中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
☆ 中小企業の中国進出(4) ―――――――――――― 2005/02/14

2004年9月、中小企業の技術振興に関る財団法人の要請により、「日本の
中小企業の中国進出」における「中国の経済状況と中国進出に際する留意点」
に関して情報交換を行いました。

要請に際しまして「事前の質問」があり、また小職の中国進出実体験に基づい
た所見を述べました。その懇談内容を「中国レポート」として連載致します。

<質問事項>

1−中国の現在の経済や社会の状況および今後の動向。

2−中国側からみて、日本企業(特に中小企業)に対するご意見。

3−日本の中小企業が今後中国に進出しようと思う場合の留意すべき点。

4−日本の中小企業が中国と商取引する場合の留意点。

5−その他、ご意見があればなんでも。

<質問に対する回答>

―――― 5.その他ご意見があればなんでも:

1.人材の不足問題

今後、中国進出の日系企業にとって最も留意しなければならいなのは、「人材
不足の問題」ではないかと思われます。これはここ数年の中国進出企業の増加
に人材の供給が追いついていない事も一因ですが、それ以前に、これまで中国
進出企業が採ってきた人材育成に対する姿勢が、このような環境を醸成した大
きな要因ではないかと思います。

また、人材を採用する企業と求職希望者との間で、大きなミスマッチングが起
きています。弊社の人事担当者の報告によれば、来年の新卒者の求人に際して
120名以上の応募がありましたが(採用予定は10名程度)、その中で弊社の
希望条件に合う人材は5%に満たないとのことです。

特に学卒者においては、経済発展に伴い新卒者の希望条件が高くなっており、
彼らを短期間で戦力にするためには、益々社内人材の育成に傾注して、新卒者
を教育出来る中間管理職クラスの人材を養成しなければならないと考えており
ます。

中国進出企業にとって必要な人材とは、大別すると次の三つに分類されます。

(1)スタッフ・ワーカーの人材
(2)中間管理職の人材
(3)マネージメントを任せられる人材

(1)スタッフ・ワーカーの人材不足

13億以上の人口があり、失業率も上海では5%以上といわれる(農村部では
2〜3億人の余剰人口があるといわれている)中国において、スタッフ・ワー
カーの人材不足が発生していると聞いても、奇異な感じを受けるかもしれませ
んが、現実に「希望するレベルのスタッフが集まらない」という状況は、極め
て深刻になっております。

その要因は、中国政府の地域格差の是正に対する経済政策が徐々に浸透して、
発展著しい華南や華東地区に仕事を求めなくても、地元での就業機会が増えた
ことと、相対的比較として、それらの地域で働く魅力が失われている為だと思
います。

「何故、魅力が失われているか」、経済的な地域格差はまだまだありますが、
これまでワーカーとして働いていた人達の労働環境が極めて劣悪であり、月に
100〜200元の収入の格差では、「忍耐の対価」としては低すぎると判断
されているのではないかと思われます。

これは、「人は幾らでもいると思い上がり」人材を大切にしてこなかった産業
界の傲慢さに対する「大きな、しっぺ返し」であり、中国進出企業が招いた結
果責任ではないでしょうか。

多くの企業の、ワーカーといわれる人々の労働環境を見て、それに疑問を持っ
ていないことに、過去の「中国レポート」にも「中国進出の課題や懸念要因」
としてレポートして来ましたが、それが現実となっています。

「SARS騒動」や「電力不足問題」と同じように、「人材の育成」は企業の
「危機管理能力」が問われていると思います。

信賞必罰が厳しい企業においても、スタッフに働く意欲が湧くような環境を整
えている企業の離職率は低く、過去、人件費の上昇を抑える為に年間30%の
離職があっても問題意識を持たなかった企業では、人材の流出が激しくなって
います。

(2)中間管理職の人材不足

この問題は、スタッフ・ワーカーの人材育成をしてこなかった企業が直面して
いる問題ではないでしょうか。社内人材の育成を放棄し、安易に即戦力の人材
を外部に求めたために(これらの人材は離職率も高い)、いつまでも人材不足が
解消されない状況に陥っています。

「数十人であれば数十人の中から」、「数百人であればその中から」、必ず優
秀な人材はいるものです。その人材を見い出し、登用する意識を持たなければ
今後も解決されることはないでしょう。
そのような人材を見い出すためには、その原点である「人を大切にする」意識
環境作りが必須であることはいうまでもありません。

「人にお金を掛けない、人件費の安さだけが中国進出のメリット」と、考える
企業が中国進出の目的を果たすことが出来る環境は、今の中国には残っていな
いと認識すべきだと思います。

