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┃ :中国への熱い思線: ――――――――――― by けんさん
┃ (けんさんの日中友好コーナー)
☆ お世辞と敬語 ――――――――――――――――――― 2003/09/03
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│「胡麻すり」という日本語は、語感が面白いのか?
│中国人留学生はまず百人が百人この言葉を知っている。
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お世辞を言う、諂うの比喩的表現は、あと「もみ手をする」など他にもあると
思うが、中国語にはこの種の表現が実に多い。
代表的なのは「拍馬尻=馬の尻を叩く」。
馬を褒めるとき「良い馬ですね」と馬のお尻を叩く描写である。
ちょっと辞書を引いたら
巴結 へつらう、とりいる、おもねる
諂上欺下 目上の人に諂い目下の人を見下す
奸佞 悪賢く人に諂う(人)
捧臭脚 媚びる、諂う(直訳したら臭い脚を捧げ持つ)
献慇勤 取り入るためにまめまめしくする
灌米湯 お世辞を並べ立てる
まだまだ、いくらでもあるはずだ。
中国語を勉強し始めたとき、諂いに関する表現がよく出てくるので、お世辞と
おべんちゃらばかり言っている中国人の心というのは、かなり屈折しているの
ではないかと思っていた。
ところが北京語言学院で勉強している時、中国人教師が意外なことを言った。
「中国人は楽しみながらお世辞を言っているのです」と。
これは私の解釈だが、上手にお世辞が言えるということは、自分の教養の高さ
を示していることになるのである。お世辞も言えないような奴は、教養を疑わ
れ、軽蔑こそされ尊敬されない。
だから中国人は、熟練した心理学者のように人の心に食い入るお世辞を言う。
例えば、私の中国語を褒めて、
「貴方の中国語はご当地の言葉とは違うが、日本人の話す中国語とも違う。」
聞きようによると、褒められているのか、貶されているのか分らないが、私が
このような言い方が好きなことを充分に計算した上での殺し文句である。
こんなに上手に褒められると、私の心は舞い上がり、更に勉強する気になる。
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┃中┃国人のお世辞は、一種の教養の物差しだと知って分ったことがある。
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中国で会議に招かれた際などによく「中国の悪い点についてどうぞ忌憚のない
ご意見を述べて下さい」と言われる。そこでもし本当に忌憚なく悪口を言った
が最後、その日一日、誰もモノも言ってくれない。
私もある貿易委員会のパーティーに招かれてこう言われたので、ついつい中国
の自転車を例にとり「まだまだ目に見えない所の品質が悪い」と率直に言った
ら、一日針の筵に座っているように居心地が悪かった。
毛沢東は「実事求是=事実こそ重要」と言ったが、中国人の皆が毛沢東のよう
に物分りのいい人とは限らない。逆に上手にお世辞を言えば、満座の喝采と、
その日一日乾杯攻めに会うことを請合う。
だから、その日はお酒が飲みたければ適当にお世辞を言うし、お酒が欲しくな
ければ率直に言えばよい。
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┃中┃国人は実に会話が上手である。
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かなりの日本通の中国人に、日本人は冷たいと言われたことがある。心外だが
どうも日本人の会話下手が原因らしい。
我々の会話の決まり文句は、まず
「いつ日本にお出でました。」
「日本語が、お上手ですね。」
「お仕事は、何をなさっています。」そこで会話が途切れる。
これは日本人が冷たいのでなく、初対面の人にあまり色々尋ねるのは失礼だと
思っているからである。
中国の諺では「酒逢知己千杯少、話不投機半句多=親しい友達と飲む酒は千杯
でも少ないが、気の合わない奴と話すのは半句でも多い。」と言う。
だから楽しい会話は、客人のもてなしに欠かせない。
私は、日本人が会話下手な原因の一つは敬語にあると思っている。正しく敬語
を使うことで相手への尊敬と親愛の気持ちを伝え、お世辞など余計なことを言
うのは、却って失礼だと思っている。
中国語に敬語が無いから簡単、と思うのは大間違い。その場に相応しい言い回
しを、敬語を使わずに表現できるのが、語学能力であり教養なのである。
中国語の敬語は、表情も感情も豊かに心から貴方を敬っていますと言え、更に
相手を気分良くさせてこそ敬語なのである。それは又お世辞でもある。
もう一つ、日本人も中国人も必ず言う言葉がある。
日本人なら、「日本の印象はどうですか」
中国人なら、「中国の印象はどうですか」
ここでしっかりお世辞が言えないと、将来外務大臣にはなれない。
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┃中┃国人の家に招かれると、政治以外のことは次から次と話題が絶えない。
