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中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
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☆ 2004年、中国10大ニュース6−10 ―――― 2005/03/21
【第6位】労働者不足が表面化 <劣悪な労働環境のつけ>
【第7位】企業淘汰 <安易な中国進出に警鐘>
【第8位】人民元切上げ圧力 <外貨準備高の増大>
【第9位】「政冷経熱」 <改善されない日中関係>
【第10位】上海F1開催 <国際都市へ上海>
【第6位】労働者不足が表面化 <劣悪な労働環境のつけ>
2004年は、豊富な内陸部からの労働力により支えられてきた沿岸部の経済
成長スタイルに変化の兆しが見えた年だった。労働者不足の問題は数年前から
問題になっていたが、04年は顕在化し、その問題解決は極めて困難な状況で
ある。
特に華東地区(長江デルタ地域)、華南地区(珠江デルタ地域)では、今後、労働
者の補充が難しくなるであろう。
◇人材不足要因
労働者不足の大きな要因は、これまで中国進出をしてきた企業が「低賃金によ
るコスト削減」を目的としており、労働者も貴重な経営資源であることに配慮
してこなかった(劣悪な環境を黙認してきた)為である。また、労働者の供給源
である内陸部の経済水準が向上し、地方の中核都市での就業機会が増え、地元
での就労と外部で就労する場合「その労働条件に見合う報酬が得られない」の
がその背景にある。
今後も、月給800〜1500の一般工員は、慢性的に不足すると予測され、
「人件費の安さを最大の目的とした中国進出」に対し、現在中国に進出してい
る企業も、今後中国に進出する企業も、その認識を変えなければならないだろ
う。
急速な経済発展を遂げている中国では多くの事象が激変しており、環境の変化
を読み取り、敏速なフットワークによって事前対策を採ることが、今後の事業
展開において重要な課題になっている。
◇中国企業の人材不足対策
中国の家電業界では、日本や韓国の家電企業を退職した技術者を重要戦力とし
て高待遇で招聘するケースが増えている。招聘された人の中には、リストラや
自主退職の形で会社を去ることを迫られた50代前後の人も多いという。
中国の大手電子レンジメーカーでは、03年から日本人技術者を34人、韓国
人技術者を14人に対し報酬が年間24〜40万元(約300万〜500万円)
と、中国企業としては破格の待遇で招聘している。今後、国際的企業で経験を
積んできた専門家は、海外市場を視野にいれた中国企業に「自らの活躍の場を
見出すことが出来る」であろう。
【第7位】企業淘汰 <安易な中国進出に警鐘>
◇上海の外資撤退1500社、進む企業淘汰[経済]
上海市において、昨年1年間に撤退または閉鎖した外資企業は1451社に上
ることが分かった。上海では、1日当たり約11社の外資企業が新たに進出す
る一方で、約4社が撤退していることになる。これは、明確な中国進出の計画
を持たず、ブームに乗った安易な進出に「警鐘を鳴らしている」と言えよう。
上海市の04年末時点の外資・国内企業を含めた企業総数は53万5742社
で、新たに設立された企業は13万670社(外資企業の新設数は4047社)
に及んだ。その一方で企業の閉鎖は5万6061社(外資企業閉鎖は1451
社)に達し、新設数の35.9%を占めている。
産業別では、半数に当たる1万3482社が先進的な製造業である。最近では
製造工場のみならず、事業の先端を行く「研究開発(R&D)センター」の設立
も相次でいる。
◇潜在力秘める民間企業
全市の企業総数の7割を占める民間企業(38万4927社)は、資本金では市
全体の2割にしか満たないが、企業数・資本金額ともに伸び幅は30%以上で
民間経済の潜在力の大きさを示している。
企業規模も拡大しており、資本金1億元以上の企業は40%増の420社に達
し、新設企業は12万783社で32%増えている。
◇中国全体での外資企業
中国全体では、昨年、新たに設立された外資企業は4万3664社だった。
昨年末時点での外資企業総数は50万8941社に達した。外資導入額(実行
ベース)を国・地域別で見ると、トップは香港企業で、続いて英領バージン諸
