サムライ駐在員週報特記事項アリ by サムライ駐在員さん
☆ 今、ここにいることの意義 ――――――――――― 2005/12/16

ーーー大陸に駐在しているといろいろなことを考える――――。

私は眼鏡業界でメシを食っているのだが、本国の眼鏡業界の衰退の原因は大陸
に工場を出したことだというのが一般的な定説になっている――――。おおむ
ね10年ほど前あたりから、安いコストを求めて、内地のメーカーがこぞって
大陸に進出し生産を移しだしたのだ。

それまで、大陸にはロクな眼鏡産業はなく、本国の産地は世界一の生産高を誇
り、この世の春を謳歌していたのであるが、大陸に進出して以来すっかり情況
は変わった。

なんといっても、日系の眼鏡メーカーで鍛えられたワーカーが独立したり、ま
たそういうローカル企業が、大口で日系からワーカーを引き抜いたりしてキバ
を剥いてきたのである――――。

いずれノウハウを大陸に盗まれる日が来ることは予想していたようだが、それ
は予想よりもはるかに早く、2000年のIOFT展(東京で行われるアジア
最大の眼鏡展示会)で、大陸メーカーがブースを出し始めるや否や国内の受注
は激減してしまい、当時、内地のメーカーに勤務していた私も盛大にヒデエ目
に遭った。

まず、残業時間中の弁当支給が廃止になったことを皮切りに、給与7%カット
・無償残業時間の大幅な増大・ボーナス玉砕など、生活面で大打撃を受けたこ
とも痛いが、なんといっても会社のリストラで取り残される側の悲哀を存分に
味わう羽目になった。

一般的には、リストラで解雇される人は大変な辛酸を味わうということで世間
から大いに同情を受けるが、どっこい会社に残留するほうとてたまったもので
はないのである。

よく、二人いれば二人分以上の仕事ができるというが、逆に言えば、今まで二
人でこなしてきた仕事を一人でやる場合、一人分の量をこなすことは実に簡単
ではないのである。
受注はどんどんコマギレになり、大陸製品に価格で勝てない分、納期を迫られ
るのだが、多品種小ロット生産がそんなにスムーズに行くわけがない。

営業も、ずいぶんムチャな条件でしか受注を取れなくなり、而してこのシワヨ
セはメーカーおよび外注に来るのであって、つまりは以前よりもひどい待遇で
ろくでもない仕事を続けざるを得なくなったのである。

私は独身のサラリーマンであるからまだいいが、生活がかかった家族持ちの人
や、もっと生活がかかった家内制手工業の外注先になると、事態は一層深刻で
家庭崩壊の危機すら冗談では済まされない。

ーーーなぜこうなったのかをつらつら考えるに、やはり大陸に技術とノウハウ
を与えてしまったことが決定的といわざるを得ない――――。

そうなると、今、大陸の工場で品質管理を行っている私は、本国の眼鏡産地に
対する反逆を働いているという論理も成り立つのである。わが国の国益という
見地から捉えるならば、人民元の大幅な切り上げでもない限り、大陸の工場は
やはり安かろう悪かろうであって欲しい。

然るに、大陸の工場の水準を上げる事に日本人が貢献することは、即ちわが国
の国内産業を圧迫することに、同国民がこれを幇助する事にほかならず、もし
これが単なる経済上の一事象でなければ、刑法が定める「外患幇助」にあたり
これは国家に対する反逆と解釈できなくもない。

少なくとも、不良品がわが国に流入することを可能な限り防ぐことで、貴重な
外貨の浪費を抑えることができるという点でもってわずかながらの安慰とし、
業務に邁進している次第である。

ーーー大陸は実に奇妙な国である。

72年の国交回復以来、本国における対中国報道には、日中記者交換協定とい
うフィルターがかけられており、ありていに言えば、日本のメディアであろう
と事実上中共政府の検閲下に置かれていたと言うことができる。

が、昨今などは協定に従ってチョウチン記事を書こうにも、すでにホメようが
ないような情況で、ようやく大陸の異常性について世界でコンセンサスを得ら
れるようになったようだ。ーーーそういうわけで、大陸のあからさまにおかし
いところが次々に露見するにつけ、今後の展開がある意味大変興味深い。

司馬遼太郎の言を借りるならば、「国家を観賞する」といったところで、無責
任な言い方ではあるが、今後、大陸にどのような混乱が訪れ、どういった終焉
を迎えるのかが、毎週木曜のアメリカ横断・ウルトラクイズのように大変興味
深いのである。