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楽しい席では、政治を話題にしないのも生活の知恵なのである。
例えば車が話題になると、メーカーは?色は?という具合に話しが発展する。
中国では割合アケスケに、相手の収入を尋ねるのは事実である。しかしこれも
自然な話題の流れが必要で、中国旅行ツアーで「中国では相手の収入を尋ねて
も失礼ではない」と教えられた日本人団体客が、皆ガイドさんの給料を尋ねる
というのはやはり不自然で、会話下手と言わざるを得ない。
私はセクハラまがいの話しが好きなのだが、中国でこの「まがい」を話題にす
るにはやはり相当親しくならないといけない。中国の若者と酒を飲むと、皆そ
れぞれにこの種の楽しいひと口話を持っていて、次々に披露してくれる。
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┃中┃国人は全てといってよいほど客好きである。
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あの広い大陸で、遠来の客は貴重な情報をもたらす人でもあった。このように
して、中国では口コミはテレビよりもラジオよりも、あらゆる情報伝達機関よ
り早く、一瞬のうちにあの広い大陸全体に伝わる。
私は図々しいほど招かれ好きである。中国人のお招きは全て受けている。私に
とって何よりの生きた中国勉強を提供して呉れる場所でもあるから。
お世辞も敬語も、このような場合欠かせない友好の潤滑油だと思う。
日本語では、敬語を正しく使えることは、教養の基本である。
中国語では、お世辞をしっかり言えることが、教養の基本である。
= この稿おわり =
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┃★┃ 読後感アンケート結果。
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◇ 面白かった (^○^) -------------------------------- 36人 (90%)
◇ まあまあかな(゜.゜) -------------------------------- 3人 ( 8%)
◇ ツマラナかった(-_-) -------------------------------- 1人 ( 3%)
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┃★┃ コメントボードに頂きました感想。
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┌--------「中年不良探偵団さん」
なるほど「近くて遠い国」と言われる相互理解の「わからなさ」はこの辺りに
あるんだなと再認識した記事でした。
中国語を勉強するひとが増え、むかし英語を学んだあたりの「文化の違い」に
実際の生活の中で知る人が増えれば、中国との「新しい関係」も生まれてくる
のではとみています。
国際関係の中での"実態に沿った"法律関係を一日も早く作り、相互理解も国際
関係の常識にそっていければ「近くて、理解」し合える関係を新しい世代は作
れるでしょう。
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┌--------「ミカの赤い服さん」
けんさん、こんにちは。
お世辞については日中の文化の違いかなと思いました。
でも、敬語は国に関係なく大切ですよね。
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┌--------「けんさんから」
1.「相互理解」はときに恐ろしい言葉です。武力で相互理解を求める国もあ
る。理解すればするほど嫌になる国もある。
自分が相手を理解できないのに、相手に理解を求めないことにしました。
45年連れ添った妻に、私の「中国馬鹿」に対して理解は求めません。
ーー求めるのは諦めです。
2.相手を尊敬する気持ちを形にすれば礼儀、言葉にすれば敬語だと思ってい
ます。だから尊敬する気持ちがないまま敬語を使ったら「貴様」にしかならな
い。しかし形が整えば、一定の交わりは出来る。
形が大事か、気持ちが大事か、意外に難しいですね。
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┃★┃ お便りで頂きました感想。
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┏━━━━━━━━━━「大地の子さん」男性@六十代@兵庫 2003/10/08
「お世辞と敬語」を読ませていただきました。
中国語のわからない私にとっては勉強になりました。
中国人は本当に招待好きですね。宴会、自宅招待、日帰り旅行、街中探索、
映画とよくお招きを受けたものです。
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└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。

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