┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  迷子になったらここ!(^O^)  ━┓
┃
┃ :中国への熱い思線: ――――――――――― by けんさん                    (けんさんの日中友好コーナー)

☆ 丹東旅行記 ―――――――――――――――――――― 2003/06/04
┌--------
│五月一日、メーデーの連休を利用して、北京から小池先生と渡辺君が遊びに
│来てくれることになった。近くの旅行地として、丹東が候補に上がる。
│
│丹東ってどのへん? → 地図です。
└--------

丹東は以前の安東。
鴨緑江の畔、北朝鮮の新義州と国境を接する観光都市である。
瀋陽が奉天といった昔、この間を安奉線が走り、私も子供の頃何回か通った。
ここで時計の針を一時間ずらして、時差の調整をしたのを微かに覚えている。

 簡単に、今回同行するメンバーの横顔を記しておく。
┌──────────
│小池先生:五十九才。北京語言学院の留学生。
│
│平成六年、私も北京で中国語を勉強したのだが、その時以来の親友。彼はそ
│の後も残り、引き続いて三年間勉強する傍ら臨時講師をしている。定年前は
│中学校の教師。童話研究では権威といってよい。留学生の身分で日本料理屋
│も経営しており、ひと口で言ってサムライ。
│
│山本先生:四十才。瀋陽市工業大学の日本語教師。
│
│八戸工業大学の中国語教師が正規の身分。両校が姉妹校なので、交流講師と
│して来ている。中国人は、彼を日本語の上手な中国人と思っている。料理と
│アマチュア無線が趣味。ビデオカメラを片時も離さない。今回は北朝鮮のテ
│レビを録画するのだと、ビデオデッキを持って来た。
│
│千葉君 :二十三才。瀋陽市工業大学の留学生。
│
│山本先生と同じ八戸工業大学の卒業生。中国語を一年勉強し、大学院で一年
│研修する予定。またの名を「鉄西の貴公子」。私達の住んでいる場所が鉄西
│区。身長一メートル八十。とにかく格好良い。「一度もててみたい」などと
│贅沢なことを言っているが、いま自分がスポットライトを浴びていることを
│彼は知らない。今回は体格を買われて、ポーター役。山本先生のビデオデッ
│キを担いでいる。
│
│渡辺君 :二十二才。北京語言学院の留学生。
│
│大学で鍼灸を専攻した専門の鍼灸師。本場の中国で鍼灸の研修をするため、
│今は中国語の勉強をしている。千葉君がこの冬休み北京語言学院へ短期研修
│に行ったのだが、その時知り合った親友。小池先生と千葉君達と一緒にチー
│ムを結成し、北京の夜の町を荒し回ったと聞いている。美少年である。小姐
│(中国の娘さん)によくもてる。
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┃私┃を含め、五人に共通するのは酒と好奇心が強いこと。列車に乗るなりま
┗━┛ず缶ビールは定石。開けるとき、千葉君が前の座席の女の子のジーパン
に泡を飛ばす。しかしこれはかえって親愛のシグナルとなった。

美術学校の学生だという二人連れの女の子の一人が、スケッチブックを取り出
して何か描いている。「ははーん」と思ったが知らん顔をして、出来上がった
ころ

「何を描いていたの」
と覗き込んだら、恥ずかしそうに両手で隠す。

「いいじゃないの」
ともう一度手を出したら、渡して呉れたものは果たして横顔の人物像だった。

「おい」と渡辺君に渡したら「あ!俺だ」。なにが「あ!」だ。とっくに気が
ついてポーズをとっていた癖に。長めの髪を無造作に後ろで束ね、口紅を付け
ているかと思うばかりの鮮やかな口元、濃い眉、黒く大きな瞳、広い額、白い
歯。

無造作と書いたが、彼の旅行鞄には口紅以外の化粧道具はみな入っているので
はないだろうか。これに軽い微笑みを添えて見られたら、大抵の小姐のハート
はとろける。早速若いもの同士の会話が始まった。

とは言っても、渡辺君はまだ中国語を始めて三ヶ月にならない。千葉君は一年
近い。しかし若い男女にあまり多くの言葉は要らないようだ。最後は電話番号
まで交換していたようだから。

年寄り組は、勝手にしてくれと小池先生がビール片手に窓外を見ている。山本
先生は居眠り。私は中国人の十五才の少年をつかまえて中国将棋を指す。
少年が長考している間、私は車窓を眺める。遥か頂上に見える建造物は、無線
の鉄塔に間違いないだろう。長距離マイクロ回線が走っているのだ。

ここは確か60年以上前、世界最初の長距離無装荷搬送電話回線が東京〜奉天
間に通った所だ。何かそれらしき痕跡が無いかと見渡すのだが、分からない。

温帯多雨気候の日本から見ると、緑は少ないと言うより、山が茶色に見える。
それでも子供の頃五十年前に比べて一番大きな変化は、緑の量ではないだろう
か、昔よりは緑が目立つ。谷間に、杏に囲まれて、これぞ桃源郷といえる農家
があった。中国の農家は、一般に貧しいといわれているが、川辺で遊ぶ子供の
様子は、むしろ瀋陽より豊かに見える。
┏━┓
┃出┃発後四時間半、十二時三十分、予定より十分遅れで丹東着。先ず明日の
┗━┛帰りの切符を買う。奮発して「軟座」グリーン車にする。「硬座」普通
席が25元=日本円375円)グリーンは追加16元=日本円240円)也。
奮発したという程の金額でもないが、違いは抜群だった。

