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┃ 時事事象私見: ――――――――――――― by gosakuさん
☆ 反日中国の淵源考察(1)−千代田さんのお便りに ― 2005/04/22

┌──────────「千代田さん」

―― gosaku様、はじめまして。

自分は日中友好のNPOで理事をしているものです。
友好を目指してはいますが、自分は愛国者でもあります。

近日のニュースを見ていると、頭が痛くなります。なんで戦争を知らないはず
の若者達が「日本は歴史と向き合ってない」とか「自分たちのしたことを忘れ
るな」とかいえるのだろうかと思うんです。

友好を目指した活動の中で、勿論中国という国が、日本という仮想敵国をもた
ないと国が崩壊するからだとか、経済的格差の怒りの矛先にちょうどいい相手
が日本だからとかは分かるんですけど、、、見ていて悲しくなります、、、。

ーーまた、いろいろな情報を教えて下さい。

└──────────

中国各地で起っている反日活動の主流を占めているのは20代後半から30代
前半の人たちのようです。――89年、江沢民が総書記に就任し、その後92
年に軍事委員会主席に就任した頃から、愛国運動と称する「反日運動」が盛ん
になります。
政治基盤がしっかりしていた小平政権には全く見られなかった政策です。

共産党の一党独裁による弊害が顕著になり、政府幹部の汚職の蔓延、ジニ係数
の増加などにより、低所得の農民、民工と呼ばれる出稼ぎ労働者の不満は爆発
寸前になり、地方でも農民の暴動が頻発していました。

権力基盤の脆弱な政権が、政治的求心力を高める為、とかく採用しがちな政策
です。小学校に入学以来、一貫した反日歴史教育で大学を終えた15年間で、
彼らは筋金入りの反日運動家になっています。

胡政権が、対日関係打開の方法をなかなか見出し得ないでいるのは、江沢民前
政権の反日政策がグラスルートの中国人を巻き込んで「大成功」を収めた帰結
です。―――政権が交代し、日中関係修復を願っていたのに、これでまたその
展望は全く絶望的です。

江沢民は「歴史を鑑として、未来を開く」と繰り返し表現して「歴史」を使い
日本を攻撃してきました。なにかというと「歴史」を持ち出し、日本側を他の
安全保障や領土問題、資源の案件、貿易や投資での案件で守勢に立たせてきま
した。
日本側は、歴史とはなんの関係もない中国側による主権侵犯行為に対しても、
「歴史への態度が悪い」などと糾弾され、肝心の正当な抗議の矛先を鈍らせて
きました。その意味では、中国が日本に向かって論じる「歴史」とは、外交上
の武器たる「歴史カード」以外のなにものでもないのです。

では、中国側が鑑とする「歴史」とは何なのか?

中国側が正しいと定義づける「歴史」、あるいは「歴史認識」とはどんな実体
を指すのか....中国のこれらの指針を知らなければ、日本側も正しい歴史認識
を持ちようがありません。
だが、
中国の学校教育や共産党教育で見る「歴史」は、実に偏向し、不正確で歪んで
います。僕の調べた範囲では、中国首脳部が尊大にご託宣の如く説く歴史は、
客観的にも国際的にも、一方的に歪められ、自分たちに都合のよい選別による
政治プロパガンダに近い内容であることが分りました。

日本に向かって、そんな「歴史」を鑑にせよ、と迫る事など茶番であることは
明白です。中国側からすれば、歴史の講釈をぶっつける相手の日本側が「中国
の歴史認識こそおかしい」と非難したのでは素直には受け止められないでしょ
う。
しかし、第三者の立場にあるアメリカの政治家や研究者、そして言論人が中国
の歴史教育を「歪んでいる」と明確に批判している事実を少し述べてみたいと
思います。

――――「反日」のリベラル記者として知られている、

ニューヨーク・タイムス上海特派員のハワード、フレンチ記者による記事は、
上海地区の高校で歴史教育がどう教えているか、高校の教員や上海師範大学、
復旦大学の歴史や教育学者の話を聞き、実際の教科書の内容を数多く調査した
結果を伝えています。

「中国は、隣国の日本をたたく事を国民的娯楽とし、日本に対し『日本の19
30年代の中国侵略の正しい歴史を教えていない』と絶えず叱責し、日中関係
をこじらせている。
ところが中国自らの歴史の教え方を調べてみたら、『正しい歴史』などという
のは悪質な冗談のようなものであることが分かった」ーーというものです。

「しかし、中国の高校の教室を訪れ、更に中国でもっとも広範に使われている
歴史教科書数点を調べてみると、――その内容は、近代の歴史について中国の
教育専門家たち自身が、極めて選別的であり、且つ大幅に歪められていると認
める、歴史の細部のゴタ混ぜである――ことが明らかになった」

