|
寄稿転載記事 ――――――――――――― by 海人さん
|
☆ 海人のツギハギ愚見草 ――――――――――――― 2005/04/18
海人が以前投稿したのは、中国評価がいつも日本人特有の金太郎飴的な意見で
あるのににうんざり気味だったからです。
・貧富の差の拡大により近未来に中国は崩壊する。
・役人の不正により、人民の不満が爆発して崩壊する。
・中国人民は貧しい生活をしており、街には乞食が一杯いる。
・公衆便所にはドアどころか仕切りの壁もない。
・お金を払えばお釣りは投げ返される。――――等々。
このような意見で埋め尽くされている中国評価は、「それに比べて日本は良い
ところだ」「中国への進出は控えよう。国民が困ることになるのだから」など
の保守(既得権益)派の意見が隠喩されている(大衆のマインドコントロール?)
ような気がしてなりません。
国が違えば、天候、環境等も当然異なってきます。その風土によっても大きく
影響されます。ですから、そこに住む人の考え方が違うのは当たり前ですし、
文化や習慣も違ってきます。
それぞれの、日本人とは違う考えや行動も、歴史や風土をフィルターして考え
れば、ある程度理解できるように思います。それが例えアフリカ人でも、その
行動や習慣は彼らにとって理由のあるものなのです。
そうした背景を理解する努力もせず、表層的な部分にだけ注目して一体どんな
意味があるのでしょうか?ーー例えばアフリカで時々目にする光景のひとつ、
Tシャツだけでも暑いのに、何故かコートを着ている人がいます。何故でしょ
うか?
この答えは簡単で、マラリヤに罹っており、とても寒気を感じるからです。
アフリカ人の女性は、結婚せずによく子供を生みます。何故でしょうか?
これは答えが長くなるので省略します。でも理由はちゃんとあるのです。
アフリカのマラリヤは熱帯性のもので、東南アジアのものとは違います。発病
して48時間以内に薬を投与しないと死亡します。薬自体も非常に強いので、
投与量を間違えればこれまた死亡もしくは大変なことになります。規定投与量
の2倍を投与された日本人が即死したという例を知っています。
こんな過酷な環境で人間が生き延びるには、温暖気候の地方とは生き方や考え
方が違うのは当然のことだと思います。でもその人々の習慣や風習にはそれな
りの理由があるのです。
米国の例を出すのは、随分以前から貧富の差が拡大し続けているからです。
それに対する警鐘的なことも昔からよく耳にします。ーーでも、私にはそれが
大きな問題だとは思えないのです。ただ土地を持っているだけで金持ちになれ
る、或いは両親が名士であるからなどといった、本人の能力以外の部分が重要
な国よりは遥かに健全だと思います。
W・バフェットやB・ゲイツのような人が、自分の能力だけで金持ちなれる国
は健全だと思うだけです。米国の友人から以前、「税金の申告が複雑で大変な
んだよ。日本もそうなのか?」と問われて「日本は社会主義なので、サラリー
マンは源泉徴収でほとんど控除もできない」と答えたことがありました。
ーー私が米国は自由の多い社会と感じるのはこんなところからです。
大きな規制を撤廃し、それを補完するために小さな規制が存在する。
つまり、個人でやりくり出来る余地がある程度あるということは、市民にとっ
ては大きな意味で(個人が国に頼るのではなく自分の頭を働かせるという点で)
いいことだと思います。
どの国も、その国特有の問題を抱えていると思います。ただ、大切なことは、
その問題がその国自身の力で解決可能かということです。私が米国を例に挙げ
るのは、そのシステムがよく出来ていると思えるからです。
規制はもちろん米国にも一杯あります。しかしその規制の仕方が違うのです。
