中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
☆ 2004年、中国10大ニュース1−5 ――――― 2005/03/07

【第1位】国際化する中国企業:聯想、IBMのPC業務を買収
【第2位】金融政策:マクロコントロールが経済直撃
【第3位】中国貿易の拡大:貿易額で日本抜き世界3位 04年1兆ドル超
【第4位】中国国内市場の拡大:自動車販売500万台突破
【第5位】電力不足問題:石炭不足で解決の糸口見えず

【第1位】国際化する中国企業:聯想、IBMのPC業務を買収

パーソナルコンピューターを世界で最初に商品化した「ITの巨人IBM」が
そのPC事業部門を中国企業に売却、というのは衝撃的なニュースであった。

中国パソコン最大手の聯想集団(レノボ)は、2004年12月8日、米IBM
のパソコン業務買収を発表した。デスクトップとノート、研究開発、調達を含
むパソコン業務すべてを買収するもので、買収金額は約17億5千万米ドル。

中国のIT企業による海外投資としては過去最高額で、世界シェアは米DEL
L、米H.Pに次ぐ第3位に躍進する。年商120億米ドルの大型企業となる
見通しで、中国企業の国際的な地位向上につながると期待されている。

中国の一企業が、総額17.5億ドル(約1千8百億円)という多額の資金を海
外の事業に投入できる能力は、驚異に値するものであり、今回の買収は、中国
企業の成長を象徴する事例の一つであろう。特定の企業においては資本蓄積が
進でいると推測され、今後、世界的な事業展開を構想する企業が増えると思わ
れ、過去の中国企業の実力に対する認識を変える必要があるのではないだろう
か。

今回のPC事業買収劇は、これまで後発国の市場開放は、経済的に優位にあっ
た先進国が一方的に経済的利得を得てきたが、世界経済のグローバル化は、先
進国企業の技術と資本の移転によってその優位性が徐々に失われ、世界が統一
された市場となり、先進国や後発国という国の枠を越えて、「全世界の企業が
同じルールによって、競合する時代に入った」と、いうことを示す象徴的な出
来事といえる。

今後、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博と、中国国内で
国際的なイベントが続き、社会資本整備などによって、中国の経済活動が一段
と活発化することが予想される。それに伴い中国企業の技術力や資金力・開発
力はさらに力を増し、今回のような中国企業によるケースが増えることも珍し
くなくなるであろう。

今回の買収によって、IBMのヒット商品(シンクパット)を開発した日本IB
Mの優秀な人材も中国企業のスタッフとなり、企業買収は商品や市場だけでは
なく、その人材と技術も同時に手にいれることになる。

【第2位】金融政策:マクロコントロールが経済直撃

中国政府のマクロコントロール方針が始まったとされるのは3月初めで、温家
宝首相の「過度の投資と低レベルの重複建設を抑制し、投資と消費の関係を合
理的に調整する」として始まった。

第1四半期(1〜3月)の国内総生産(GDP)は、昨年同期比9.8%増を記録
し、昨年の経済成長率を上回る高い数値となった。高い成長率を示した原因と
して、固定資産投資の急激な伸びがあり、鉄鋼、セメント、電解アルミ、不動
産といった分野での投資拡大が懸念され、景気の過熱を危惧する声が各界から
相次いでいた。

この金融政策によって、景気の引き締めが本格化し銀行の貸出も大幅に減少、
新規投資を強制的に抑え込む策が取られた。そして、更なる安定成長の対策と
して、10月末には0.12%の利上げが実施された。

この影響によって、5月以降からは自動車の販売が鈍化し、また建設機械の販
売は前年度10%程度と大きな落ち込みが発生した。来年以降もこうしたマク
ロ調整の基調は変わらないと思われ、本年はさらなる利上げや、人民元の切り
上げがいつ実施されるかが大きな焦点となりそうである。

【第3位】貿易の拡大:貿易額で日本抜き世界3位、04年1兆ドル超
 
04年の通関統計速報によると、1〜12月の貿易総額は前年比35.7%増
の1兆1547億ドルで、初めて1兆ドルを超え、日本を抜いて米、独に次ぐ
世界3位の規模となった。
内訳は、輸出が同35.4%増の5933億ドル、輸入は同36.0%増の5
613億ドル、貿易黒字は同25.6%増の319億ドルだった。年頭におい
て一時赤字を記録した貿易収支だったが、8カ月連続の貿易黒字を達成した。

<対日貿易1千億ドルに>
相手国・地域別の貿易額は、日本がトップで31.4%増の1079億米ドル
に達した。2位は米国で30.7%増の1025億米ドルと、こちらも1千億
米ドルを突破した。
3位は欧州連合(EU)で42.3%増の998億米ドルとなり、EUは伸びで
は日米を上回っている。韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)との貿易も好
調で、いずれも40%以上増加した。