次は宿探し。山本先生の目的が北朝鮮のテレビ録画なので、対岸が見える所が
良いと言う。私達にも異存は無い。早速地図を買って探したら、格好の旅館が
あった。鴨緑江公園前の「金彩大酒店」ここはお薦めだ。

眺めは鴨緑江を真下に対岸の北朝鮮が遠望出来る。料金が安い。バストイレ付
の三人部屋160元=日本円2400円)。サウナも有る。勿論無料。服務員
がみんな美人でサービスが良い。非常にテキパキしている。
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┃腹┃拵えを兼ね街へ出る。小池先生がこの店!と希望した店に入る。さすが
┗━┛に食堂経営者だ。一膳飯屋風の小さな店だが、安くて旨い。五人で五品
それにビールを何本か忘れるぐらい飲んで88元=日本円1300円)。食べ
る物だけは、中国人の食べる店に入って、彼らと同じ物を食べている限り絶対
に安くて旨い。

店の主人が、何国人だと聞くので、小池先生と千葉君は日本人、私は韓国人、
山本先生は中国人、渡辺君はスペイン人!に仕立てて話しを弾ませる。最後に
記念写真を撮ろうとしたら、お目当ての可愛いいお嬢さんが奥に引っ込んで、
どうしても出て来ない。あれ程愉快に喋っていたのにと思ったら、撮り終わっ
た後出て来て

「実は妊娠している」
と言う。なるほど少しお腹が突き出ている。何故かは知らないが、妊娠中は、
写真を撮ったらいけない謂れがあるのだろう。
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┃鴨┃緑江公園は、メーデーで人がごった返していた。北朝鮮側からも観光船
┗━┛が出ていて、こちらの岸近くまできて両方が手を振って交歓する。船は
観光船とはいうものの、色は鼠色のいわゆる軍艦色。錆が酷くて何の飾りも無
い。中国側の観光船が白鳥のように引き立つ。

観光船は5元、快速艇は13元。私達は快速艇をはり込んだ。鉄道橋は開通し
ているが、平行して走っている自動車橋は、朝鮮動乱のとき米軍に爆破された
ままである。

メーデーということで対岸の北朝鮮側も人が出ている。写真は一応禁止だが皆
撮っているので、私もバリバリ撮らせて貰った。声は勿論よく聞こえる。手が
届きそうな距離まで近づく。警備の北朝鮮の兵士も手を振っていた。

快速艇の舳先に乗せられた千葉君が、引きつった顔で悲鳴を上げる。それを面
白がって、船頭がわざと大波を探して波に直角に船をもって行く。コンクリー
トに叩きつけられるような衝撃を受ける度に、これは本当に救命胴着のお世話
になるかなと思った。
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┃ゆ┃っくり休んで、夜の街に繰り出したのは七時を回っていた。朝鮮料理の
┗━┛焼肉を食べる。朝鮮料理は犬の肉が名物。小池先生が

「犬は刺身が旨い」
と、愛犬家の渡辺君をからかう。彼、

「犬だけは勘弁してくれ」
と、べそをかく。中国酒とビールを飲みながら、日本のホルモン焼き、串焼き
それに魚の焼き物といった料理を次々に注文する。たらふく食べて飲んで全部
で128元=日本円2000円弱)。金が足りないから、借金のかたにひとり
置いていくと冗談を言ったら、渡辺君を置いて行けと言う。彼、自分が話題に
なっているというのは分かるのだが、後が分からない。

「なんだ?なんだ?」
と言うのをほっといて出ようとしたらやっと分かったのか、彼も調子がいい。

「このまま帰らない」
と言ってまた座り込んじゃった。店の女社長すっかり喜んで、別の商売気(?)
を出して媚びを含んだ声で言う。

ー:若くて可愛いい妹がいるの!いまから呼んでくるから待ってて。

私:私なら贅沢言わない、子連れでもいいよ。
ー:では私でどう?
私:亭主持ちならもっと良いんだけど。

最後は冗談でごまかして、やっと退散した。
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┃宿┃のサウナは最高だった。瀋陽ならサウナだけで20元はする。山本先生
┗━┛は北朝鮮のテレビ録画で、サウナにも入らない。

この録画は後日見せて貰ったのだが、メーデーの特別番組で、軍服又はスーツ
にやたら勲章を付けた人がどの場面にも出て来る。運動会の自転車遅乗り競争
の自転車がピカピカに新しい。バスが日本の観光バス並みに光っている。

