┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  迷子になったらここ!(^O^)  ━┓
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┃ :中国への熱い思線: ――――――――――― by けんさん                    (けんさんの日中友好コーナー)

☆ 中国棋院大手合観戦記 ―――――――――――――― 2003/05/07
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│楊爽さんが、三月二十一日から杭州で行われる「段位賽」
│日本でいうところの大手合に参加すると言う。
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│杭州の位置 http://www5a.biglobe.ne.jp/~ailiao/japan/logo/map_ooteai.htm
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彼女は中国棋院二段の女流専門棋士、二十三才。瀋陽市日本人会の囲碁好きな
人たちの集まりで知り合い、私も二子で指導を受けている。 

杭州は、かねて行きたかった所だ。一行に加えて貰えるだろうかと尋ねたとこ
ろ、どうぞということになった。さっそく中国棋院国際部の王誼さんに電話し
て観戦の依頼をしたところ、こちらも大歓迎と言って頂く。学校の授業の方も
振替をお願いし、十八日、瀋陽北駅九時四十分発の杭州行き直行夜行寝台車に
乗った。

これから杭州まで三十三時間。楊爽の他の同行者は、
劉涛、やはり中国棋院三段の女流専門棋士二十四才。
王存、1994年の世界アマ選手権中国代表。
王伝海、今回入段手合いに参加する青年棋士。
これ以上の道連れはいない。乗るなりさっそく王伝海と一局お手合わせ願う。
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┃車┃中二泊。朝七時二十分定時に到着。
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かつてマルコポーロに、世界で一番美しい都市と言われた杭州は菜の花に囲ま
れ、柳と共に小雨の中に煙っていた。西湖は桃で装いをしている。

1997年中国棋院段位賽「大手合」が行われた杭州九渓療養院は、杭州西郊
の名所六和塔にほど近い、五雲山の渓谷九渓十八洲を少し登った小高い丘の上
にある。大小五つの建物からなるこの療養院は看護婦さんもいるので、本来は
アフターケア施設なのだろうか。静かな木立に囲まれて高級旅館の趣がある。

会場は二百坪あまりの円形大ホール。
円周に添って、螺旋上に約150余りの碁盤が配置され、中国棋院八段以下の
棋士と、入段試験手合いを打つ少年少女棋士144人を含め、300人あまり
の棋士が一堂に会する様は正に壮観。

最高段者の八段七段の棋士は円周の外側、すなわち窓側に位置し、段によって
順次内側に座っていく。従って少年少女棋士達は中心に近い所に座っている。
専門棋士への登竜門を目指すこの子達は、これから中国方式=スイス方式に似
ている)で十日間12局のリーグ戦を戦う。その中の12名だけが入段を許さ
れるのだから広い門とはいえない。

中には、椅子から下に足が届かない子も何人か居る。顎を突き出すようにして
打っているこの子供たちの視野はどうなっているのか?私も彼らと同じ高さに
視線をおいて盤面を眺めて見たのだが、碁盤の向こうが見えない。なんと!こ
の子たち頭の中に碁盤?をおいて碁を打っているのだ!

子供らしい溌剌とした碁を打って、ぶっ殺し合いをしていた。
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┃常┃昊と張旋、豊雲と王冠軍、日本でもよく知られた有名棋士がちょうど隣
┗━┛り合って対局している。
常昊は、史上最も若い八段が誕生するか、この一局に昇段がかかっている。
これ幸いと、中間の両方が見える所で、棋譜を付けながら観戦させて貰った。

専門棋士の碁を記録するのは始めてだが、アマチュアと違ってバタバタ打たな
いから非常に記録しやすい。開始後二時間も経ったろうか、局面は中盤に入ろ
うとしている。

対局が終わったのか、先ほどの、椅子から足が届かなかった子供が来て

「おじいちゃん何しているの?」

と、私の手許を覗き込む。更に、対局机に近づいて背伸びして碁盤を動かして
しまう。張旋が「これっ」というように、チョンと子供の鼻頭を摘む。常昊が
笑いながら、動いた石を直している。窓辺に4、5人の少年少女棋士達が来て

「常昊こっちを向いて!」

と、ガラスをつつく。いまや国民的英雄ともいえる人気者の常昊は「仕方ない
な」といった表情で、ちょっとそちらへ笑顔を見せ、我を取り戻すように真剣
な表情で虚空を睨む。

このように書くと雑然とした雰囲気のようだが、実際は時折石音が聞こえるだ
けの静寂の中で起こった寸劇。この碁は白番の張旋が勝って、新八段の誕生は
成らなかった。
常昊は、このあとの対局に勝って昇段したことを後日知った。
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┃2┃0日から25日まで五泊六日した宿舎は、四人部屋。
┗━┛同室者のひとり王鉄夫は放送記者。
今回は初段の娘さんの付き添いで来ている。彼も碁好きなのだが、周りは専門
棋士またはそれに準ずる人ばかりなので相手がいない。

「娘も強くなり過ぎて、全然相手にして呉れない」

と言いながら、私を格好の碁敵として片時も離してくれない。解放軍で17年
間5時半起床9時就床という規則正しい生活をして来た彼は、朝も早い。私が
起きるのを待ちかねたように、「来、来、来」=さあ、さあ)と朝から碁盤を
持ち出す。

逗留期間中20局も打っただろうか。しかし、私も彼に対してあまり優しくな
い。60目という超大込みのハンディキャップを提供した上で、弱い者虐めが
大好きな本領を発揮し盤中の石を召し上げる。

彼曰く「貴方の碁は野蛮だ」
けれど「野蛮は、本来は人をけなす言葉だが、ここでは強いという意味を強調
しているので、悪い意味はない」と、変な褒め方をして呉れる。
劉涛に、二子でねじり合いの末大石を撲殺された私が、悔し紛れに

「中国のお嬢さんは、どうしてこんなに野蛮なの」

とぼやいたら、彼女美しい眉を顰めて苦笑したから、あまり良い言葉ではない
のだろう。
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┃仕┃事の関係で最後までは居られない。
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明日は発つという晩、ここで知り合った子供たちが次々に「爺爺再見!=おじ
いさんさようなら!」と別れの挨拶に来て呉れる。

「私達最後の晩だね」

と、王鉄夫と名残尽きない碁を打ち終えたときは12時を回っていた。

                           = つづく =
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