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中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
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☆ 中国進出の課題 4 ―――――――――――――― 2004/07/28
―――― 1.外資企業中国進出状況
中国当局によりますと、2004年5月末までに設立を認可された外資企業は
累計482,636社となり、累計の外資導入額は契約ベースで約1兆米ドル
実行ベースで約5,300億米ドル以上の進出があったと発表されました。
本年1〜5月に新たに設立認可された外資企業は、昨年度比14.4%増の1
万7,359社となっており、相変わらず右上がりで増加しているようです。
―――― 2.電力不足問題<上海電力事情>
上海では、この夏の電力不足対策として、休日振り替えと、夏期休暇(地域別
送電停止)が実施されます。弊社地域では、6月15日より9月18日まで、
木・金が停電のため休日となり、土・日を出勤日とするように通達がありまし
た。また、8月16日〜22日まで電力供給が停止され、強制的な夏期休暇と
なります。
また、7月12日〜9月18日の、8:15〜20:15まで、電力の供給制
限が実施されるようですが詳細は不明で、状況によりその規模・地域等が実施
されると思われます。この間、全停電の場合は前日、供給制限の場合は30分
前に通達があるようです。
ある日系企業では、供給制限に従わない場合は、即刻全ての電力供給を停止す
ると連絡があったようです。いづれにしても週1回、2日の停電が実施され、
瞬時停電も許されない設備(半導体製造装置、加熱炉、溶解炉、真空装置、情
報処理システム等)を導入している工場や事業所では、非常用電源の設置が必
須の状況となってきました。
電力供給制限及び供給停止(停電)は、地域別に実施されると考えられ、これに
よって電力不足対策を行い、大規模な停電の回避が図られるものとは思います
が不確定要素が多く、生産計画を立てられない状況となることは避けられませ
ん。
一部の企業では、自家発電機の導入を検討しているようですが、自家発電機の
導入にも障害が多く、燃料の確保も困難で、設置出来ないことを前提として、
対策を立てる必要があるものと思われます。
このような状況に際し、日本企業が組織として動けないのは、企業間で停電の
影響に温度差があり「生産・経済活動全体の問題として認識されない」ためで
あろうと推測されます。
電力不足問題は一企業の問題ではなく、また1、2年で解消する状況でもあり
ません。一刻も早く、産業界全体の問題として認識しなければ、大きな禍根を
残すことになるのではないかと懸念されます。
電力不足対策として、ピークと夜間時間の電力料金の格差を広げる(3.6対
1 から 4.5対1 にする)方針も発表されましたが、これは時間帯電力
システムの運用が普及していない為に、単なるパフォーマンスになっており、
電力不足問題の解消には殆ど寄与しないと推測されます。
また、中国企業1700社を、環境対策を名目にして強制的に昼間(8:00
〜22:00)電力の送電が停止されます。(実質的な上海市内での操業停止)
合弁企業の相手や、取引先がその対象企業となった場合、自社に電力が供給さ
れても、大きな支障がでることは避けられない状況となります。
合弁の相手企業がその対象となり、相手企業の敷地内で事業を行っていたため
に、事業継続が困難になっている日系企業もあるようです。
今回の対策で300万〜400万Kwのピーク電力削減が行われ、危機的な状況
は回避されるものと期待できますが、当局は、上海における電力不足は大きな
問題ではなく、あくまでも安全対策としての政策方針であると、その実態を認
めておりません。
全需用電力の25%以上に及ぶ供給力不足を、大きな問題と認識しないのは、
過去の電力不足に慣れており、電力は常にあることを前提とした、日本の経済
システムとは大きなギャップがあることを認識する必要があります。(対策が
採られない場合は600万Kw以上の不足があると推測される。)
電力不足の問題は、経済開発区の誘致担当者や、進出コンサルタント(日系で
あっても)においては、重大な課題として認識されておらず、進出計画にさい
しては、彼等の意見ではなく自らの情報収集によって自社の事業に対する影響
を充分に検証する必要があります。
今回の電力供給制限の実施に際し、またしても、「個別相談に応じる」との、
