┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃
┃ 時事事象私見: ――――――――――――― by gosakuさん
☆ 中国の若者の考えの一端を ――――――――――― 2004/11/05

10年後の世界を見るとき、政治的には中国とどう向き合っていくかの問題を
抜きにしては考える事はできません。裏をかえせば、アメリカとどう付き合っ
ていくかの問題でもあるわけですが、いずれ日本は中国か米国かの選択を迫ら
れることになるでしょう。

今夏、中国で行われたサッカー・アジアカップで、日本人選手に対する激しい
ブーイングに象徴されるように、中国の若者の反日感情が日本では話題になっ
ています。政治的にはリークするところあがあるので、鵜呑みにはできません
が、でも日本人はもっと中国を理解しなくてはやっていけなくなるでしょう。

そういう意味から、今日は、長年来の僕の友人で最近頻繁にメールの交換をし
ている中国の朋友「周瞳」君の意見を聞いてみました。彼の意見が現代中国を
代表するものではありませんが、中国の若者の考えの一端を知る上で参考にな
るのではないでしょうか!

―――― 彼との出会いを簡単に紹介しますと、

彼が天津医科大学に入学して2年目の夏休み、1980年ごろだったでしょう
か、僕は戦後はじめて、第二の故郷でもあるかつての満州へ、妻と二人で訪れ
たいと日本の旅行社で北京までのチケットを手配してもらいました。

しかし、当時の中国は激しく吹き荒れていた文革の嵐がやっと終結してばかり
で、中国はまだ治安が悪いという理由で、大都市以外は外国人旅行者には開放
されていなくて、北京国際旅行社にお願いして瀋陽・長春までの火車=汽車)
のチケットと当地のホテルはなんとか手配してもらったのですが、図們や琿春
は諦めざるを得ず、大連経由でまた北京に帰ってきて北京市内を数日かかって
観光していました。

そんなある日、ガイドもないまま、故宮を一日がかりであちらこちらで写真を
撮っていて、通りがかりの親子に「ちょっとカメラのシャッターを押してくれ
ませんか」と頼んだのが、彼と彼の母親との初めての出会いでした。

お母さんは「邱克」といって、広西壮族自治区の南寧市税務署の中堅職員でし
た。彼は「学生生活も二年目になり、少し落ち着いてきたので母親を北京に呼
んで一緒に故宮観光をしていた」と後日いっていましたが、その時は、私たち
は何も知らずにお願いしたのです。

その後、出来上がった写真などを郵便で交換したりして、二十年来文通は欠か
すことなく、また、僕も南寧に彼女を訪問したり、天津に行った時には周瞳君
とも幾度か会って友好を温めてきました。

彼は中医の研究者としてそのまま大学に残り、昨年、副教授から教授に昇格し
たといっていました。ーー前置きはこのぐらいにして本題に入ります。

―― 珠海での03年9月18日の日本人観光客の集団買春事件は論外として
も、その後の西安西北大学で日本人留学生による寸劇事件、それからサッカー
アジアカップでの中国人若者の異常とも思われる反日行動をどう思いますか?

▽▽周瞳君の意見▽▽

サッカー場のこととはいえ、今後の中国の課題が示されていると感じました。
何といってもマナーの悪さがあり、気持ちが狭いと言わざるを得ません。中国
のマスココミでも、反省や自己批判の記事が続けざまにでました。

今回の問題は、やや長い視点でいえば日本の歴史教科書の表記に関する問題、
短い視点からいえば、西北大学文化祭の日本人留学生らのワイセツ寸劇事件や
珠海での日本人観光客の集団買春騒動、それと小泉純一郎首相の靖国神社参拝
など一連のスキャンダラスな部分が非常に高いでしょう。

ナショナリズムは非理性的なもので、どこかに発散の糸口を求めるものです。
中国には、1990年代以降、目覚しい経済発展に伴って一定の自信、外国に
対して「ノー」と言いたい傾向が出てきました。これは60年代の日本・80
年代の韓国にも当てはまります。

