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中国レポート ―――――――――― by 平野信幸さん
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☆ 中国視察懇談:1.日本企業の中国進出 ――――― 2004/04/18
2004年3月、地域振興に関るシンクタンクと日本国政府機関の方々による
「中国進出企業の実態と、今後の日本企業の中国進出」に関して、現地調査の
ご来訪を受けました。
ご来訪に際しまして「事前の質問」があり、また小職の中国進出実体験として
の「中国レポート」を資料として提出しました。
ご来訪関係者のご理解を得、5回に亘り「中国レポート」として連載します。
―― T.中国経済の現状と将来
1990年代後半より、中国は「世界の工場」として大きな注目を受けてきま
した。03年には年間4万社以上の外資企業の進出があり(実行投資金額約5
兆円)「SARS」や「電力不足問題」にもかかわらず、9%以上の経済成長
を果たしたことは「中国経済が揺ぎない成長軌道に乗っている証左であろう」
と思われます。
携帯電話の普及台数は2億5千万台を超え、インターネット人口約8千万人、
04年の自動車の生産予測台数5百万台と、現在の中国は「世界の工場」とし
てより「世界の市場」としての視点で考察する必要があるのではないでしょう
か。
2008年には「北京オリンピック」、2010年には「上海万国博覧会」の
実施が決定しおり、今後数年間の経済成長は疑いの余地はありません。10年
後には日本を抜いて、アメリカに次ぐ「世界第2位の貿易国に発展する」との
予測もされております。
―― U.中国進出の課題
「市場としての中国」に期待して中国に進出を行い事業を軌道に乗せるには、
踏襲しなければならない路があり、「成功への原理原則がある」と感じており
ます。このことに留意せずに安易な進出を実行すると、結果を得る事なく撤退
を余儀なくされることになりかねません。
中国進出に際して最も重要なことは、下記の3項目と思います。
1)進出の目的を明確にし、初志を忘れないこと。
2)情報収集を怠らず、目的が達成出来ない懸念がある場合は速やかに中止す
ること。
3)事業推進に相応しい人材を人選すること。
グローバル化した世界経済において、「好きか嫌いか、良いか悪いか」は別に
して、多くの取引先が進出し拡大成長を続けている中国の現状と将来を分析し
検討することは、避けてはならない「経営者の責任と、義務ではないか」と思
います。
僅かながら光が見えてきた日本の経済情勢ではありますが、将来の展望に楽観
出来る状況にはまだ程遠い現状ではないでしょうか。毎日のように報道される
中国の将来に期待し、これから中国進出を検討する日本の中小企業におきまし
ては、「出たくてもその手懸りもなく、出るに出られない」というのが、中小
企業経営者の偽らざる本音ではないでしょうか。
このような現状において、社会情勢の勢いに乗り社運を賭けて中国進出を決行
する企業にとって、中国は「魔界に等しい」といえます。進出後、予想もしな
かった難問によって一度狂いだした歯車は、法制や習慣の違いによって相乗的
な渦となり、経営者を引きずり込み飲み込んでしまうでしょう。
その要因の殆どは、「曖昧な目的と事業遂行に関る情報収集不足」によるもの
であります。
事業基盤が脆弱な中小企業にとって、中国進出の失敗は本体の事業存続を左右
する問題ともなり兼ねません。中国進出への決断は、過剰と思うほどの情報の
収集を行い、明確な目的達成のために実現可能な計画を立案し、様々なリスク
を勘案して目的達成に相応しい人材を投入して決断することが肝要です。
情報収集に際しては必ず複数のルートから行うことが「絶対条件とすること」
が必要です。日本人は一般的に良くも悪くも「お人好し」が多く、最初に接触
したルート(=紹介者・コンサルタント等)を過度に信頼する傾向にあります。
内緒で別の人から情報収集を行うと「裏切り行為」をしているような「うしろ
めたさ」を感じるためです。
一般論ですが、中国人や中国通の日本人は、都合の悪い情報は遭えて出したり
しません。
―― V.中国進出の目的
企業の中国進出の目的は、「事業利益を上げること」
目標とする事業利益の大きさは、投資規模や市場の大きさによって異なるとは
思いますが、「利益を出すこと」が中国に進出する企業の共通した究極で不変
の目的であるはずだと思います。
ところが、中国進出企業の実態は「事業利益を上げる為の手段であるべき中国
進出」が、いつの間にか「中国進出が第一の目的」となり、「利益の追求は二
の次」になり、又は「忘れられてしまう」事例が少なくありません。
これは、企業の代表者や組織の体裁・面子が、進出計画の過程においてその優
先順位が入れ替わってしまうからです。これが中国進出における「事業経営を
困難にする」最も大きな要因となっております。
これは、度々中国進出失敗の要因にされる、「中国の習慣や制度の違い」とは
全く別次元のもので、制度云々の問題は、進出失敗の要因の後付としてその言
い訳にされていると感じます。
最初の計画が実行出来ない懸念が生じても、「社内でも社外でも引っ込みがつ
かない」と、組織や代表者が感じた時から「中国進出の失敗は始まっている」
と思います。
中国事業失敗の主たる要因は、「事業経営者自身の意識の中にある」と言えま
す。
―― W.中国進出計画における問題
弊社には、過去数百社の日本企業が来社され、中国進出に関して多くの懸念や
不安など聞かせて頂く機会がありました。各企業進出に関しての懸念・不安の
払拭、個々の企業の実情に応じた中国での問題を、微力ながら助言することも
ありました。
そして率直な意見として、進出を断念するように勧める企業が殆どでした。
それらの企業は、中国進出に関して幾つかの共通した問題を抱えております。
<中国進出計画における問題>
1)自分の情報収集によって判断をしておらず、不正確である。(情報が古い)
2)情報源の中国人、中国通の日本人を過度に信頼している。
3)進出の目的が明確でなく、利益を出すための計画性が見えない。
4)中国に対する不安や不満が多い。(出ない、出たくない理由を探している)
5)企業のトップが中国を視察せずに、進出を決断しようとしている。
6)事業推進に際し、社内に適材の人材がいない。
7)事業展開に際し、現地調達が検討されていない。
―― 雑感
中国で長く生活をしていると、中国の習慣(日本では馴染まない)に、知らず知
らずの間に染まってしまっていることを日本に帰国すると気付きます。
「車がいないのに赤信号で待っている」、「電車での携帯電話利用」、「待ち
合わせの約束時間」等々。
中国は「自己責任の世界」で、現地調査において「知りえなかったこと」は、
「聞かなかった側の問題」とされます。後になって「何故、教えてくれなかっ
た」と言ってみても通用しないと心得るべきです。
情報収集の相手が「日本人であっても、日本通の中国人であっても」同じこと
で、中国通であればあるほどに「中国の文化や習慣に馴染んでいる人」である
ことに留意する必要があります。
中国で生活をする者として中国通の日本人(=私もその一人)の弁護(自己弁護)
をさせて頂きますならば、こちらの習慣に染まらなければ中国で生活を続ける
のは難しい(=ストレスが多い)からです。
環境に順応し、無意識の中で中国の習慣を優先させてしまい、日本企業がどの
様に理解し解釈するかに思いが届かなくなることもあろうと思います。
その一方で、ビジネスをドライに割り切る術も持っていると思います。
そのように理解して頂き、相手に余分な配慮をせずに中国における情報収集に
おいては、その情報の裏づけを取るために全く別の情報源によって確認するこ
とが肝要です。
また中国の情報は、常に最新のもので、新鮮であることが重要です。
= この稿つづく =
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上海平野(瑞穂)磁気有限公司
平野 信幸
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