一貫性の無い厄介な方針が採られ、過去の風習が復活し始めております。(こ
れを利用しようとする日本企業があることが問題で、対策推進の障害や、解決
を遅らせる要因になっている。)
―――― 3.開発区抑制政策
昨年から中央政府が進めている開発区の整理・統合、違法開発区の摘発によっ
て、農地転用手続きが制限され、開発区で工場の着工を延期するケースが発生
しています。
これは、昨年摘発された大型開発(鉄鋼工場建設)に絡む不正問題と「景気過熱
対策」のための、政策であると思われます。
今後の中国進出に際しては、中国進出コンサルタントに大きな依存をせず、自
らが現地に赴いて、現地の状況などの情報収集することが肝要です。
中国新聞社の発表によれば、中国全土にわたる3,763の開発区を廃止し、
1,600kuの土地を回収、そのうち1,100kuを耕地に戻したと伝え
ております。(2003年の中国全土における違法な土地開発行為は17万8
千件に上り、そのうち12万8千件が立件され、その総面積は約68,000
kuに及び、中国全土の開発区は、現時点で計画面積35,400kuに達し
ている。)
―――― 4.人材不足の課題
上海地区だけでも、年間数百社の中国進出があり、これらの企業が必要とする
人材は1000人以上にも及びます。この市場に応えられる人材は「毎年生み
出されているか?」ーーこの答は極めて悲観的といわざるを得ない状況です。
昨年来上海には、多くの人材紹介会社が設立されていますが、人材会社に過大
な期待をして人材の確保を計画しても希望する人材を確保するのは極めて困難
であると思われます。日本においても勿論ですが、中国においては尚更に優秀
な人材確保の有無が事業成功の大きな鍵となります。
弊社に来社される企業の多くは、日本で中国人を採用し、実質的な中国担当責
任者として計画している企業もありますが、この担当者の資質にも大きな留意
が必要です。
<日本で採用した中国人への誤認>
1−優秀な通訳が、優秀な管理者か?
通訳としての能力は、管理能力とは別であると認識しなければならない。
2−中国人が中国事情に精通しているか?
変化の激しい中国では、数年中国を離れていれば、「浦島太郎」になって
いる。
また中国は、地域によって、言葉・文化・習慣が異なり、出身地以外では
通用しない場合もある。
3−日本本社採用が良いか?
日本と中国では、所得格差が10倍以上あり、本社採用とした場合、現地
スタッフとの格差が大きく、現地採用のスタッフと上手くやっていけない
場合も多い。
4−過度の信頼をしていないか?
中国事業の責任者に任命した場合、日本の事業所で「白紙委任状と実印、
小切手を預けるに等しい」。それに相応しい人物か、否かを充分に証左す
る必要がある。
―――― 5.独資による中国進出
日本における中国進出セミナーでは、相も変わらず、「独資!独資!」と言わ
れていると聞いています。「独資であれ、合弁であれ」中国での事業の管理・
運営は現地スタッフに依存しなければなりません。合弁と独資の違いは「管理
する人(組織)が出資しているか、否か」の、違いであり、出資していれば管理
(=事業)に真剣になるのは明白ではないでしょうか。
中国事業の経験が乏しい企業において、経営権(事業決定権)を優先させ、日本
企業の管理体制で臨む計画であっても、その実行は現地スタッフに任せる以外
方法がなければ「独資進出の意味は全くない」(目的達成は困難)と思います。
中国の電力事情や進出開発区、人材等、中国における進出の課題は全てが流動
的であり、現地の情報に常に接している者でなければ「判断は不可能である」
といえます。
企業・組織の大小を問わず、事業経営者自らが現地視察・情報収集を行い、現
地情報に精通し、経験を積んだ者との情報交換において事業推進の可否を決定
することが、日本企業の中国進出を成功させる最も重要なポイントです。
―――― 雑感、上海電力事情
上海市の7月10日の最高気温は35度を上回り、同日夜は上海の観光名所で
ある外灘(バンド)のライトアップが停止されました。さらに、浦東地区に建つ
テレビ塔の東方明珠塔でも、節電照明のみを点灯させるなど節電措置を講じら
れ、市街地においても、徐家匯、淮海路、虹橋開発区などの照明も停止したよ
うです。
これは同市政府が、今夏ピーク時の電力不足を回避するための節電対策の一環
として実施したもので、同政策の施行が決定して以来、ライトアップ停止が行
なわれたのは今回が初めての措置です。(昼間の最高気温が、35度を超える
と実施される。)
電力消費量が中国でも最も高い華東地区(上海市、江蘇省、浙江省、福建省、
