中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
☆ 中小企業の中国進出(1) ―――――――――――― 2004/11/03

2004年9月、中小企業の技術振興に関る財団法人の要請により、「日本の
中小企業の中国進出」における「中国の経済状況と中国進出に際する留意点」
に関して情報交換を行いました。

要請に際しまして「事前の質問」があり、また小職の中国進出実体験に基づい
た所見を述べました。その懇談内容を「中国レポート」として連載致します。

<質問事項>

1−中国の現在の経済や社会の状況および今後の動向。

2−中国側からみて、日本企業(特に中小企業)に対するご意見。

3−日本の中小企業が今後中国に進出しようと思う場合の留意すべき点。

4−日本の中小企業が中国と商取引する場合の留意点。

5−その他、ご意見があればなんでも。

<質問に対する回答>

―――― 1.中国の現在の経済や社会の状況および今後の動向

1990年代後半より、中国は「世界の工場」として大きな注目を受けてきま
した。03年には、年間4万社以上の外資企業の進出があり(実行投資金額約
5兆円)「SARS」や「電力不足問題」にも拘らず、9%以上の経済成長を
果たしたことは「中国経済が揺ぎない成長軌道に乗っている証左であろう」と
思われます。

――2003年末までの

・世界中からの中国投資累計:
 46万5277件、  実行投資額5000億ドル(約55兆円)

・日本企業の中国進出累計:
 2万8385件(6%)、実行投資額416億ドル(4.6兆円=8.5%)

・03年の日本企業中国進出:
 3254件(8%)、  実行投資額 50億ドル(5500億円=9.4%)

携帯電話の普及台数は、04年9月には3億台を超えると予測されており、
インターネット人口約8千万人、04年の自動車の生産予測台数5百万台と、
現在の中国は「世界の工場」としてより、「世界の市場」としての視点で考察
する必要があるのではないでしょうか。

――2004年の携帯電話増加予測は、約6500万台(日本全市場の約80
%にも達する新市場が生まれている。)
自動車の市場は、10年後には日本と同じ規模に成長すると予測されている。

2008年には、「北京オリンピック」、2010年には「上海万国博覧会」
の実施が決定しおり、今後数年間の経済成長は疑いの余地はありません。
10年後には日本を抜き、アメリカに次ぐ「世界第2位の貿易国に発展する」
との予測もされております。

――03年の日本の輸出総額は約60兆円(前年比6.6%の増加、金額にし
て3.7兆円)
03年中国への輸出総額は、約6.5兆円(前年比43.6%の増加、金額に
して約2兆円)
輸出総額の増加分のうち、約54%は中国に対する輸出によって達成(依存)し
ている。

過去の、日本と中国の貿易の推移は、10年前の94年に2兆円を超え、99
年2.5兆円、04年は7兆円以上になるものと予測されます。この5年間の
伸び率は2.8倍にも達し、これは年平均23%の伸び率となります。

一事業家として判断するとすれば、(日本にとって)全売上の10%以上を占め
毎年20%以上の増加で取引ができる顧客(中国)は、超優良で最優先のサービ
スをしなければならない対象でしょう。

事業の観点から視れば、自社(日本)にとって大切な顧客の、社長(中国政府)の
趣味が「自分(日本企業)の価値観と合うか否か」、相手会社のスタッフ(中国
人)の「思想・信条はどうか」などと問う意味もないでしょう。
----意見、思想、信条が合わなくても、顧客の要望を優先するは当然である。

むしろ自分(日本)が、顧客の要望(中国)に添った対応をするのが、ビジネスの
原点ではないでしょうか。この点を日本社会も企業も理解していない(中国文
化を理解しようとしない)ことが大きな問題であると感じます。

―――― 2.中国側からみて、日本企業(特に中小企業)に対する意見

小職は、1981年(30歳)で独立をして、日本において15年以上中小企業
の代表として経営に携わり、日本における中小企業が抱える問題を身を持って
体験してきました。

現在は日本を離れ、中国で事業を行っておりますが、日本における中小企業の
課題は益々深刻化しており、火急の対策が必要と思われます。特に製造業を営
む企業は、後継者問題が最も大きな課題であり、日本特有の金融システムに縛
られており、後継者不在の状況で穏便に廃業が出来る企業は極めて少数である
と推察します。

廃業も譲渡も侭ならない経営者の心境は、「座して死を待つ」(時の流れにま
かせる)ような状況ではないでしょうか。中小企業の後継者不足は、事業経営
に「夢が持てない」ことが最大の原因であり、その最も大きな要因は日本特有
の金融システム(手形制度と経営者の無限個人保証)によることに、その大きな
要因があると思われます。