フレンチ記者の報道は、その「選別」や「歪め」の具体例として、以下のよう
な諸点をあげています。
┌--------
1−中国の高校生は、自国が戦争したのは全て自衛のためであり、他国を攻撃
や侵略、或いは征服したことはないと教わるだけで、自国の人民解放軍が19
50年にチベットを侵略したことも、79年にベトナム領内に侵攻したことも
教わらない。(教科書に記述がない)

2−第二次大戦で日本が敗れたのは、アメリカによってではなく、中国共産党
による軍事闘争のためだとされ、教科書には「大戦勝利の基本的な理由は中国
共産党が全中国を団結させる力の核となったことだ」と記されています。

3−1950年代に毛沢東主席により断行された「大躍進」での破局的な決定
で、中国国民の3千万人もが餓死したことは、中国のどの教科書にもまったく
書かれていません。

4−朝鮮戦争の始まりについても、北朝鮮が韓国へ大侵攻をかけたことは記さ
ず、逆に韓国側がアメリカの支援を得て戦争を始めたように教えている。

5−台湾の歴史についても、中国共産党が日本を破ったから台湾が中国に復帰
できたと教え「抗日戦争がついに成功し、台湾は祖国に復帰した」と書いてい
る。

6−1989年の天安門事件についても、当局による民主派の弾圧で、少なく
とも数百人が殺されている事実を教える教科書はなく、中国共産党首脳部が、
「ブルジョア自由主義」の広まりを防ぐことに失敗した結果の「嵐」だとして
「中国共産党の転覆を意図した少数派の行動にたいし、党中央委員会は適切な
行動をとり、治安を回復した」としか書いてない。
└--------
フレンチ記者のこの報道は、こうした中国の歴史教育のデマや隠蔽、歪みを、
これでもか、これでもかと列挙していきます。――その報道で見る限り、中国
が自国民に教えている「歴史」とはウソ八百のオンパレードです。

中国の「歴史」なるものをこうしてみてくると、中国当局が歴史に関して日本
に抗議や叱責を浴びせる資格はゼロだということが明白になります。この点で
は中国の歴史教育の実態を報道する事は、日本を期せずして有利な立場におく
効用があります。―――だから、この報道自体が「日本びいき」で、客観性に
欠けるのでは?という疑問を抱く方もいるでしょう。

ところが実際には、この報道の客観性はきわめて高いものなのです。

なぜなら、筆者がハワード・フレンチ記者だからです。フレンチ氏は1999
年から2003年まで、ニューヨークタイムスの東京支局長を務め、その間に
日中両国間の歴史問題などでは、日本の多数派の見解に対し、きわめて辛辣な
態度をとってきた人物なのです。

フレンチ記者は、2001年1月には、南京大虐殺での中国側の主張に疑問を
提起する日本側の動きを取り上げ、日本側にたいして批判的に報道し、その中
では以下のように記しています。
┌--------
ドイツは、戦時の恐怖行為を明白に認め犠牲者の多くに補償した。しかし日本
は、深い反省や、アジアの大半を踏みにじった時代への悔恨の表明を避けてき
た。アジアの戦争被害者への補償を拒み、日本防衛のために戦わされた韓国人
への恩給の支給さえ拒んできた。
└--------

こうした記述を見る限り、フレンチ氏のスタンスは左翼リベラル、受け止め方
によっては反日とすらいえるでしょう。実際、この記事に対し日本の外務省も
事実に反する部分が多いとして抗議しました。

また、当時、保守派を自称していた漫画家の小林よしのり氏も、フレンチ氏を
「反日」としてヒステリックに攻撃し雑誌での対談で論争を挑んでいました。
ですから、フレンチ氏は「日本たたき」とは呼べても「日本びいき」とは程遠
い存在なのです。東京を離れ、上海支局長となったのは2003年8月だった
のです。ーーーーむしろ中国寄りとさえ疑われていました。

そういうアメリカ人記者が、中国教育での歴史の歪曲や隠蔽を報じるのだから
その内容はかえって客観性、信憑性が高いと云いうるのではないでしょうか。

中国の歴史が、政治によっていかようにも加工され、抹殺されているかを強調
した彼の記述には、
「中国の多数の学者たちの説明によると、中国での歴史教育では、共産党指導
部から"難しいとされたテーマ"に関しては、どんな優秀な教師でも、とにかく
核心を避けて、微妙な部分を伏せて、編み上げて教える事を強いられる。――
その結果、生徒たちの学習は、世界における自国の位置について、混乱したま
まに終わってしまう」