安徽省)における今年の電力不足は、約2,000万kw(原子力発電20基
相当)以上と予測されており、これもあらゆる対策が行われた結果の数値であ
り、対策が施行されない場合の発電能力不足量は予測不可能です。
問題なのは、当局がこのことを重大な懸案としての認識が薄いことであり、2
〜3年後には電力不足は解消すると表明していることです。(その裏付は示さ
れていない。)そして、そのことが、開発区の企業誘致担当者や中国進出コン
サルタントの、中国電力事情説明における根拠とされていることです。
筆者のところに相談に訪れた日系企業においては、中国進出(上海地区)が決定
し、工場建設のために3億円を投資したあとで電力不足問題に直面し、計画の
見直しを迫られておりました。(停電が重大な影響を受ける事業)
該当企業の中国進出をサポートしたのは、大手日系のコンサルタント会社であ
り、その他にも正確な情報提供を行っていない(意図的に隠している)事例が数
多く知られており、中国進出のコンサル事業の信頼性を損なう結果になるので
はないかと懸念されます。
= この稿おわり =
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┃ ┃ この記事にお便りを頂きました。
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┌──────────「十八子松戸さん」
平野信幸様、こんにちは、十八子松戸です。
<日本で採用した中国人への誤認>についてニ、三言を言いたくなりました。
1−優秀な通訳が、優秀な管理者か?
通訳としての能力は、管理能力とは別であると認識しなければならない。
△△ これは採用の目的によるものです。
一般技能社員通訳としてか、企業柱石社員管理者としてか、或は両方としてか
の問題です。
2−中国人が中国事情に精通しているか?
変化の激しい中国では、数年中国を離れていれば、「浦島太郎」になって
いる。また中国は、地域によって、言葉・文化・習慣が異なり、出身地以
外では通用しない場合もある。
△△ まず「精通」という基準は何ですかの判断です。
次、「数年中国を離れていれば「浦島太郎」になっている」は、「浦島太郎」
がどんな人物か私にはわかりませんが、多分、物語の中にある、故郷のことが
すっかり忘れた人物かと推測しています。
いくら、中国が激しく変化しても「数年」という単位は余りにも大げさ、当人
はこの「数年」に中国情報が全然入っていない無人島にいるわけではありませ
んから「十数年」ぐらいでも、中国のことが分からなくなることもないでしょ
う。「数十年」でも人によります。
最後、「言葉・文化・習慣が異なり、出身地以外では通用しない場合もある」
これも言い過ぎです。中国では90%以上は漢民族です。少数民族は兎も角、
南方、北方、東部、中部、西部の言葉・文化・習慣が多少ぐらい異なりがあっ
ても、基本的な発想法は一緒です。山の奥に隠居している原始人に近い生活を
している人人は別として、通用しない程の場合はないでしょう。
問題は、通用しないの程度は何ですか。多くのは言葉・文化・習慣が異なるこ
とによるのではなく、個人の性格によるものではありませんか?これはあり得
ることです。
日本でも、大和、沖縄、アイヌ族がありますね。どうでしょう、同じ民族同士
の間でも、通用できないほどの言葉・文化・習慣の相異がありますか。
3−日本本社採用が良いか?
日本と中国では、所得格差が10倍以上あり、本社採用とした場合、現地
スタッフとの格差が大きく、現地採用のスタッフと上手くやっていけない
場合も多い。
△△ ただ「所得格差が10倍以上あり」というなら、日本文化への馴染みの
差も100倍以上あるかもと言わないと。
日本本社採用と現地採用とがうまくやっていけるかどうかは、会社自身のバラ
ンス調整の問題です。単純に所得格差だとは言えません。
もう一方、日本本社採用された人間が日本に残るなら、ちゃんと日本的な所得
できるから、それを捨てて、10分の1の給料の中国に行かないでしょう。
私の耳に入った一番悪い例は、中国を行かせるために、最初日本的な給料で、
現地採用の社員に教える任務が終わった時点から、「所得格差」という理由で
日本的な給料から現地的な給料に下げろと言われるのです。
この場合は、日本に戻るビザ申請書類発行権限が会社にありますから。また、
いやなら、やめても良いよと----どっちみち会社は、すでに現地採用の人材が
「お蔭様で」一人前になっているので----泣き寝入りしかできません。
ーーこんな汚い日本企業も決して稀ではありません。
4−過度の信頼をしていないか?