その象徴的な出来事が、96年に出版された、反米的な内容の「ノーといえる
中国」がベストセラーになったことです。そうした反米感情が、2001年の
米国中枢同時テロを機に米・中が反テロという共通の関係を築いたことから、
反感が日本にむくようになったのです。

日本側の反応にも過ぎたものがありました。フリーガン的な問題は世界で起き
ていますし、中国国内のプロサッカーリーグでも、サポーター同士の殴り合い
など過激な行動は起きています。

ブーイングを、すべて反日に置き換えて見るのは如何でしょう。目線を考える
必要はありますが、中国人が全部反日かといえばこれは違います。日本の小説
や映画、アニメは中国で非常に人気があります。

全て江沢民の反日教育の結果とする考えもあるようですが、中国の実態を見誤
ることになります。
江沢民には、ナショナリズムが衰退しているという認識があったのでしょう。
日本でも愛国心教育が叫ばれていても、若い世代がそれほど対応していないの
と同様に、中国でも目覚しい政治効果はもたらされませんでした。

天安門事件やソ連の崩壊後、イデオロギーでは国をまとめられなくなり、愛国
主義教育により求心力をつくろうとした結果が反日教育ではないでしょうか。

―― 若者の中国留学に限っていうと、日本人の生活レベルと中国の若い世代
の生活水準が違うという理由で、日本人留学生を隔離する大学が多いと聞きま
すが?

▽▽周瞳君の意見▽▽

うーん、それは..たしかに配慮が足らない措置ですね。中国人学生は最低でも
4人部屋、多いところは8人部屋です。しかし、日本人留学生は別に留学生寮
を造って1人部屋か2人部屋です。当局も別に、政治的・思想的配慮ではない
ものの、中国人学生と同じ宿舎に日本人留学生を入れないと、学生同士の意思
疎通が疎かになり、これからもトラブルの種は尽きないことでしょう。

日本には、欧米を見る目とアジアを見る目に違いがないでしょうか?日中交流
は1970年代からあるのに、中国での日本人留学生の長期滞在者は(大半は
語学留学)一万数千人以下で伸びていません。
一方、韓国と中国の国交回復は、92年から僅か十年ですが、すでに三万五千
人以上の韓国人留学生が中国に長期滞在しており、その大半は名門大学で学位
取得を目指しています。

―― 小泉首相の靖国神社参拝問題は、折に触れて中国政府高官が問題視し、
牽制の発言を繰り返していすが?

▽▽周瞳君の意見▽▽

72年の日中国交正常化以来、中国の対日認識は「国家と国民を分けて理解す
る」ことが原則でした。小泉首相の靖国神社参拝を問題にするのも、A級戦犯
が合祀されているからですが、中国国民からすれば、東條英機らA級戦犯より
も、現地の司令官や連隊長、またそれよりも暴行をくりかえした兵隊が悪いと
思っています。

それでも当時の周恩来首相が「戦争責任は一部の軍国主義者にある」と、半ば
強引に国内を説得した結果、いま小泉首が靖国神社参拝を毎年繰り返すことを
日本国民が容認しているという認識を認めると、中国国民への説得図式が崩れ
るのです。A級戦犯の合祀を問題にするのは、ある意味では中国の国内問題で
もあるわけです。

小泉政権はポピュリズム的な傾向があり、「靖国参拝を続けることに日本国民
は反対していないからだ」という意識が中国国民にも広まるようになり、より
反発が強まっています。中曽根首相のときも、靖国参拝や教科書問題で日中関
係は悪化しましたが、政権中枢が折り合えば解決しました。今は、国民レベル
の問題に変わったため、中国政府も世論を容易に無視できないのです。

83年の教科書事件の時、中国では駅や学校などに日本批判の壁新聞が張り出
されましたが、当時、日本はあまり過敏に反応しませんでした。「中国の感情
は理解できる」といったマスコミの論調も多かったと記憶しています。経済的
な格差が大きく、中国を見る目に余裕があったのでしょう。