医師や弁護士などの資格も、その数を制限するのではなく、市場原理を働かし
ていますし。ーーそもそも、その認定制度そのものが違います。
以前、日本の国債の格付けを下げられた時の政治家の言動を聞いて、つくづく
日本はもうほとんど危機状態だと感じました。今回のライブドアの騒動と同じ
です。原理原則が存在しないのです。暴言かもしれませんが、少なくとも海人
にはそう思えるのです。
「中国は社会主義だから民主主義の国とは違う」と、これまた巷に溢れている
見解のひとつですが、中国は今でも社会主義ですか?政治的には一党独裁です
が、その政府自体が資本主義を展開していますし、おまけに、彼らは商売感覚
のある人達なのです。
今の段階では、中国が米国と同じぐらい開かれているとは勿論思ってはいませ
ん。ただ、米国と共通する部分(超資本主義)が認められるのは事実です。既に
市場原理が働いている分野が存在しますし、良い方向に変化しているように思
えます。
日本は先進国だと思っている日本人が多いようですが、欧米諸国はそう思って
はいません。理由は、――欧米人に直接聞くまでもなく、海外の経済誌を読ん
でも分かると思います。日本は資本主義です?ーーーそうではないでしょう。
ヒトが余っている割には人件費がそれ程下がらない。土地も余っている割には
それ程下がらない。などなど、他にも市場原理が働かない分野がたくさんあり
ます。でも当たり前なんですよね。政府が赤字国債をバンバン発行し、補助金
みたいな形でお金をバラまけば、市場の流動性なんてあるはずもありません。
FRBのグリーンスパンが次のように言っております。
「国家の負債が毎年年率9%で増加しているのにも関わらず、その国債を利回
り1%(その当時)前後で購入する者がいるという事が理解できない・・・」
ーー海人も本当にそう思います。理解できるレベルを超えていると。
本来、資本主義の良いところとは、変化のダイナミズムにあると理解していま
す。時代に合わなくなった不必要なものは消え去る。―――物も企業も人も。
勿論、最小のルールで。
去年、上海で一番の金持ちといわれる人が、株のインサイダー取引で捕まって
投獄されました。彼は貧しい家庭に生まれ、学歴は中卒。ワンタンの小さな店
から始めて巨万の富を築きましたが、消えました。――変化が重要なんです。
同じ悪がいつまでも続くのは最悪ですが、変化さえあれば社会は健全だと思い
ます。以前、太子党の悪事もよく話題に上りましたが、それも時間と共にあま
り聞かなくなりました。利用する人がいるからこのような人が出るのですが、
しかし賞味期限があるのです。
どこかの国のように、バブルが弾けて15年も経ってから不動産王がようやく
崩壊する国とは違うという事です。海人は、以前からこの手の企業が存在する
こと自体が不思議でした。当時、世界一の金持ちでありながら殆ど税金を納め
ない(社会に何の貢献もしない)会社が存在すること自体が。そして、彼の父親
がどのようにしてその土地を手に入れたかを知ると、その国の社会のシステム
が分かるような気がします。
海人が仕事で台湾に行きだしたのは、約10年程前でした。その時期はちょう
ど米国で教育を受けた新台湾人が母国に戻り始めてきた頃でした。政府もその
受け入れ環境を整えたりしていましたが、あまりうまくいってはいませんでし
た。
当たり前ですよね、考え方が違うわけですから、すんなり受け入れられるわけ
がありません。かなりの人がまた米国に戻ったとも言われていました。600
万人の社長がいるといわれる台湾で、そんなに簡単に新台湾人が活躍できる場
はつくれないのでした。
でも、今は誰が台湾経済を引っ張っているのでしょうか?