島、韓国の順となり、日本は4位となった。
(5位以下は、台湾、ケイマン諸島、シンガポール、サモア、ドイツ)
上位10カ国・地域で、全体の84%を占めている。
昨年の外資導入額は、実行ベースで前年比13.3%増の606億3千万米ド
ルに達し、初めて6百億米ドルを突破した。新規設立企業数も増加しており、
中国政府のマクロコントロールにもかかわらず、着実に外資企業が増加してい
るといえる。
【第8位】人民元切上げ圧力 <外貨準備高の増大>
◇貿易摩擦の行方
01年に5千97億7千万米ドルだった中国の貿易総額は、世界貿易機関(W
TO)加盟後の3年間で2.3倍に膨らんだ。この、予想を上回る輸出の伸び
が、今後米国を中心とした他国との貿易摩擦の新たな火種となることも懸念さ
れている。
◇元切り上げ圧力の増加も
中国の昨年末時点における外貨準備高は、初めて6千億米ドルの大台を突破、
03年末比51.3%増の6千99億米ドルに達した。年初頭赤字であった貿
易収支は、その後大幅な黒字に転換し、これが外貨準備高の増加の要因である
ことは疑問の余地はない。
黒字の伸びがこのままのペースで続けば、再び元切り上げへの圧力も高まって
いくことになるであろう。(04年末の日本の外貨準備高は、8千445億ド
ルで世界第1位、中国は第2位)
◇元切り上リスク
日系企業との情報交換の場において「人民元切り上げによるリスクに関して」
所見を求められることが度々ある。
「10%以上の切り上げが一度に行われる可能性は小さいと思いますが、それ
と比較して日本円とドルの為替は、この一年で約15%以上の円高になってお
り、人民元の為替リスクより日本円の為替リスクのほうが高いのではないです
か」と答えている。
「人民元切り上げ」だけではなく、日本の社会及び日本企業経営者は「中国の
問題」には大きな関心を持っているが、「自国の問題」には、余り関心を示し
ていないと感じる。
【第9位】「政冷経熱」 <改善されない日中関係>
◇経熱
日本と中国の04年の貿易総額は、戦後初めて米国を上回り、最大の相手国と
なった。日本経済は、「世界の工場」から「巨大市場」に変貌した中国経済へ
の依存度が高くなっている。
貿易の内訳は、輸出が前年比12.2%増の約61兆円、輸入が同10.8%
増の約49兆円。輸出は3年連続、輸入は2年連続で過去最高を更新。黒字額
は同17.9%増の12兆109億円で、3年連続で増え、日本の貿易額全体
の20.1%を占める。
(04年上半期の対中貿易額を5年前と比べると、輸入は2倍、輸出は約3倍)
◇政冷
年明けの小泉首相の靖国参拝に始まり、アジア杯サッカー、東シナ海ガス田開
発、中国原子力潜水艦による領海侵入、対中ODA論議、台湾の李登輝氏への
ビザ発給など、摩擦を生じる出来事が相次いだ。
日本の貿易額の20%をも占め、相互の経済関係においては「欠くべからざる
パートナー」となっているのにも関らず、日中首脳の相互往来は途絶えたまま
の歪な関係が続いている。
日本と中国が、今後もより良い関係を継続することを望むのであれば、互いに
違った「文化や歴史観を持っていること」を認め合うことが肝要ではないだろ
うか。その上で、まず相手の心証を害する言動を止めることが必要であろう。
「慣習の違い」として、相手の心情を汲み取らず、一方的に理解を強要すこと
で「相互の理解が生まれ、信頼関係が構築される」ことなど永遠に有り得るは
ずもない。
【第10位】上海F1開催 <国際都市へ上海>
中国で初めて開催されるフォーミュラ1(F1)グランプリが、04年9月24
日から3日間の日程で上海で開催された。自動車製造大国を目指す中国にとっ
て、モータースポーツ祭典の開催は国際的な注目を集める絶好の機会でもあり
国際イベントの開催成功は、2010年の「上海万博」に向けて世界に「国際
都市上海」を印象付けるのに充分な効果を果たした。
また12月には、二輪ロードレースの最高峰、世界選手権グランプリ(Mot
oGP)の中国グランプリが2005年以降の7年間、毎年開催されることが
決定し、上海市は「モータースポーツ都市」として新たな発展を目指している
ようである。
= この稿おわり =
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平野 信幸
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