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┃ :中国への熱い思線: ――――――――――― by けんさん
┃ (けんさんの日中友好コーナー)
☆ 究極のご馳走 ――――――――――――――――――― 2003/07/23
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│私は美食家ではないが、味覚音痴とも思っていない。
│不味い物を食べたら不味いと分かる。
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しかし食べる物が全然無い時代に育った私達の世代は、好き嫌いなんぞを言う
余裕がなかった。子供の頃、もし私がひと言でも「不味い」と言ったら、父親
はそれを食べ終わるまで、一切他の食べ物をくれなかった。いまと違って買い
食いなんか出来なかったから、仕方なく何でも食べた。
おかげで、人様が食べる物なら何でもいただける。
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┃朝┃はお粥が旨い。饅頭も旨い。
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中国の饅頭はパサパサしてどうもという人もいるが、この味もそっけもない味
がいい。それにゆで卵一個、馬鈴薯を細く刻んだなま酢風の食べ物、これらが
ここで最も普通に食べられている朝食である。
「混飩=ワンタン」「豆腐脳=豆腐汁」「油条=揚げ面」
「面条=麺」類も朝早くから屋台が出ているので、よく食べる。
高粱粥や粟粥は、今ではかえって高級な食べ物になっている。
米 一キロ 2元4角 約36円
高粱一キロ 3元 約45円
米に比べて雑穀の方が割高である。
昔中国人は、米を持っているだけで経済犯として捕らえられた。俗にいう食い
物の怨みか、これは中国人が“偽満時代”=旧満州国時代)を語るときは必ず
出てくる。
東北地方を代表する穀物は大豆と高粱だったのが、解放後各地にダムが出来、
米がそれにとって替わった。
“煎餅”といって、鉄板で高粱粉を薄く引き延ばして焼いた食べ物があった。
それに葱と味噌をくるんで食べる。香ばしくてとても美味しかった。いまも同
じ名前のものを売ってはいるが、小麦粉で焼いた物に卵やソーセージを包んで
いて全然味が違う。私は元の素朴な味の方に郷愁を感じるが見たことがない。
餅といえば老餅。メリケン粉をこねただけのものを厚さ1センチぐらい、直径
10センチぐらいにして鉄板で焼いて売っている。確か1元?
これに肉と野菜の餡が入ったら餡餅。凄く美味い。これが2元。
焼き餅は日本の煎餅。子供の頃“好的焼餅”=美味しい焼餅)と呼ばわりなが
ら売りに来る売り声が、私には“我的小便”=私のおしっこ)と聞こえて可笑
しかったのを思い出す。
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┃主┃食にもおかずにもなるものを上げると、
┗━┛油炸丸子=揚げ団子)は子供の頃の好物のひとつ。今でもある。
先日市場で買ったら、計り売りで直径3センチぐらいの丸いお団子が30個程
入って7角=約10円)で、一度には食べきれない。
“包子”一篭12個入って1元5角=約22円)。
“合子”といって、韮卵を小麦粉でくるんで焼いたものが1元=約15円)
二個も食べたら、私は満腹する。
“水餃子”が半斤=250グラム)4元。
個数にして30はあるから一人では食べきれない。
因みに中国で餃子といったら水餃子のこと。
麺類は“肉糸面”“炸醤面”“湯面”“炒面”“冷面”をよく食べる。
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│肉糸面 豚肉の細切りが入ったラーメン。2元=約30円)
│炸醤面 ゆでた麺の上に味噌を油炒めした物がのっている、2元。
│湯面 手打ちうどんに似ている=2元。
│炒面 焼きうどん=4元。
│冷面 日本の(れいめん)と同じ=4元。
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刀削面は麺の作り方に特長があって、練った麺を肩に担ぎ、刀のような大きな
包丁で削ぎ落とすように湯だった鍋の中に入れる。超太ウドンと思えばいい。
元々は山西省の名物だがどこででも食べられる。
これら麺類につきものの香菜=芹に似た野菜)が味に一癖あって受け付けない
日本人が多いが、私は好きだ。嫌いな人に言わせると、俗称「屁ひり虫」土地
によっては「かめむし」というあの虫の臭さが少しあるそうだ。
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┃軽┃く一杯やるなら焼肉屋がいい。
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炭火で、皿に盛ってくるのと串焼きと両方ある。材料は豚肉、牛肉、羊、犬、
驢馬、烏賊、貝と豊富に揃っている。大体4人でいってビールを含め、腹イッ
パイ食べて飲んで、70元から100元=1000円強)
冬はどの店も火鍋=鍋料理)を出す。日本のしゃぶしゃぶとほとんど同じだが
注文の仕方が少し違う。中に入れる肉野菜はもとより、鍋の数、薬味の数まで
一つ一つ注文する。値段はやはり4人で70元から100元。
鍋物と焼き肉屋はバイキング形式の店もある。飲物別で28元=約420円)
四川料理は辛いのが売り物。鍋が半分に仕切ってあって、知らずにいきなり辛
い方を食べると、まず「うっ」と唸って目を剥いたまま、暫く口が引きつって