どこかの国のように、社費で海外の有名大学へ行ったのにも関わらず、帰って
きたら外国カブレというレッテルを貼られ、冷や飯をくわされる社会ではない
のです。―――中国での海外帰国組が、台湾などよりも上手く受け入れられて
持てる能力を発揮していると海人はみていますし、また聞いてもいます。
政府関係のプロジェクトには、外国人がかなり入っています。G・サックスと
かM・スタンレイなどが金融関係で活躍しています。そんな大会社でなくとも
知り合いの米国人(IT技術者)は上海市政府の仕事をやっています。彼は特別
なコネはなかったと思います。一人で中国に乗り込んできたのですから。
日本ではハゲタカ扱いされる外資が、中国のテレビにはよく出てくるし、政府
プロジェクトにも入っている事実。どこかの国では、政府が利用する民間とい
えば、その政府の息のかかった御用学者とか政商。――有識者会議ってなんな
の?外国人どころか、ほとんどが政府の代弁者、或いは生産者(天下り先)。
ーーシンクタンクも同じ。みんな同じ穴のムジナ。
米国のように、大統領が違う党から選ばれたら、役人もすべて替わってしまう
システムは本当に健全だと思う。ーー社会の大掃除が出来るという観点から。
日本は、政治家(スープ)が替わっても役人(具)はいつも同じ。しかも、最近は
その政治家も二世が多いんだものね、江戸時代の藩と同じ。バカ殿様もそれに
仕える家来もみんな世襲制。
海人が例に出した、閉塞感に溢れた国に中国は該当しません。
北京大学や清華大学を卒業して、就職に困っているなどは聞いたこともまた食
べたこともございません。地方の有名大学を優秀な成績で卒業した知人は高給
(8000元≒12万円)で就職できましたし、さらに有名大学とかに関係なく
能力のある人へはヘッドハンターがやってきて欧米系企業で活躍しています。
ーー残念ながら日系企業にはそんな優秀な人材はやって来ません。給料が低過
ぎるのと、昇進できないからです。――最近、復旦大学卒で給料が2000元
という話を聞きました。尚よくよく聞いてみると..専攻が日本語とのこと。
一方で私の友人(30歳過ぎで四川の名もない大学卒の女性、親のコネなしで
単身来上海)は、今や3万元の給料です。別に極端な例を出したわけではあり
ません。ただ単に、上海では労働市場が既に形成されているだけの話です。
世界には、その国の最難関の大学を出ても、その卒業者のほとんどの者が満足
できる職につけない国はたくさんあります。そんな典型的な発展途上国とは、
中国は違うと言いたかったのです。
海人が中国人から教えて貰った大切なものの一つが、自分の出来ることだけに
全力を注ぐということ。―――日本に住んでいた時、毎日がとても鬱でした。
日本の将来とかを考えると特に。ーーでもそれは、海人が憂いてもどうしよう
もないことなんですね、当たり前の話ですけど。
おまけに、日々の事件などからも、日本人が理解できなくなってしまったよう
な状態でもありました。論理性とか合理性からあまりにかけ離れてしまうと、
日本人ですが日本を理解できないのです。
現在は、昔に比べれば国家の果たす役割が小さくなっているわけですから、た
だ単にそこに生まれたという理由だけでそこで一生暮らす必要はまったくない
という事実にある時気がつきました。――今は円の資産も減らしてポジション
リスク的にはニュートラルですので、精神的にも経済的にもとても自由です。
中国人は国家を全く信用していませんので、政府関係者の不正に対して怒りを
蓄積しているとは思えないですね。勿論その政府が個人のポケットにまで手を
伸ばしてくれば話は別でしょうが、、、。
今は、ほとんどの中国人の所得が伸びている状態で、自分達の金儲けに専念し
ている時期と海人は考えています。もちろん政府の不正について彼らに意見を
求めれば、それは良くないと言うのは当たり前のことでしょう。
それと、自分達もあらゆる手段で出来る限りのことをやっているわけですから
他人の不正をとやかくいわないのではないでしょうか?ーーもちろん、自分の
不正の言い逃れのためには、他人の事を批判はするでしょうけどね。
海人は、べつに中国の良いところだけを見ているわけでもありません。いや、
批判意見も積極的に聞くようにしています。「やがて中国の崩壊が始まる」や
「中国現代化の落とし穴」などは、著者が中国人だけに具体的事例が掲げられ
ていて説得力があります。
でも、中国はそんなことだけで理解できる程単純な国ではないと思います。
文化大革命で中国の伝統(金儲け主義、家族主義、相互扶助組織、宗教など)を
崩そうとしたけれど、彼らの基本的な部分はあまり変化がなかった。それらは
きっとDNAに組み込まれているんでしょうね。
そんな強烈なDNAがなければ、東南アジアの国々で裸一貫から巨万の富を築
くことはできなかったでしょう。海人などは、タイとかベトナム程度ならその
庶民レベルでも暮らせる自信はありますが、インドネシアやフィリピンの小さ
