サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ 公安・保安の武装 ――――――――――――――― 2006/01/06

常平の街の中に広東デザートのうまい店があって、ここは牛乳プリンや涼粉や
大盛カキ氷などを堪能したり、本社からの出張者に対しカメゼリーの刑を執行
するなどの目的で私もわりとよく利用するのである。

さて、今年の夏の話になるが、常平の中ではわりと小金を持っていそうなラオ
バン族や香港人などで賑わうこの甘味屋に、強盗が入った、ということがひと
しきり話題になった。

なんでも、ワンボックスのワゴンが、店の前にいきなり乗りつけ、拳銃を持っ
た4、5人が店に闖入し、客から洗いざらい金品を巻き上げて、再びワンボッ
クスのワゴンでハヤテのように逃走したのだそうだ。

まるで、一昔前の香港映画に出てきそうな手口だが、なんといっても大陸では
何が起きてもフシギではないという感を改めて持った次第である。

その間、公安は何をしていたのかというと、何もしなかったらしい。

サッカーアジアカップの暴動や、反日デモでの対応で一躍世界に知られたよう
に、どうも公安の服務規程ではこの手の案件に際してはとりあえず事態が収拾
するまで手を出さないようになっているのかもしれない。
ーーーということはである、

情況ッ!現在地、街の繁華街ッ!前方より刺青を入れた集団5名が凶器と拳銃
を擬して我に向かいつつあり!うち2名はヤク中と認む!後には迷彩服を着用
し、鉄パイプで武装した公安2名あり、サアどうする?ーーーといった場面に
万一遭遇しても、

公安がちゃんとシゴトをするかどうかについては、どちらかというと諦めたほ
うがいいのである。

とにかく中国人の気質は「強いものに弱く、弱いものにひたすら強い」ので、
こういう場合の公安はアテにならない、というのが世間もっぱらの認識のよう
だ。では、
公安が弱弱しいのかといえばとんでもなく、常平の場合だと「巡邏」と称する
警官モドキがやたらにおり、軍か武装警察上がりであるらしく、体格も優れて
おり、人相も極めて悪い。

たいていの場合、バイタクが使うのと全く同じ125ccのバイクに二人乗りで
街の中をウロウロ走り回っている場合が多く、チンケなコソ泥相手ぐらいなら
十分に犯罪抑止力として機能しているようである。

しかし、なんといってもその風貌があまりにもひどい。

巡邏の服装には2種類あり、ひとつはちょっと前の香港警察をマネしたつもり
なのか、薄い緑色のパジャマのような制服をだらしなく着、黒い制帽をかぶっ
ており、もうひとつはヨレヨレの迷彩服に、普通の革靴かサンダル履きの上に
戦闘帽か鉄カブトという、実にダラシナイいでたちのである。

いずれにせよ、共通しているのがその武装であって、これが大変興味深い。

長さ1メートル30センチぐら
いの木の棒か鉄パイプが巡邏の
平均的な武器で、最初見たとき
は唖然としたものだ。

木の棒にしても、何に使ってい
るのか知れたものではないが、
いかにも使い込んでいるようで
先端がささらのようにスレてい
たり、


鉄パイプにいたっては、その辺の配管からくすねてきたのか?パイプの両端に
ネジまで切ってあり、ものによってはジョイントのエルボーまで付いているも
のも珍しくない。ーーーまるで、70年代の全学連か暴走族の抗争のようで、
とても警察官とは思えない。

また、振る舞いにも、全く規律
も品性もあったものではなく、
暇つぶしに木の棒で何かをつつ
いていたり、

鉄パイプを肩にかけて―――→
手持ち無沙汰にしているのを見
るに付け、どこから見ても極道
の用心棒にしか見えない――。



そういえば、私は学生のとき、競輪場の警備員のアルバイトをよくやったもの
だが、警棒を持つ姿勢がぞんざいだと、こっぴどく中隊長に叱られたもので、
この種の職業は、威儀を正すことが求められるのが当然であるはずだが、大陸
ではどうもそうではないらしい。

ついでに思い出したが、昔スワトウに駐在していたとき上司だった韓国人は、
韓国陸軍で下士官を長くやっていた人で、それから見れば大陸の軍隊など、と
ても軍隊とはいえないとよく言っていたものだ。

ともかくも、常平鎮の治安はこういう連中によって一応は守られていることに
なっているのである。

治安の一端を担うのは公安だけではなく、公安局に登録されて民間でシゴトを
する保安員というのがいる。

大陸でそれなりの規模を持つ工場や店舗などは、独自で安全保障を行うために
こういった保安を雇うので、街や工場の入り口などではよく見かける人種であ
る。一応は民間で雇用されているので、普通武器は持たないが、しかし、弱い
ものには徹底的に強い。

去年、展示会を見るために広州に出張した相棒が目撃した光景はすさまじいも
のだったらしい。

なんでも、展示会会場の入り口近くで、傘を売るおばあさんが露店を出してい
たのだそうだが、そこへ飛んできた保安は、いきなり露店の品物を蹴り飛ばし
メチャクチャにした上で、おばあさんに対し、殴る蹴るの暴行を加えたのだそ
うだ。どうやら、キレイな展示会場に、薄汚い露店はふさわしくないというこ
とだったらしい。

そのとき同行していた本社からの出張者は、おそらく大陸に対して非常に正し
い認識を植えつけられたことだろう。

さて、保安は一般的に武器は持たないと書いたが、訂正しなければならない。

先日、やはり広州まで遊びに行ったときに、とんでもないものを街頭で目撃し
てしまった。交通取締りの新兵器ともいうべきシロモノで、的確に表現するの
がやや難しいのだが、

釣りのルアーについているよう
なカギ針が3つくっついた巨大
なヤツに、長い鉄パイプの柄が
溶接されており、カギ部分のR
は大体15センチ、全長はおお
むね2メートル30センチぐら
いだろうか。





使用している現場を目撃したのではないので、本来の用途は分からないが、お
そらくはヤミのバイタクを摘発するのに使うのではないだろうかと思う。しか
し、走行しているバイクをこれで引っ掛けて捕えるならば無傷では済むまい。

ヤミのバイタクを野放しにすることで想定される被害よりも、明らかにヒドイ
であろう。ことは想像に難くない。もし、ヤミのバイタクに乗っていていきな
りこのカギ爪で引き倒されたらどうなるであろうか。

そう思うとヤミのバイタクに乗るのがやや怖くなってきた。

ーーーつくづく思うのだが、ステキな国であるーーー。

                        = この稿おわり =
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