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中国ひと口話:13 ――――――――― by けんさん
| ★ 新しい題目が上段です。
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☆ 議論好き ――――――――――――――――――― 2007/10/12
中国人は議論好きな人間が多い――――。
やはり看護婦学校でのこと。50年配の職員で「私達が仲良くするためには、
本音の話し合いが必要だ」といつも私に議論を吹っ掛けてくる人がいました。
残念ながら彼の中国語には敵わない。いつもやられっ放し。
ーーーある日、侵略が話題になりました。
彼「中国は一度も他国で戦争をしたことがない」
私「中越戦争はどうなんだい?」
彼「あれは教育的行為さ」
私「それは素晴らしい!日本もその教育的行為とやらを中国にして上げよう」
彼がぐっと言葉を詰まらせたとき、周囲の聴衆がどっと笑い声を上げ、親指を
立てて、初めて私の一本勝ちを宣言してくれました。彼が目を白黒させたのが
面白かったのでしょう。
口喧嘩 異国の言葉で 被告席
= この話おわり =
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☆ 包子先生 ――――――――――――――――――― 2007/10/05
1997年、私が日本語を教えたのは看護婦学校でした。17才から18才の
可愛いお嬢さんばかり。
ある日「私の好きな物」という題で作文の宿題を出したら、一人の生徒が「餃
子が好き」と書いてきました。
「どれぐらい食べるの?」と尋ねたら、「一斤(500グラム)」と答えて、け
ろっとしているから「餃子小姐」と綽名をあげたら..後がいけません。とたん
に「包子先生(肉饅頭先生)」とお返しがきた。
私の気にしているチビデブにぴったりだったのか、クラスのお嬢さん方をすっ
かり喜ばせてしまいました。
残念ながら、いまでも彼女達は私を本名で呼んでくれませんーーー。
ぴったりの 綽名を貰い 苦笑い
= この話おわり =
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☆ 中国人の忠節 ――――――――――――――――― 2007/09/28
撫順で、日本敗戦後の1945年から3年の間に、ソ連→八路軍→国民党→八
路軍と目まぐるしく政権が変わりました。その度に、何事もなかったように、
そのときそのときの政権の旗が靡くのです。
日本の統治時代は「日章旗と満州国の旗」が「今は満州国だからね」と、翩翻
と翻っていました。
実は中国人は、その全ての国旗をセットで用意していたのです。「食わせてく
れる者に忠節を誓う」これも、動乱を生抜く中国人庶民の知恵。変節と呼ぶに
はあたりません。
二人だけの場所、例えばタクシーの運転手などは「食わしてくれるなら誰でも
いい。日本人勿論結構。また来いよ」ぐらいは平気で言います。満更外交辞令
とも思えない。
これだけは間違いない。「靖国」よりも「歴史認識」よりも、庶民が関心があ
るのは、ーーー今晩の餃子です。
靖国も 歴史も政治も 食ってから
= この話おわり =
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☆ 小偸儿市場 ―――――――――――――――――― 2007/09/21
瀋陽の街角で、男が靴の片方を道端に置いて売っているのを見て、私ははっと
息を飲みこみした。これがかつての小偸儿市場です。小偸儿は泥棒の意味。
日本人は中国語と日本語をごちゃ混ぜにして「ショートルいちば」と呼んでい
ました。彼が泥棒という意味ではありません。
とにかくなんでも売っている。何を持って行っても買ってくれる、そんな場所
です。洒落てよんだら、蚤の市ですか。
時効ですから告白しましょう。かつて子供の頃、私も、ここにアパートから盗
んだ台所用品、玄関から失敬したスリッパ等を持ち込んでは、その日の口そぎ
にしていました。
ひもじさが 盗みの癖を 覚えさせ
= この話おわり =
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☆ イジメ ―――――――――――――――――――― 2007/09/14
敗戦後一年、昭和21年の夏から「遣送」といって日本への引き揚げが開始さ
れました。
技術抑留者といって、撫順の工業鉱業関係の人が何人か残りました。正確な数
字は知りませんが、100家族ぐらい居たでしょうか。私の父は技術者ではあ
りませんでしたが、抑留者の子弟の学校教師ということで残留しました。
周囲が中国人ばかりになると、日本人の子供が苛められる番です。中国人の悪
餓鬼共が寄ってたかって私に対し、地べたに「小日本、東洋鬼」と書けと強制
する。
韓信の股くぐり、黙って書きます。挙句殴られる。ビンタぐらいはなんともな
いのですが、睾丸を思い切り蹴られて暫く血尿が出たこともありました。
ガキ大将 苛められたり 苛めたり
= この話おわり =
