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中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
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☆ 中国視察懇談:4.質問に対する所見(2) ―――― 2004/06/14
2004年3月、地域振興に関るシンクタンクと日本国政府機関の方々による
「中国進出企業の実態と、今後の日本企業の中国進出」に関して、現地調査の
ご来訪を受けました。
ご来訪に際しまして「事前の質問」があり、また小職の中国進出実体験として
の「中国レポート」を資料として提出しました。
ご来訪関係者のご理解を得まして、資料及び懇談内容(小職の回答)を、5回に
亘り「中国レポート」として連載します。
―――― 日本政府への提言
「日本政府に対し、現在の活動や今後何をすべきかの御提案がありましたら、
お願いします。」
という質問に対し、日頃、一事業家として感じている事を回答させて頂きまし
た。▽▽
「自由主義経済の中にあって、政府(国)は何をすべきか」率直な個人的な意見
としては、「何もすべきではない」と思います。ただし、自由経済といえども
全てが自由化されているのではなく、自由な経済活動が、多くの規制や慣習・
制度によって阻害されており、その障害を取り除く政策を希望します。
また、戦後のケインズ主義(集産主義)による世界経済の復興から、ハイレク・
フリードマン理論=市場経済理論)へ移行(日本は移行過程)し、昨今の世界的
デフレ経済の発生によって、先の理論も最善ではなくなった感があります。
国家として、市場経済主義の次に目指すべき指針を示して欲しいと思います。
―――― 自由な経済活動が阻害されている要因の排除
自由主義の経済が発展を促した最大の要因は、「努力した者が報いられる原則
があり、それが実現されていた」ためだと思います。昨今この原則が脅かされ
ており、その要因を速やかに排除する必要があります。
―― 1.日本における手形決済制度
古より日本では互いの信頼関係に基いた信用取引が一般に行われてきました。
この商習慣は全面的な相互信頼を前提としており、日本が世界に誇れる文化で
あるともいえます。それが企業間取引の手形決済制度に発展し、戦後自己資本
の少ない企業にとって、その経済活動を助ける有益なシステムとして機能して
きたことも事実です。
しかし、経済のグローバル化の中で、この商習慣は海外企業との取引において
大きな弊害を生む結果となっています。習慣や文化の違う海外との取引におい
ては、「暗黙の了解」は通用しません。これが、互いの認識の乖離を生み、信
頼関係の構築を困難にしている要因となっています。
(騙す意識がなくても、相手は騙されたと誤解する)
また、日本国内の取引においても、取引先倒産による手形の不渡りは、理不尽
にも「努力した者」から、その正当な報酬を奪っています。企業倒産の引き金
は、殆どの場合自社の振り出した手形が決済出来ない場合に発生します。もし
手形の振り出しを行わなければ、企業倒産は減少し、倒産が回避出来ない場合
でも、その負債は大幅に縮小されるでしょう。
企業倒産時において、年間売り上げに相当する負債が発生するのは極めて異常
なことであり、この手形発行が大きな要因になっております。手形の発行・流
通をなくし、現金決済を原則とすれば、負債が激減して、経営上全く問題のな
い企業が連鎖で倒産するような事態も回避出来ると思います。
日本国内の中小企業にとって、受取手形の現金化(割引)は、経理上も銀行との
科目勘定上も短期借入となり、金融が縮小している現在では手形が担保にはな
らず、自由に現金化出来ません。本来、潤滑油的な役割を果たすはずの信用取
引の手形制度が、現在は全く逆の作用をしているのではないでしょうか。
手形決済制度の廃止は、川上の上場企業より段階的にその発行を禁止すれば、
2〜3年で実現が可能と思います。経済的に豊かになった現在では、その役割
を終えたのではないでしょうか。現金の流通が増えれば、経済の活性化も期待
できるでしょう。
―― 2.助成(補助)金制度
創業や研究・開発などの助成金制度を廃止すべきです。助成金は認可される会
社と、されない会社で自由競争の不公平を生みます。該当の予算を、助成では
なく、借り入れ債務の保証や利息の補充に充当されれば、同じ資金量で50倍