モノが言えない。その後全身に汗が出る。それでもまた食べたくなる。辛いぞ
と心構えをして食べると美味しい。
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┃街┃角の食べ物はやはり“糖胡芦”
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さんざしの実に水飴をまぶした菓子。一本5角=約7円)。甘酸っぱくて美味
しい。私は中国を代表するお菓子だと思っている。近ごろはビニールをかぶせ
ているのが多いが、以前は水飴の上に土埃がまぶされていて非衛生的だったの
で母がなかなか買ってくれなかった。残念ながら秋から冬にかけてしかない。
ウイグル族が道端で売っている羊の焼き肉=シシカバブ)も旨い。
一本2角=約3円)。これを十本も買って、香料をたっぷり付け頬張りながら
人混みの中を歩くと、グルメ餓鬼大将といった気分になる。
これは立ち食いに限る。
その他に、子供のとき食べた街角の食品で懐かしいものといえば“元宵団子”
がある。これは元々旧正月15日“元宵節”の頃食べたものだが、冷凍食品の
普及でいつでも食べられるようになった。
“月餅”は仲秋節前後には街にあふれるが、普段はお目にかかれない。
他に粽、餅菓子はいつでも売っている。値段は一個1元しない。
焼き芋は大きなものでも1元しない。
向日葵の種や落花生も1元買って来たら三日分ある。
ビールの肴に合うので、いつも切らさず買っている。
ビールといえば一瓶2元。水より安いからつい飲み過ぎる。
中国のビールは戦前のドイツの技術と日本のKビールの技術と設備がそのまま
残っていて最高に美味い。なんでもソ連が旧満州のあらゆる生産設備を根こそ
ぎ本国に持ち帰ったとき、ビールだけは要らないからと残したそうである。
ビールの肴には、鶏の脚、豚の足の茹でたものが合う。中華料理は例えば鶏、
脚でも鶏冠でも捨てる所がない。羽毛以外は皆食べる。
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┃中┃華料理は最低でも4人は一緒に行きたい。
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日本料理みたいに一人前で頼むのでなく料理単位で頼むから、大勢の方が種類
を多く食べられる。大体皿数を頭数と同じにして注文するといい宴会になる。
私の行きつけの店で何種類かの料理を少しずつ一つの皿に盛りつけてくれる店
があるが、普通はやってくれない。
宴会はテーブル単位で予算を立てる。
店の格にもよるが、普通のところだと10人で一卓400元=約6000円)
が目安。今回宿舎の服務員さん達に、日頃お世話になったお礼に一席構えた。
カラオケ付きの広い部屋を借り切り、17人飲物代一切含めて1200元=約
18000円)でお釣りがあった。
北京の「前聚徳」といえば北京ダックを食べさせる一流の部類の店だが、6人
で全鴨席=北京ダックのフルコース)で1000元=約15000円)強だっ
た。
北京ダックのよいところは持ち帰りが容易なことだ。北京ダックはご存知のよ
うに家鴨を炙った肉を薄くそぐように切り、それを薄い餅みたいなもので葱と
一緒にくるんで食べる。残ってもきれいなので持ち帰り易い。
例えば東坡肉=宋の有名詩人であり政治家でもあった、蘇東坡が考案したとい
われる豚肉をぐつぐつ煮込んだ料理)等も、いかにも中華料理らしく脂ぎって
美味しい。しかし残っても持って帰りようがない。鯉の丸煮みたいな料理もそ
うだ。その点北京ダックは持ち帰りが前提のように、店でもパックを常備して
いる。
薄い餅にくるんで食べるのは、家鴨に限らない。瀋陽で看護婦学校の生徒が、
自分達の行きつけの店で私にご馳走してくれたのが、薄い餅に野菜や肉をくる
んで食べる店だった。“春餅”というそうだ。学生は安くて美味しい店をよく
知っている。二人で満腹して、私は酒まで飲んで11元=170円)だった。
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┃中┃華料理は一般に食べ残す。
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というよりも食べきれない程出すのが主人側のもてなしの気持ちの厚さを意味
し、食べ残すのが十分に頂きましたという客側の感謝の気持ちの表現となる。
割り勘の習慣がなく、一緒に食事をすると必ず、主人と客の関係になるから、
常にテーブルは料理の山になる。これはどうも私達日本人には慣れ難い。
中国人の家庭におよばれした日本人がよく失敗するのは、残したら悪いと思っ
て綺麗に食べる。主人側は足らないのかと思ってまた出す。又食べる。最後は
悲鳴を上げる仕儀となる。
ある日、中国人の友人の家で夕食をご馳走になった。
ここで珍しいご馳走を頂いた。煎蛹=蛹の炒めもの)である。絹は中国の特産
品。その蚕の蛹をどこの市場でも売っている。
料理の前に奥さんがご丁寧にも、「ほら、美味しそうでしょう」とまだ動いて
いる、長さ6センチぐらい、太さはたっぷり直径1センチを越える緑色の丸々
肥えた芋虫を見せてくれる。日本のご夫人が、ぴくぴく動く鯛の生け作りの前
で「まあ!美味しそう」と感嘆の声を上げるのと同じだろう。
味は..変わった甘味がするが、ゆっくり味あう余裕がない。舌に蚕の殻が残る
のを食べ慣れた人は上手に出す。美味しいといって食べたが二匹まで、、悪い
が私も食べ残した。
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┃食┃の本場中国暮らしといえども、毎日料亭で宴会しているわけではない。