外資企業の貿易額は41.9%増の3749億米ドルに達した。同期の貿易全
体に占める比率は54.9%で、昨年同期を2.1ポイント上回り、外資への
依存度はさらに高まっている。

【第4位】中国国内市場の拡大:自動車販売500万台突破

中国汽車工業協会によると、1〜11月の自動車販売台数は458万台に達し
通年では500万台突破が確実な情勢となった。急速に進む中国のモータリゼ
ーションだが、一方で独フォルクスワーゲン(VW)が対中投資計画を下方修正
するなど、2004年は右肩上がりの成長に水を差す出来事もあった。

トヨタ自動車は9月、広州市に完成車の生産・販売を手がける「広州豊田汽車
有限公司」を設立した。これにより同市にはトヨタ、日産、ホンダの日系自動
車ビッグ3が揃ったことになる。3社による今後の「市場競争」の行方が注目
される。

広州豊田汽車では2006年中ごろから、中型セダンの生産を年産規模10万
台でスタートする計画で、広州本田が年産24万台、日産が15万台の規模で
乗用車を生産しており、広州の06年の自動車生産台数は乗用車だけで50万
台に達する。(上海は100万台規模)

自動車の販売台数をみると、米国の1600万台、日本の600台に比べ、中
国はまだ400台にとどまり、その多くはトラックが占めている。人口規模か
らみれば今後、販売台数が急増するのは確実であり、外国自動車メーカーの進
出、生産の拡大が今後も継続するのは間違いない。

<中国GDP>
04年の実質成長率は9.5%と、2年連続で9%を超える高成長となった。
中国の国内総生産(GDP)総額は13兆6515億元(約187兆円)で、この
額は日本のGDPの3分の1に相当し、この12年間における成長は約3.5
倍である。

国内経済成長に関する予測では、2010年までにGDP(国内総生産)成長率
が8%前後を維持し、1人あたりGDPでは1900米ドルに達するとの見方
を示した。1人あたりGDPが1900米ドルという数字は、現在の日本の約
50%で、ギリシャ、ポルトガルなどと同じ水準となる。

<上海GDP>
2004年における上海市のGDP(域内総生産)成長率が13.5%に達し、
13年連続で二桁成長を維持した。上海市における04年のGDPは7440
億元。地方財政収入前年比24.5%増、失業率は4.5%、05年における
GDP成長率を11%前後と予測されている。

【第5位】電力不足問題:石炭不足で解決の糸口見えず

04年、中国国内の電力使用量は、21735億Kw/Hで、前年比15%の伸
びを示した。しかし、これは全国的な電力不足による、供給制限がされた後の
データーであり、実質的には20%以上の需要があったものと推測される。

04年末における全中国の発電容量は約4億Kwで、04年新たに建設された
発電容量は6000万Kw(約15%)である。この数値から推測すれば、実質
的な電力需要の伸びをカバーしたに過ぎず、「昨年、不足したといわれる電力
容量約4000万Kw」は依然として解決されてはいない。

中国の発電は、70%以上が石炭に頼っており、05年の電力需要量の伸びを
13%とすると、新たに増加する発電用石炭の需要量は、約1億トン分の原炭
に相当することになる。(04年の国内の石炭総生産量は約20億トン、総需
要は21億トン)

発電所の増設による発電用石炭の急速な需要の高まりで、電力不足問題は発電
容量の拡大だけでなく、石炭の不足と鉄道の輸送能力が大きな問題である。

この問題は一朝一夕に解決出来る問題ではなく、電力不足問題は中国の経済発
展に伴って、この数年間においては「加速することはあっても減速することは
ない」と懸念される。

                        = この稿おわり =
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┃┃ この記事にお便りを頂きました。
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┌──────――──「打田栄一さん」男性@五十代@会社員@石川

いつも拝見しています。

平野様の中国レポートですが、5番目の電力について、消費量、不足量、供給
能力の数字の関係がわかりにくいので、もう少し説明をお願いできませんか?
よろしくお願いします。

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┌──────――──「平野信幸さんから」

打田様、お便りありがとうございます。

2004年、中国における電力事情

・電力使用量:2兆1735億キロワット時(前年比14.8%増)
・発電能力 :4億4070万キロワット (前年比12.6%増) 
・電力不足量: 約6000万キロワット (発電設備)

上記数値でも判断出来ますとおり、設備の増設より消費電力の伸びが上回って
おり、依然として電力不足は解消されない状況です。

05年は、約6000万キロワットの発電所が新たに稼動すると発表されてい
ますが、本年も電力の伸びは10%以上と推定されます。

03年までは電力不足が起きなかった東北地方においても、今冬には電力不足
が顕在化しており、05年も5000万キロワット程度の不足が発生するもの
と考えられます。

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       平野 信幸
  mail: shhirano2001@yahoo.co.jp
   HP  : http://www.shmagtec.net/
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