中国事業の責任者に任命した場合、日本の事業所で「白紙委任状と実印、
小切手を預けるに等しい」。それに相応しい人物か、否かを充分に証左す
る必要がある。
△△ この点が、日本企業が中国で上手くできない根本的なところです。
「いいえ、我々は中国でちゃんと生き残るよ、ちゃんと儲かっているよ」とい
う日本会社がいるかもしれませんが、しかし、よく見てよ。貴方の成功は貴方
と同じく中国に進出してきた他国企業より倍、100倍の努力から得たもので
すよ。
もし「疑心暗鬼」ではなく、他国企業(特に欧米)と同じような考えで中国事業
の責任者に中国人を安心して任命すれば、+、+、+、+、+、+貴方の他国
企業(特に欧米系)より100倍の努力で、もうこの効果は今のこのぐらいだけ
ではないでしょう。
よく比較してみると、日本人の会話の中には「仕事」という言葉が出てこない
日がありますか?本当に他国より「苦労」な人生を送っていますよ。もし心を
ちょっと広げれば、このような「苦労」が中国人に分散、分担させて、もっと
効果的になるかもしれません。
世の中、悪い人間は少数で、中国人でも日本人でも関係無く、同じ、現われる
のです。日本企業は外国人が「主任まで」。或いはたかだか「課長」、珍しい
「部長」、何かの原因あるからの「取締役」という流行語を聞いたことがあり
ますか。
欧米の中国進出企業は、本社採用だけではなく、現地採用の中国人にも「総経
理」を任命し、「白紙委任状と実印、小切手を預ける」ということは平気でし
ているのですよ。本国でも珍しくありません。
よって、これらの企業が中国人に取られてしまうとか、汚職とかのことが氾濫
するほど発生したとかの話は、まだ私の耳に入っていないです。
なぜ平野様がそんなに心配するのか、いいえ、日本企業を心配させるのかは、
私には理解できません。ーー日本企業も子供ではあるまいし。
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┌──────────「平野信幸さんから」
「十八子松戸」様、お便りありがとうございます。
私の「中国レポート」は、「薬の処方箋」のようなもので、日本企業に対する
留意を促しているに過ぎず、断定している訳ではありません。
薬の飲用は、体調や体質によってその効果が異なり(時と場合には毒にもなる)
注意が必要という程度のものです。(内容は全て私の実体験に基いた事実)
私自身の事業においては、現地スタッフに全ての権限を委譲し、その責任者は
「上海の事業家の中でも、数%の成功者の一人」と、自負しています。
参考資料:エコノミストインタビュー記事
ご指摘のように日本企業にも様々な問題があると思いますが、それは「十八子
松戸」様が、ご自身で問題提起をされたほうがよいと思います。
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┌──────────「十八子松戸さん」――――――――― 2004/08/11
第435号「中国進出の課題4」記事中[日本で採用した中国人への誤認]に。
平野信幸様、こんにちは。十八子松戸です。
ご返事、ありがとうございました。
「私自身の事業においては、現地スタッフに全ての権限を委譲し、その責任者
は
> 「上海の事業家の中でも、数%の成功者の一人」と、自負しています。
> 参考資料:エコノミストインタビュー記事 ▽▽
> http://www.chinawork.co.jp/e-hirano/hirano-10.htm」
早速読ませて頂きました。感動しました。これを保存しておきました。
中国語には「伯楽識馬」という言葉がありますが、平野様が呂様との関係も正
にこの言葉に相応しいですね。しかし、
平野様の処方箋と、実際行われていたことと矛盾があるようですね。
――所謂「言動不一致」ですね。(笑)
ですから、
この成功ノウハウを大いにご宣伝ください。中国進出・ビジネスに興味を持っ
ている日本企業への促進薬剤になるかもしれません。これは、如何なる体質、
体調にとっても、少なくとも「毒」は無いでしょうと私は思います。
よく日本人に悪口をしている私ですが、その中で最も多く使う言葉は「オープ
ンしなさい」です。今後も引き続き、率直に自分なりの考えを発表します。
ご理解、お願いします。
貴社の本社は練馬区ですか?
私は、南練馬の上石神井に2年間住んだ事があります。何か懐かしい感じ。
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上海平野(瑞穂)磁気有限公司
平野 信幸
mail: shhirano2001@yahoo.co.jp
HP : http://www.shmagtec.net/
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
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