大陸の伝統的民族性ともいうべき、いい加減さと幼稚性は伝統的に腐敗した社
会・組織・政府しか持つことができず、なおかつ論理的整合性といったものを
一切無視した儒教的(朱子学的)思考・行動原理においては、ひたすらに夜郎
自大であるとしか言いようがない。

そういった前提の中で、今、大陸では矛盾がいよいよ破綻しようとしている。

伝統的な人命軽視の民族性に対し、人権の宣教師を以って任ずるアメリカのメ
スがいよいよ入った。インターネットの世界的普及によって、チベット及び東
トルキスタンにおいても、姑息な報道管制が崩れ始めた。

イビツな経済発展を遂げたことから、エネルギー資源はおろか食料に到るまで
輸入するようになり、時代逆行もはなはだしいのだが、これを国外に求め始め
た。国外といっても、21世紀のいまどき、世界に無主の土地など南極を除い
てあるはずもないため、これは確実に紛争を起こすであろう。

また、戦時中の大東亜共栄圏構想でもあるまいし、大陸を中心とした大中華共
栄圏をアジアにおいて建設を狙い、かつてアメリカが行ったように、文化の押
し売りを行いつつある。なんでも、中国語の教師を2万人(!)を東南アジア諸
国に派遣する旨決定したらしい。

また、周辺諸国に対し、今後広く経済援助を行っていく予定であるそうだが、
これは完全なヒモ付きであることがすでに公表されている。ーーー未だにわが
国のスネをかじっている分際で、それをさらに転用しているのだから、日本こ
そ何をしているのか分からない。

以上、ざっと思いつくままに列記してみたのだが、ここまであからさまなバカ
も珍しい。ーーーどのようなバッタ三流映画の筋書きでも、ここまでぬけぬけ
とバカで愚かしい構図は、リアリティを欠くためなかなか書けないものであろ
うが、ともかくも、これがCLEAR AND PRESENT BAKA(いまそこにあるバカ)な
のだ。

しかも、大陸が決定的にバカである証左は、自らのバカを一切認識しない点で
あるといえる。ーーーある意味、中華文明の定義とは、考え方や価値観を共有
している(させている)かどうかといっても差し支えなく、したがって、

客観的に如何にバカであろうと、中国人が「そうだ」と思っている以上はそれ
が世界に対し通用させなければならない模範答案なのであって、それに異を唱
えることは、中華文明に対する挑戦であるのに違いない。

そうでもなければ、どんな善人であっても、台湾独立やチベット問題について
10人中10人とも、あれほど感情的に反発するという理由が付かないのであ
る。ーーー大陸は、そういう危険な不発弾をいくつも抱えているため、ごく近
い将来において、まったく変化が起こらないということはありえない。

そうなれば、今まさにこの時期、大陸に滞在していることで現代史の教科書に
載るぐらい劇的なショーをこの目で見ることができるのである――――。

あらゆる一般通念や倫理観念を省いて敢えて言うならば、歴史を学んだ身とし
て、これほど面白いものはないのである――――。

大きな変革劇になるのか、それとも凄惨な崩壊劇、もしくは悲惨な戦争劇にな
るのかはまだ分からない。大陸も含めて。世界が今後どのようなシナリオを演
出していくのか、その先行きが実に興味深いのであり、この時期大陸に滞在す
ることによって、それを特等席で観賞することができるといえば不穏当に過ぎ
るだろうか。

昨日、上海に留学している友人が言った言葉が大変心に残る。
----なぜこんな国の言葉をわざわざ選んで勉強しているのか分からない----

しかし、全くの無意味ではあるまい。能ク敵ヲ知己ヲ知レバ百戦亦危ウカラズ
という故事を出すまでもなく、わが国にとって、大陸を理解し大陸とやりあえ
る能力を持つことは、必ずや必要とされるはずである。

また、人のバカ見て我がバカ直すという格言(?)にもあるように、敢えて極端
な状況下に身を置くことで、かえって我が身の平衡を保つということもあるで
あろう。

駐在していて、ーーーふとそういうことを思った。

                        = この稿おわり =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃┃ お便りで頂きました感想。
┗━┛
┌──────────「UHUHUさん」男性@四十代@東京

昔、子どもの頃に流行った言葉を思い出しました。
“人を馬鹿というヤツが馬鹿だ”――――と。
言い得て妙かも知れませんが、どうなんでしょう?

