サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ 停電の中でめしを食う ――――――――――――― 2006/03/10

最近は、大陸投資におけるデメリットのひとつとして、エネルギー不足による
停電がよく知られるようになった。
多いときは、週1回ぐらいのペースで停電になるようだが、普段工場で勤務し
ている分には、自家発電が備わっていることから、あまり気に留めることはな
く、瞬間的に停電になる瞬停で、事務所のプリンターの電源が落ちていること
で停電を感じる程度であった。

ところが先日、外食をしていたときにマトモに停電に出くわした。

どういうわけか先日、無性にシメサバが食いたくなったーーー。

私が最近越してきたマンションの反対側にあるホテルには、88元でオーダー
し放題の日本めし屋があり、矢も盾もたまらず暖簾をくぐったのである。

88元コースのメニューから次々と料理を注文するのだが、いくらオーダーして
も料金が同じというのがたまらない。―――やがてサシミが盛られた皿が運ば
れ、ウヒョーとか思いながら取り掛かる。

うむ、シメサバはうまいっちゃ、などと思いながら箸をすすめる。そういえば
先が細くなった箸=日本式の箸)で食うめしは、そうでない箸で食うめしより
もうまいような気がする。

なお、躾の行き届いた方はマユをシカメられるかもしれないが、私は本がなけ
れば一人でめしが食えない人間である。重度の活字中毒である上に、徹底して
ムダ時間=この場合は、料理が出てくるまで何もせず待つ時間)が嫌いなので
一人でめしを食いにいく場合は、必ず文庫か何かを持参するのである。

そういうわけで、目は食卓左下方の本に固定され、左手もページをめくるため
これに連動、かつ、右手は確実にシメサバを捕らえて逃さない。かつ、食卓が
汚れると本を運用できるスペースが減ってしまうので、可能な限り汚さぬよう
配慮し、
ために、シメサバの醤油皿は手元の取り皿に隣接せしめ、醤油皿→取り皿→口
の動線を同一直線状に配置することで、醤油の滴下に対応するのである。
やがて、スシの乗ったマナ板も運ばれるに至り、頼み放題の日本めしは佳境に
入る。
私は酒は飲まないので茶を飲むのだが、これが常温であるのも実に好ましい。
‥‥私は猫舌である‥‥

停電暗闇の画像至れり尽くせりで、いい顔して
めしを食っていると、?!突然
真っ暗になった!?――――→

まさか、このでかいホテルでも
停電なのか??と訝ったが、ど
う訝ってみたところで真っ暗で
ある以上停電は停電である..。
・
・
・
・
あちこちにある非常灯が点灯することで、かろうじて真っ暗闇ではないが、し
かし、おかげで本が読めないではないかーーー。

本が読めないのでは何しにめしを食いに来ているのか分からん、という倒錯し
た発想をしてしまうあたりが、私も変人であると素直に思うーーー。
また、せっかくの日本めしであるのに、真っ暗では何が何だか訳が分からん。

天晴れなことに、停電中であってもオーダーは受けるのであって、女給の小姐
は、次々に私がオーダーした料理を持ってくるのである。

さて私の場合、何が嬉しいといって、エビのテンプラを食うことに特別のカネ
を払わなくて済むことは大いなるヨロコビである。これを、同じくタダ(?)の
ウドンに入れることで、特別な金を払わなくとも自動的にテンプラウドンにな
るのである。

この組み合わせは、この店で毎回頼むのであるが、マックラの中で持ってこら
れてもわけが分からない。ーーー実用主義を標榜する私としては、テンプラを
ウドンに入れる前に、必ずシッポを取り除くのであるが、マックラではテンプ
ラのどっちが前やら後ろやら、よう分からんので往生した。

やがて女給さんがローソクを配りだす。
おお、これでようやく、何がなんだか分かるようになった。

ローソクにしても屋台のハダカ電球にしてもそうだが、どうも色温度の低い光
源の下で食うめしはうまそうに見えるものだ。メニューも判読できるようにな
ったので目を向けると、一品物の欄に「蟹肉牛乳餅」という、なんだかスサま
じい名前の料理があることに気がついた。

なんといってもこの香港系の日本めし屋のメニューは、中国語と英語(といっ
ても..ほとんどが漢字のピンイン表記)しかないので、想像力を駆使しなけれ
ばならない。
ひょっとするとカニクリームコロッケなのか?と思い当たり、早速注文する。

全館停電の中で揚げ物を注文する私も多分に根性曲がりであると思うのだが、
驚いたことに数分後にちゃんと出てきたのには恐れ入った。ーーー間違いなく
カニクリームコロッケであったーーー。

やがて腹がいっぱいになり、落ち着いて茶を飲むが、こうやってローソクの明
かりでめしを食うというのもいいものだ。

当然ながら、新規で入ってくる客もおらず、店内はほぼ貸切のようになってお
り、せっかくなので、ローソクの下で20分ほど本を読んですごす。蛍の光窓
の雪ではないが、まあ非日常的体験としてはなかなか秀逸なほうではないかと
思う。

せっかく真っ暗なのであるから、食い逃げの成功率は高かろうなと思いながら
勘定を済ませ、同じく真っ暗なホテルのロビーを出た。なんと、このホテルだ
けでなく、辺りの一区画全体が停電であった。

商売をされている人は、まったくゴクロウサンなことである。

                        = この稿おわり =
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┃┃ アンケートコメントボードに頂きました感想。
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┌──────────「heroさん」

蟹肉牛乳餅がカニクリームコロッケとは驚きますね。言われて見れば納得。

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┌──────────「サムライ駐在員さんから」

そうなのですよ。まさに、頼み放題だからこそできた冒険的オーダーでした。

ヘンなのが出てきたらどうしようかとも思いましたが、とりあえずは日本料理
には違いないので、見知らぬローカル中華に挑むよりはまだ安心です。

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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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