な街などにも華僑が住んでいるのを実際に見て、それだけで尊敬してしまいま
した。
中国が発展途上国だと考えている方は、一度この両国に行ってみられることを
お勧めします。特にスマトラ島はお勧めです。よくもこんなに一杯悪人がいる
ものだと感心してしまいます。
中国人にも金を騙し取ろうする悪人は一杯いますが、その一方で、中国人の底
の深さにも遭遇するのです。
身近ではいい例が挙げられませんので、戦争孤児について述べます。このメル
マガのライターさんの中には、戦争孤児は中国人が売って欲しいと言ってきた
からとおっしゃられていますが、もしそれが本当なら、今まで散々痛めつけら
れた敵からその子供を買って、いったい何に使うのでしょう?そして、日本人
は、困った時お金で自分の子供を売るのでしょうか?ーー今の親ならそうする
かもしれませんが、、、。
海人は、ニュースでしかこの件は知りません。でも、もし寛容さや憐れみの心
がなければ、誰があの食糧難の時代に、お前は捨て子だと子供に告げずに育て
たりするでしょうか?―――いろいろな見方、捉え方があるのは承知していま
す。海人はこの件だけの話をしたかったのではありません。
中国に住んでいて、これに共通するような事があるので、分かり易い例として
取上げただけです。この件も、反中国の人からは女性や子供の人身売買がビジ
ネスとして行われていることを挙げて反論される方がいるかもしれません。
でも、すべてをそのようにみるのは海人はおかしいと思います。
でも、もう一度よくよく考えてみると、敗戦国の難民?からその子供をお金を
出して買う必要はこれっぽっちもないでしょう。単に奪うことも出来たはずで
す。ましてやその敗戦国からさんざんな目にあわされてきたのですから。
海人はその時の中国人の言葉を信じます。“我徳をもって報ず” もしこれが
アフリカで起きていたなら、間違いなくその敗戦国の難民は皆殺しになってい
たことでしょう。アフリカ以外でも、何の力もない弱者に対して酷い仕打ちを
する国はいくらでもあります。
中国の底深さの例としてもう一つ上げます。経済的外交の話ですが、今中国は
積極的にFTA(自由貿易協定)を進めています。多分中国の交渉力をもってす
れば、5年以内ぐらいで東南アジアの国々すべてとFTAを結ぶことになると
思います。
その内容は、農産物も含めたものですから、日本の名ばかりのものとは違うの
です。自国の農業を改革して海外に開放する。たとえそれによって農業が衰退
したとしても、貿易立国として発展する計画をもっているように思えます。
まあ、中国は古来、交易の盛んな国でしたから何の不思議もないですが。でも
これが達成されるとアジアの勢力地図は激変するでしょうね。
最後に、上海市のあるプロジェクトに関っている友人(日本人)曰く、
「中国は2020年に世界の大国になると言われているけど、それよりももっ
と早く達成できるよ。物事を進めるスピードがとても早いんだ」
彼は、日本だけでなく、海外でもビジネスコンサルタントの経験があり、日本
政府のこともよく知っています。
ーーその上海市プロジェクトには、ドイツとフランスのプロジェクトチームが
既に参加していますけど、日本人は彼だけ、、、。
= この稿おわり =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃ ┃ この記事に感想を頂きました。
┗━┛
┌──────────「青木治人さん」
海人さんの考えは、その前提に「ましてやその敗戦国からさんざんな目にあわ
されてきたのですから」という思い込みがあるからではないでしょうか。
「散々な目どころかいろいろよくしてもらっていたから」と視点を変えてみる
と、当時の彼らの行動が極めて自然な行いであったと理解できるのではありま
せんか。ーーー私もそうですけれど、
戦後教育は実に大きな効果をあげているんですね、「刷り込み」という面で。
└──────────
┌──────────「源 尚浩さん」
私は大阪府在住、三十二歳の男性で源 尚浩(みなもと なおひろ)と申します。
メルマガ「アジアの街角から」には、以前に「気分は情報無限」というHNで
いろいろ駄文を投稿しておりました。
二年前に会社を辞めてから定職には就いておりません。最近マスコミが無理や
り流行らせた言葉でいうなら「neet」です。一応、大学を出てから七年間は会
社員をした人間ですので、バブル崩壊後の日本の現状にも大いに不満があり、
海人さんのご意見には納得する事しきりでした。ーーーただし、西武鉄道の堤
会長に対する私の見解は異なります。
文章における私のレベルはHAJIMEさん並ですが、いずれ OJIN さんの協力を得
て「アジアの街角から」に寄稿してみたいと考えています。
└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
|