それが今では、サッカーのブーイングぐらいで過剰に反応します。中国経済が
伸びてきて、心理的プレッシャーと、日本経済の方向性が見えないことで余裕
を失っているのでしょうか。

中国も、民衆のナショナリズムを政府が押さえ込めなくなってきており、対日
方針も国内に配慮せざるを得ない状況です。靖国神社のA級戦犯合祀問題も、
日中双方の譲歩が重要でしょう。外交とは妥協です。五対五も八対二も妥協で
すが、ゼロ対十は妥協ではありません。

―― 日本は今、国連安保理常任理事国入りの問題や北朝鮮による日本人拉致
問題で中国の協力を期待していますが?

▽▽周瞳君の意見▽▽

胡錦涛指導部は対日関係において相互譲歩、相互互恵という道を模索していま
すが、中国の日本専門家の多くが警鐘をならしています。お互いが譲歩しよう
という「新思考外交」に対し専門家たちは「中国が一歩さがると、日本は一歩
前へでてくる」とこたえています。
中国の新指導部は、日本に対し様々なラヴコールを送っていますが、日本側は
「中国は対日改善をあせっている」と考えています。こういう理解は日本の国
益に合いません。

憲法改正も集団自衛権もどんどん進めても大丈夫だと、中国が譲歩するシグナ
ルを読み違えると大変なことになります。中国と同じように、日本も一歩譲歩
して、安全保障上の担保の資源となるものをつくりだす、そういう姿勢を日本
が持っていなければ、胡錦涛体制の政権基盤を危うくさせる可能性を日本人に
理解してほしいものです。

常任理事国入りも、北朝鮮の拉致問題・核問題も、胡錦涛政権による協力がな
ければ解決が難しい問題です。

―― 自衛隊のイラク派遣はどう捉えていますか?

▽▽周瞳君の意見▽▽

反テロ特別措置法やイラク特措法、それに伴う自衛隊のイラク派遣と小泉首相
の靖国参拝は、中国ではワンセットで捉えています。仮に憲法改正で、日本の
世論が第九条を大きく変え、集団自衛権に道を開くことになれば、中国は政府
レベルにとどまらず、国民レベルの反日感情を抑え切れなくなるでしょう。

確かに、反テロ特措法やイラク特措法について、中国国民の関心は低いのです
が、憲法改正となれば国民レベルで相当な反応が出ます。戦後、日本が戦争と
決別した象徴が平和憲法でした。憲法改正は日本国内のことで、中国としてと
やかく言うべきではありませんが、ただ中国人の心の中の懸念、心配を理解し
てください。

いまのままだと、日本への心理的警戒感とわだかまりが消えません。いろいろ
口実をつけて軍事大国化を狙う行動ではないかと思えてしまうのです。
日本の政治は郵政改革だけはなく、内政・外交いろいろ配慮して行うのが首相
の使命でしょう。

そのなかで、中国指導部は真の日中改善を願っていますが、日本側の呼応がな
ければ動けません。もし胡錦涛指導部の基盤が弱体化したら、改善しようにも
出来なくなる可能性があります。日本が大所高所に立って大局を見るべきでは
ないでしょうか。

―――― 今回は周瞳君からのメッセージを紹介してみました。

冒頭で述べたように、決して中国を代表しているものではありませんが、若い
中国人知識層(といっても、もう42、3歳でしょうか)の認識として考えてみ
る必要があります。

                  = この稿おわり:次の記事へ =
┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃┃ 読後感アンケート結果。
┗━┛
◇ 周瞳君の意見は妥当である --------------------------- 36人  (38%)
◇ 周瞳君の意見には肯けない --------------------------- 35人  (37%)
◇ どちらともいえない --------------------------------- 24人  (25%)

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃┃ いただきました感想やご意見。
┗━┛

お寄せ頂きました感想やご意見が多く、またgosakuさんの答復も長くなりま
したのでページを改めました。――→ ここをクリックしてお進み下さい
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘ └→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。
時事事象私見の目次に戻ります







SEO お金 無料レンタルサーバー ブログ SEO