以上の企業が利用できでるしょう。
現在、国の機関や地方自治体から多くの助成金制度が制定されておりますが、
その制度上、単年度決済が原則となっており、また助成資金が企業に支給され
るのは年度末となっています。従って研究開発に必要な資金は、企業が一時的
に立替なければならず、資金的に余裕のある企業でなければ利用出来ない仕組
みになっております。
本来、研究開発資金が必要な企業を支援するのが目的の助成金制度は、その目
的を果たすようなシステムとはなっておりません。
―― 3.企業救済
産業再生機構の名のもとに、自由競争の中で敗れた企業の救済はやめるべきで
す。地方経済や市民生活に影響が甚大な産業(交通・インフラ等)は特別な対策
が必要ですが、単なる企業救済は経営者の責任が追及されません。
安易な企業の救済が実行されれば、経営者のモラルは著しく低下します。債務
免除等によって企業の復活が可能であったとしても、同業種で企業努力を重ね
て経営をしている企業との不公平な競争が生まれ、努力した者が報いられなく
なります。
―― 4.企業防衛特許
企業が自社の事業防衛のために出願し、利用していない(する意思のない)特許
を、一定の条件のもとにその権利を制限すべきです。これは、他者の参入を妨
害するための手段であって、公共の利益に著しく反する行為です。
特許申請から5年以上が経過し、開発利用の意図のない特許は強制的に公開し
て、他の企業が特許に束縛されず参入できるようにし、その際に該当特許に、
参入事業者が一定の供託金を支払うような制度を制定するべきと思います。
本来、特許制度とは、「科学技術の進展を促すために、その研究開発者に対し
て一定の保護を与える制度」であるべきです。この制度が、単なる企業防衛や
他者の参入妨害に悪用されるとしたら、科学技術の発展を損ねるもので、本末
転倒といえるでしょう。
―― 5.膨大な資金を投入しての外国為替介入
現在の為替取引は、実態取引とはいえない状況であり、本来必要とされる外貨
の10倍以上のヘッジファンド取引によって乱高下しています。この取引こそ
国際的なルールを作って規制すべきです。昨年より日銀は、円高対策のために
貿易黒字を上回る資金を導入しています。単純な分析で解決できる問題ではあ
りませんが、本来であれば、貿易収支に見合う額の投入によって、解決される
べきであろうと思います。
03年度の日本の貿易収支は、約16兆円の黒字と発表されております。
輸出の内訳では、電気機器13兆円、一般機械11兆円、自動車9兆円。
この3分野で総額33兆円と、全輸出総額の約60%を占めています。
これらの輸出企業の、投資を含めた外貨収支の内訳は知る由もありませんが、
大幅な黒字を計上している企業に対して、一定の収支バランスを取らせるべき
ではないでしょうか。(中国の貿易黒字は外資の輸出が大きく貢献しており、
日系企業による中国からの輸出は、結果的に日本の貿易黒字の縮小を中国名義
を借りて行っている迂回貿易に過ぎない)
日銀の為替介入による結果収支は、現時点で判断不可能ですが、仮に赤字を計
上した場合、それは国民の税金によって該当の企業を間接的に救済している事
になります。これは80年代、世界的には終焉したはずのケインズ主義が、形
を変えたものに他なりません。
―― 6.世界への貢献(金融資産の還流)
経済発展を国民の総意として突き進み、貿易黒字によって生活を豊かにしてき
た時代が終わったことを、政府も国民も自覚するべき時に来ているのではない
かと思います。日本の円高の根本的要因は、黒字で稼いだ資産を企業や国民が
日本国内に備蓄していることにあります。
個人が持つ金融資産を、積極的に海外投資が行えるような環境を作り、それが
実行されなければ、今後も円高の進行は止められないと推測されます。
03年の日本の経済成長は、中国への好調な輸出に支えられて実現したものと
いわれています。中国経済の発展は、日本にとって極めて重要なパートナーに
なっています。その中国では、急速な経済発展のために社会的歪みが生じてお
り、その解決のための投入資金が不足しています。
電力インフラの整備や高速鉄道の建設、北京オリンピック、上海万博等々明確
な事業について、政府ODAではなく、PFIのような仕組みで中国を支援し
日本の金融資産を活用することは、有意義な事業であると思います。
中国だけではなく、世界各国において、日本の資金をプロジェクトファイナン
スで支援すれば、これは戦後、日本がアメリカの支援を受けて奇跡的復興をし