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日頃は宿舎の食堂で家庭料理を食べている。朝は先に述べたお粥を主体にした
もの。昼と夜は豌豆、馬鈴薯、茄子等の油炒め。骨付き肉、太刀魚の揚げ物。
同じようなものが続く。一日の食費が、三食全部で10元=約150円)に満
たないのだから、贅沢は言えない。
太刀魚は市場でゴミのようにして売っているのを見ているので、あまり食欲が
湧かない。ある日少し腐敗臭がしたので、腹を壊したらいけないと思ってその
後注文をひかえていたら、魚は嫌いかと食堂の服務員が尋ねる。
「私達は海洋民族だからね」と答えたら「食べ飽きたのですね」と好意に解釈
してくれた。この人達の前で「あー魚が喰いたい」と本音を大声で言う程、私
もヘソ曲がりではない。
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┃寮┃で食べるご馳走といえば、工業大学でロシア語を教えているロシア娘の
┗━┛ダーニアが作ってくれる本場のビロシキが最高に旨い。お返しにこれも
工業大学で日本語を教えている山本先生が、本場の茶碗蒸しやおでんを拵えて
くれる。申し訳ないが私は専ら食べる人。
食堂は、朝7時半。昼12時。晩5時半。キチッとしている。
時間的にも拘束がきついので、朝を除き昼と晩はどうしても外食の機会が多く
なる。
外食は近くに軒を連ねている大衆食堂で食べる。私の好みは京醤肉糸=豚肉の
細切りの油炒めと玉葱を刻んだものを、干豆腐といって乾いた豆腐を薄く切っ
たものにくるんで食べる)。他に肉炒油菜=豚肉の野菜炒め)など。
ここでついに、究極中の究極のご馳走にありついた。
料理の名前は知らないが、春雨とキャベツを豚肉で炒めた物。豚肉の脂が春雨
とキャベツに程良く沁み渡り、これぞ中華料理の真髄ともいえる。
黒い干し葡萄のようなものは茸だろうか。噛むと、グシャッ!というかカサッ
というか、得体の知れない歯ごたえがする。
店の小姐=娘さん)に「これなに?」と聞いたら、
「ゴキブリでしょう」と、ニコッと笑う。
「またいたよ!」と私が驚きの声を上げるのにも「ほんと?」と、彼女は更に
可愛いい笑顔を見せる。
味を尋ねられても困る。知らずに食べたときは「なんだこれ?」と思っただけ
だったが、さすがに二度食べる気にはならない。これを食べたら、蛇も蜥蜴も
蠍も、皆ゲテモノとはいえない気分になった。
= この稿おわり =
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┃★┃ 読後感アンケート結果。
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◇ 面白かった (^○^) -------------------------------- 30人 (94%)
◇ まあまあかな(゜.゜) -------------------------------- 2人 ( 6%)
◇ ツマラナかった(-_-) -------------------------------- 0人 ( 0%)
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┃★┃ コメントボードに頂きました感想。
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┌--------「たろおじさん」
男子厨房にはいるべし!
女子は家があるからまだいいが、男は世界中どこに行くかわからないのだから
自分の飯くらいは作れないと・・・と、勝手な私の持論。
日本食は、(飯が炊けてたら味噌汁と納豆と豆腐と梅干と海苔と漬物・・・な
ら、一人分3分で作れます)安くて、すぐできて、油をあまり使わず健康によ
くて、ほんとに簡単。毎朝、自分で作って食べてます。
実のところ、家内が更年期で不調で朝、起きられないので、朝は自炊(^^;
でも好きなもの作れてハッピー。
作り始めて食べ終わって片付けるのに15分か20分。
調味料と味噌と野菜のおかげで、ほんとに旨いんですよ。
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┌--------「けんさんから」
私も単身赴任を八年しました。得意の料理は「犬飯」。
味噌汁に、あるものなんでもほり込むだけの雑炊。美味しいですよ〜♪
もう一つありました。「猫まんま」。
暖かいご飯に鰹節をまぶして醤油をかけるだけですが、何杯でも食べれます!
└--------
┌--------「ミカの赤い服さん」
中国の食生活が細かく書かれていて、とても興味深く拝読しました。
特に『さんざしの実に水飴をまぶした菓子』が、祭りの夜店みたいでなつかし
さを感じました。(食べたことはないんですけど。)
最近、友人と話題になったのですが、お蚕さんはおいしいんですか?
└--------
▼
┌--------「けんさんから」
『さんざしの実に水飴をまぶした菓子』糖胡芦=タンフール)は、まさに童心
の味。「祭りの夜店」にピッタリです。
お蚕さんの味ねー・・・。
私は外交家ですから、「美味しい」と言って食べます。
ーーしかし自分から食べようとは..決して思いません。
└--------
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。

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