この金融システムは、中小企業経営者にとって事業経営をする喜びより、遥か
に過大なリスクを伴っていることを身をもって経験しており、その負担を「我
が子に背負わせる」ことに躊躇せざるを得ない環境ではないでしょうか。

製造業における企業の社会的責任は、世に送り出した製品にたいする責任であ
り、それは事業の存続に直結します。事業譲渡や中国進出など考えられるあら
ゆる手段によって事業を継続させることが、事業家として果たすべき義務であ
ろうと思います。

昨今の日本政府の中小企業に対する施策は、継続から創業へ、助成から育成へ
製造産業からサービス産業へと、大きな転換が図られております。今後、製造
業における中小企業の事業継続は益々困難な状況となるでしょう。

このような、経営資源も人材も資金も時間にも乏しい中小企業が、独自に中国
進出を計画にするには、極めて厳しい状況であると思われます。

中小企業の技術振興と育成に関る貴財団のような公的な機関において、「中国
の現状と中国進出の課題」を正確に把握し、その情報収集と発信を行い、中国
進出の支援を行うことが、最も必要とされているものと思います。

―――― 雑感

今夏、上海の電力不足対策として操業停止(強制的夏期休暇)を利用して、弊社
のスタッフ数十名と香港・マカオの社員旅行を行いました。

スタッフの殆どは、初めてパスポートを取得しての旅行で、振り返れば自分が
海外旅行を経験したのは20代の後半であり、むしろ小職より早い経験をして
いることになります。

旅行日程には、定番の仏教寺院参拝があり、スタッフは年代・性別を問わず、
信仰深く(一部の例外はあるが)、「香を掲げ、回廊を巡り」作法に添った彼等
の行いに接すると、「連綿と受け継がれている文化を見せ付けられる、思いを
しました。

そして、「何処かに大切なものを置き忘れて来た自分があり」「身の置き所の
ない」気持ちにさせられてしまいました。

昼は参拝の寺院で「魂を清め」、夜はナイトクルージングの船内においてレー
ザー光線とスモークの中で「魂の開放をさせる」、そのような彼等の行動に接
していると、「中国のエネルギーの源を視た」ような気がします。

このような環境に「我が身を置くことが出来る幸運」に、「素直に、何かに、
手を合わせて感謝したい」「些やかな、幸せな一時を、過ごすことができた」
旅行でした。

                        = この稿おわり =
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┃┃ この記事にお便りを頂きました。
┗━┛
┌──────────「気分は情報無限さん」

――中国レポート☆中小企業の中国進出(1)2004/11/03を読んで:

私は会社を経営した経験などないので、恐らく話の内容の半分も理解出来てい
ないだろうとは思いますが、それでも貴重な情報だと感じます。
やはり日本の中小企業は、社長さんが融資先に個人保証を入れるんですね。

それから、中国現地の仕事熱心なビジネスマン(ウーマンも含む)の価値観の一
端を垣間見させて頂いたような気がします。
日本の「侍」も信心深い人が多かったそうですが、平野さんの会社スタッフの
方も心意気は同じなのでしょうね。御世辞抜きで、鎌倉武士と将軍の「御恩」
と「奉公」の関係を感じてしまいました。

└──────────
 
┌──────────「平野信幸さんから」

私の記事を読んで頂きまして、ありがとうございます。

私は特定の宗教を持ってはおりませんが、日々の出来事に感謝の気持ちを持ち
続けることが、自分の心の平穏をもたらす良薬ではないかと思っております。

現状に満足せず、常に疑問を持つことが、自分を高めるエネルギーとなること
も経験してきたことではありますが・・・・・。

一昨日、スマトラ島で起きた地震によって津波が発生し、多くの方々が犠牲に
なられたようですが、大自然の力を見せつけられたような気がします。

その一方で、モルジブでは日本のODAによって作られた防波堤が、壊滅的な
危機から救ったようで、現状に問題意識を持って対策をすることが、重要であ
ることも知らされました。

これからも、過去の教訓に学び、現状を直視し、将来に備え、そして、感謝の
気持ちを忘れない、そのような生活を送りたいものです。

まだまだ、煩悩が多くて理想は遥か彼方に霞んでおりますが・・・・・。
ーー来年もよろしくお願いします。

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┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
↓
◆ご案内です。

1.11月16〜18日、磁性材料・小型モーター展示会に出展します。
  展示会場:上海光大会展中心

2.Walker China (9月号,41P)に弊社の記事が記載されました。
  http://www.shwalker.com/china/company/200409/index_02.html

3.News Week(日本版<上海特集>10月6号,61P)に、小職の記事が記載されま
  した。

4.通話料無料のIP電話事業(Hot-Line)を支援することになりました。

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   上海平野(瑞穂)磁気有限公司
       平野 信幸
  mail: shhirano2001@yahoo.co.jp
   HP  : http://www.shmagtec.net/
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