たことに対するお返しとなるでしょう。
これが理解され、実現出来るような、環境を作る必要があります。
17〜19世紀において、地球規模で活動した国(イギリス・フランス・スペ
イン・オランダ・ポルトガル等々)の中で、英国が現在も世界に発言力や影響
力を持っているのは、(当初の目的が何であれ)世界中に投資をしてきた結果で
あると思います。
20世紀後半において経済力を持った日本が、現在の資産を世界に還流し、世
界の人々に観える形で貢献しなければ、将来日本は二流国家に没落するのでは
ないでしょうか。
日本では、不労所得に対して社会的な認知が低く(罪悪感さえある)、金融資産
を持つ者がその運用によって得た所得を、労働や事業によって得た所得と同じ
ように評価される社会環境を整える必要があるのではないでしょうか。
それが成熟した日本社会の証であると思います。
―――― 雑感 中国電力事情
いよいよ、中国電力事情は緊急事態になってきたようです。先月末、上海にお
きまして「電力セミナー」が開催され、その席上、上海当局からの発表があり
ました。
この夏の電力不足対策として、休日振り替えと、夏期休暇(地域別送電停止)が
実施されます。弊社地域では、6月15日より9月18日まで、木・金が停電
のため休日となり、土・日を出勤日とするように通達がありました。
また、8月16日〜22日まで夏期休暇となります。
この日程は、地域別に実施されると考えられ、これによって電力不足対策を行
い、大規模な停電の回避は図られるものと思います。
また、中国企業1700社を強制的に上海市内での操業を禁止させるようです
が、その内容は不明で、合弁企業の相手や取引先がその対象企業となった場合
自社に電力が供給されても、大きな支障がでることは避けられない状況となり
ます。
自家発電機の導入にも障害が多く、殆ど不可能として対策を立てる必要がある
と思われます。このような状況に際し、日本企業が組織として動けないのは、
企業間で停電の影響に温度差があり「生産・経済活動全体の問題として認識さ
れない」ためであろうと推測されます。
電力不足問題は、一企業の問題ではなく、また1、2年で解消する状況でもあ
りません。一刻も早く、産業界が全体の問題として認識しなければ大きな禍根
を残すことになるのではないかと懸念されます。
= この稿つづく =
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┃ ┃ この記事にお便りを頂きました。
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┌──────────「H。K。さん」
――「中国レポート4.中国視察懇談:雑感 中国電力事情」を読んで
電力不足が1-2年で解消されないワケは何ですか?
使用量がますます増えてきたためですか?
それとも、電力供給の建設工事が進まないためですか?
火力発電なら、いまのところ石炭の採掘や供給はいけてますね!?
ーーインフラに関心がありますので、、、、。
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┌──────────「平野信幸さんから」
昨年末の、中国国内の総発電設備容量は、3億8450万Kwで、電力消費量は
19000億Kw.hと、発表されております。
本年1−4月期の電力消費の伸びは、16.5%で、単純計算でも6300万
KWの発電設備の増強が必要です。(夏季には、更に伸びる可能性が高い)
昨年の不足分、約2000万KWを合計すると、約8000万KWの発電所を新た
に稼動させなければ、受給の均衡は取れないことになります。
今年、稼動が予定されている新規の発電所は、約5000万KWといわれていま
す。昨年からの電力不足で設置計画が見直されていますが、発電所の建設には
3〜5年間(火力)の時間が必要です。
中国の発電所は、8割が石炭火力で、石炭不足も問題となっており、これが、
近々に電力不足が解消されない主な要因です。
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上海平野(瑞穂)磁気有限公司
平野 信幸
mail: shhirano2001@yahoo.co.jp
HP : http://www.shmagtec.net/
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