しかし、どの場面もいかにも国をあげての「ヤラセ」っぽいのが悲しい。金正
日が出ては来るが、何年か前のものばかりだ。

電力事情も厳しいのだろう。テレビ局の電圧変動と思われる画面乱れがしょっ
ちゅう出る。対岸の新義州は、ここからは漁り火のように微かな灯しか見えな
い。心無しか夜空が明るく見える処が市の中心部の上空だろうか。向こうから
は、丹東は不夜城のように見えるはずだ。何を作っている工場か、煙突は見え
るのだが、煙が無い。
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┃翌┃日2日も快晴。朝食は誰も食べるとは言わない。早めにチェックアウト
┗━┛を済ませ、駅の小荷物預かり所に荷物を預ける。丹東の奥座敷とも言え
る錦江山は、駅から鴨緑江公園の反対側二キロ余りの所に登り口がある300
メートル位の小高い山。昼前に登る。ここからの北朝鮮は更に良く見える。

山を下りたら結婚式の車の列に出会う。山本先生すっかりジャーナリスト精神
を発揮して、ビデオを持って走り出す。先頭車まで追いつき、新郎新婦を振り
返らせて撮るのだから大したものだ。

ミニスカートの可愛いい女性を見つけ、これもカメラで追いかける。後ろ姿を
納めたのだが、先生は紳士だからカメラアングルが高すぎる。冷やかしたら、

「じゃ自分で撮ったら」
と、ご機嫌が悪い。
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┃昼┃飯は、店は小綺麗だったが、320元=日本円4800円)とやけに高
┗━┛い。店員の薦めるままに食べた鴨緑江名物「面条魚」(白魚)が高かった
のだ。まあ味は良かった。

汽車待ちの時間、「抗美援朝記念館」を見物する。1950年6月25日朝鮮
動乱勃発。中国は「人民志願軍」(義勇軍)を派兵して北朝鮮を支援した。
「抗美」は美国即ちアメリカと戦う、援朝は朝鮮支援である。

1994年に出来たばかりのこの施設は、これまで中国で見たどの記念館より
も立派で充実していた。丹東西の郊外、小高い丘の上にある一万坪余りの広い
敷地に記念碑、展覧館、パノラマ館があり、特にパノラマ館は朝鮮戦争の臨場
感がある。戦車、飛行機、大砲等の兵器の陳列品を見て、小池先生「これはみ
な人殺しと物を壊すための道具だからね」とため息まじりに言う。この戦争が
日本の戦後復興に大きく寄与したのは、全くの皮肉だ。

「軟座」(グリーン車)はやはり素晴らしかった。

先ず待合室が違う。専属の女性駅員さんが、満面の笑みで「まだ早いですから
荷物はここに置いて近くを見物して土産物でも買って来て下さい。私が見てい
ますから」と薦めてくれる。

お言葉に甘え、丹東とのしばしの名残を惜しんだ。また来る時は北朝鮮の人達
とも、自由に交わうことが出来ることを願いながら。
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┃終┃わりに、山本先生が生帳面につけてくれた、今回の旅の会計報告を付さ
┗━┛せて頂く。
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│5月1日 昼食      88元
│     夕食     128元
│5月2日 昼食     320元
│     夕食     290元
│----------------------------------
│  小計        826元
│
│宿賃  三人部屋    160元
│
│    二人部屋     80元
│----------------------------------
│  小計        240元
│
│汽車賃 行き      135元(27元x5 普通)
│    帰り      205元(41元x5 グリーン)
│----------------------------------
│  小計        340元
│
│観覧料 鴨緑江公園    10元( 2元x5)
│    抗美援朝記念館  40元( 8元x5)
│    快速艇      65元(13元x5)
│----------------------------------
│  小計        115元
│
│タクシー 4回      48元
│----------------------------------------------------------
│  合計       1569元
│
│ひとりあたり      314元=日本円約4700円)
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                        = この稿おわり =
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┃┃ 読後感アンケート結果。
┗━┛
◇ 面白かった  (^○^) -------------------------------- 36人  (95%)
◇ ふつう   (゜.゜) --------------------------------  2人  ( 5%)
◇ ツマラナかった(-_-) --------------------------------  0人  ( 0%)

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┃┃ コメントボードに頂きました感想。
┗━┛
┌--------「博多DAGUこと大谷さん」

なんか、いつ見てもいい文章ですね。感動!

私も中国へ行ったときは、外国人の行くような店では食事をしません。
ホテルも、行ったところの人に紹介してもらって安ホテルを楽しんでいます。
「会計報告」大変参考になります。今後も末永く続けてください。

└--------
 
┌--------「けんさんから謝謝」

文章を褒めて頂くのは、男前を褒めて頂くより嬉しいです。
臍の向くまま気の向くまま、中国漫遊記が書けたらいいですね。
今充電中、金が貯まったらまた行きますので宜しく。

└--------
┌--------「yukiさん」

読んでいたら故郷の地名が出てきたので、ビックリ!
中国関係のメルマガで「八戸」の二文字を見ようとは、
想像だにしていませんでした(^^ゞ

└--------
 
┌--------「けんさんから謝謝」

世の中狭いですね。八戸にご縁のある方が読んでおられるとは。
実は、福島から北はまだ行ったことはありませんが、是非行ってみたいと思っ
ています。

└--------
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
└→ 感想や激励をよろしくお願いいたします。 

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