ここで中国批判をなさる方は、あまりにも極端な気がします。中国で生活して
みると、日本人の立場から見て本当にイヤになる部分、悪い部分が多いと感じ
ます。ーーーそれは解ります。

しかし、国と国としてよくみると、結局アメリカと言い方が違うだけで、やっ
てる事は大国のエゴ以外の何者でもないって事でしょう――――。

日本人は、アメリカの言い方は良く、中国の言い方は良くないと皆が言います
が、第三国から見ると、どちらも変わりませんよ。第三国は自国に都合の良い
ほうに着くだけの事です。その事が今の日本人には理解できていない気がしま
す。だって、何やってもアメリカは正義なんて思ってるんですから――――。

例えばフランス・ドイツ(国・人)が、この二国(米国&中国)の関係をどう思っ
ているのか考えた事がありますか?ーーーそこだと思いますよ、世界の各国が
考えている部分(事)って。

中国で、ビジネス抜きで個人的に中国の方と付き合うと、そんなに変に感じる
事ってありません。そこが大事なんじゃないですか?

「三丁目の夕日」を見てきました。本当に良き日本人のすべてが詰まった映画
で、今の時代を見つめる事が出来ました。

日本人が日本の国の中だけで完結できれば、そんな時代でもいいなぁと思いま
す。しかし今は、世界の中の日本なんです。ーーーできれば、個人とのおつき
あいの時は日本人らしく、世界と渡り合う(ビジネス)時は、切り替えをしてい
ければいいのですが、やっぱり混合しちゃって..難しいですね。

ーーー自分でも、実践するのは大変だと感じます。

└──────────
 
┌──────────「サムライ駐在員さんから」

私は、多文化主義の実践を駐在のモットーにしております。つまりは、異なる
文化のモノサシを同時に持つことで、異なる文化に対応し調和するというもの
で、異文化との逆差は、それぞれのモノサシの延長上で目盛りが一致する「最
小公倍数」において理解すべきであると考えております。

ところが、大陸の場合だと、それぞれのモノサシをどれだけ延長したところで
全く一致しないこともあり、そういった矛盾を理解・受容することは実に困難
で、
「つまりはそういうところなのだ」
という事実を事実として認識するにとどめ、必要以上に阿らないことも肝要で
はないかと考えております。

日中友好とは、大陸の悪口を言わないことだということをよく聞きます。

どう考えても理解不能であったり、あまりにも幼稚である為弁護のしようがな
いということが大変多く、「バカ」としか表現のしようがないことは、動かし
がたい事実だと確信しております。

業務上の必要性からも、大陸式のズルズルベッタリの「友好」よりも、「敵な
がら天晴れ」というスタンスを取るべきだと考えていますので、大陸に対する
捉え方も、期せずしてNEGATIVEなものになることが多々あることと思います。

無論、私もこちらで良好な交友関係を永く持たせて頂いており、中国人の気質
について感心する面も多々あるわけですが、さりとて、あらゆる事象をこれで
塗りつぶしてしまうのは、かえって本質を見誤るのではないかと考えており、
多文化主義の基本である、「自分のモノサシ」を曲げることにならないかと思
う次第です。

いずれにせよ「そういう奴が書いているのだ」ということで、お気づきの点な
どは「わはは、なんも知らんやっちゃ」とご笑読いただければ幸いです。

└──────────
┌──────────「TAKASHIさん」

こんにちは! 初めて OJIN さんにお便り差し上げます。

12月16日の「サムライ駐在員さんから」を読ませて頂きました。
面白すぎて、アッという間に2回も読んでしまいました――――。

私の父は、戦時中は中国にいて、日系企業で働いていました。小さいときから
「中国人は懐が深いぞ!日本人とは違って考えることが遠大だ!」と聞かされ
ていました。ーーーだから私も、つい最近まで全く疑っておりませんでした。

1972年に日中国交正常化が果たされたときも、中国は、戦前日本人が「悪
いことをしてきた」とされることについても咎めることなく、将来を見据えた
2国間関係を選びました――――。

中国に関するテレビ放送がある度に、特に「シルクロード」などは私達日本人
のルーツだと感じながら、中国は私達のクンタキンテだと観ておりました。
が、
昨今の中国政府の日本に対する外交のやり方や、先般の抗日運動などに見られ
た民衆の、あれ程までに全員が一つの意見にまとまれるさまを見て、父の言う
「中国人はふところが深いぞ!」という言葉を、そのまま鵜呑みにすることが
出来なくなりました。

中華思想というものがあることは知りつつも、「中国人は心が大きい」と信じ
てきましたが、完全にその観念は崩れました。隣の国だから「仲良くしなけれ
ばならない」とは思いますが、こちらだけがどれ程一生懸命エールを送っても
肘鉄を食らってばかりで、最近は忌々しく思えてきて腹が立ってきました。