復旦大学の中国歴史地理研究所の所長は率直に述べ「毛沢東や小平の歴史、
さらには、中国共産党の勝利にあまり深く立ち入って語ることは禁じられてい
る」とも言っています。
同所長はさらに「中国では、歴史は今もなお政治の道具として使われ、とくに
高校レベルでは、党ドクトリンに服従しなければならないのだ」と強調してい
ます。

要するに中国では、歴史は共産党の都合に合わせて、政治的道具として利用さ
れ、その内容はどうにでも改竄され、加工される、といわけです。事実、この
記事には「最近の過去は、政治的主張に合わせるため調整される」というサブ
見出しが付されていました。

こうした歴史の教育には写真がふんだんに使用されていますが、その写真の中
には、南京での百人斬りのように、どう見ても実態と反するものが多数存在し
ています。
靖国神社についても、中国当局が国民に教えることは「軍国主義復活を唱える
為の象徴」であり「侵略戦争を美化するシンボル」「A級戦犯を祀る為だけの
神社」ーーとなっています。

小泉首相がいくら「戦争を反省し、平和を祈念」しても、中国の官製メディア
はまったくその部分を報じていません。中国側が日本に対して高圧的に押し付
けてくる「歴史」は、中国独自の歴史の歪みや正当化の意図を一方的にまとめ
た「指針」や「認識」を基礎としています。ーー日本側としては、根本から受
け入れることなど不可能な押し付けなのです。

首相の靖国参拝に「中国の国民感情」を理由にあげて反対していますが、中国
の国民感情というものは、日本のように、情報が自由に流れ、開かれた社会で
の一般市民の感じ方と同列には考えられません。日本のような意味での、十分
な情報に基づいて自然に形成される国民感情ーーというものが中国には存在し
ないのです。

中国側が主張するそんな「歴史」が、いかに国際的な見解から逸脱しているか
を指摘したアメリカのコラムニストがおります。

ニューヨーク・タイムズのニコラス・クリフト記者です。クリフト記者は中国
の歪んだ歴史教育の危険性を、すでに何度も指摘し、2002年1月、ニュー
ヨークタイムズに「新中国シンドローム」と題するコラム記事を書いて、中国
の日本に関する歴史教育は、次世代の中国人たちに「日本への憎しみを植え付
ける」ことが目的だと非難し、その停止を求めていました。

また、2003年12月20日、ニューヨークタイムズに「中国の脅威」とい
うタイトルで掲載された新コラムでは「中国の反日歴史教育が煽るナショナリ
ズム高揚は、中国が保有する核兵器よりも危険だ」と警告しています。

「私を心配させるのは、中国の核兵器増強ではなく、遠隔地への兵力投入のた
めの軍事調達でもない。中国を愛し、その成功に声援を送る一人として、私が
本当に心配するのは、中国政府が、自国の若い世代の間に植え付けた高揚する
ナショナリズムなのだ」

クリフト氏はそして、その中国の民族主義の危険な高まりの実例として、19
99年の、米軍機がユーゴスラビアのベオクグラードの中国大使館を誤爆した
ことへの北京での激しい反米デモや、2001年のアメリカでの9・11同時
テロに対する中国人学生の、インターネットでの歓喜の表明をあげています。

その上で、そうした現象よりももっと激しい中国のナショナリズムの標的こそ
が日本だと伝えています。
「私たちは、中国の日本に対する態度こそ、盲目的なナショナリズムが引き起
こす不安定の、最大なる表示をみるのだ」

クリフト氏はこの反日盲目ナショナリズムの例証として、――2003年秋に
相次いで発生した、西安と珠海での反日デモを指摘し、西安では、西北大学で
の文化祭で日本人留学生たちが演じた寸劇を「中国を侮辱した」として中国人
学生が怒り、あっという間に西安市内での数千人規模の抗議デモへと発展し、
珠海では、日本企業の社員旅行の一行が、集団で中国人売春婦を買ったという
ことで、これまた大規模な反日デモへとエスカレートしました。

クリフト氏は、西安事件は中国側の反日に駆られた典型的な過剰反応だとし、
珠海事件については、中国各都市での売春婦の存在は公然たる事実なのだから
中国側の抗議は偽善的だと断じています。
ーーそして、中国側の歴史の歪めを以下のように指摘しています。
┌--------
中国は、日本に対して歴史の語り伝えにヒステリックとなっている。1937
年の南京虐殺はその実例である。この事件は、その残虐のために誇張の必要は
ないだろう。
――日本軍による当時の殺戮を目撃したドイツ人のジョン・ラーベ氏は、中国
側の死者数を5万から6万とみた。――国際安全区委員会にいたアメリカ人の
M・S・ベイツ氏は、民間人1万2千、軍人2万8千が殺されたと推定した。
――当時の国際連盟に対し、中華民国代表は民間人の死者2万人と報告した。
――中国共産党系の当時の新聞は、死者4万2千人と報道した。

