返すのが困難であれば、なんでもいい、とっと
と歯を治して内地の食い放題に連日巡礼し、大陸で鍛えた鉄の胃袋でもって十
分にモトを取り返したいと思うのである。

                        = この稿おわり =
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┃┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。
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┌──────────「りんりんさん」

私も中国の歯医者にだけは行くまいと決心しているので、年に1〜2回日本に
帰った時は、歯に問題(自覚症状)が無くても歯医者へ行って、検査とメンテナ
ンス(歯石落とし)をしています。

サムライサラリーマンさんも、日本へ帰省した時は、毎回、歯医者へ行って検
査とメンテナンスをしたほうが後々の苦しみ(!?)が軽減するかと思います。

└──────────
 
┌──────────「サムライ駐在員さんから」

まさにおっしゃるとおりです。

たまに帰国すると、1週間ほど帰国休暇で休みを取るのですが、結局あれもせ
なあかんこれもせなあかんの詰め込み過密スケジュールになってしまいます。

歯医者やら病院通いは、かなり重要ですね。

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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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