ストレスのたまりやすい「おじん」からの投稿でした。

今後とも是非、面白い記事を期待しています。ーーーどうぞ身体にお気をつけ
て、私達の知らない「奇想天外」な中国を教えてください。

└──────────
 
┌──────────「サムライ駐在員さんから」

ご笑読、誠にありがとうございます。
どうも、私は平生、情緒でモノを考えるということが少なく、殺伐とした内容
になりがちで、もしかすると日本国籍剥奪モノではないかと危惧する次第です
が、ある種の冷徹さは、こちらで業務を行う上で必要な要素のひとつではない
かと感じます。

私自身、こちらでの交友関係で、懐の大きさを感じることが多く、期待以上の
便宜や融通によって助けられることも少なくないのですが、実は単にいい加減
さの裏返しではないかと感じることもあります。

また、「言ったことが徹底できない」「言ったはいいが期待できない」といっ
たことも日常的で、そういったことを考えた場合、「フトコロの広さ」は両刃
の剣ではないかとも思います。

宴会などで「朋友!朋友!」といって意気投合した上で、その後の大陸側のい
い加減さに大いに失望するということも、こちらでよく聞く話ですので、なん
といっても「民族性の違い」を十分にふまえることがなにより大切ではないか
と思う次第です。

と書いたところで、ふと、自分は相当の根性曲がりではないかと自覚し、思わ
ずハッとなりましたが、本人は至って大雑把で、ラクチンな典型的O型ですの
で、今後もよろしくお願い致します。

└──────────
┌──────────「けっつんさん」男性@四十代@会社員

うわー、おもしろいライターさんが、ふ、え、た。これが第一の感想です。

書き方云々、文体云々は別にして、いろんな見地からの投稿が読めることは、
読者としては嬉しい限りです。ーーー駐在の方の投稿ってあまりなかったです
よね。

・半華人さんのウラ上海話も痛快愉快ですし、
・ OJIN さんの南通よもやま話も面白いし、
・HAJIMEさん(現在休筆で残念!)のお話も
 うんうんと納得させてもらいましたし。

されば、私も出張者の見地から一筆を・・・・と考えたら、自分の文才の無さ
に気づきましてん。
これからも読ませてもらいます!新ライターさん、がんばって!

└──────────
 
┌──────────「サムライ駐在員さんから」

ご声援、誠にありがとうございます。

長くて回りくどい文面で大変恐縮ですが、今後とも何卒よろしくお願い致しま
す。なお、

私は自他共に認める変人(駐在を通して最近は「怪人」になりつつあります)で
すので、ここでご紹介する雑文は、必ずしも大陸で業務に邁進されている日本
人駐在員の方々全てを反映しているわけではない点、よろしくご承知の程お願
い致します。

└──────────
┌──────────「山口浩さん」男性@七十代@自営業@東京

東莞在住サムライ駐在員さんのご挨拶、非常に興味深く読ませて頂きました。

私も生涯の仕事として、40年以上、現在でも眼鏡業界にお世話になっている
者です。専門はレンズ関係ですが、最初は硝子レンズの生地を英国のピルキン
トン社より輸入し、日本の殆どの眼鏡レンズメーカーに納入しました。

その後、調光レンズ“ラピード”で福井のサングラスメーカーには大変お世話
になりました。今はCR−39及び高屈折プラスチックレンズが主流になりま
したが、15年程前より、偏光レンズに専門化し、特に香港及び、中国のサン
グラスメーカーと、PVA素膜またPC及びTAC偏光シートの取引を始めま
したが、言葉の問題で大変苦労しております。

香港は英語で不自由しませんが、中国では英語又は日本語が通じないメーカー
が多いです。今までは、台湾の友人に英語での通訳をお願いしていたのですが
彼が眼鏡業界より光学業界に興味を持ち、東莞より成都に居を構えました。

東莞のサムライ駐在員さんと、一度東莞でお会いし、色々お話したいのですが
ご紹介をお願いできないでしょうか。ーーーよろしく御願いいたします。

└──────────
 
┌──────────「(^^) OJIN です(^^)」

山口様、初めまして!
ご同業の方ということで、汗顔の至りです。

眼鏡という製品は、品質基準の数値化が難しいので、皆様苦労さなっておられ
るようです。レンズ業界も、表面品質に関しては官能判断となることが多いよ
うで、中国人と日本人の感性の違いが出やすい業界ではないかと推察いたしま
す。
ーーーお互い頑張りましょう!

└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
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