しかしいまの中国当局は、精査に耐えない主張に基づき、30万以上が日本軍
に殺されたと言明している。このような誇張は、南京虐殺などまったくなかっ
たと否定する日本の右翼と同様に、歴史を悪用しているのだ。

こうした歴史の悪用は、中国自身を、世界中から攻撃を受けると称する犠牲者
国家として仕立て上げ、国内では自国の利益を守るため、対外的にはきわめて
攻撃的になるべきだとするナショナリズムを強めることになる。
└--------
いま中国は、歴史をうまく利用して日本を果てしない悪者に仕立て上げ、自国
を被害者にして国内に過激な民族主義を煽っている、というわけです。
そのために中国当局は、「南京大虐殺の死者30万以上」というウソを平然と
ついている、というのです。

日本に対して「歴史を鑑に」とは、厚かましくもよくも言えたものです。

中国の高圧的な日本たたきも、靖国参拝停止の要求も、中国共産党の政策とし
ての部分がもっとも大きいのです。日本に対してそうしたカードを使うことが
日中関係において中国を利し、さらに中国の国内へのジェスチュアとして独裁
統治への支えとなる、外交、政治の計算ありきーーなのだと言えます。

であれば、その外交、政治の計算上で、日本たたきが決して中国のプラスには
ならないのだ、という状況を日本側がつくって中国側に突きつければよいわけ
で、中国指導部に、反日は中国の利益にならない、とハッキリ認識させたとき
こそーーーー初めて反日は退潮へと向かう事になるでしょう。

                  = この稿つづく:次の記事へ =
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◆ この他の「2005年反日騒動」関係記事。

◆ 2005/04/15「中国市井事象的記録:2005反日運動関連の」-- by OJIN
◆ 2005/04/17「深セン反日運動…現地での実感」----------- by HAJIMEさん
◆ 2005/04/20「上海反日デモ..台風の如く通過」------- by 半日半華人さん
◆ 2005/04/22「反日中国の淵源考察(1)」----------------- by gosakuさん
◆ 2005/04/25「反日デモに揺れる?日本」--------------- by 平野信幸さん
◆ 2005/04/27「上海反日デモ..その現場(裏)実情」----- by 半日半華人さん
◆ 2005/05/01「いい加減飽きたよ反日に…うんざり!」----- by HAJIMEさん
◆ 2005/05/23「反日中国の淵源考察(2)」----------------- by gosakuさん
◆ 2005/06/20「反日中国の淵源考察(3)」----------------- by gosakuさん

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┃┃ お便りで頂きましたご意見・感想。
┗━┛
┌──────────「ばばあさん」女性@会社員@東京

「WEB 熱線」は、このところあまり読まずにため込んだままでいたのですが、
(失礼!面白くないというわけではなく、時間の問題です)ここ最近は反日運動
がらみの記事に限って読んでおりました。

ーーgosakuさんの「反日中国の淵源考察」は涙が出るほど嬉しかった!
私自身、2000年にスカパーを契約して中国中央テレビ(CCTV)を見たと
き、そのあまりにも徹底した反日報道ぶりに腰を抜かしてしまい、以来、複雑
な思いを抱いていました。

今回の、降ってわいたような統制のとれた同時多発デモは、日本のメディアが
どう伝えようと、「政府の指令で、『愛国教育=反日教育で育った若者』が動
いた」ということだろうと思っていました。
――戦争被害者がデモに出ていない、――常任理事国入りなどという一般市民
には縁遠い話に反応している、ーーなど、不審な点が山ほどありますものね。

ーー紹介されていた欧米記者の見解・報道にも、本当に救われた思いがしまし
た。
gosakuさんのこの文章、どこかで大々的に発表できないものでしょうか。日本
人も他国の人も、一般の人にもっともっと知ってもらいたいですよね。事が事
だけにいろいろ難しいかもしれせんが。

└──────────
 
┌──────────「gosakuさんから」

次の記事「反日中国の淵源考察(2)」でお応えさせて頂きます。

└──────────
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 活発なご意見や反論をお待ちしています!  
┌──────────
このページは「hira333 の日記:05/04/22:中国の歴史教科書を見れば」頁に
転載されています。お時間に余裕がございますようでしたら、ぜひ訪問されて
みて下さい。
└──────────
時事事象私見の目次に戻ります







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