(3)マネージメントを任せられる人材不足

「中国で、即戦力になる優秀な人材を得られる秘訣はないか」と、良く聞かれ
ることがあります。
中国に限らず、そのような秘訣などある訳はありません。それは日本でも同じ
事で、ことさら中国に人材が無い訳ではないと思います。経済成長が著しい現
在の中国において、日本より独立心が高く、優秀な人材の定着率が低いのは事
実です。

嘗て、1980年代の日本においても、「脱サラやスピンアウト」という言葉
が流行したように、経済が成長する時期においては、成功の機会も沢山あり、
独立し起業家が増えることは自然の摂理だと思います。そして、現在の中国に
は「頑張った者がそれに見合う報酬を手にする環境があり」、若くして成功し
てる事例は列挙するには及ばないほど限りなくあります。

中国進出企業が増加し、人材の不足があることも現実ですが、その解決に「安
易にヘッドハンテング」で対応する企業の姿勢にも問題があります。「ハンテ
ングされた企業がその対策としてハンテングを行う。この悪循環で人材のレベ
ルが低下している」、これが中国の現状です。

昨今、数多く設立された「人材紹介会社」の中には、企業のニーズに応えて、
「ヘッドハンテングで人材を紹介し」、ハンテングされた会社の穴埋めに更に
「別の企業からハンテングをする」という、「マッチ・ポンプ(自分で放火を
して消防をする)を行っている所もある」と聞いています。

中国進出に当って、「日本からの人材はエースを投入せず、中国スタッフには
即戦力を求める」、このような姿勢では中国進出の目的を果たすことは極めて
困難ではないでしょうか。

今後の中国進出に際しては、「社内の優秀な人材を投入して、次の人材育成に
当る」、時間的には長い期間が必要でしょうが、「長期的展望を見据えた計画
が必要なのではないか」と思います。

「事業は人なり」、昔から言い尽くされた言葉ですが、これは日本においても
中国においても、「普遍的な原理原則」ではないでしょうか。「人を大切にす
る」この原点に立ち返り、中国進出を計画して頂きたいと思います。

2.「井戸を掘った人を忘れない」

懇談の際、『中国では、「井戸を掘った人を忘れない」と言う言葉があります
がそれについてどう思いますか』という質問がありました。質問の主旨は人材
流出・技術流出に関して(恩を仇で返す)と理解しました。

「井戸を掘った人を忘れない」、この言葉は、「井戸を掘った人の動機がなん
であったか」が重要だと思います。「ビジネスで井戸を掘った=対価をもらっ
た」ならばそれに恩を感じることはないでしょうし、それを恩着せがましく言
うほうが間違いではないでしょうか。

「井戸を掘った人が私財で掘った=対価は求めない行為・純粋な慈善事業」な
らば「その恩義は決して忘れない」と信じています。

人材の流出に際して技術の流出があることは、中国に限ったことではありませ
ん。日本でも独立する場合、過去の経験を生かして起業する際には、前職で学
んだことの延長線上で事業を行うのは当然です。(私もそのようにして、独立
しました)それを非難の対象にするのは筋違いではないでしょうか。

日本では色々な問題が発生すると「中国は、・・・中国だから、・・・」と、
殊更中国を色眼鏡で判断する傾向があります。中国にある問題は、日本にもあ
る問題であることを冷静に判断して欲しいと思います。

―――― 雑感・中国の医療制度:

12月中旬、華南地区への出張の際、流行性感冒に感染し中国で事業を始めて
10年(中国生活5年)、初めて中国の医療施設のお世話になりました。これま
では運がよかったのかこのような機会が全くなく、今回は発熱(39.7度)と
下痢がひどく、弊社スタッフが心配して、初診は夜10時、救急病院で治療を
受けました。

夜間ということもあり、人は少なくて殆ど待たされることもなく、簡単な問診
の後、約1時間点滴を受けました。----中国の処方は点滴が多いと聞いてはい
ましたが、日本では風邪程度で点滴はないと思います。

点滴の後、ホテルに戻りましたが、その夜は、「悪寒―発熱―発汗」が2時間
おきに繰り返し、その間1時間おきには腹痛と下痢に襲われ、形容し難い状況
でした。翌日もスタッフの勧めで、先日の病院に行き、問診の後、点滴となり
ました。
2日間、殆ど食事を取っていなかった為に点滴には栄養剤が入っており、点滴
は3時間以上に及び、動けないために大変な苦痛を伴うものでした。