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☆ 灰色収入 ――――――――――――――――――― 2007/09/07
裏口収入とでも訳すべきでしょうか、中国人は夫々の立場で、夫々の正規の月
給以外の収入を持っています。本来はあまりいい意味では使われませんが、こ
こでは広い意味の副収入として使わせて貰います。
1997年、私の日本語教師としての月給は1000元(日本円約15000
円)でした。僅か週二時間の授業ですから、これでも貰い過ぎ。そしてこの額
でも額面は校長より上でした。
敢て「額面は」と言ったのは、校長には地位に相応しい「灰色収入」が当然あ
るはずだからです。
私の月給外の収入は、宿舎の提供(付帯設備まで含めたら金額にして約400
0元)。林檎、卵等の現物支給が月一回。その他、校長の自動車を比較的自由
に使えるのも魅力でした。
因みに江沢民さんの月給も、額面だけなら4000元ぐらいのはずです。
鼻くその 給料よりも 裏の金
= この話おわり =
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☆ 中国のインテリ ―――――――――――――――― 2007/08/31
私の友人Lさんは、瀋陽工業大学の青年数学教授です。申し訳ないがヨレヨレ
のズボン姿をみると、とても新進気鋭の大学教授には見えません。
ときどき御宅にお邪魔して、囲碁を打ったり、夕食をご馳走になったりするの
ですが、10階建てのアパートにはエレベータも無く、全部で24平米ほどの
狭い部屋には、家具らしい家具といえばベッドだけ。書架もなく、数多い専門
書はベッドの下に平積みされています。
文革のとき、一番目の標的になったのが、地主、二番目富農、三番目は確か反
革命分子、以下右派等に続いて、九番目が知識分子、即ちインテリでした。
中国でインテリは日陰の身というより攻撃の標的だったのです。
Lさんの月収は600元弱。「女房より少ないよ」と屈託のない笑顔で、霞と
プライドを食べて生きています――――。
インテリは プライドを食べ 高楊枝
= この話おわり =
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☆ 家常菜 ―――――――――――――――――――― 2007/08/24
家で常に食べるお菜、つまり家庭料理のことです。
一年間瀋陽で日本語教師をしている間、宿舎で毎日食べたのが、家庭料理でし
た。野菜の炒め物が主です。土豆細儿といって、ジャガイモの千切りを酢で味
付けしたのは、賄いのおばちゃんの十八番だったのでしょうか、ほぼ毎日出ま
した。
骨付き肉、太刀魚の揚げ物、煎り卵、茄子の煮物、胡瓜、トマト、毎日同じよ
うなものの繰り返しですが、値段が、主食込みで一日10元(日本円150円)
弱ですから贅沢はいえません。
私の月給が1000元でしたから、エンゲル係数でいうと30%。
この献立は、中国人の友人の家で普段に呼ばれたときも同じような物でした。
これが一般的な家庭料理だったと思います。
餃子も家庭料理ですが、客を招くときとか、春節とか、「晴れ」の食事、ご馳
走の部類で、家常菜とはいえないようです。
平凡な 家庭の味に 母思う
= この話おわり =
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☆ 江南の春 ――――――――――――――――――― 2007/08/17
中国の春はやはり南です。「上有天堂、下有蘇杭(天に極楽、地上に蘇杭)」。
蘇杭とは蘇州杭州のことで、杭州は、かつてマルコポーロに世界で最も美しい
町と言われたところでもあります。
春雨に煙る菜種と桃に彩られた西湖は、まさに地上の天国です。
下手な描写は止めましょう。
江南の春といえばこの詩をご紹介します。
「江南春」杜牧
千里鶯啼緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中
小雨降る 菜種畑に 桃の花
= この話おわり =
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☆ 春一番 ―――――――――――――――――――― 2007/08/10
承徳はゴビの砂漠の南端でもあります。今はどうでしょう、子供のとき駱駝の
隊商も見ました。
中国の北部は、春から初夏にかけて烈風が吹きます。まさに砂嵐。承徳では、
一度これが吹くと、風というより砂そのものが吹きつけます。庭は雪が降った
ように厚く、時には10センチも砂が積もり、家の中はどんなに窓を目張りし
てもザラザラになります。
これが偏西風に乗って運ばれるのが、黄砂。私のような「大地の子」は、これ
に大地の香りを感じます。
季節は春なので、春一番というときもあるようですが、厳密には少し違うので
しょうか。
山並みを 遠く霞ませ 春一番
= この話おわり =
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