点滴はベットではなくソファーに座った状況で受け(子供と重症患者はベッド
がある)ました。点滴専用の部屋には、30脚以上のソファー(一人掛け)があ
り、点滴を受けている間、殆どの人に同伴者が付いていました。
----私は長くなりそうなので、スタッフは事務所に戻らせた。

華南地区という環境のため、若い労働者が多く、点滴を受けている人の多くは
20代の人達と思われ、中国は「一人っ子政策」があり、あの年代では兄弟姉
妹はいないはずで、その同伴者に疑問を持ちました。後でスタッフに確認した
ところ、「病気の友人の為に会社を休んで病院に同行するのは当然の行為」と
のことでした。

これも日本では想像し難い経験です。日本では、単なる風邪で、点滴に3時間
付き合うのをお願いする気にもなれないし、「頼まれた友人も当惑・迷惑する
だろう」と考えてしまう。(中国は友人を大切にしている。)

次の日は、どうしても上海に戻らなければならない所用があり、午前中に点滴
を受けて上海に戻ることにしました。3回の点滴の甲斐があって発熱は収まり
(相変わらず下痢は止まらない状況)、シンセン空港の体温センサーも無事にパ
ス出来ました。(一年前であれば10日間の足止めを経験したかもしれません)

上海に戻る際、スタッフから治療履歴書なる小冊子を受け取り、もし上海で再
び病院に行く状況になった場合、この小冊子を渡せばこれまでの問診・診察の
状況と治療履歴が書かれているので、別の病院でも問題ない(すぐに継続した
治療が受けられる)と伝えられました。
----内容は医療の専門的用語もあるが、普通の人にも理解出来るらしい。

この小冊子は、私が外国籍のためではなく普通に発行されているそうで、この
医療システムは日本では考えられない経験です。これは患者の側に立った非常
に有益な医療サービスの制度ではないでしょうか。

情報社会といわれている現在、日本の医療制度が旧態以前とした中で情報公開
をしないために、医療ミスや不正の隠匿が行われる環境が作られていることを
実感しました。(本年、違法行為により医師免許を剥奪された医師は56名、
これは氷山の一角と推測される)

中国の医療制度だけではなく「真摯な気持ちで学ぶべきところは習う心構えが
重要だ」ということを痛感させられた貴重な体験でした。

                        = この稿おわり =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
↓
◆通話料無料のIP電話事業(Hot-Line)を支援することになりました。

形式:アダプター方式
環境:ADSL回線を使用
回線  :TEL・FAXの2回線内蔵
費用  :250元/月・回線(1回線のみの場合:350元)
通話料 :ホットライン間は通話無料(複数台間でも無制限)
 <一般回線との通話料>
 中国国内通話料  4円  中国携帯電話  10円
 日本国内通話料  7円  日本携帯電話  25円
 アメリカ     5円

機器費用:中国(無償提供)、日本(9000円)
電話番号:5桁(50000〜59999)選択可能

――他社IP電話との比較

1.機器のリース契約ではありませんので、新サービスや新機種に変更が可能
  です。
2.通話料のミニマムチャージもありません。
3.通話料は3ヶ月後払いで(200元以内)、クレジットの登録も必要ありま
  せん。
  デポジットやプリペイドではありませんので会社の経費処理が容易です。

――ご注意

1.ADSL回線環境が必要です。
2.LAN構成がなされている場合は、回線接続のみで使用可能です。
  LANが無い場合は、通常のIPアドレス等の設定が必要になります。
3.社内回線(内線)には接続出来ません。
4.外部(一般回線)からのコール(接続、呼び出し)は出来ません。
5.ファイヤーウォールの状況によっては、通信できない場合もあります。
6.契約したADSL回線サーバーの状況によって、通話状況に相違がありま
  す。
7.Pホットライン契約費用:
  1回線350元(中国)、4000円(日本)
  2回線500元(中国)、6000円(日本)

――問い合わせ先 hl001jp@yahoo.co.jp
         FAX 0086-755-6133-1899 担当:施

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
↓
 ***********************************
   上海平野(瑞穂)磁気有限公司
       平野 信幸
  mail: shhirano2001@yahoo.co.jp
   HP  : http://www.shmagtec.net/
 ************************************

ウェブに記載されております中国レポートは、無断転載・コピー・無断借用、
自由です。(「成功ノウハウ」「ザ・レポート」を除く)

ご利用に関し、データー・人物・歴史・時代検証等につきましては、
ご自身で調査・判断・責任をお持ち下さい。

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 
寄稿転載記事集の目次に戻ります

みなさまからのご寄稿をお待ちしています!!
詳しくはこちらを覗いて下さいね〜。







SEO お金 無料レンタルサーバー ブログ SEO